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「マップの色塗り」に着目した「三國志14」の懐かしくも新しいチャレンジ。プロデューサーの越後谷和広氏に,リリース直前インタビュー
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印刷2019/12/10 00:00

インタビュー

「マップの色塗り」に着目した「三國志14」の懐かしくも新しいチャレンジ。プロデューサーの越後谷和広氏に,リリース直前インタビュー

画像(001)「マップの色塗り」に着目した「三國志14」の懐かしくも新しいチャレンジ。プロデューサーの越後谷和広氏に,リリース直前インタビュー
 2020年1月16日に発売される「三國志14」PC/PS4)。シリーズ最新作となる本作では「マップの色塗り」の楽しさを改めて探求するなど,懐かしくも新しい試みが行われている。
 また本作は「プレイデータ収集版」として,一種のアーリーアクセスとプレイテストが行われた作品でもある。現代においては比較的一般的な手法だが,「三國志」のように長い長い歴史を持つ作品で,こういった手法を取ることはどのような効果をもたらしたのか。
 プロデューサーの越後谷和広氏にリリース直前インタビューを試みた。


「2020年1月16日,発売日通りのリリースをお約束できます」


4Gamer:
 発売日が迫ってきました(※インタビューは11月29日に実施)が,開発状況はどのような状態でしょうか。

画像(002)「マップの色塗り」に着目した「三國志14」の懐かしくも新しいチャレンジ。プロデューサーの越後谷和広氏に,リリース直前インタビュー
越後谷和広氏(以下,越後谷氏):
 つい先日まで最後のバグチェックなどが行われておりましたが,現時点ではもうマスターアップしました。ですので,発売日の延期はありません。
 ファンの方々の間では「また発売日が延びるんじゃないか」と心配されている方もいらっしゃると思うのですが……。

4Gamer:
 前作も前々作も延びましたからね(笑)。

越後谷氏:
 今回は,2020年1月16日,発売日通りのリリースをお約束できます。

4Gamer:
 それはとても嬉しいお話です。

越後谷氏:
 個人的に,アクションではないゲームを作るのは「太閤立志伝」以来,本当に久々でして,改めて「シミュレーション系のゲームを作るのには時間がかかるな」と実感しております。
 アクションはアクションでまた別の難しさがありますが,シミュレーションの場合はプレイヤーのすべての行動パターンに対してチェックが必要になるというのが,独特ですよね。

4Gamer:
 システムに穴がないかを検証していくわけですね。ですがそれは,悪魔の証明のようにも思えます。

越後谷氏:
 そうですね,組み合わせは膨大な数に上ります。普通にプレイしていたら絶対にしないような組み合わせについてもチェックは必須ですから。

4Gamer:
 実際,プレイ動画などを見ていると「なんでそこでそんなことを?」と思うことはしばしばあります。でも,きっと自分のプレイを他人が見ているときも同じように思われるんでしょうね。

越後谷氏:
 シミュレーションの宿命ですね。
 ちなみに,シミュレーションのバグチェックは,見つけるのが得意な人とまったくダメな人で二極化する傾向があります。見つけるのが得意な人は,本当にうまく見つけてくるんですよ。
 傾向としてはプログラマーがバグを見つけてくることが多く,さまざまな機能について「こんな実装に違いない」と予測してから,その裏をついてくる感じです。

4Gamer:
 それは確かに,プログラマーならではの特殊能力ですね(笑)。

越後谷氏:
 もちろん,プログラマー全員がバグを見つけるのがうまいわけではないですし,逆になんだか理由は分からないけれど,頻繁にバグを見つけてくる人もいます。我々はそうした人物を“持っている”人と呼んでいますが(笑)。

4Gamer:
 いますよね,天然のバグチェッカーみたいな,謎のスキルを持っている人って。


全世界から参加があった「プレイデータ収集版」


4Gamer:
 「三國志14」では「プレイデータ収集版」という形で,プレイヤーを巻き込んだプレイテストが行われていました。昨今,このようにプレイヤーが開発工程に参加するという試みが行われることは増えていますが,三國志で実際にやってみていかがでしたか?

画像(004)「マップの色塗り」に着目した「三國志14」の懐かしくも新しいチャレンジ。プロデューサーの越後谷和広氏に,リリース直前インタビュー

越後谷氏:
 まず驚いたのは,こちらの想像以上にたくさんプレイしていただけたことです。
 プレイデータ収集版はSteamで日本語版のみの公開という形でしたので,「そんなに集まるの?」という懸念はありました。でも蓋を開けてみると,1週間で目安とした35940人が集まるという結果となりました。

4Gamer:
 35940ユーザー,つまり「さんごくし」なんですね。

越後谷氏:
 そうです(笑)。驚いたのは国別のダウンロード統計で,実に92の国や地域から参加されています。日本・中国・台湾・韓国・香港がボリュームゾーンではあったんですが,アメリカ・カナダ・オーストラリア・シンガポール・ブラジル・アルゼンチンといった国々からもダウンロードがありましたし,ジンバブエからもアクセスがありました。
 三国志というと東アジアが中心のIPというイメージがありますが,ワールドワイドに訴求するのだなと改めて感心しましたね。

4Gamer:
 それが海外にいるアジア人なのか,本当にジンバブエ現地の人なのかは気になりますが(笑)。
 プレイデータ以外にも,さまざまな意見や要望が集まったかと思います。そこでストレートに伺いたいのですが,プレイヤーからの意見というのは実際に役立つものだったのでしょうか?

越後谷氏:
 はい,実際にかなり参考になっています。プレイデータはもちろん,アンケートもとても良かったんです。
 何よりも興味深かったのが,「AIに何を求めるか」という項目ですね。こちらとしては「史実の流れに忠実になるようにAIを設計してほしい」という方向性を望む意見が半分くらいは行くと予想していたのですが,実際には「歴史性よりもキャラクター性を優先してほしい」というものが多く集まりました。

4Gamer:
 「三国志」はそもそも「演義」と「正史」がありますし,これまでたくさんの作家や漫画家がさまざまな三国志を描いてきましたから,キャラクター性のほうが重視されるのかもしれないですね。

越後谷氏:
 実際,「三國志14」はキャラクター性に対して強めにフォーカスしています。なので,その方向性は間違っていなかったことを改めて確認できました。
 本作では武将の個性をプラス方向だけではなくマイナス方向でも表現してあり,それぞれの武将が特徴的に振る舞うようにしてあるんです。

4Gamer:
 武将のキャラクター性についても,プレイヤーからの要望が多かったかと思いますが,とくに印象に残った武将は誰でしょうか。

越後谷氏:
 やはり呂布ですね。プレイデータ収集版の呂布は,どちらかというと馬鹿な振る舞いをするように設計されていました。そのため,「今回の呂布は能力値ほどには強くないな」という印象を覚えた方もいるかもしれません。
 そこでアンケートなどを見て,呂布らしい強さを備えつつ,それでも猪突猛進しちゃうときはしちゃうという味付けにしました。製品版での呂布の個性は,プレイデータ収集版がなかったら成立していないと思います。

画像(005)「マップの色塗り」に着目した「三國志14」の懐かしくも新しいチャレンジ。プロデューサーの越後谷和広氏に,リリース直前インタビュー

4Gamer:
 呂布は呂布という時点で強烈なキャラクターですし,調整が難しそうですね。

越後谷氏:
 あと武将以外では「提案コマンド」に対するご意見が印象深かったです。
 プレイデータ収集版では,提案コマンドは初心者救済用という趣が強く,100%成功するようになっていました。なので「ゲームバランス的に効果が強すぎる」というご批判はいくつもいただきました。
 ですがその一方で「提案というコマンド自体は良い」「『三國志14』の特徴としてアリ」という評価もいただいているんです。

4Gamer:
 「コマンドそのものがダメ」なのではなく,「バランスには問題があるがコマンドは面白い」と。

越後谷氏:
 そうなんですよ。本当にいろいろな捉え方をしておられるのだな,と実感しました。
 またユーザーさんからの「ゲームとしてもっと良くなってほしい」という思い入れも強く感じましたね。結果,いただいたご意見をもとに提案コマンドも最適化できましたし,良いブラッシュアップができたと思っています。


「歴戦の勇士」達にとって「プレイデータ収集版」は簡単すぎた?


4Gamer:
 「プレイデータ収集版」の難度評価はどうでしたか? 「けっこう難しい」というインプレッションをいくつか目にしたのですが。

越後谷氏:
 事実,こちらとしてもプレイデータ収集版は「やや難しめ」という設定になっています。というか,難しくしたはずなんですが,寄せられた感想には「簡単だった」というご意見が多かったですね(苦笑)。

4Gamer:
 ああ……それはおそらく母集団に偏りが……。

越後谷氏:
 開発スタッフには,シミュレーションのド素人から,三國志シリーズコンプリート勢まで幅広く揃っています。そのため開発スタッフの平均ということになると「普通くらいの腕前」ということになると思うんですが,それよりはプレイデータ収集版を遊んだ方々のほうがずっと腕が良い,という感じです。
 三國志シリーズ歴戦の勇士にとってみると,プレイデータ収集版は「やや弱い」くらいになってしまっていて,もう少し辛口でも良かったのかもしれません。

4Gamer:
 でも「プレイデータ収集版を試してみたけれど,まるで歯が立たなかった」という人が増えてしまうのも問題ですよね。

越後谷氏:
 実はプレイデータ収集版のリリース直前までは,もうちょっと難しかったんです。でも開発スタッフのなかに「これだとクリアできない」という者が出るくらいだったので,最後の最後にちょっと「柔らかめ」にしたんですよね。
 ちなみに製品版の「提案」コマンドは,「初級」であればプレイデータ収集版と同じく100%通るようになっています。このあたりは難度設定で調整することもできますので,アレンジしていただければ幸いです。

画像(006)「マップの色塗り」に着目した「三國志14」の懐かしくも新しいチャレンジ。プロデューサーの越後谷和広氏に,リリース直前インタビュー


ファンの目が肥えている「三國志」シリーズ


4Gamer:
 ここ数年,ゲーム業界ではプレイヤーコミュニティの重要性が強く意識されています。プレイデータ収集版は,「アーリーアクセスを通じてプレイヤーコミュニティを形成・強化する」という意図もあったと思うのですが,プレイヤーの熱意は伝わってきましたか?

越後谷氏:
 ファンの熱量はものすごく感じました! 実際,「これが熱意だ!」と言う以外にない,非常に充実したレポートを送ってくださった方もいるくらいです。
 正直なところ,プレイデータ収集版を公開するにあたり,「告知をがんばりました」とは思っていません。でも,実際にはしっかりと見てもらえているんですよね。
 現在もFacebookなどで情報を流しているのですが,いわゆる広報的な告知よりも,ゲームの内容に関する情報のほうが,はるかに食いついてもらえます。とくに武将の能力値情報は注目度が非常に高くて,PVと同程度に熱心に見られているんです。

“このぐらい”の厚さの熱いレポートが届いたそうだ
画像(003)「マップの色塗り」に着目した「三國志14」の懐かしくも新しいチャレンジ。プロデューサーの越後谷和広氏に,リリース直前インタビュー

4Gamer:
 明らかにコアな方々が情報を追っていますね。

越後谷氏:
 ゲームのすごく細かいところまで気にしてもらえているということを実感します。そういった点も含めて,プレイデータ収集版は完成度向上にあたって非常に役に立ちました。いろいろ無理をしたところもありましたが,それだけの価値はあったなと。

4Gamer:
 三國志シリーズのファンには,初代からずっと遊んでいるという人もいるでしょうしね。

越後谷氏:
 そうなんですよ。とにかくユーザーさんの目が肥えていると思います。それぞれのユーザーさんの頭の中に,自分にとっての理想のゲームの形ができているんです。

4Gamer:
 「武将のパラメータに対して食いつきが良い」というお話が出ましたが,やはりパラメータに対する意見は多いですか。

越後谷氏:
 そうですね,具体的に「この武将のこの数値は違う」という声が出てきます。
 ただ,もうこれについては「それぞれのユーザーさんの思い入れは承知しておりますが,今回はこの数値でいきます」と申し上げるしかないんですね。

4Gamer:
 「歴史を解釈する」のはシミュレーションにおける「ゲームデザイン」の中枢ですから。

越後谷氏:
 武将のパラメータをファンの投票や声で決定する,という話がそもそも無理ですしね。「弊社としてはこう判断しています」という数値で毎回リリースしています。
 また,パワーアップキットで武将エディタを出すといったこともしてきましたが,これは「どうしても気に入らないところは自分で理想の数値にしてほしい」という方向性です。本作でもいずれこのようなエディット機能を公開する予定になっています。

4Gamer:
 今後も「プレイデータ収集」は行うということですが,主な目的はバランス調整ですか?

越後谷氏:
 それもありますが,AI強化というのも大きなテーマです。
 AIは常に強化し続けたいと思っていますし,発売後もAIの改良は続けたいんですね。プレイデータ収集についての具体的なスケジュールや方法まではまだ申し上げられませんが,リリース後もなんらかの機会を設けていきたいとは思っています。

4Gamer:
 リリース後の展開と言えば,DLCにも注目が集まっています。まさか「銀河英雄伝説」とコラボするとは。

越後谷氏:
 35周年記念ということで,「三國志」というゲームの可能性を拡げていきたい,盛り上げていきたいと考えています。異種コラボはお互いの世界観があるため難しいのは間違いないですが,今までにない組み合わせで,何か新しい可能性が生まれればと思っています。
 「銀河英雄伝説」はまさにその一環です。あるミーティングの中で,作品のファンでスタッフの一人から「銀河英雄伝説とコラボできないですかね?」と唐突に提案がありました。当人がどこまで本気だったかは分かりません(笑)が,ちょうど今作は「天体絵図」というCGのコンセプトもあり,宇宙つながりあるね,検討してみよう,ということになって今があります。


世界に広がるコンテンツとしての「三国志」


4Gamer:
 「プレイデータ収集版」に世界中から参加申し込みがあったそうですが,「三国志」という世界は,最近では「Total War: Three Kingdoms」が海外でヒットするなど,アジア圏を越えたファンを獲得しつつあるように思えます。
 これは市場の拡大であると同時に,ライバルの増加も意味していると思うのですが,どのようにお考えですか。

越後谷氏:
 「三国時代」ひいては「三国志」というコンテンツに対する世界的な認知度は,ご指摘の通り,深まっているように感じています。「Total War: Three Kingdoms」の影響が大きいというのも間違いないですね。
 ただ,「Total War: Three Kingdoms」は正史三国志がベースとなっています。一方で,「三國志」シリーズは三国志演義がベースですから,曹操や呂布といった重要な登場人物でさえ,その解釈はかなり異なっています。それぞれが違った描き方をすることで,「三国志」の奥深さをお伝えできますから,市場の拡大は素晴らしいことです。
 そのうえで「Total War: Three Kingdoms」から「三國志」シリーズに来ていただけることもあるでしょうし,その逆もあるでしょう。そこでさらに楽しんでいただければ,本当にありがたいですね。

4Gamer:
 そうした中で,「三國志」シリーズの魅力はなんでしょう。

越後谷氏:
 「三國志」シリーズは「三国志演義を底本とすること」で「三国志らしさ」を表現しています。つまり,我々による「三国志演義」の解釈の形であり,1つの世界を提示しているに過ぎません。それをユーザー自身が,それぞれの思い入れに従ってアレンジして遊べる。これが魅力だと思います。
 だからこそ今もシリーズの人気は続いているのでしょうし,ぜひ「三國志14」でもご自分なりのアレンジを楽しんでほしいです。

4Gamer:
 “コーエーテクモゲームスさんなりの世界”なのは確かですが,とはいえ「三国志」のビジュアルイメージを相当支配している印象はありますよね(笑)。

越後谷氏:
 そこは実例を多数ご指摘いただきますが,本当にありがたいというか,すごいことだと思っています。
 ただ,これは内輪めいた話になってしまいますが,我々も「これまでのシリーズからの影響」をけっこう受けるんですよ。それぞれの担当者の思い入れも詰まっていますし。
 例えば,各勢力の色のイメージなんかは,もう変えようがないですよね?

4Gamer:
 青くない曹操,緑ではない劉備,赤くない孫権……ちょっと考えにくいですね。

越後谷氏:
 実際に「三國志」シリーズの制作に携わってみて,そういうレベルから「コーエーテクモブランドの,独自の三国志なのだな」というのは改めて感じます。

画像(009)「マップの色塗り」に着目した「三國志14」の懐かしくも新しいチャレンジ。プロデューサーの越後谷和広氏に,リリース直前インタビュー


初心者からベテランまで楽しめる「地図の色塗り」


4Gamer:
 さて,これはストラテジーやシミュレーションがリリースされる直前に,なるべく伺うようにしているのですが,この手のゲームは「初めてのプレイヤー」にとって,一定のハードルを感じてしまうものかと思います。
 「三國志14」は,初心者にとってどれくらい遊びやすいゲームなのでしょうか。

越後谷氏:
 シミュレーションゲーム特有の「難しさ」というのはあると思っていまして,やはり攻略のツボを見つけるまでに時間はかかるでしょう。ただ「三國志14」においては,まず何よりも「地図を自分の勢力の色で塗っていく楽しさ」というのがあります。この「地図の色塗り」は「とっつきが良い」と好評でして,社内テスターの意見としても熟練者から初心者まで総じて好感触だったんです。

4Gamer:
 色を塗るって行為が分かりやすくて楽しいですよね。

越後谷氏:
 進捗が目で見て分かりやすいですし,色塗りが毎ターン少しずつ進んでいくので,「プレイしているのに画面に何も変化がない」ということにもなりません。
 また,ほかの勢力が塗っていくのが分かるので,危機感を持ってプレイすることもできます。これだけでも,必要最低限のチュートリアルになっているな,というのが実感ですね。
 「地図の色塗り」をフィーチャーしたことで,「初心者も楽しめるゲーム」と言えるようになったのではないかと思います。

画像(007)「マップの色塗り」に着目した「三國志14」の懐かしくも新しいチャレンジ。プロデューサーの越後谷和広氏に,リリース直前インタビュー

4Gamer:
 AIの色塗りは,予想以上に速くて焦りました。明らかに人材をフル投入してるだろうって。

越後谷氏:
 最初は焦ることも多いと思うんですが,逆に言うと「敵の塗り方」や「敵が塗っていくペース」を見ることで,学習ができるわけです。「塗り方を敵に学ぶ」わけですね。
 そうやって何度か,序盤を繰り返しプレイしてもらえれば,初手が最適化できていきます。「やり直しの繰り返し」でゲームを学んでいくのも面白いと思いますよ。とくに序盤は工夫のしどころが多いですし。
 あまりにも相手に勝てない,序盤で何をすればいいのかさっぱり分からないという状況になるのなら,難度を一番低くして「勝って覚える」のが良いと思います。

4Gamer:
 「勝って覚える」のはゲームで強くなる基本ですよね。
 ただ実際にプレイ(※)してみると,とくに「序盤の手の足りなさ」は強烈な印象を受けました。自分はまだあまり大きな勢力で遊んでいないので,なおさらそれを感じるのかもしれませんが。

※筆者はインタビュー前に,レビュー執筆に向けてマスターアップ時点のデータをプレイしている。

越後谷氏:
 赤壁直前の劉備でプレイすると,とくにその「手の足りなさ」を痛感できると思います。実際,開発スタッフの間で「これって本当にクリア可能なのか?」と疑問視されたことがあるくらい,手が足りません。
 でも逆に言うと,その手の足りなさを克服した諸葛亮はすごいということでもあるんです。また,劉備陣営は個々の武将の能力はとても高いので,その「質の高さ」をどう活かすのかが問われますね。総じて「守りの妙」を味わえるシナリオになっています。

4Gamer:
 良いですね。この手のゲームに慣れてくると,やはり「守る楽しさ」にハマる人が増えていきますから。

越後谷氏:
 もっとも「赤壁」シナリオを上級でプレイすると相当に難しいです。「史実において弱い勢力は,ゲームでも弱い」という,ある意味で歴史シミュレーションを地で行く形ですから。

4Gamer:
 そこは仕方ないですね。それが面白さでもありますし。大勢力でプレイするシナリオは,すんなり勝てるんですか?

越後谷氏:
 それがそうでもないんです。大勢力はケアすべき方面が多にわたってしまうがゆえに,どうしても命令に穴が残ってしまいます。また,全方位で攻めるといった単純な力押しができません。
 なので自勢力が大きくなったからといって,「あとは消化試合だ」ということにはなりません。実際,曹操も統一までには時間がかかったわけですしね。

4Gamer:
 内外にやるべきことが多くて手が回らない,と。

越後谷氏:
 そして,そうなってくると今度は「寿命との戦い」が本格化し始めます。孫権の若さと寿命の長さがアドバンテージになってくるわけですね。


武将らしさを追求するAI


4Gamer:
 先日FOST(foundation for the Fusion Of Science and Technology)の25周年を記念した講演会で,「信長の野望」におけるAIの講演(関連記事)があり,取材記事を興味深く読んだのですが,「三國志14」のAIはどのような指針でデザインされているのでしょうか。

越後谷氏:
 設計のテーマとして言えば「とことん個性重視」になります。
 「三國志14」のAIはさまざまなレイヤーに分かれていて,勢力としての考え方から,1人の武将としての考え方まで,階層の中で順を追って思考しているんです。なので,勢力としての方針があって,そのなかで「この武将ならこう動く」という判断が下されている形になります。

4Gamer:
 勢力にも個性があって,そこに仕える武将にも個性があるというわけですね。

越後谷氏:
 そうです。ですから,例えば史実シナリオであれば,序盤こそ史実っぽく状況が推移しますが,いずれif展開へと発展していきます。先ほども少しお話しましたが,史実の再現性より武将や勢力が「それっぽく動く」ことを重視していますので。

4Gamer:
 あるシチュエーションのなかで,この状況ならこの武将はこうも動き得たし,こう動くこともあっただろう,というラインでの「らしさ」が重視されていると。

越後谷氏:
 そのとおりです。
 なので官渡の戦いのシナリオであったとしても,曹操が必ず勝つというわけではありません。もちろん史実を再現するような状況はありえますが,それよりも曹操らしさ,袁紹らしさが表現できているかどうかのほうを重視しています。
 また,仮想シナリオで過去の歴史は基本的に役に立ちませんが,それでも面白いゲームにしなければなりません。それもあって個性重視という方針が採用されています。

4Gamer:
 勢力にも個性があるとのことですが,その行動には指標のようなものが設定されているのでしょうか。

越後谷氏:
 勢力の「施政」のベースとなる「主義」は6種類あるのですが,それとは別に行動の指標的なデータが10種類近く設定されています。「漢朝を重視するのか」「どのような外交姿勢を取るのか」「どれくらい好戦的なのか」といった指標ですね。これらが組み合わさることで,同じ「主義」を持つ勢力であっても,実際の行動は異なってきます。
 例えば公孫瓉であれば,建物を建てるのが大好きだったりします(笑)。

4Gamer:
 なるほど,確かに「らしい」ですね。

越後谷氏:
 また「三國志14」では武将を重視していますので,勢力の方針よりも,しばしば武将の判断のほうが優先されることもあります。

4Gamer:
 実際,当時の通信速度を考えればそれが自然ですね。

越後谷氏:
 なので配下に呂布がいたならば「呂布はどこまでいっても呂布だな」と思うこともあるでしょうし,逆に敵の将軍として呂布がいるならば,うまく立ちまわって孤立させることも可能です。
 もちろん,だからといって勢力の個性が武将の個性に飲み込まれるということもなく,劉備は展開がおとなしかったり,袁術はいつのまにか領土がしぼんでいたりしますが。

4Gamer:
 袁術,ダメですか。

越後谷氏:
 武将の数や領地の立ち位置は良いんですが,配下の質が低いのか,独立が割と多くて,それで気づけば周囲に押し込まれがちになりますね。先ほど例に挙げた公孫瓉も,よく引きこもりますが,やはり袁紹に飲み込まれがちです。

4Gamer:
 そういう動きを第三者として観戦できるモードがあると楽しそうですね。もちろんプレイ実況などでそういう楽しみ方もできるんですが。

越後谷氏:
 「セミオート」は将来的にあってもいいかもしれないですね。軍師におまかせすると,いろいろとコマンドを実行してくれる,みたいな。
 「三國志14」のユーザーさんがこなれてくるにつれて,またいろいろと違ったニーズが出てくるだろうと思っています。

4Gamer:
 最後になりますが,発売を楽しみにしているプレイヤーへのメッセージをお願いします。

越後谷氏:
 まずは「お待たせしました」ということをお伝えしたいと思います。2020年1月16日の発売まで間もなくですので,もう少しだけ首を長くしてお待ちいただければ幸いです。
 また,「三國志14」は過去のシリーズに比べても,群を抜いて初心者が触りやすいゲームになっていると思います。一方で,地図に色を塗っていく感覚など,ベテランにとっても懐かしさを感じさせる要素もあります。「最近はもうシリーズを触っていないな」という人から,これがデビューとなる初心者の方まで,手に取っていただければと願っています。
 社内的な評価でもかなり良い点数がついており,完成度には自信を持っています。よろしくお願いします。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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「三國志14」公式サイト

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