2026年10月2日,プレゼンテーションイベント
「Demo Day 2026: iGi × LVLZero Tokyo」が東京都内で開催された。
本イベントはマーベラス主催のインディーゲームインキュベーションプログラム
「iGi indie Game incubator」(以下,iGi)と,MIXI Global Investments主催のインディーゲーム支援プログラム
「LVLZero Tokyo」の合同で開催され,計10チームによるプレゼンテーションが行われた。本稿では,その模様をレポートしよう。
iGiはスペインのバルセロナで運営されているインキュベーションプログラム「Game BCN」の成功事例に基づいた産学官連携の取り組みだ。日本向けにカルチャライズされ,本年度は東京科学大学 デジタル創作同好会「traP」とコラボして実施された。
プログラムの第6期生として採択された5チームは,プログラム期間中,国内外の専門家による週1〜3時間程度の個別支援を受け,それぞれのタイトルを磨き上げてきた。第6期生はこのDemo Dayをもってプログラムを卒業する。
またLVLZero Tokyoは,海外市場への進出を目指す日本の新興ゲーム開発者を対象とした,海外パブリッシング特化型のプログラムで,第I期は2026年6月から9月にかけて実施された。
プログラムの第I期生として採択された5チームは,約3か月の期間で行われた全10回のセッション「100日間メンタリング」を通じて,海外販促の手法や成功事例の概論,ローカライズの課題への取り組み方,海外向けトレイラーの作成など,海外展開に必要な準備を進めてきた。
LVLZero Tokyo 第I期生の作品は,gamescom 2026に出展された
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後述する両プログラムの計10チームによるプレゼンテーションのあとには,iGiのアドバイザーおよび共同創設者/事務局長であり,IGDA Incubation 作業部会議長を務めるルーディムス代表 佐藤 翔氏が登壇した。
佐藤 翔氏
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佐藤氏は,IGDA Incubation SIGを,世界62か国120のインキュベータ・アクセラレータ団体が加盟する組織と紹介し,iGiとLVLZero Tokyoもメンバーとなっていることに言及。今後も一緒にインディーゲーム開発者を支援する仕組みを深く広く作っていきたいと意気込みを見せた。
加えて,日本のインディーゲーム開発者を優れた表現者として育成することは自分たちの使命であり,経済の発展,文化の繁栄,地域の振興,国際関係の進化につながる重要な活動と考えているとアピールした。
ここからは,各チームが40社を超える国内外のパブリッシャやゲーム関連企業に向けて,開発中の自作タイトルをプレゼンした様子をお伝えする。
■iGi第6期生プレゼンテーションタイトル
■LVLZero Tokyo第I期生プレゼンテーションタイトル
iGi第6期生によるプレゼンテーション
■「ディストピア VS ディストーション」<MY NEW GAMES>
MY NEW GAMESの
「ディストピア VS ディストーション」は,ギターのエフェクターで戦う,デッキ構築カードバトルだ。最大の特徴は,ギターの音色を武器に変える魔法のエフェクター
「魔フェクター」を,プレイヤーの好きな順番でつないでいくバトルシステムである。
MY NEW GAMES くらち氏
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魔フェクターは種類ごとに効果が異なり,またつなぐ順番によって最終的な効果が変化する。したがって,状況に応じてボード上の魔フェクターの順番を入れ替えていくこととなる。
またギターモチーフのゲームであることから,音楽要素にも注力している。ボード上の魔フェクターの種類に応じてサウンドが変化するなど,さまざまな要素を開発中とのこと。
ゲームの進行は,各ステージで枝分かれしたマップ上のマスを選択しつつ,ボスが待ち受けるライブハウスを目指すという流れ。道中のバトルマスで敵を倒したり,ショップマスで新しい魔フェクターや永続的な強化要素を手に入れたりしながら進むことに。ボスを倒すとステージクリアとなり,次のステージへと進む。
本作では,「死のライブ」と呼ばれる事件により世界が崩壊したポストアポカリプス的ストーリーが描かれていく。主人公の少女は孤独なジャンク屋で,ひょんなことから手に入れたしゃべるギターとともに,古代兵器である魔フェクターを悪用する支配者との戦いに挑む。
本作の独自性は,「ギターヒーローになれる『Slay the Spire』」とのこと。荒廃した世界で,高性能な魔フェクターを集めて組み合わせ,強敵を打倒したとき,まるでギターヒーローになったかのような快感が得られるゲームを目指し,開発を進めているという。
■「レプリカクラブ ルートD」<もねてす>
もねてす氏が開発中の
「レプリカクラブ ルートD」は,ビジュアルにこだわったコズミック・ホラーアドベンチャーノベルだ。プレイヤーは主人公である新人マネージャーとなり,完璧な俳優「ケイン」に隠された謎と,彼と瓜二つの「画家」が支配する悪夢の世界に挑む。
もねてす氏
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主人公はハリウッドのきらびやかな世界に生きているが,意識を失うと犯罪と化け物がうごめく暗い悪夢の街へと迷い込む。悪夢のなかでは連続殺人を追うことになるのだが,次第に2つの世界の境目は曖昧になっていく。そして真実に近づくほど,
ゲーム画面の表記が崩れていく。
ゲームは探索,推理,戦闘の3要素のサイクルで進む。コズミック・ホラー要素として採用した正気度を示す「SAN値」が3要素の共通リソースとなり,探索中はSAN値によって見えるものが変化する。また推理では選択肢によってSAN値が変化し,戦闘ではSAN値に応じてUIや使える技が変化する。
本作におけるSAN値は,ゲームの結末を左右する重要な要素となる。分岐点でSAN値がどうなっているかによってストーリーが変化していく。
戦闘で使うカードも,SAN値によって「献身」が「う■つき」,「照準」が「ユrUさなイ」といったように変化する。
ゲームプレイの1周目では,プレイヤーは「主人公のストレスによってゲーム画面の表記が崩れた」と解釈するが,2周目では真相が明かされ,「主人公がずっと隠していた本音が漏れていた」という解釈に変わる。
メッセージやメニューなどもSAN値に応じて変わっていく。UIは通常,ゲームプレイをサポートするべく設計されているが,本作では信頼できない語り手になっているそうだ。
■「ナカノ人格移植研究所」<麺屋すぱいす 東京支店>
麺屋すぱいす 東京支店の
「ナカノ人格移植研究所」は,人格移植技術を研究している船を舞台とするアドベンチャーゲームだ。ストーリーの冒頭では,主人公を研究船に導いたヒロインの失踪事件が発生する。この事件の謎を解く鍵となるのが,
人格移植技術――ほかのキャラクターの身体を乗っ取って操作できる技術である。
ゲームは1周15分のループを繰り返して進行。1ループのなかで乗っ取る対象を選んだあとは,探索や会話を行い,さらに会議で証拠を提示することにより,謎が部分的に解明される。
各ループで乗っ取る対象は1人だけで,対象のキャラクターはループを重ねるごとに増えていく。また,同じキャラクターを異なるループで複数回乗っ取ることも可能。さらに乗っ取る対象が同じでも,乗っ取った順序によって得られる情報が変わることがある。
1周15分という短いゲームプレイのなかで,さまざまなキャラクターの視点,身体,立場を乗っ取っていくことで,飽きのこない周回を実現し,推理ゲームの醍醐味を表現するとのこと。
視点の乗っ取りでは,たとえば怖がりのキャラクターに人格移植すると,世界が恐ろしく見えるようになる。
身体の乗っ取りでは,たとえば人格移植したキャラクターが大柄だと高いところにあるアイテムが取れるようになったり,逆に小柄だと狭い通路を通れるようになったりする。
立場の乗っ取りでは,人格移植によってほかのキャラクターとの会話の内容が変化し,隠された人間関係や企みを発見できる。これには人狼ゲームやマーダーミステリーなどの正体隠匿系ゲームで,証拠を集めて他者の正体を暴いていくときの快感があるという。
■「Voyage Router」<softoko>
softoko氏が開発中の
「Voyage Router」は,地図を頼りに,ランダム生成される地形を探索する,ルート探索型のローグライクゲームだ。プレイヤーは地図から地形を読み解き,その変化や状況を見極めつつ,リスクと効率を天秤にかけてベストルートを探していく。
プレイヤーは,「次元海峡」に現れる生物を狩って資源を得る「漁」を行う。大きな成果を挙げるには,獲物が潜むポイントをより多く巡る必要がある。
本作の独自性は,
探索ルートの判断そのものがゲームプレイの核になっていること。プレイヤーは地図に記された地形と,獲物の潜む目標地点をベースにルートを組み立てていくが,探索中には敵との戦闘や行く手を阻む障害物の発見,地形変化などが発生する。そのため,状況に応じてルートを見直し続けることが成果につながる設計になっている。
戦闘はフルオートとなっており,選んできたルートや機体のビルドといったプレイヤーの状況判断の積み重ねが勝敗を決める。
さらに,成果を挙げるほど次の探索が有利になるローグライト構造となっている。進行に応じて新たな機能がアンロックされていき,探索を繰り返すモチベーションにもつながっているそうだ。
■「Cross the C」<プロジェクトCross the C>
プロジェクトCross the Cの
「Cross the C」は,世界を探索しつつパズルを解いていく見下ろし型のパズルアドベンチャーだ。本作のベースとなるのは,いわゆる氷床パズルだ。障害物に当たるまで止まれない船を操作し,ゴールに到達するとステージクリアとなる。
東京科学大学 デジタル創作同好会「traP」プロジェクトCross the C どぐえぐ氏
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本作は氷床パズルのルールを拡張しており,プレイヤーはステージ上に直接オブジェクトを配置する,錨を使って船を止める,画面の両端がつながるループ構造を利用するなどの要素を駆使して,ゲームを進めていく。
また本作の舞台は船であり,船内のステージをクリアすることで次のチャプターとなる船に進める。
本作の独自性は,これらの
パズルがゲーム内の大きな世界とつながっていることにある。各チャプターで獲得した「ピース」を盤面に設置すると,それに合わせて世界の環境が大きく変化し,そのスケール感や壮大さを味わえるとのこと。
プレイヤーは単に道を見つけるのではなく,自ら道を作っていくため,ひらめいた瞬間の気持ちよさと,雰囲気のある世界への没入感を得られるという。
LVLZero Tokyo第I期生によるプレゼンテーション
■「moorestech」<sakastudio>
sakastudioの
「moorestech」(ムーアズテック)は,メインコンセプトに「歯車システム×自動化工場×アニメ調オープンワールドRPG」を,サブコンセプトに
「コアファンも未経験もドハマリする自動化工場ゲーム」を掲げている。
このゲームが目指すのは,自動化工場ゲームの未経験者とコアファンそれぞれの課題を解決することだという。未経験者は自動化工場ゲームに対して「ハードコアで難しそう」という印象を抱きがちだが,本作ではかわいいキャラクターや分かりやすいチュートリアルとストーリーを入り口としてプレイを促す。
一方,コアファンは,工場ゲームの新作といっても,結局は代表的な「Factorio」や「Satisfactory」とあまり変わらないと思いがちである。そこで「歯車システム」や原始時代から核融合までの技術進化,ストーリー,オープンソースといった要素で差別化を図っている。
ゲームは,歯車システムで工場を建設し,作ったアイテムで研究を進め,並行してストーリーが展開するというサイクルで進む。
また「鉄道システム」や上記の技術進化,マップ自動生成,ソースコードの公開およびModのサポートという要素も存在する。
■「HAUNTED STREAMER」<Prank Maker>
Prank Makerの
「HAUNTED STREAMER」は,
「廃墟探索×ライブ配信」をテーマにしたホラーゲームだ。プレイヤーは馬のマスクをかぶった配信者となって廃墟を探索し,心霊現象を配信していく。
大きな特徴は2つあり,1つ目は「怪異に近づいて映像を撮るほど撮れ高が上がり,視聴者が喜ぶ」こと。半面,怪異との距離が近いほど正気度が削られ,命の危険が高まる。この撮れ高と命の危険との駆け引きが,本作の醍醐味となっている。
2つ目の特徴は,視聴者から届く「スーパーコインチャレンジ」である。たとえば廃墟で古い電話機を見つけると,視聴者から「2000円あげるから,留守電を聞いてみて」というようなリクエストが寄せられ,ほかの視聴者からも「早く聞けよ」といったコメントが付く。リクエストに応じれば報酬を獲得でき,視聴者も盛り上がるが,デメリットとして危険が伴う。
また配信が進むほどリクエストはエスカレートしていき,報酬額も上がっていく。ここでは命と報酬を天秤にかける駆け引きが生じるというわけだ。
ゲームは,まずステージを選び,探索・撮影・配信を行う。配信が終わると「いいね!」と視聴者数で評価され,チャンネル登録者が増えていく。そして報酬を使ってストアで次の配信の準備を行う……という流れ。最終的に,登録者数100万人を目指す。
同じステージであっても,プレイヤーの行動でゲーム体験が変化する。怖くなってすぐ逃げる,撮れ高を狙って無茶をする,リクエストは全部受けるといったプレイスタイルが,そのまま物語を紡いでいく。
本作は,ゲームプレイの配信を前提に設計されたという。たとえばリアル配信者によるリアクションの取りやすさ,リアル視聴者がコメントを書き込みたくなるかどうか,切り抜きたくなる場面が発生するかどうかといった配信映えする部分を意識している。
VTuberによるデモ版のプレイ配信で,ゲーム内のスーパーコインチャレンジの報酬と同額のスーパーチャットが発生した事例も紹介された
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■「Little Cheese Works」<BUBBLE GUM>
BUBBLE GUMの
「Little Cheese Works」は,最大4人でプレイできる
ボイスチャット連動タイプの協力ステルスアクションゲームだ。プレイヤーはブラック企業で働くネズミを操作し,眠っている猫に気づかれないよう巨大なチーズを協力して盗み出し,ゴールを目指す。
チーズを運ぶには複数プレイヤーの連携が重要だ。そのためボイスチャットを使ったコミュニケーションが必須となるが,猫は音に反応して目を覚ましてしまう。そのジレンマや,誰かが悲鳴を上げるとほかのプレイヤーも焦って声を出すといった失敗の連鎖が笑いにつながり,ゲームプレイ自体はもちろん動画や実況配信が面白くなることを狙っている。
協力型オンラインゲームに関する分析も披露された
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■「たたかう だけ」<Heaviside Creations>
Heaviside Creationsの
「たたかう だけ」は,コマンドRPGの世界を舞台に,
「たたかう」しか選べない姫を操作するメタRPGだ。戦う対象は敵だけではなく,姫の味方やウィンドウ枠,ゲーム内で表現されるゲーム機本体など多岐におよぶ。
たとえば戦う対象としてウィンドウ枠を指定するとウィンドウが壊れ,背景の海から海水が流れ込み,敵が錆びていくといったさまざまなギミックが用意されている。
また本作は基本的に戦闘のみで,いわゆるボスラッシュという形で進行していく。
本作は,主人公がこのゲームをプレイしている「ゲーム機」パートと,主人公が暮らす「現実」パートを行き来する多層メタフィクションとなっている。主人公は現実パートで,自身の部屋にあるオブジェクトを用いて敵に立ち向かう。たとえばランプスタンドで攻撃すると,敵はダメージを受けるが,部屋が暗くなって主人公も怖くなりダメージを受けるといったギミックも存在する。
2つのパートを行き来しつつ,ゲームが中盤に差し掛かると「たたかう」以外のコマンドがアンロックされていく。「そうび」コマンドを使うと所持アイテムはもちろんのこと,ゲーム機の画面に表示されているオブジェクトも装備できるという例が示された。
ストーリーのテーマは「RPGへの愛」。昔遊んだゲームを夢のなかで追体験している真の主人公「プレイヤー」は,現実世界では心の病に苦しんでいるという設定を持つ。そのなかで,ゲーム機内の主人公である姫が幻想として現実に現れ,「プレイヤー」は「たたかう」ことを思い出し,現実世界のラスボスである父親に挑む……というあらすじだ。この流れは「昔遊んだRPGから得た学びによって,現実の問題を解決したという図式」を表現しているとのことだ。
■「Bless You Again」<Gino>
Ginoの
「Bless You Again」は,魔法少女の活躍を描く3Dアニメ調ローグライトアクションRPGだ。本作の主人公・魔法少女リリィは
死ぬたびに強くなる。そして深く潜るほど,物語の謎が明らかになっていく。
また5人のプレイアブルキャラクターと,スキルや強化要素「加護」の組み合わせで多彩な戦い方を楽しめる。
Gino 北尾 共氏が事情により来場できなかったため,会場ではメッセージが読み上げられた
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