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「スペイン:新時代のアーバンカルチャー」にて,ゲームリパブリック岡本吉起氏とガンホー森下一喜氏が,スペイン人クリエイターと対談
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印刷2009/12/11 17:28

イベント

「スペイン:新時代のアーバンカルチャー」にて,ゲームリパブリック岡本吉起氏とガンホー森下一喜氏が,スペイン人クリエイターと対談

画像集#001のサムネイル/「スペイン:新時代のアーバンカルチャー」にて,ゲームリパブリック岡本吉起氏とガンホー森下一喜氏が,スペイン人クリエイターと対談
 12月9〜10日の二日間にわたり,東京・市ヶ谷にあるセルバンテス文化センター東京にて,「スペイン:新時代のアーバンカルチャー」が開催された。このイベントは,スペインにおける自主制作映画やビデオアートといった文化,およびそのクリエイター/アーティストを作品やパフォーマンスとともに紹介するもの。二日目となる10日には,スペインと日本の業界関係者が参加したテレビゲームに関するセッションが行われた。参加した5名は以下のとおり。

・The Lord of creatures 代表 ゴンソ・スアレス氏(代表作はPyro Studiosで手がけた「COMMANDOS」)
・Digital Legends Entertainment 代表 シャビエル・カリーリョ氏(代表作はiPhone用ゲーム「Kroll」)
・ゲームリパブリック 代表取締役社長 岡本吉起氏
・ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社長 森下一喜氏
・カサ・アシア インターネット&テクノロジー 部長 ハビエル・カスタニェダ氏(総合司会)

左からシャビエル・カリーリョ氏,森下一喜氏,ゴンソ・スアレス氏,ハビエル・カスタニェダ氏(総合司会),岡本吉起氏
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 ゴンソ氏は,ゲームが複雑な進化を遂げ,今や工業製品やアートの範疇を超えた存在となっていると指摘。ゲームが台頭してきたのはわずか25年程前に過ぎないが,消費の速度や販売される量が段違いで,これまで映画などで培ってきた手法を適応できないほど巨大なエンターテイメントに成長したと述べる。

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 ゴンソ氏はそうした中で,日本は独自の大きな市場を築いてきたとも指摘した。すなわち,昨今よくいわれるように,日本市場は北米やヨーロッパと大きく異なり,またオンラインゲームが盛んなアジアとも異なる独特の市場であるというわけだ。
 さらにゴンソ氏は,以前は子どものおもちゃに過ぎなかったゲームが,今や30〜40代にも遊ばれるようになったと指摘。その理由として,エンターテイメント性が進化したことだけでなく,ニンテンドーDSが高齢者や女性といった新たな層を開拓した例を挙げた。

 またゴンソ氏は,スペインのゲームの特徴として“力強さ”“独自のクリエイティビティ”を挙げた。ゲームの存在に関しては,単に“良い/悪い”といった両極端な評価ではなく,今後は人生や生活を豊かにする要素の一つとして受け入れられていくべきだろうと見解を述べた。

 シャビエル氏は,まず携帯電話用ゲームがたどってきた変遷を簡単に紹介。そのうえで,現在,iPhoneが優秀なゲームプラットフォームとして世界的に受け入れられるようになった理由を挙げた。ほかのゲーム機と遜色ないクオリティのゲームを,これまでの携帯電話が持ち得なかった大画面で楽しめるようになったというのが,その理由だ。シャビエル氏は,今やiPhoneユーザーのほとんどが何らかのゲームに親しんでいると指摘し,今後は“常にネットワークに接続している”状態を生かしたゲームが登場するだろうと述べた。

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 岡本氏は,日本のゲーム市場や業界についての見解を披露。かつてファミコン/スーパーファミコンの時代には,日本はゲーム先進国であったことを述べ,その根拠として当時の日本製ゲームの世界的なシェアが70%にもなっていたこと,また市場のシェアも日本が50%を占めていたことを挙げた。
 しかし現在の日本の世界市場シェアは,15%程度までに落ち込んでいると指摘。これについては,ここ5〜6年で北米市場が2倍,ヨーロッパ市場が3倍と大きく成長していること挙げ,日本の馬力が落ち,欧米の馬力が上がっていると表現した。

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 また海外のデベロッパが,日本で自社のゲームが売れないと嘆くことが多い点に関して,文化が育んできた趣味嗜好の違いが二つあることを指摘した。一つは,日本ではPCが普及するよりも先にファミコン/スーパーファミコンが普及してしまったために,PCでゲームを遊ぶという文化が根付かなかったこと,もう一つは日本人は農耕民族であり,狩猟民族である欧米人の“銃を撃つ”という文化が定着しにくいのではないかという点である。
 しかし岡本氏は日本の現状をおかしいと捉えており,世界と同様に「Halo」や「Grand Theft Auto」が流行するほうが自然なのではないか,という見解を明らかにした。

 またオンラインゲームに関して,岡本氏は,日本市場ではアイテム課金制を嫌う人が多い点を指摘。これは一度パッケージを購入したら,追加で料金が発生することを嫌う国民性が顕れていると述べた。さらに個人的な見解として,今後の日本のオンラインゲーム市場では,MMOタイプよりもMOタイプのゲームが主流になってほしいと希望を述べる。それは既存のMMORPGが,いわゆる“廃人”仕様となってしまっており,決して好ましくないという考えに基づくもので,岡本氏はMOタイプのゲームがより受け入れらるような地場を作っていきたいと展望を述べた。

 森下氏は,ゲームの進化において,オンラインは重要な要素であると指摘。MMOであるかMOであるかといったタイプの違いよりも,ゲーム内にプレイヤー同士のコミュニケーションが介在していることが重要であると述べた。また昨今では,SNSの中にゲームのエッセンスを取り入れた,いわゆるソーシャルアプリが世界的に台頭しているケースを挙げるとともに,プラットフォームもPCや据置き機よりも身近な携帯型にシフトしていくであろうと見解を述べ,ガンホーとしてもそうした分野に注力していく姿勢を明らかにした。

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 ここで司会のハビエル氏から,「ゲームが人に与える影響」という議題が提示された。ゴンソ氏は,もはやゲームは世界共通の言語といっていいものであり,スペインでも長らく親しまれ,もはや生活の中にあって当たり前のものとなっていると述べる。またハビエル氏もWiiの登場により,リビングで世代を超えてゲームを遊ぶ光景が一般化したことを指摘。また教育分野で活用されているといった部分にも目を向けるべきと述べた。

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 森下氏は,自身が幼い頃,ゲームにのめり込んでしまったエピソードなどを披露するとともに,業界的にゲームで遊ぶことに対するルールを敷いていくべきではないかと見解を述べた。またオンラインゲームに関しては,ゲーム内で知り合ったプレイヤー同士が結婚に至ったことや,引き篭もりの人が他者とコミュニケーションを取るきっかけとなったことを例に挙げ,オンラインといえどリアルの世界とは切り離せない社会的に有用な側面を持つと指摘。そういった部分を,今後は世間にアピールしていかなければならないと述べた。

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 セッションの最後,岡本氏はゲーム業界における,今後の日本とスペインの関係に触れ,「頑張ります!」という力強い意気込みを見せるとともに,互いに多くのコミュニケーションを取る努力をする必要があると指摘。曰く,日本とスペインはどちらもあまり英語を使わないことで有名な国だが,お互いが“下手くそ”な英語を駆使すれば,十分に伝わるはずと見解を述べた。またゴンソ氏も,互いに競争する立場ではあるが,敵対することはないと同意。ハビエル氏は自身の経験から,言葉は通じなくとも,ゲームの開発においては身振り手振りなどで,分かり合えることもあると補足した。
 司会のハビエル氏は,今日のセッションが両国の関係をより深めていく第一歩に過ぎず,これから互いに協力しあって成長していきたいと展望を述べ,セッションを締め括った。

  • 関連タイトル:

    刀龍−Legend of Kroll−

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