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「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る
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印刷2019/12/20 00:00

レビュー

Navi世代のエントリー向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを性能で上回れるのか?

Radeon RX 5500 XT
(MSI Radeon RX 5500 XT GAMING X 8G)
(Sapphire PULSE RADEON RX 5500 XT 4G)

Text by 宮崎真一

 既報のとおり,AMDは,Navi世代のエントリー向け新型GPUとなる「Radeon RX 5500 XT」(以下,RX 5500 XT)を発表した。RX 5500 XTは,開発コードネーム「Navi 14」と呼ばれるGPUで,上位モデルの「Radeon RX 5700」(以下,RX 5700)シリーズと同様に,Radeon DNA(RDNA)アーキテクチャに基づき,製造に7nmプロセスルールを採用したものだ。

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 2019年12月12日,AMDは,Radeon RX 5500シリーズのエントリー市場向けGPU「Radeon RX 5500 XT」をリリースすると発表した。2019年10月に発表した「Radeon RX 5500」とスペックは同じだが,今回はカードメーカー各社から搭載製品が登場するとのこと。AMDは,本製品の競合に「GeForce GTX 1650 SUPER」を位置付けている。

[2019/12/12 23:00]

 さて,そのRX 5500 XTの性能はどの程度なのだろうか。今回は,グラフィックスメモリ容量が8GBのMSI製「Radeon RX 5500 XT GAMING X 8G」(以下,RX 5500 XT GAMING X)と,4GBのSapphire Technology(以下,Sapphire)製「SAPPHIRE PULSE RADEON RX 5500 XT 4G」(以下,PULSE RX 5500 XT 4G)の2枚を使って,そのポテンシャルに迫ってみたい。

Radeon RX 5500 XT GAMING X 8G(左)
メーカー:MSI
実勢価格:国内未発売(※2019年12月20日現在)
SAPPHIRE PULSE RADEON RX 5500 XT 4G(左)
メーカー:Sapphire
実勢価格:2万5000円前後(※2019年12月20日現在)
画像(010)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る


プロセスルールの微細化により動作クロックは高め

グラフィックスメモリには14GHz相当のGDDR6を採用


 まずは,RX 5500 XTのスペックについておさらいしておこう。
 冒頭でも述べたとおり,RX 5500 XTは,RDNAアーキテクチャに基づいたGPUである。そのため,AMDが「Stream Processor」(以下,SP)と呼ぶシェーダプロセッサを16基でひとかたまりの実行ユニットとしたうえで,実行ユニットを4基束ねてキャッシュメモリやレジスタファイル,スケジューラ,テクスチャユニットとセットにした演算ユニット「Compute Unit」(以下,CU)を構成しているRX 5500 XTの基本構成は,RX 5700シリーズと変わらない。
 ただ,RX 5500 XTではCUを22基しか持たないため,総シェーダプロセッサ数は,64×22で1408基という計算になる。

Radeon RX 5500 XTの主なスペック
画像(004)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る

 2基のCUが,キャッシュメモリのようなリソースを互いに共有して,1つのCUとして動作できる機能「Work Group Processor」や,グラフィックスメモリに書き出すピクセルデータをロスレス圧縮してから書き出す機能「Lossless Delta Color Compression」が,すべてのキャッシュメモリ間でも行われるようになっているといったRDNAアーキテクチャ固有の機能は,RX 5500 XTでもそのまま利用可能だ。

 興味深い点は動作クロックにある。RX 5500 XTのベースクロックは非公開であるものの,負荷がかかったときの平均動作クロックを示す「Game Clock」は1717MHzで,最大動作クロックとなるブーストクロックは1845MHzと,かなり高めだ。AMDが競合GPUに位置付けるNVIDIAの「GeForce GTX 1650 SUPER」(以下,GTX 1650 SUPER)は,ブーストクロックがおおむね1700MHz前後に留まっている点から見ても,RX 5500 XTの動作クロック設定はかなり高いと言っていい。このあたりは,7nmというプロセスルールの微細化による恩恵と捉えるのが妥当だろう。

 なお,RX 5500 XTのメモリインタフェースはエントリーモデル相応の128bitであるが,グラフィックスメモリにはGDDR6を採用している。メモリクロックは14GHz相当なので,メモリバス帯域幅は224GB/sと,GTX 1650 SUPERや「GeForce GTX 1660」(以下,GTX 1660)の192GB/sを上回っているのも見どころだ。
 RX 5500 XTの主なスペックを,GTX 1650 SUPERやGTX 1660,それに「GeForce GTX 1650」(以下,GTX 1650)と合わせて表1にまとめておこう。

画像(005)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る


MSIの8GBモデルはGPUクーラーにTWIN FROZR 7を採用。4GBモデルのSapphireはDual BIOSを搭載


RX 5500 XT GAMING Xのカード長は約246mm
画像(006)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る
 それでは,RX 5500 XT GAMING XとPULSE RX 5500 XT 4Gのカードそのものを見ていこう。
 まずは,RX 5500 XT GAMING Xからだが,カード長は実測で約246mm(※突起部除く)であるものの基板自体は211mmほどしかないので,GPUクーラーがカード後方に35mmほどはみ出た格好だ。また,マザーボードに装着する場合,クーラーがブラケットから垂直方向に22mmほど高くなっている点も留意しておきたい。

RX 5500 XT GAMING Xを別の角度から(左)。裏面には,冷却と補強を兼ね備えたバックプレートが取り付けられていた(右)
画像(007)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る 画像(008)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る

GPUクーラーのTWIN FROZR 7は,2か所の突起が付いた羽根と,途中から角度が変わる羽根が交互に組み合わさった「TORX FAN 3.0」仕様の90mm径ファンを2基搭載している
画像(011)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る
 GPUクーラーは2.1スロット占有タイプで,90mm角相当のファンを2基搭載したMSIオリジナルの「TWIN FROZR 7」を採用している。このクーラーは,空気の整流効果と風圧向上が期待できる「TORX FAN 3.0」仕様のファンブレードを備えるのが特徴的だ。それに加えて,「ZERO FROZR」という機能により,GPUの温度が60℃以下になるとファンの回転が停止して,静音性の向上に一役買っている。

横から見たところ。GPUクーラーのすぐ下と基板の間に,黒色の金属製プレートを装着しているのが確認できる
画像(009)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る
 GPUクーラーを横からのぞき込むと,6mm径のヒートパイプを4本用いて,GPUから直上の放熱フィンへと伸びる構造なのが見て取れる。さらに,クーラーの下には金属製の補強用プレートが装着されていることも確認でき,かなりしっかりとした作りと言えよう。MSIの説明によると,GPUに加えてメモリチップや電源部もヒートシンクがしっかりと密接する構造のようだ。
 なお,カード側面のMSIロゴや「Gaming Dragon」と呼ばれる竜のシンボルには,カラーLEDが組み込まれており,付属アプリケーション「Mystic Light 3」で発行色や発光パターンを制御できる。

 映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4a×3,HDMI 2.0b Type-A×1という構成だ。PCI Express(以下,PCIe)補助電源コネクタは8ピンのものを1基備えている。

映像出力インタフェースにはDisplayPort 1.4a×3,HDMI 2.0b Type-A×1(左)という,今どきのグラフィックスカードではよく見られる構成だ。補助電源コネクタは8ピン×1仕様(右)。GPUクーラーが基板からはみ出ているため,実装位置が若干内側寄りだ
画像(012)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る 画像(013)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る

 RX 5500 XT GAMING Xの動作クロック設定を確認してみると,ベースクロックは1685MHzで,Game Clockが1737MHz,ブーストクロックが1845MHzとなっていた。つまり,ブーストクロックはリファレンスと同じだが,Game Clockが20MHz引き上げられたクロックアップモデルと言うわけだ。なお,メモリクロックは14GHz(14Gbps)相当で,こちらはリファレンス仕様と変わらない。

これまでとデザインが一新されたRadeon Softwareからスペックを確認してみると,Game Clockの1737MHzがCore Clockとして表示されている
画像(014)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る 画像(015)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る

カード長は実測で約228mmだが,基板部分は約179mmしかない
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 続いてPULSE RX 5500 XT 4Gをチェックする。
 こちらは,実測で約228mmと,RX 5500 XT GAMING Xより18mmほど短い。なお,基板自体は179mmほどしかなく,GPUクーラーがカード後方に50mm近くはみ出た格好だ。

PULSE RX 5500 XT 4Gを別角度から。本製品も裏面にバックプレートを備えている。金属のプレートには複数のスリットがあるのに加えて,側面に回り込むように丸みが付けられていた(右)。そのため,どことなく箱のような印象を受ける
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 搭載するGPUクーラーは2スロット占有タイプの「Dual-X Cooling Technology」と呼ばれているもので,95mm角相当のファンを2基備えている。ファンブレード上に凹凸があるのが特徴で,Sapphireによると高い静音性を維持しながら,エアフローの向上を実現しているという。また,GPUに負荷がかかっていないアイドル時に,ファンの回転を停止する機能も備える。
 横からのぞき込んだ限りでは,GPUクーラーには3本の6mm径のヒートパイプが用いられ,メモリチップや電源部にもヒートシンクが密接する構造なのが確認できる。

2基のファンブレードには筋状の凹凸が付けられており,エアフローの向上が図られている(左)。下側から見ると,ヒートパイプのうち2本が見える(右)
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 映像出力インタフェースはDisplayPort 1.4a×3,HDMI 2.0b Type-A×1で,PCIe補助電源コネクタは8ピン×1と,ここらはRX 5500 XT GAMING Xとまったく同じ構成だ。

ビデオ出力インタフェースはDisplayPort 1.4a×3,HDMI 2.0b Type-A×1で,RX 5500 XT GAMING Xとまったく同じ構成だ(左)。補助電源コネクタは8ピン×1。コネクタの位置は切り欠きのような形状になっており,コネクタやケーブルがPCケースに干渉しないよう配慮されている(右)
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ちょっと分かりにくいが,Sapphireロゴの裏側あたりに,VBIOS切り替え用のディップスイッチ(※赤丸内)がある
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 ところで,PULSE RX 5500 XT 4Gは,2つのVBIOSを備えたDual BIOS仕様となっている。VBIOSの切り替えは,側面のブラケットにほど近いところにあるディップスイッチで行う。
 工場出荷時設定は,ブラケットから遠い側になっており,動作クロックはGame Clockが1717MHz,ブーストクロックは1845MHzとなっていた。Radeon Softwareで確認した限りでは,VBIOSを切り替えても動作クロックに変化はなかった。
 ただ,SapphireのWebサイトには,Game Clockが最大1737MHzという記述があるので,あるいは製品版ではGame Clockが1737MHz設定のVBIOSが用意されているのかもしれない。なお,メモリクロックは14GHz相当で,こちらもリファレンスと同じだ。

Radeon Softwareでは,Game Clockを示すCore Clockがリファレンスと同じ1717MHzとなっていた
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ドライバにはAdrenalin 2020 19.12.2を利用

GTX 1650 SUPERなど競合製品と比較


 それでは,テスト環境の構築に話を移そう。今回,比較対象には,AMDが競合に位置付けるGTX 1650 SUPER搭載カードに加えて,それよりやや上位のGTX 1660搭載カードと,下位のGTX 1650搭載カードを用意した。いずれも,メーカーレベルで動作クロックを引き上げたクロックアップモデルであるため,MSIのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.2)を用いて,リファレンス相当に下げてテストを行っている。
 なお,RX 5500 XT GAMING Xもクロックアップモデルだが,Game Clockだけを低くする方法が見つからなかったため,今回はメーカーの設定した動作クロックでテストを実施したことを断っておく。その点も考慮すると,GTX 1660搭載カードを主な比較対象と考えるのが適当だろうか。

 使用したドライバソフトは,RX 5500 XTは,テスト時に最新となる「Radeon Software Adrenalin 2020 Edition 19.12.2」(関連記事)。一方のGeForceシリーズは,「GeForce 441.20 Driver」を用いた。どちらも本稿掲載時点における最新バージョンではないものの,その後登場したリリースノートを見てもテスト結果に影響はないと判断した次第だ。

画像(026)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る

 テスト内容は4Gamerのベンチマークレギュレーション22.1に準拠。ただし,レギュレーション23を先取りする形で,「Far Cry 5」の代わりに「Far Cry New Dawn」,「Middle-earth: Shadow of War」の代わりに「Borderlands 3」,「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の代わりに,「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチ)を使用した。

 テスト方法は,GTX 1650 SUPERのレビュー記事と同じなのだが,簡単に説明するとFar Cry New Dawnは「最高」プリセット,「Borderlands 3」は「高」プリセットで,それぞれゲームに含まれるベンチマークモードを実行。FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチに関しては,「最高品質」を選択している。
 AMDはRX 5500 XTを1080pでのゲームプレイに適するGPUとしているため,解像度は2560×1440ドットと1920×1080ドットの2つを選択した。3840×2160ドットは,RX 5500 XTにとっては高解像度すぎて現実的ではなかろう。
 なお,GeForceシリーズの3製品においては,テスト方法やテスト内容,それに解像度などGTX 1650 SUPERの記事とまったく同じである。そのため,これら3製品のテスト結果は同記事のものを転用していることをここで断っておく。

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 NVIDIAのエントリー向け新型GPU「GeForce GTX 1650 SUPER」は,GeForce GTX 1650と同じTuring世代のGPUであるが,GPUコアにGeForce GTX 1660と同じ「TU116」を用いている点が最大の特徴だ。そんな新型GPUの性能をASUS製「TUF-GTX1650S-O4G-GAMING」を使ってテストを行い,明らかにしてみよう。

[2019/12/05 00:00]


得手不得手が顕著なRX 5500 XT

GTX 1660を上回る場面も多い


 文中とグラフ中ともに,RX 5500 XT GAMING XをMSI RX 5500 XT 8GB,PULSE RX 5500 XT 4GをSapphire RX 5500 XT 4GBと表記することを断りつつ,「3DMark」(Version 2.11.6846)から順に結果を見ていこう。

 グラフ1は,DirectX 11テストである「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。MSI RX 5500 XT 8GBとSapphire RX 5500 XT 4GBは,どちらもGTX 1650 SUPERはおろか,GTX 1660を上回るスコアを記録した点は立派だ。Sapphire RX 5500 XT 4GBでも,解像度が最も大きいFire Strike Ultraで,GTX 1660に約19%もの差を付けている点は,賞賛に値する。

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 続くグラフ2は,Fire Strikeの結果からGPU性能を見るGraphics scoreを抜き出したものだ。おおむね総合スコアを踏襲しているが,CPUの影響がなくなっているため,総合スコアで見られた差が,より開いている傾向が確認できる。とくに,Fire Strike UltraにおけるMSI RX 5500 XT 8GBとGTX 1660との差は約26%にまで広がった。

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 グラフ3は,Fire Strikeのスコアからソフトウェアベースの物理演算テスト結果を「CPU score」として抜き出したものだ。ここでは,CPUを統一していることもあり,スコアはほぼ横一線に並んでいる。

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 グラフ4は,GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果をまとめたものだ。
 意外なことに,RX 5500 XT搭載の2製品は,ここではGTX 1660の後塵を拝してしまっている。その差は最大でも約3%ほどだが,総合スコアとは比重のかけ方が違うため,RX 5500 XTに不利な結果となったと捉えるのが妥当だろう。

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 続いて,DirectX 12世代のテストである「Time Spy」から,総合スコアをまとめたものがグラフ5である。Turing世代のGPUは,DirectX 12で良好な結果を示す傾向にあるが,それゆえにMSI RX 5500 XT 8GBであっても,GTX 1660には約10%ほどの溝を開けられてしまっている。それでもSapphire RX 5500 XT 4GBを含めて,GTX 1650 SUPERを上回っている点は注目すべきポイントだ。

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 次のグラフ6は,Time SpyからGPUテストの結果を,グラフ7はCPUテストの結果をそれぞれまとめたものだ。GPUテスト結果は,やはり総合スコアを踏襲する形となり,MSI RX 5500 XT 8GBはGTX 1660に約10%ほど離されたものの,Sapphire RX 5500 XT 4GBとともに,GTX 1650 SUPERを安定して超える結果を残している。なお,CPUテストは,Fire Strikeと同様にCPUが同一であるので,スコアは横並びだ。

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 では,実際のゲームだとどんな結果になるだろうか。グラフ8,9は,Far Cry New Dawnのテスト結果をまとめたものだ。Far Cry New Dawnにおいて,MSI RX 5500 XT 8GBは,平均フレームレートと最小フレームレートともにGTX 1660といい勝負を演じている。一方のSapphire RX 5500 XT 4GBは,2560×1440ドットにおけるスコアの落ち込みが大きく,MSI RX 5500 XT 8GBと平均フレームレートで5fps,最小フレームレートで7fpsもの差が付いた。これは,GTX 1650 SUPERにも届いておらず,グラフィックスメモリ容量の少なさが露呈した格好だ。

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 「Overwatch」でも,その傾向は変わらない(グラフ10,11)。MSI RX 5500 XT 8GBとGTX 1660との差は,平均フレームレートで1〜4%程度,Sapphire RX 5500 XT 4GBもGTX 1660とほぼ横並びのスコアを発揮と,なかなか優秀だ。Far Cry New Dawnほど描画負荷が大きくないため,2560×1440ドットでも,Sapphire RX 5500 XT 4GBのスコアは落ち込んでいない。

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 グラフ12,13は「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)の結果だが,これまでと違ってRX 5500 XTのスコアはあまり芳しくない。
 MSI RX 5500 XT 8GBは,平均フレームレートでGTX 1650 SUPERに13〜20%程度も離されており,Sapphire RX 5500 XT 4GBになると,GTX 1650 SUPER比で16〜23%にまで差が開いたのだ。3DMarkやFar Cry New Dawn,それにOverwatchの結果を見るに,RX 5500 XTは,PUBGへの最適化が不十分な印象だ。上位モデルのRX 5700シリーズでは,競合と比べてここまでの落ち込みは見せなかったので,何かしらドライバに問題があるのかもしれない。

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 「Fortnite」の結果をまとめたグラフ14,15も,RX 5500 XTのスコアはあまり伸びていない印象だ。GTX 1660比で見ると,MSI RX 5500 XT 8GBは平均フレームレートで11〜13%程度の差が付いており,Sapphire RX 5500 XT 4GBでの差は,12〜17%程度にまで広がっている。その一方で,Sapphire RX 5500 XT 4GBはGTX 1650 SUPERと肩を並べ,MSI RX 5500 XT 8GBはGTX 1650 SUPERに2〜3%程度の差を付け意地を見せている。

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 Borderlands 3の結果をまとめたものがグラフ16,17だ。ここでは,1920×1080ドットでの平均フレームレートにおいて,MSI RX 5500 XT 8GBとSapphire RX 5500 XT 4GBは,GTX 1650 SUPERにも若干だが届いていない。しかし,2560×1440ドットでは逆転をはたしている。Sapphire RX 5500 XT 4GBもしっかりとスコアを伸ばしているところから考えるに,メモリ周りがその要因とは考えにくい。1920×1080ドットでスコアが伸びきらないのは,やはり最適化が不足しているのではないだろうか。

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 Radeonシリーズには毎度苦しい戦いとなるFFXIV漆黒のヴィランズ ベンチだが,グラフ18はその総合スコアをまとめたものだ。RX 5500 XTもその例に漏れず,GTX 1650 SUPERにスコアは届いていない。しかし,MSI RX 5500 XT 8GBとGTX 1650 SUPERとの差は1〜3%程度,Sapphire RX 5500 XT 4GBでもその差は1〜4%程度であり,かなり迫った結果を見せている。とくに,MSI RX 5500 XT 8GBとSapphire RX 5500 XT 4GBは,2560×1440ドットでスクウェア・エニックスが「非常に快適」とするスコア7000を上回っている点は立派の一言だ。

画像(044)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る

 グラフ19,20は,そんなFFXIV漆黒のヴィランズ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものだ。平均フレームレートは総合スコアを踏襲しており,最小フレームレートもGPU性能がそれほど高くないためか,CPU性能の影響よりもGPU性能がそのままスコアに表れている印象だ。

画像(045)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る
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 ゲームによるテストの最後は,「PROJECT CRAS 2」の結果をまとめたグラフ21,22となる。平均フレームレートを見ると,MSI RX 5500 XT 8GBとSapphire RX 5500 XT 4GBは,1920×1080ドットでGTX 1660に届いていないが,2560×1440ドットになると,その位置が入れ替わるというBorderlands 3とよく似た傾向が表れている。

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画像(048)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る


RX 5500 XTの消費電力は比較的高め

GPUクーラーの冷却性能は優秀


 さて,RX 5500 XTのTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は,前掲の表1で示したように130Wである。これは,GTX 1660の120Wよりも大きい値だが,はたして実際の消費電力はどの程度なのだろうか。

 「4Gamer GPU Power Checker」(Version 1.1)を用いて,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチ実行時におけるカード単体の消費電力推移をまとめたものがグラフ23となる。
 MSI RX 5500 XT 8GBとSapphire RX 5500 XT 4GBは,おおむね120W前後で推移しているのがグラフから見て取れよう。150Wを超える場面を数えてみたところ,GTX 1660が31回だったのに対して,Sapphire RX 5500 XT 4GBは63回,MSI RX 5500 XT 8GBは77回と,RX 5500 XTの消費電力はかなり高めという結果となった。

※グラフ画像をクリックすると,横に引き伸ばした拡大版を表示します
画像(049)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る

 折れ線グラフの線が重なりすぎて見にくいので,グラフ23からスコアの中央値をまとめたものがグラフ24だ。MSI RX 5500 XT 8GBとSapphire RX 5500 XT 4GBは120W前後で,それに対してGTX 1660は90W弱と,消費電力においては大きな開きが見られる。消費電力の大きさは,RX 5500 XTのウィークポイントと指摘できそうだ。

画像(050)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る

 ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の最大消費電力も計測してみた。このテストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランスに設定」。さらに,ゲーム用途を想定して,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。
 その結果がグラフ25となるが,ここではピークの値をスコアとして採用しているため,差がより顕著になる。スコアを見ていくと,MSI RX 5500 XT 8GBとGTX 1660との差は7〜43W程度で,Sapphire RX 5500 XT 4GBとGTX 1660との差は最大で35Wと,やはりRX 5500 XTの消費電力は高めだ。

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 最後に,「GPU-Z」(Version 2.28.0)を用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,室温約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まないバラック状態で,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
 その結果はグラフ26のとおり。MSI RX 5500 XT 8GBとSapphire RX 5500 XT 4GBは,ともに高負荷時でも60℃台に留まっており,GPUクーラーの冷却性能は十分という印象だ。なお,アイドル時に両GPUの温度が高めなのは,ファンの回転が停止するためである。

画像(052)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る

 なお,カードの動作音だが,筆者の主観であることを断ったうえで述べると,両製品ともかなり静かな印象を受けた。もちろん,動作しているかどうか分からないというほどの静音性ではないものの,少なくともPCケースに入れてしまえば,動作音が聞こえなくなる程度である。


4GB版は競合製品と十分戦える

一方,8GB版は実勢価格の高さがネック


 以上のテスト結果を見るに,RX 5500 XTは,かなりタイトルによって得手不得手がハッキリ表れる傾向にあるようだ。今後のドライバソフトによる最適化によって変わってくるとは思うが,RX 5500 XTの性能は,ときにGTX 1660を超える場面があるものの,おおむねGTX 1650 SUPERと同程度とまとめられるのではないだろうか。

画像(003)「Radeon RX 5500 XT」レビュー。Navi世代のエントリー市場向けGPUは,競合たるGTX 1650 SUPERを多くのゲームで上回る
 GTX 1650 SUPER搭載カードの実勢価格が2万1000〜2万4000円ほど,それに対してRX 5500 XT搭載カードは,4GB版が2万3000〜2万5000円程度なので,十分競合としての立ち位置を確保していると言ってよさそうだ。少なくとも1920×1080ドットでゲームをプレイするのであれば,メモリ容量が4GBでもそれほど問題は多くはない。今後,価格がこなれていくことを考えると,十分魅力的な選択肢であると言える。
 もちろん,消費電力が高めなため,電源ユニットの選択に注意が必要だが,エントリークラスのGPUとして,4GB版はそれなりの存在感を示すのではないだろうか。

 一方の8GB版は,実勢価格が2万7000円〜3万円と少々高めだ。この価格であれば,GTX 1660よりも高性能な「GeForce GTX 1660 SUPER」が購入できてしまうので,8GB版は難しい位置付けにあると言えよう。また,メモリ容量8GBが必要となる場面では,先にRX 5500 XTの演算性能が足りなくなることが多いので,少々苦しい戦いを強いられそうだ。

AMDのRadeonグラフィックスカード情報ページ

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    Radeon RX 5000

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