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Robloxで長く遊ばれ続けている「Brookhaven RP」は,課金圧が低い。生涯で使える金額の上限は70ドルに満たず,射幸性のある仕組みも,購入を急かす仕掛けもない。同じ額を数分で溶かせるゲームなら,このプラットフォームにいくらでもある。それでもBrookhavenは,Roblox全体で収益の上位10本に入っているという。
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このねじれを数字で解いたのが,Discoveryセッションだ。前半を担当したのは,Robloxでエンジニアリングのバイスプレジデントを務めるBehnam Rezaei氏と,発見機能のプロダクトマネージャーであるSandeep Rajagopal氏の2人。後半は外部のクリエイター2人が引き取った。Robloxで70本以上のゲームを出してきたTurning Tables GamesのCEOを務めるEvan Zirschky氏と,Brookhavenや「Driving Empire」を買い取って運営するVoldexで最高プロダクト責任者を務めるAndrew Rose氏だ。
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旧来のアルゴリズムは,公開から7日間をひと区切りとして判定していた。スライドにはその限界が短く書かれている。「One 7-day window ― tells you someone had a good week」――誰かがいい1週間を過ごしたことしか分からない,というわけだ。長く遊ばれる作品を早く見つけたいという狙い自体は正しかったが,7日では読み違えが多かった,とRajagopal氏は振り返る。
新しいアルゴリズムは,判定期間を28日間へ延ばしたうえで,そのなかをDay 1,Day 2-7,Day 8-28の3つに割り,それぞれ別々に測る。初日に跳ねただけの作品と,3週目にも遊ばれているものが,同じ数字にまとまらなくなったわけだ。
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一方で,遊ばれ方を測るシグナルそのものは変えておらず,プレイ日数,プレイ時間,協力プレイ日数,有効なプレイセッション数,課金日数,使われたRobuxを見ている。変わったのは判定期間と,どこまで開示するかだ。
そのうえで,入口を見る指標が2つ新設された。1つは,ホームで推薦を見た人が実際にそのゲームを遊んだ割合。もう1つは,入ったプレイヤーがすぐ抜けてしまう比率である。前者は,推薦枠を得てもクリックされなければ何も始まらないという当たり前を数字にしたもの。後者は,サムネイルで釣って中身が伴わない作品を弾くために置かれた。この2つだけは,60秒未満と61〜180秒という短い時間枠の平均で見るのだという。
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| 重要度 | シグナル | 測る期間 |
|---|---|---|
| 最重要 | 推薦を見たあとに遊んだ割合(play through rate。新設) | 60秒未満の平均 |
| 最重要 | 入ってすぐ抜けた比率(first play bounce rate。新設) | 61〜180秒の平均 |
| 最重要 | 1人あたりのプレイ日数,プレイ時間 | Day 1/Day 2-7/Day 8-28の各平均 |
| 重要 | 1人あたりの協力プレイ日数(フレンドと示し合わせて遊んだ日),有効なプレイセッション数,課金日数,使われたRobux | Day 1/Day 2-7/Day 8-28の各平均 |
シグナルは20を超える。どれがいちばん効くのかとよく聞かれるが,1つだけが重要ならこんなに並べていない,とRajagopal氏は答えた。ジャンルも遊ばれ方も違う作品を同じ土俵に載せるには,それぞれの機微を拾う指標が要るからだ。
これらを,継続率を縦軸,収益化を横軸に取った4象限へ落とすと,Robloxがどちらを重く見ているかがはっきりする。両方が低ければホームの推薦は少なく,両方が高ければ最大になる。問題は残りの2つで,継続率が高く収益化が低い側は中〜高,その逆は中〜低とされていた。天秤は継続率のほうへ傾いている。
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4象限には前提が添えられていた。推薦されたときにユーザーがそのゲームを遊ぶこと。遊ばれなければ,そこから先の数字は何ひとつ数えられない――スライドにはそう書かれている。新設の2指標が最重要に区分されているのは,この関門を通れるかどうかを見ているからだ。
そこを抜けた先の評価では,継続率が収益化より重い。整理すると,入口で落ちれば何も始まらず,入った先では残ってもらうことが効く,という順序になる。
既存の大手しか推薦されなくなるのではないか,という懸念にも数字で答えが返った。8月の遊ばれ具合で測ったトップ100のうち,4分の1超は直近90日に公開された作品だという。ここでいう公開日とは,開発者が非公開から公開へ切り替えた日を指す。新作は入ってきている。
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これらの指標はCreator Analyticsのホーム推薦統計からすべて見られる。似た層のプレイヤーを持つ作品とのベンチマークも出るので,いちばん弱いシグナルから手を付けるのが時間あたりの効きは良い,とRajagopal氏は勧めていた。
ここから壇上はクリエイターへ移る。Zirschky氏のTurning Tables Gamesは,Robloxで70〜80本を運営し,累計訪問は10億を超え,ほぼ毎月新作を出しているという。
Zirschky氏はまず,アルゴリズムが採点しているのは結局3つだと整理した。クリックするか,留まるか,払うか。そのうえで,Robloxという街のなかで自分のゲームは1軒のレストランにすぎない,という言い方をする。どれだけ旨い料理を出していても,店構えで入ってもらえなければ味は評価されない。アイコンとサムネイル,そしてタイトルはゲームの一部だ,というのが主張の骨子だった。
長く残る作品の作り方として挙げられた5項目は,先のシグナルと1対1で対応づけられていた。常に次の目標があること(プレイ日数),明日またプレイする理由が仕込まれていること(Day 8-28の継続率),友達と遊ぶほうが楽しいこと(協力プレイ日数),ライブ運営を前提に作ること(公開から日が経ってからの数字を保つ),そして購入が自然に起きる場面を設計へ織り込むこと(課金日数と使われたRobux)である。
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出し方については,早く出してデータに決めさせろ,という立場を取っていた。未検証の企画に何年もかけない。初日からファネル――プレイヤーがどこで脱落していくかの流れ――を計測する。Creator Hubは既定でそこまで追ってくれないが,ファネルは指標が悪い理由を教えてくれるからだ。
公開時の広告は順位を買うためではなく数字を集めるために打ち,修正は毎週出す。スライドの最後にはこうあった。あなたには自分のアイデアが当たるか分からない。70本以上出してきた我々にも分からない。
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上位に居座る作品ほどホーム推薦への依存度は低く,検索やフレンド経由から人が来ているという指摘も出た。アルゴリズムに拾ってもらう段階から,拾われなくても回る状態へどう移るかが,分かれ目になるそうだ。
続くRose氏のVoldexは,新作を作らず,ある程度の規模になった作品を買って運営で伸ばす会社だ。Brookhaven,Driving Empire,NFL Universeを傘下に持つ。Rose氏はRobloxでの経験が4年で,その前はモバイルゲームとモバイルソフトウェアに9年いたという。
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最初に紹介されたのは,Robloxの外のデータだった。2024年のPC,PlayStation,XBOXにおける世界のプレイ時間のうち,72%は6年以上前のゲームが占めている。毎年出る定番シリーズも,この6年以上の側に数えられている。モバイルでも,収益の59%は同じく6年以上前のものから出ているとRose氏は続けた。長く遊ばれる作品が稼ぐ構造を,ゲーム業界はとうに証明している。
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Brookhavenが5年にわたって同時接続を高いまま保ってきたことも,同じ話の一部である。見た目は素朴なままだが,数字は落ちていない。
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そのうえでRose氏は,多くの開発者がつまずく点を挙げる。規模が大きくなるほど指標は自然に下がる,ということだ。新しく届く層ほど狙いから外れていくため,1人あたりの数字には下向きの圧力がかかる。Driving Empireでは,ホーム上部の大枠で取り上げられるたびに平均セッション時間が即座に落ちており,掲載のタイミングと谷がきれいに一致していた。この枠は4つしかなく,載れば大量のプレイヤーが一気に流れ込む。
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Robloxの担当者にいちばん多く届く質問も,ここに関係するという。自分は上位10%に当たる90パーセンタイルにいるのに,なぜ推薦の表示回数が増えないのか――答えは,規模が増えたときにその数字が持たないから,というものになる。
Brookhavenの場合,1日あたりおよそ140万人の新規が流れ込んでなお,プレイ時間,遊ばれ具合,協力プレイのいずれも90パーセンタイルを上回り続けていた。ところが同じ作品を課金の側から見ると,Day 8-28の課金日数と使われたRobuxは50パーセンタイルにすら届かない。冒頭のねじれの中身がこれである。
Brookhavenは先の4象限でいえば,継続率が高く収益化が低いところにまっすぐ収まっている。それでも収益で上位10本に入っていられるのは,収益の約9割が,30日を超えて残ったプレイヤーから出ているからだ。
1人あたりの支払いは薄くても,残り続ける層の母数が桁違いに大きければ,総額では上位に届く。深い課金は,深い継続の上にしか乗らない。同じ方針で運営を変えたDriving Empireは,直近で29%伸びたという。
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プレイヤーが戻ってくるのなら,そこにビジネスは作れる。Rose氏はそう締めくくった。
では,その継続率はどう作るのか。別枠で行われたソーシャル機能のセッションが,そこを引き受けていた。Robloxでプロダクト部門のディレクターを務めるRyan Ebanks氏と,シニアプロダクトマネージャーのRia Bhatia氏,そしてゲーム「Fisch」でプロジェクトマネージャーを務めるNick Roberts氏の3人が壇上に立った。
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Robloxが行ったユーザー調査では,プラットフォームに来る理由の第1位は,特定のゲームでもイベントでもなく,友達や家族と遊ぶことだった。新しいゲームを知る経路でも,友達と家族は上位に入る。そして,プレイヤーが戻ってくるかどうかを最もよく言い当てる指標は,友達との中身のあるプレイセッションだったという。
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打ち手は3つに整理されていた。コミュニケーション,競争,コミュニティである。
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コミュニケーションについては,安全対策で入れた制限が開発者のビジネスとプレイヤー体験の両方に実害を与えたことを,Bhatia氏が明確に認めたうえで話が進んだ。焦点は,チャットを以前より良い形で取り戻すことに置かれている。サーバーをまたいだひとつのチャンネルで400人以上が話せるグローバルチャット。違反した発言をただ遮るのではなく,AIが適切な言い回しへ書き換えて見せる仕組み。ゲーム内のチャット欄に統合されたフレンドチャットと,アプリから発信すると相手の電話が鳴る通話機能。音声入力での書き込みや絵文字も予定されている。
開発者に直接関わるのは,定型句のQuick Wordsを作品ごとにカスタマイズできるようになる点だろう。Creator Hubでフレーズを登録して公開すると,数秒のポリシーチェックを経て自作のゲームへ反映される。デモでは恐竜サバイバルのゲームに「Velociraptor incoming」が追加されていた。1か月以内の提供が予定されている。
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競争については,フレンド順位表とグローバル順位表がプラットフォーム側にそのまま実装された。これまでは友達ひとりずつのデータを読み出して自前で組む必要があり,効率が悪かった。今後はCreator Hubで順序付きデータストアを登録して有効にするだけでよく,バックエンドの作り込みも追加のストレージ費用も要らない。これらはコミュニティページにも置けるようにするという。
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コミュニティ側では,コミュニティページからの告知が全メンバーへ即座に届くようになり,投票も付けられるようになった。ページの訪問数や会員数の推移,どれが効いたかを見る分析機能も入っている。加えて,プレイヤーサポートがRoblox内に組み込まれ,ベータが動き出した。プレイヤーがゲーム内の画面から不具合を報告すると,開発者はCreator Hubで一覧でき,定型文で返信できる。
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最後に登壇したRoberts氏の話が,この記事の前半とつながる。Roberts氏は2年弱前まで,Fischのいちプレイヤーだった。批判的に遊ぶタイプだったという。
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当時のFischは,コミュニティとソーシャル面への手当てを欠いたまま更新を重ねていた。その都度50万規模を集めていた時期もあったという。それが,同時接続1万人を切るところまで落ちた。Roberts氏はその過程をプレイヤーの側から見ており,何を変えるべきかの見当が付いていたという。
立て直しの軸は,プレイヤー同士が自然に固まる設計だった。Fischの最初の島は広く,建物も施設も点在しているのに,多くの人は入口の桟橋に集まり,並んで釣りをする。これは意図した配置だ,とRoberts氏は説明した。
人が固まればプレイ時間は延び,関係ができ,作品そのものが強くなる。同じ考え方は「Steal a Brainrot」の狭いマップや,「Grow a Garden」の小さな庭にも見られるそうだ。
目標は遠くても,手が届きそうに見えなければならない。始まりの島からは次の島が見えていて,あそこまでなら行けそうだと思わせる。巨大なサメが現れればサーバー全員のチャットへ通知が流れ,そこへ人が殺到する。釣果や失敗の告知も参加者に見えるので,悔しさと対抗心が同時に立ち上がるという。称号を集めて名前の横に掲げる仕組みも,弱い竿と強い竿の見た目の落差も,狙いは同じだ。
そのうえでRoberts氏は,どの作品にもすぐ入れられる施策を3つ挙げた。フレンドを誘うAPIを画面に常設すること。順位表を入れること。そしてボイスチャットを有効にすることだ。声で話した相手と結び付きができると,そのゲームがその関係の場所になる,という理屈である。
もうひとつ,規模の大きい作品はどこもやっているという新規プレイヤー用サーバーも挙がった。始めたばかりの人をレベル2000の隣に置かない。差が開きすぎると,追い付ける気がせずに離れてしまうからだ。
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これらを積み上げた結果,Fischは同時接続130万人超という自己最高を記録した。運がよかったのは確かだ,とRoberts氏は認める。ただし,ここまでに挙げた技術をすべて身につけていなければ,その運は来ない。












































