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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第206回「きょうふ」
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印刷2012/11/29 11:00

連載

男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第206回「きょうふ」

画像集#001のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第206回「きょうふ」

著者近影
画像集#002のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第206回「きょうふ」
 えっと,まず確認しておくけどね,この連載はゲイムについて語る場所よね? プロレスラーとしてっていうより,むしろゲイマーとしての顔を強く押し出してもいい場所なのよね?
 まあ,ここで質問しても誰も答えてくれないうえに,そもそも誰に確認を取ろうとしたのか,質問した私自身にもよく分かっていない。でも,無理やり話を進めていくわね。
 私,怖いのよ。ここだけの話,プロレスの試合前にはいつも恐怖を感じているの。私も一応プロレスラーだから,プロレスのマスコミにカメラやマイクを向けられると「オラ! エーッ! ブッ潰してやる! ガッデム! ゴッドブレスユー!」とかってがなりたてるのね。ホラ,それがプロレスラーとしてのエチケットだから。
 プロレスラーって,バスを鎖で引っ張ったり電話帳を素手で破ったり葉巻を吸ったり24時間マラソン走ったりダンプカーのブレーキが壊れたり,そういう凶暴かつ脳までもが筋肉でできているようなイメージを世間は持ってるじゃない。
 本当はそうでない人のほうが多いんだけど,世の中的にそう思われているから,そのイメージに合わせてる部分があるの。アイドルが恋人の影をちらつかせないのと同じで,世間が持つであろうイメージを大切にしているわけ。
 だから,本当はそんな気なんて微塵もないのに我々プロレスラーは「ブッ潰してやる!」なんて口にしちゃうの。それでもこの稼業は大変でね。最近はホラ,言葉尻にも気をつけないといけないから「ブッ殺してやる!」とは言えないわけ。殺害予告になっちゃうからね。だから気を遣って「ブッ潰してやる!」って表現に変換しているんだけど,相手を潰すってどういう状態のことなのか,イマイチ分かってないのよ我々も。
 かといって「右ひじの筋を伸ばしてやる!」とか「たんこぶを2つ作ってやる!」とか「青タンに注意するんだなオラ!」って具体的に凄むと,イメージを守るのが難しくなるじゃない? これで凄めてるのかも怪しいし。だから,とりあえずあいまいに「ブッ潰してやる!」と言ってるわけ。

 ……うん,豪快に話が逸れたわね。ともかく,プロレスマスコミの前では口に出せないけれども,私は試合前に恐怖を感じているってことが言いたかったのね。
 で,問題はその恐怖が一体何に対する恐怖なのかが,自分でも分かってないってところ。これから受けるであろう痛みに対する怖さじゃないの。それよりむしろ,今から自分が対戦相手に与えるであろう痛みに対する恐怖のほうが強いわね。プロレスラーって,基本は気遣い屋さんだから。
 でも,きっとそれだけでもない。あくまで私の感覚だからほかの選手のことは知らないけど,お金を払って見に来てくれるお客さんに対しての責任感,自分の持ち味を生かせるかどうか,相手の持ち味を引き出せるかどうか,自分の将来,世界情勢,無政府状態の日本,マヤ歴信仰では今年12月に人類が滅亡する説がある……といった不安からくる恐怖は,いっぱいあるわ。要は,「恐怖」といってもいろいろな種類があるってことね。

画像集#003のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第206回「きょうふ」
 で,ようやく恐怖の本題,「SILENT HILL:DOWNPOUR」を紹介できるわ。まず,「SILENT HILL」シリーズは,言わずと知れたホラーゲイムじゃない? ゾンビが出てくる人気のホラーゲイムシリーズと並べて語られることが多いと思うんだけど,実際に遊んでみると別物なの。
 例えば,敵との戦い方からして違う。あっちが重火器でクリーチャーを倒す一方,SILENT HILLは石とか斧とか,普通の人でも手にする機会がありそうな武器を使って,もののけと戦わなきゃいけないのよ。まあ,銃もあるにはあるんだけど。
 で,重火器で戦うゲイムには爽快感があるけど,殴り殺すのってどうもスッキリしないでしょ。妙なモヤモヤが残る。実はそれこそが,クリエイターの表現したいこのゲイムの世界観だと思うの。これを分かれって言っても,ゲイムに詳しくない人に対しては伝わらなそうな気はするけども,4Gamerの読者諸兄にならご理解いただけるのではないかしら。

画像集#005のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第206回「きょうふ」

 そして個人的には,SILENT HILLシリーズの初期作品は,ホラーゲイムとしては「零」と並んで一番怖いゲイムなのではないかと思っているわ。恥ずかしながら,怖すぎてプレイを止めたのはこの2作品のみ。だって怖かったんだもん。
 ちなみに,全体的なものではなくスポット的な怖さでいうと「クロックタワー2」のシザーマンも,なかなかのものだったわ。ハサミ男から逃げることしかできない恐怖。クロックタワーは是非リメイクしてほしい作品ね。
 おっと,またしても話が逸れたのでここいらで修正すると,今回のSILENT HILLはオープンワールドのアドベンチャーになっていたのよ。すなわち,街を自由に動き回って,そこで色々なホラーに出くわすっていう。いわゆるサブクエストってやつね。それがゲイム内に多く用意されているの。
 これが意味するところは,冒頭で紹介したように,世の中にあるいろいろな種類の恐怖が,この一本の中に取り揃えられているってこと。得体の知れないものに襲われる恐怖,逃げ惑うことしかできない恐怖,徐々に凄惨な事件の正体が分かってしまう恐怖,単純に雰囲気やグラフィックスによる恐怖。
 恐怖の種類も,急に敵が襲ってきたり音が鳴ったりのビビらせ系,不気味な雰囲気で常に嫌な予感と戦うじわじわ系,圧倒的に不利な戦力差で敵や状況が迫りくる絶望系などなど。ゲイムに収録できうる恐怖が詰まっている,そんなゲイムになっているのね。
 でも,そうは言っても全部の恐怖を受け入れる必要はなく。どのサブクエストを進めるも無視するも,プレイヤーの自由なの。つまり,恐怖も選べる時代になったってことね。

画像集#004のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第206回「きょうふ」

 ただ,難点をあげるとすれば,一つのサブクエストが終わらないまま,ほかのサブクエストなりメインストーリーなりを進めてしまうと,色んな謎解きや話がごっちゃになってしまうってことかしら。
 例えば,Aの件のサブクエストを進めていたのに,気付いたらBの件のサブクエストも始まってしまって,Aの恐怖に襲われるはずだったのに,Bの恐怖にすりかわってた! ってことがよくあったわ。で,Aの件が自分の中で消化不良のまま何となくうやむやになってしまう。ここを分かりやすくナビゲートしてくれたら,もっと遊びやすかったのかなとは思うわね。
 とはいえ,その問題点はこのゲイムの本質からしてみれば些細なもので。オープンワールドのホラーゲイムが今までにあったかどうかはわからないけど,今回のSILENT HILLが意欲作であることには間違いないわ。
 このシリーズ独特の雰囲気が失われたわけではないし,むしろサブクエストのおかげで今までのSILENT HILLよりも自由にゲイムをプレイしている気になれる。そういう意味ではシリーズとして正当な進化を遂げたのかな,という印象を持ったわ。ホラー好きならヤってみたらいい。

画像集#006のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第206回「きょうふ」

 というわけで,今週は「恐怖」を軸にSILENT HILLの最新作を紹介したわけですが。恐怖って人間に常につきまとっている分,エンターテイメント化するときに,表現を極端にデフォルメしないといけないのよね。それがホラー映画でありホラーゲイムでもあるわけ。ホラー物のエンターテイメントがこの世に存在するのは,ひとえにリアリティとフィクションが混在しているから,とも言えるでしょう。
 いや,本当に怖いことは世の中に多い。適当なことをダラダラと書いているように見えるこの連載に関しても,私は恐怖を感じてるわよ。記名で書いている以上,くだらないことを書いて誰かを傷付けたりしないか怖いし,書いたことに対する反発も怖い。……ってことを今日ふと思ったわ。今日ふときょうふと……。

 えー,まさに今打ち切りの恐怖にさらされつつ,また来週!

今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「SILENT HILL:DOWNPOUR
PlayStation Vita:「地球防衛軍3 PORTABLE
PSP:「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン
ニンテンドー3DS:「BRAVELY DEFAULT
Xbox 360:「トロピコ4 日本語版

■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
ディーノ選手は12月1日(土),DDTプロレスの新木場1st.Ring大会「NON-FIX12.1」に出場します。当日は,福田 洋選手&DJニラ選手とのタッグで,佐藤光留選手&マサ高梨選手&彰人選手と対戦予定。藤原喜明選手を控えるニラ選手に,テロ行為の練習をさせるのだとか。何となく,「プロレスにおける“襲撃”と“テロ”の違いは何か?」と質問してみたところ,ディーノ選手は「いかに意表を突くかが重要なの」と答えてくれましたが,それって襲撃とは何が違うんですかね……?
  • 関連タイトル:

    SILENT HILL:DOWNPOUR

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