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荒廃した大地に立つのは,剣を握る戦士,杖を掲げる魔術師,祈りを捧げる聖職者,そして影に溶ける盗賊――わずか四人の英雄たちだ。
彼らは幾度倒れても立ち上がり,運命の糸を手繰り寄せるように,終わりなき旅路を歩み続ける。
本日は,ルーマニアの兄弟二人が設立したインディースタジオLegacy Forgeが手掛ける「Valor of Man」を紹介しよう。
本作はダークファンタジーの崩壊した世界を舞台にしたターン制ローグライトRPGだ。プレイヤーは4人の英雄からなるパーティを率い,手続き的に生成されるチャプターを踏破していく。
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このゲームの特徴は,アクションポイント制の戦闘と,「リアクション」と呼ばれる独自の行動システムにある。
戦闘はキャラクターごとの行動順ではなく,味方フェーズと敵フェーズに分かれている。味方のターン中は4人のキャラクターを好きな順番で自由に動かせるため,戦士を前に出して敵を引きつけつつ,魔法使いで削り,再び戦士に攻撃させるといった柔軟な連携が可能だ。
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一方で敵は攻撃を受けるたびに「リアクション」という反撃行動を起こす。その範囲や効果は事前に確認できるが,こちらの一撃が純粋な得点にはならず,反撃のリスクを常に織り込む必要がある。
この読み合いこそが本作の戦闘体験の中心だ。マップは「Slay the Spire」のようなノード選択式で,戦闘,休息,イベント,商人といった分岐を選びながらボス戦へ向かう構成になっている。
12クラスが織りなすシナジーの深み
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本作には戦士,魔術師,聖職者,盗賊の4アーキタイプを基盤にした12のヒーロークラスが用意されている。初期パーティは隊長アラステア,大魔導師オクタヴィア,聖職者イグナティウス,盗賊エララの4人だが,周回を重ねるごとに新たなクラスやサブクラスがアンロックされていく。
そして,標準的なヒーラーがリアクティブなダメージディーラーに変化したり,タンク役がステータス異常の発生源に転じたりと,クラスバリアントの存在がビルドの幅を大きく広げている。
300を超えるアビリティ,290種のアイテム,170個のアーティファクトを組み合わせて自分だけのシナジーを発見する楽しさは,何度でも新しいランに挑みたくなる原動力になる。
敗北が次の勝利を育てる周回設計
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ローグライトとしての周回構造も丁寧に設計されている。ランに失敗しても新たなクラスや装備,パッシブスキルがアンロックされ,次の挑戦の手札が確実に増えていく。
さらに10段階の「Valor難度」が用意されており,クリアするたびに上位の難度が解放される仕組みだ。加えて,カスタマイズ可能な縛りや特殊条件を設定できる「カオスモード」や,どのビルドでクリアしたかを記録する「マスタリーシステム」も搭載されている。
こうした要素が“やり込み"の先にある達成感を明確に示してくれるため,1ランが30分〜1時間ほどで完結するテンポの良さも相まって,気づけば何時間も遊び続けてしまう中毒性がある。
読みと位置取りが交錯するリアクション
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リアクションのほとんどは特定の範囲への攻撃であり,その範囲は事前に表示される。たとえば敵のリアクション範囲に自分がいる状態で攻撃すれば,当然ダメージを食らう。だから範囲の外に出てから攻撃する――というのが基本の立ち回りになるのだが,話はそう単純ではない。
味方フェーズ内で行動順が自由だからこそ,リアクション範囲にいる仲間をあらかじめ別のキャラクターで逃がしてから攻撃する,という段取りが組める一方で,リアクションは一撃ごとに切り替わるという性質がある。
範囲の外に出て安全に殴ったはずが,次のリアクションが別の仲間を巻き込む範囲に変わっていたり,自分自身がすでにAPを使い切って動けない位置に入っていたりするわけだ。
リアクションは「リアクションデッキ」のような仕組みで巡回しているため,ある程度は次に何が来るか予測できるのだが,完璧な安全は存在しない。この“一手先"と“もう一手先"を同時に考えさせる仕組みが,戦闘をただのダメージ交換ではなく,位置取りと判断の連鎖に変えている。
「Valor of Man」は,じっくり考える戦術戦闘の醍醐味を,一回のランに凝縮して味わえるローグライトRPGだ。リアクションシステムを軸にした読み合いの深さ,12クラスと膨大なビルド要素が生むリプレイ性,そして周回ごとに確実に広がる選択肢の豊かさが高い水準でまとまっている。
ターン制タクティクスの歯応えある戦闘を求める人,ビルドの試行錯誤を楽しめる人にとって,本作は間違いなく注目に値する一本である。


























