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[CJ2023]「フィスト 紅蓮城の闇」を手掛けたTiGamesを訪問。設立の経緯やChina Hero Projectの新作「從風行」について聞いた
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印刷2023/08/02 08:00

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[CJ2023]「フィスト 紅蓮城の闇」を手掛けたTiGamesを訪問。設立の経緯やChina Hero Projectの新作「從風行」について聞いた

 中国・上海で2023年7月28日から31日まで開催された「ChinaJoy 2023」。その会期前に,Sony Interactive Entertainment Shanghai(以下,SIE上海)は「China Hero Project」の第3期タイトルの発表を行い,会場でもプレイアブル出展を実施していた。

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 SIE上海は「ChinaJoy 2023」開幕前日の2023年7月27日,「China Hero Project 第3期発表会」を中国・上海で開催した。PS5向けの,とてもインディーデベロッパとは思えないハイレベルな3作が発表されている。

[2023/07/28 12:07]

 出展タイトルに関しては,紹介記事をお届けしているが,4Gamerでは会場になかった第3期タイトル「從風行(The Winds Rising)」の取材を,開発元のTiGamesに赴いて行っている。中国国内でコンソールゲーム開発に注力している同社が,どのような開発スタジオなのか,新作はどのようなものになるかを,CEO&プロデューサーの张 弢(Zhang Tao)氏に聞いた。

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 上海市内にオフィスを持つTiGamesは,2016年の始めに設立された。ファウンダーは,Epic GamesやUbisoft Entertainmentに在籍し,ゲーム業界で15年以上の経験を積んできたメンバーであり,初期の同社は20人程度の規模だったそうだ。
 2016年の中国は,モバイルゲームが市場の主流で,コンソールゲーム機は規制が解除され,PS4がようやく発売されて少し経った頃。そんな中で,ちょっと違うものが作りたいと集まったメンバーだという。

TiGamesのオフィスからの眺め。すぐ側に見えるのは,上海の中心を流れる黄浦江(の支流)
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 张氏自身は,2007年から16年の間,Unreal Engineの技術サポートを担当しており,Epic GamesやTencentのさまざまなプロジェクトに参加しながら,中国市場がPCゲームからモバイルゲームへ転換していく様子を見てきたそうだ。そんな中,自分が作りたいのはやはりコンソールゲームだと考え,TiGamesに参加を決めたとのことだ。

 TiGamesの処女作は,2016年から開発を始め,翌年発売したマルチプレイのPSVR向けゲームだ。この開発時点で,SIE上海とは提携していて,早い段階でPSVRの開発機材を受け取って制作を進めていた。ただ,中国で,さらにPSVRとなると市場が小さく,あまり成功はしなかった。

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 そして2018年,新しいゲームを準備するにあたって,コンソールゲームをしっかり作ろうと決めたそうだ。このゲームこそ,TiGamesの代表作と言える「フィスト 紅蓮城の闇」である。同作は,PSVRでSIE上海とつながっていたことから,「次は何を作るの?」と開発初期から声がかかり,プロトタイプを見せたところ,China Hero Projectの第2期タイトル入りが決定した。

 フィストの開発はスムーズに進み,20人程度のメンバーで,40か月で完成している。2021年9月にPS5,PS4で発売後,グローバルで高い評価を得ており,Metacriticのスコアでも81点を獲得。その後1年半をかけて,PCやNintendo Switch,Xbox Series X|Sなど,さまざまなプラットフォームでも展開している。フィストはTiGamesにとって大きなマイルストーンとなり,結果には満足しているそうだ。
 中国市場において,コンソールゲームはまだまだマイナーだが,その中でも良いゲームを作ればちゃんと響くのだと感じており,TiGamesはこれからもこの方向で走り続けると意気込みを見せていた。

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 フィストと言えば,特徴的なビジュアルが目を引くタイトルだ。1930年ごろの上海をモチーフに,ディーゼルパンクを取り入れ,そこに登場する人物たちは二足歩行の動物キャラクター。それでいて,ハードボイルドなシブいシナリオが展開され,主人公のレイトンも,ウサギなのにカッコイイ,友情のために戦う中年男性である。

会社の入り口に,フィストの主人公・レイトンが飾られている
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 こうしたビジュアルがどう生まれていったのかを聞いてみたところ,まず舞台は,上海のチームなのでこの都市を描きたかったという。中国人が持っている印象として,上海が最も輝いていた時代は1930年代。当時の上海は,中国で一番大きくモダンな都市だったというイメージを今も持っているので,その特徴を入れたかったと話す。欧米から資本主義が入ってきたり,中国の社会主義思想が芽生えたりと,深い物語が語れる時代背景も持つ。
 ただし,そうした時代だけに,すでにいろいろな作品で扱われているので,そのままリアルに表現したところで,新鮮なゲーム体験にはならない。そこでディーゼルパンクの要素を取り入れて,世界観を構築していったそうだ。

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 キャラクターについては,上海を舞台に中国人が登場するゲームでは,中国人にしか分からない内容になるのではと考え,多くの人が楽しめるよう,ディズニーを参考にして動物を選んだ。
 また,開発規模的に,派手なカットシーンなどが入れられないため,特徴的なキャラクターを作るのが難しかったという事情もあったそうだ。動物であれば,すでに知られているイメージがあるので,理解してもらいやすい。例えばネズミなら,暗いところで活動しているイメージがあるので,フィストではギャングとして登場している。

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 そんなフィストの成功を経て,TiGamesのメンバーは50人にまで増え,オフィスの広さも倍になった。次は何を作ろうということで,企画の段階でSIE上海と提携し,China Hero Projectの第3期タイトルとして2022年から開発を進めているのが,今回発表された從風行である。

 本当は,China Hero Projectに参加するには,一定の完成度が必要だ。例えば,ChinaJoy 2023でプレイアブル出展されている「Daba: Land of Water Scar(达巴:水痕之地)」は,すでに3年の開発期間を経ているという。それに対して,從風行はまだ開発の初期段階だが,昨年末からChina Hero Projectの声掛けがあり,フィストの信頼度があるため,その後もスムーズにオファーを得られたのだそうだ。

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 開発初期ということで,今はまだあまり話せないそうだが,現在はプロトタイプができていて,ストーリーラインも決まっている状態だという。本作では,ストーリーを非常に重視していて,心打たれる作品を目指しているとのこと。
 テーマとなるのは,家族愛だ。フィストでは友情だったが,本作では家族愛の力を表現するストーリーになる。张氏には,中学生の娘がいるが,コロナ前は忙しくてあまり一緒にいる時間がなかったという。しかし,上海のロックダウンで,年頃の娘への関係性が深くなった体験をして,そうして得た感情も本作に取り入れたいと話していた。

 中国タイトルは「从风行」だが,この「行」は,中国のポエムの体裁の1つなのだそうだ。タイトルの意味としては,1つの旅を表現するポエムといった感じになる。
 舞台は,古代の東方にファンタジー要素を取り入れた,美しいものになるという。プレイヤーにとって,フィストから一番大きな進化ポイントと感じられるのがグラフィックスで,フィストではUnreal Engine 4を使用したが,從風行はUnreal Engine 5を用いる。フィストが2D横スクロールのメトロイドヴァニアだったのに対して,本作は3DのアクションRPGになるそうだ。

 まだまだ謎の多いタイトルだが,フィストのTiGamesがどのようなゲームに仕上げてくるのか,続報を楽しみにしたい。

オフィスの壁には,スタッフがレゴブロックで作った好きなゲームキャラクターの姿が。これに限らず,オフィス内に自社と関係がないゲームグッズが多く,「本当にコンソールゲームが好きなんだな」と感じられた
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