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「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.2」プレイレポート。「MGS」サーガが一つの区切りを迎える「MGS4」とMGSPW」を収録
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印刷2026/08/21 16:00

プレイレポート

「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.2」プレイレポート。「MGS」サーガが一つの区切りを迎える「MGS4」とMGSPW」を収録

 「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.2」PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch 2 / Nintendo Switch)が2026年8月27日に発売される。主人公の老いや受け継がれるものをテーマとした「メタルギア ソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」,多人数プレイや兵士収集をフィーチャーした「メタルギア ソリッド ピースウォーカー」を収録,物語を詳細に解説する「マスターブック」と「シナリオブック」により,極めてディープな「メタルギア」体験を味わえる。


「MGS」サーガが一つの区切りを迎える「MGS4」と携帯機ブームの中で出た「MGSPW」をともに遊ぶことができる


 初代作「メタルギア」は1987年という日本のゲーム業界勃興期にMSX2パソコンで登場,“敵から隠れて(ステルスして)任務を進める”という,ハードウェアの限界をものともしないアイデアで高い評価を獲得。その後,1998年の「メタルギア ソリッド」(以下,MGS)では3Dグラフィックスの導入によってプレイ空間が三次元的に広がると同時に,映画的な演出が導入され,ミリタリーと国際情勢のリアルな設定と映画的な演出,過去作とのつながりを持った一大サーガとなり,ゲーム業界に多大な影響を及ぼしている。

 この「MGSサーガ」が一つの区切りを迎えるのが,「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.2」に収録された「メタルギア ソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」(以下,MGS4),そして「メタルギア ソリッド ピースウォーカー」(以下,MGSPW)である。シリーズを知る人であれば,この2作品が並んでいる意味を考えるだけで,胸にグッとくるものがあるはずだ。

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 これまでのシリーズで登場した多くのキャラクターたち,その運命が一つの区切りに向けて激動するのが「MGS4」である。それだけに,未経験の人は「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1」PC / PS5 / XBOX Series X|S / PS4 / Nintendo Switch)で過去作(MGS〜MGS3を収録)からプレイすることを強くお勧めしたい。本稿では,シリーズを久々にプレイする人,シリーズを途中までプレイしたが「MGS4」や「MGSPW」は未プレイという人に向け,ネタバレを極力避けつつレポートをお届けしたい。
 ネタバレを避けるがゆえ,既プレイの人には回りくどく感じられるかもしれないが,たとえ再プレイであっても,物語について予備知識や先入観を持つことなく進め,自分自身の感想を持ってほしいと感じられたためだ。なにとぞご容赦いただきたい。

「メタルギア ソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」


 「MGS4」が発売されたのは,今から18年前となる2008年のことだ。改めて本作をプレイし直してみると,先進的な取り組みであったり,現代の事情を予言したとでも思える部分があって驚かされる。
 本作の主人公は,「メタルギア」から「メタルギア ソリッド2 サンズ・オブ・リバティ」まで活躍し続けてきたソリッド・スネークだ。物語としては「メタルギア ソリッド2」の5年後である2014年が舞台となる。

 スネークの実年齢は40歳ほどだが,とある理由から老化が進んでおり,「オールド・スネーク」とも呼ばれている。本作には彼の気力を表す「気力ゲージ」というシステムが存在,作中のデモでオールド・スネークと呼ばれると気力ゲージが下がる演出があり,ショックの深さがうかがえる。
 老化の影響は大きく,身体能力も落ちているが,身にまとう新型スニーキングスーツの機能がこれを補っているし,長年戦い続けてきた経験も大きな武器となる。そして何より,リキッド・オセロットの暗殺という困難な任務を遂行できるのは彼しかいない。老体に鞭打ち,オールド・スネークは再び危険な戦場へと向かうのだ。

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 フィクションのキャラクターは,制作者がそう設定しない限り年を取ることはなく,永遠に若々しいまま活躍することも可能だ。長期シリーズのキャラクターは老化が遅かったり,不老不死だったりということも珍しくない。しかし,「MGS4」ではスネークに年を取らせたうえで,とある不調も絡めて衰えを描いている。
 “スニーキングスーツを脱いだスネークの衰えた肉体を見た者が絶句する”というシーンもあり,その筆致には容赦がない。フィクションの世界なのだから,外伝設定や別ユニバースの出来事にするなど,老いを回避する手段はあるはずだ。しかし「MGS4」はあえてそうした部分をテーマにしており,ゲーム設定としては現在(2026年)から見ても珍しい。

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 人間は生きている限り,衰えから逃れることはできない。筆者自身,発売当時に分からなかった諸々も,18年経った今では実感とともに理解できる。そうした意味で「MGS4」は時を経て再びプレイするのにふさわしい物語といえるだろう。本作をプレイすれば分かると思うが,老いや衰えはソリッド・スネークの物語を描く上で必要な要素であったし,人情として避けたくなるところを直視したからこその深みがあると感じられる。
 ゲームのキャラクターでこうした側面を18年も前に描いていたことには驚くほかない。ゲームの世界で長期シリーズも増え,かつては珍しかった主人公の年齢設定の掘り下げも当たり前になっている。愛されているキャラクターをどうするか,区切りをつけるのか,つけないのかといったところは今後大きなテーマになっていくと感じられる。

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メリル,オタコン,雷電,美玲(メイリン)といった「MGS」シリーズを彩るキャラクターたちが登場,これまでシリーズを追ってきた者には感慨深い
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 「MGS4」の世界は高度なAIによって管理され,戦争が大きく様変わりしている。かつて兵士としての感覚(SENSE)は自分自身が経験を経て体得していくしかなかったが,今はナノマシンの力によって,新兵でも歴戦の古強者のように戦える。
 このように均質な兵士を安価で提供できるようになったうえ,AIの無人兵器が大量生産されたことで,PMC(民間軍事請負会社)の兵士が戦う戦争は,持続可能なビジネスと化しているのである。

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 AIによる均質な出力,そして無人兵器の台頭は,2026年の我々が直面している出来事だ。「MGS4」で描かれる新たな戦場とそこからの問いかけは,18年を経ても色あせることがないどころか,より切実なものとなったように感じられる。巨大な“仕組み”が便利さと経済効果をもたらし,個々人はこれを享受しつつも,均質で置き換え可能な歯車となっていく。
 便利であれば何でも許されるのか,自分というものを構成する諸々をどこまで他者に委ねるべきか……といった点については,現在だからこそ,身近に感じやすい問題だろう。そして,この戦場に立ち向かうのが,個人がSENSEを磨いた時代の“オールド”・スネークであるからこその面白みもあると感じられるのだ。

「MGS4」の時代では兵士の体内にナノマシンが入れられ,さまざまな体機能の制御や罪悪感の抑制まで行うため,新兵でも熟練兵のように戦える。便利なナノマシンだが,制御を奪われてしまうと,その場の兵士全員が行動不能になってしまう
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 「MGS4」は深いテーマを持つ物語であると同時に,娯楽としての王道的な面白さを持つ大作ビデオゲームでもある。「メタルギア」シリーズは敵地に潜入するゲームであり,戦うこともできるが,正面から突破するより,見つからずに進んだほうが有利になる。相手を殺害しないよう,見つからないようにして高い評価を目指す奥深さがあり,やり込み派のプレイヤーはじっくり楽しむことができるだろう。
 今回はPMCと武装勢力といった複数勢力が戦う中でステルスするのが特徴の一つである。戦っている隙に要領よくすり抜けていけることがあれば,特にスネークを狙ったわけでもない攻撃に巻き込まれたりするし,PMCを倒せば,敵対的だった武装勢力は「敵」として認識されなくなるといった,複数勢力が戦うからこその面白さと難しさがある。特に敵対関係の変化については,「MGS」シリーズらしいゲーム世界へのインタラクションといえる。

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 物語的な設定とゲーム内要素が上手く組み合わさったのが「ドレビンショップ」である。「MGS4」の世界では銃器すらもAIで管理されており,使うのに認証が必要になる。拾った銃を撃ちまくる,なんてのは不可能なわけだ。そんな中で認証をすり抜けてくれるのがドレビンショップで,戦場で見つかる銃を売ってポイントを貯められる。ポイントを支払うことで新たな武器を買ったり,拾った武器を使用できたりするわけだ。
 落ちているあらゆる武器が利益になるので,拾い集めるのが楽しくなってくる。そして,もっと敵兵を出せ,もっと争って武器を落とせ,そうすればポイントが入って自分の懐が潤うんだ……なんてことを考えている自分に気付く。
 これは他人の命で金もうけをしているPMC,もっといえばそのシステムを作り出したスネークの敵と同じことをしているわけで,愕然とさせられるのだ。

今回も趣向が凝らされたボス戦を楽しめる。スネークの敵となる「ビューティー&ビースト部隊」は美女揃いだが,それぞれが凄絶な過去を持つ。「スクリーミング・マンティス」は生者と死者を意のままに操ることができる
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映画的な演出とセリフ回しは「MGS」シリーズの魅力の一つ。「MGS4」でも名セリフが多い
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シリアスな物語が展開する一方で,メタネタで笑わせてくれるのも「MGS」らしさだ。いきなり「ディスクを入れ替えろ」と言われて驚くが,シリーズではプレイ中にディスクを入れ替えることもあったが,「MGS4」では要らなくなったよね……というネタである。オリジナルではこの後のセリフに機種名が入っていたが,今回どうなるかは実際に見てのお楽しみ
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上から見下ろす「フカンカメラ」に喜ぶスネーク。こちらもシリーズを知っている人には嬉しいネタである

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「メタルギア ソリッド ピースウォーカー」


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 舞台は「メタルギア ソリッド3 スネークイーター」から10年後となる1974年のコスタリカで,平和と抑止力をテーマとした物語が展開する。主人公は同作でとある困難な任務を遂行し,核戦争を止めると同時に心に傷を負ったスネーク(ビッグボス)である。コロンビアにて私設軍隊(もしくは 独自の軍隊)を組織していた彼は,ある時コスタリカから武装集団を追い出してほしい,という依頼を受ける。アメリカとソ連の政治的な思惑が絡み合う中,スネークの前に歌うAI兵器が姿を現す……。

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 「MGSPW」オリジナル版の対応機種は携帯機PSPだ。
 また,本作は「MASTER COLLECTION」に収録されている各タイトルと違い“ミッション制”が採用されている。ミッションを選び,出撃して目的を達成していくことになる。

スネーク(ビッグボス)たちの前に,学生のパス(上写真)と大学教授のガルベス(下写真)が現れ,コスタリカから武装集団を追い出してほしいと依頼する
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 大きな特徴となっているのが,「マザーベース」の運営である。マザーベースは私設軍隊の基地であり,時間の経過とともに,スネークがミッションで使う弾薬や消費アイテムを生産したり,兵士を派遣して「GMP(資金)」を稼いだりできる。GMPとマンパワーがあれば新たな装備を開発し,ミッションを有利にできるのだ。
 そのために重要になるのが,兵士の回収である。ミッション中に無力化した敵兵や捕虜の身体に特殊なバルーンを取りつける「フルトン回収」でマザーベースに送ると,スタッフとして働いてくれるようになる。

人間の身体にバルーンを括りつけて空に飛ばす「フルトン回収」は,一見突拍子もないアイデアだが実在する技術である。とはいえ,ゲーム用にアレンジされており,この辺りも「MGS」シリーズらしい
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 兵士はそれぞれに異なる能力や「スキル」を持っており,回収にはRPGのトレハンを思わせる楽しさがある。風船には限りがあるため,ひとまず気絶させてはみたものの,回収すべきか否かで悩んだり,高ランクの兵士を見つけたものの風船を使い切っていたなんてハプニングが起こったりして面白い。
 出撃を繰り返すことでスネークやマザーベースをコツコツ強くしていけるので,やり込み系のプレイヤーにはたまらないものがあるのだ。

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 特筆すべきがAI兵器戦で,この時ばかりはステルスではなく真っ向勝負となる。ありったけの武器を巨体に撃ちまくるのは爽快感抜群,敵の挙動をしっかり見て対応するのも重要で,これまでのシリーズとは一味違ったスリルがある。PSPを持ち寄ってプレイした思い出が蘇る人も多いのではないだろうか。もちろん今回もオンライン協力「CO-OPS」や対戦「VERSUS OPS」が可能となっており,同一機種間ならば友達と一緒に楽しめるのが嬉しい。

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 こうした「メタルギア体験」をよりディープなものにできるのが「マスターブック」「シナリオブック」「METAL GEAR SOLID 4 DATABASE」というコンテンツだ。
 「マスターブック」は物語の背景から各キャラクターたちの動向,そしてさまざまなシーンに込められた意味や小ネタなどを逐一解説してくれる。そして「METAL GEAR SOLID 4 DATABASE」は初代「メタルギア」から「MGS4」に至るまでの用語や人物相関図といった情報を閲覧可能だ。「MGS」シリーズは情報が多いが,読み込めばプレイ中の疑問も解消できるだろう。

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 そして,ファンにはたまらないのが「シナリオブック」である。「METAL GEAR 25th ANNIVERSARY METAL GEAR SOLID COLLECTION」発刊時に新規制作された「MGS4」「MGSPW」のシナリオブックがデジタル化されており,デモや無線シーンのセリフをテキストの形で読むことができる。演技のニュアンスやセリフの意味合いといったト書きが入っていることもあり,新たな発見も少なくない。物語の深みにハマるための書籍といえるだろう。

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 発売当時は攻略本や関係書籍を買い漁って情報を集め,作品への理解度を高めた人も多いだろう。本作では各種コンテンツによって同様の体験ができるというわけで,今回のプレイも非常に濃厚なものになったと感じられた。
 近年は懐かしいゲームがリマスターされることも多くなったが,「MGS」の場合は重厚な物語やその理解も含めての体験ということで,「マスターブック」や「シナリオブック」がセットになっていることの意義は大きい。ある意味で理想的なゲームの保存であると感じられたのだ。

 そして「MGS4」と「MGSPW」のMASTER COLLECTION版はそれぞれ単体でも買えるが,バンドル購入すると「メタルギア ゴーストバベル」「METAL GEAR SOLID DIGITAL SOUNDTRACK Vol.2」がボーナスコンテンツとして付属する。特に「メタルギア ゴーストバベル」は高評価ながらも移植されなかった作品だ。そのシステムはシリーズ初期作「メタルギア2 ソリッドスネーク」のものに近く,2D「メタルギア」の良さがしっかりと詰まっているため,こちらもファンにはたまらないはずだ。

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