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Blizzard Entertainmentのトップ,マイク・イバラ氏が従業員にあてたメッセージが公開に。今後の方針を語る
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印刷2022/01/21 18:52

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Blizzard Entertainmentのトップ,マイク・イバラ氏が従業員にあてたメッセージが公開に。今後の方針を語る

 日本時間の2022年1月18日,「コール オブ デューティ」「Diablo」「World of Warcraft」など数々のヒットタイトル持つ北米最大規模のパブリッシャActivision BlizzardをMicrosoftが買収するというニュースが世界を駆けめぐった。買収金額約687億ドル(約7兆8742億円)という,破格の巨額買収だ。

画像集#002のサムネイル/Blizzard Entertainmentのトップ,マイク・イバラ氏が従業員にあてたメッセージが公開に。今後の方針を語る

Putting our Teams and Players at the Forefront of Everythings We Do


 この発表にタイミングに合わせるように,Blizzard EntertainmentのCEOを務めるマイク・イバラ(Mike Ybarra)氏が従業員に向けたメッセージが公式サイトで公開された。「我々のすべきは,開発チームとプレイヤーを第一に置くこと」(Putting Our Teams and Players at the Forefront of Everything We Do)と題されたメッセージで,イバラ氏は同社の今後の方針などを述べている。

Blizzard EntertainmentのCEOマイク・イバラ氏は,奇しくも2019年までXbox Game Studiosに在籍していたベテラン業界人。Blizzard Entertainmentの労働環境改善を託される
画像集#003のサムネイル/Blizzard Entertainmentのトップ,マイク・イバラ氏が従業員にあてたメッセージが公開に。今後の方針を語る
 2021年7月,カリフォルニア州の公正雇用住宅局(California Department of Fair Employment and Housing)が,セクシャルハラスメントや女性の労働環境の悪さを指摘したうえでActivision Blizzardを告訴するという事件が起きた。2021年8月2日に掲載した連載記事「州政府機関から告訴されたActivision Blizzard」で詳しくお伝えしたように,Blizzard Entertainmentには「大学サークル」と告訴状で形容された企業文化があり,「World of Warcraft」チームに所属する上級開発スタッフを中心としたセクハラ行為が横行していたうえに,女性に対する労働格差の問題もきわめて深刻だった。訴訟に伴い,何十人という規模で幹部や開発スタッフが退社,もしくは解雇されており,残された従業員は労働組合を発足させるために活動しているという。

 8月初旬,もともと「World of Warcraft」のプロデューサーで,2代目CEOに就任していたJ・アレン・ブラック(J. Allen Brack)氏が退職(関連記事)し,後任に選ばれたのが,奇しくもMicrosoft Game Studios出身で,2019年にプラットフォーム&テクノロジー部門のエグゼクティブ副社長として招聘されたイバラ氏だった。当初はActivisionから出向して開発部門副社長に就任したジェン・オニール(Jen O’Neal)氏との二頭体制がとられていたが,11月にオニール氏は辞職(関連記事)。数か月にわたる混乱のうち,女性幹部であるオニール氏がActivision Blizzardの経営体制に疑問を感じるようになったことが辞職の理由だと考えられている。
 ↑Overwatch LeagueのWashintong Justiceは,「我々はみな,スパルタンだ」というメッセージと共にSolder 76のアートをマスターチーフ風に変更したものを公式ツイッターアカウントで公開している

 こうした状況もあって,招かれてやって来たイバラ氏はCEO就任後も比較的静かな印象だったものの,Microsoftとの買収合意という状況下,従業員に対するメッセージを発したのだ。
 メッセージでは買収についての直接的な言及はないものの,問題視されていた訴訟も2022年内には収束し,従業員がじっくりと考えられる環境が整うだろうという展望のもと,メッセージを一般にも公開して,よりオープンな姿勢を強調しようという狙いもあると考えられる。

 公式サイトに掲載されたイバラ氏のメッセージは以下のとおりだ。



 私はBlizzard Entertainmentの一員であることを,非常に光栄に感じています。豊かな歴史,素晴らしい才能を持つチーム,最高のコミュニティ,そしてもちろん,私たちが作る数々のすばらしいゲームがあるからです。私は数か月ほどBlizzard Entertainmentを率いてきましたが,今週行われたエキサイティングなニュースに加え,チームとプレイヤーを第一に置いて我々がすべきことについて,考えを皆さんと共有したいと思います。

 2021年は,私たち全員にとって非常に挑戦的な年でした。個人として私は,自分の周囲のすべての人々を尊重し,尊厳を持って接しようとしています。プロの業界人として私は,我々の作り出す作品に深い関心を持っており,可能な限りの支援を周囲から受けることのできる,安全な環境で働きたいと思っています。

 私たちの最優先事項は,現在だけでなく将来にわたってBlizzard Entertainmentへの信頼を再構築していくことです。

 現在進行中のパンデミックは言うまでもなく,この困難な時期にあたってBlizzard Entertainmentのスタッフがクリエイティブかつ勤勉に働くところを目にし,感銘を受けました。課題をしっかり乗り切り,開発プロセスを進化させ,職場環境を整えることは,お互いにとっても,我々の仕事にとっても,さらにプレイヤーコミュニティにとっても,強靱さと責任を惜しまない,すばらしい企業文化に改善していく方法であるはずです。

 また,社内外の人々から寄せられたフォーラムやソーシャルポスト,電子メールを読んで,正しいことを貫く姿勢と皆さんの支えに励まされました。皆さんの言葉に耳を傾けていることを知ってほしいと思います。私たちは,今なお変化に取り組んでいます。コミュニティとのつながりを改善するための最初のステップとして,いくつかの優先事項をここで説明したいと思います。

・私たちは,企業文化を再構築していくうえで,経営陣および上級幹部をしっかり判定できる仕組みを作っています。これはつまり,私を含めた幹部達の成功は,Blizzardが安全でインクルーシブで創造的な職場環境を作るという,全体的な成功の上に成り立つということです。

・私たちは,企業文化の向上のために,専門とする部門の設立とリソースの分配を行います。これまで,この重要な取り組みは,フルタイムの仕事ですでに手一杯の従業員が行うものでした。この新しいチームのために私たちが用意したリーダーシップのいくつかは,以下のようなものです。

―私たちがすでに共有している最良の企業文化を維持し,必要に応じて変化や進化を行うことで,全員が最高のパフォーマンスを発揮することを確実にする「文化リーダー」。

―信頼関係を築き,チームメンバーに力を与え,すべての人にとって安全で前向きな職場環境の育成を支援する「組織リーダー」。

―ダイバーシティ,エクイティ,インクルージョンの各分野での取り組みを専門的に行っていく「DE&Iリーダー」。

・ さらに,以下のような新規スタッフを採用します。

―コンプライアンスチームと調査チームの規模を3倍にし,容認できない行動に対する責任を明確にします。リーダーや管理者を含む,すべての従業員に適用されます。

―開発チームや社内全体でリプレゼンテーションデータを共有し,指標全体の改善に関する目標を設定しました。

―従業員が不安を感じずに経営陣を評価できるように,上方フィードバックプログラムを導入しました。これを使用して,運営側の能力と有効性を判定します。

 これらの動きは,今後の取り組みの序章にすぎません。開発チームが創造的なビジョンを実現できるように,全員にとって最適な環境の構築に取り組むことに,意欲と興奮を感じています。

 また,より定期的にコンテンツをプレイヤーに配信し,既存ゲームの内外でリフレッシュを続けていく必要があることも分かっています。発表すべきエキサイティングなことがいくつかありますので,来週は,さらに情報を共有する予定です。

 常に私たちの指標である,北極星のような皆さんの献身と指導,そしてコミュニティと素晴らしいチームに改めて感謝したいと思います。

―我々にとって2022年以降が素晴らしいものになるために。
マイク “クイック” イバラ


「Blizzard Entertainment」公式サイト

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