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切なさとロマンティックが止まらない。「To the Moon」は人々の“限界を尽くしてやりきる”姿に心打たれるタイトルだ
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印刷2020/02/05 12:00

プレイレポート

切なさとロマンティックが止まらない。「To the Moon」は人々の“限界を尽くしてやりきる”姿に心打たれるタイトルだ

 X.D. Networkは2020年1月16日にNintendo Switch「To the Moon」の配信を開始した。

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 「To the Moon」は,Freebird Gamesが2011年にPC版をリリースし,高い評価を得た作品だ。海外版の「RPGツクールXP」(※海外での名称は「RPG Maker XP」)で作られていて,物語重視の作品のため,戦闘や成長要素などはない。そのあたりはNintendo Switch版も変わりはなく,RPGツクールっぽさは随所に見られる。

スーパーファミコン時代を思わせる,温かみのあるドット絵。ナナメ移動は不可で,基本的にプレイヤーができるのは移動と「調べる」ことくらいだ
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戦闘はない……が,1か所だけ,ジョーク的な戦闘(?)が行われる場面も
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 RPGツクールを実際に触ったことがある人なら分かると思うが,システム上,できることに限界がある。作者が表現したかったことが,RPGツクールという制約によって,もどかしい状態で見せられるのではないか。本当に物語が素晴らしいのなら,いずれリメイクされるだろうから,そのときに遊べばいいのではないか──筆者は正直,そう思っていた。

 しかし,プレイ後,後悔した。作品の存在は知っていたのに……こんな良作が目の前にぶら下がっていたのに……と。
 というわけで,今回,初の家庭用ゲーム機への移植となる「To the Moon」。そのプレイレポートをお送りしたい。


死の淵に立つ老人
その願いは──月に行くこと


 本作は,白衣を着た2人の男女が屋敷に向かう場面から始まる。2人は同僚らしく,軽口を叩きながら,“仕事”の依頼主の屋敷に辿り着く。

2人は車で向かっていたが,リスを避けようとして事故を起こしてしまう。目的の屋敷はすぐそこなので,ここからは徒歩で向かうことに
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 依頼主であり屋敷の主であるジョンは高齢で,すでにベッドの上で昏睡状態にあった。もはや,いつ亡くなってもおかしくない。

枕元には心電図を表示する機械が置かれ,医師らしき男と,お手伝いの女性が見守る。末期の風景だ
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 白衣の2人は,この状況を見越したジョンが,前もって依頼しておいた会社の社員だった。この会社は,人の記憶にアクセスできる機械を扱っており,「思い残すことなく死を迎えられるよう,依頼者の願いを叶える」という名目で,記憶を書き換えることを業務としているのだった。

 あくまで記憶の書き換えなので,依頼者の実際の人生は何も変わらない。だが,依頼者が死してこの世を去る瞬間,「自分は,この人生でやりたかったことを成し遂げた」という充足感を持って,この世を去ることができるというわけだ。

 白衣の2人,Dr.エヴァ・ロザリーン(以下,エヴァ)とDr.ニール・ワッツ(以下,ニール)が,ジョンの屋敷のお手伝いさんであるリリーに「ジョンの願いは何なのか」と尋ねると,「月に行くこと」だという。

2人は,ジークムント・ライフジェネレーション・エージェンシー社の社員。エヴァはシニア・メモリートラベル・エージェントで,ニールはエンジニア・スペシャリスト。よく分からない肩書きだが,機械でなんやかんやして記憶にダイブすることのプロ,ということは分かる
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ニールも思わず「予想のナナメ上」と評する,ジョンの願い。しかし,なぜ,月なのか……?
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 あくまで記憶の書き換えであって,実際に月に行くわけではないので,不可能ではない……が,そもそも,なぜ,そんな願いなのか。エヴァとニールはジョンの記憶にアクセスし,彼に聞いてみるが,本人にも「分からない」という。

ゲーム中,ジョンは「ジョニー」と呼ばれる。「ジョニー」はジョンの愛称だが,大人に対して使うのは珍しい。本人がそう呼んでほしいと言ったことから,お手伝いのリリーもこう呼んでいるようだ
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 子供の頃の夢が宇宙飛行士だったのか? しかし,ジョンの屋敷には,宇宙への憧れを示すような物は特にない。エヴァとニールは,「月に行きたい」という理由を解明すべく,ジョンの記憶を少しずつ,過去へ過去へと遡っていく。

 本作は,ジョンの記憶を通じて,ジョンという1人の男の人生を追体験していくゲームだ。その過程で,記憶のキーとなるアイテムを一定数集め,ちょっとしたパズルを解くことで,記憶の深層へとアクセスしていく。パズルのパートは,この作品の中で唯一,ゲームらしいパートだと言えるが,さほど難しくはないので,苦手な人でも大丈夫だ。

パズルのパート。タテとヨコの列のスイッチを押すことで,パネルのオモテとウラが入れ替わる。すべてオモテにすればクリアだ
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 「月へ行く」というから,「ジャンルはSF?」と思うかもしれないが,「To the Moon」はミステリーと言った方が正しい。「月へ行きたい」,その理由は……という不可解な謎が最初にあり,それを解決しようと,ジョンの記憶を遡っていく内に,次々と新たな謎が現れる。そして,先が気になって進めていくと,少しずつ,散りばめられていた伏線が回収されていく。
 幼少期から順番に見ていくのではなく,老齢期から幼少期へ遡行していくのがポイントで,謎の提示から真相までを辿るにあたって,シンプルながらも「こういう見せ方があったか」と引き込まれる作りだ。


「月に行きたい」理由を上回る謎
リヴァーの奇行と,ジョンの想い


 ジョンには,リヴァーという奥さんがいた。残念ながらすでに他界しており,彼女が好きだったという灯台の近くに,お墓がある。この屋敷も,「灯台に近いから」という理由で建てられたものだった。

タイトル画面にも描かれている灯台。崖っぷちに建っていて,ここから歩いてすぐの場所に,ジョンの屋敷がある
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 ジョンの記憶は,リヴァーが亡くなる少し前から始まる。リヴァーは病でベッドに伏していて,ジョンはリヴァーの治療にお金を使おうとする。しかし,リヴァーはそれを望まず,かねてより予定していた場所に家を建てることにお金を使ってほしいという。
 ジョンの懐事情的に,リヴァーの治療か家の建築か,どちらかは諦める必要があった。「ジョニー,私にとっての幸せは何か,わかる?」「私は……ジョニーにも,私の幸せを考えてほしい。それだけ。」「治療の同意書,私は,サインしない。」とリヴァーは答える。

ジョンは現在よりも若い時期のようだが,お互いに髪の毛がグレーであることから,すでに高齢のようだ
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 ここだけを見れば,よくある話だ。お互いがお互いを愛するがゆえの,異なる選択と言える。
 しかし,ジョンの記憶で見るリヴァーには奇行が多い。ある日突然,髪をバッサリ切ったり,折り紙でウサギを作るのだが,その量が部屋を埋め尽くすほどであったり。

折り紙で折られた,大量のウサギ。画面といい,音といい,ちょっとホラーなムードが漂う
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 この光景を目の当たりにすると,「月に行きたい理由は何だろう」とゲームを進めていたプレイヤーの興味が「リヴァーの真意は何か?」に移っていく。「ちょっとおかしい人」で片付けてしまうには不可解な情報が多く降り注ぐのだ。

記憶を遡っていくごとに明らかになる,新たな情報。リヴァーの様子がおかしくなったのは,ジョンに原因があるのか?
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 ここから,物語は少しずつ動き始める。多くのプレイヤーは,ジョンという老人よりも,リヴァーのほうに興味を持っていかれるはずだ。
 ジョンは間違いなくリヴァーを愛していたし,大事に思っていた。自宅をこんな所に建てたのも,リヴァーの希望だからだ。「かわいそうに。ジョンは,ちょっとおかしい女性を奥さんにもらってしまったらしい……」で終わるわけがない。「ストーリーが良い」「名作らしい」という噂だけは聞いていた筆者のような人間なら尚更だ。

折り紙のウサギを見せてはジョニーに感想を聞き,「それから?」と繰り返すリヴァー。これは幾度にもわたって繰り返されるワードだ。何かを責めているのか? それにしては意味が分からない
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 ジョンという男性と,リヴァーという女性に対する印象は,章が進むごとにコロコロと変わっていくに違いない。リヴァーが亡くなる直前,2人の仲は決して良いとは言えない状態だった。そうなった理由は,どちらにあるのか? プレイヤーの脳内では「どちらが悪いのか」のボールが2人の間を行ったり来たりして,推理小説の「犯人探し」にも似た状況がゲームを進める牽引力となる。

ジョンは一途にリヴァーのことだけを想い続けてきた。リヴァーに嫌われるようなことは何ひとつしていないように見えるが……
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 「どんな小さな情報でもいい。なんとしても知らなければ……」と,プレイヤーはまるでエヴァとニールの目線で,ジョンの記憶を眺めていくことになる。記憶の中の旅は頻繁に場所が変わるが,隅々まで調べたくなる。最初は傍観者として眺めていたはずのプレイヤーが,ゲームが進行していく中で,徐々にエヴァ&ニールと一体化していくような感覚さえある。

ストーリーが大きく変わるわけではないが,時にはプレイヤーが操作するキャラクターを変更する場面も。メニュー画面の「タスクレポート」では,これまでの出来事を振り返れるが,同じイベント名で「W(ワッツ)」と「R(ロザリーン)」が別扱いになっているので,コンプリートしたい人は2周してリストを埋めよう
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エヴァとニールの掛け合いも見どころの1つ。本編が深刻で重い話なだけに,漫才めいた2人の会話は本作における一服の清涼剤となっている
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 灯台と,その近くに建てられた家。リヴァーのそばにいつも置いてある,カモノハシのぬいぐるみ。大量に折られたウサギの折り紙。その中にある,青と黄色の2色の折り紙で折られたウサギ。物語のキーとなるのであろうアイテムたちが,これでもかと主張してくる。しかし,プレイヤーには分からない。分かるはずもない。情報が足りなさすぎるのだ。

物語の節目では,画面上部にジョンの年齢別記憶ゾーンのようなものが表示される。キーアイテムを見つけて前述のパズルを解いていくことで,物語は右の老齢期から左の幼少期へと向かっていく
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 これらのキーアイテムの意味と,真相を欲しがる気持ち。もし,これを読んでいる人がゲームをプレイすることがあれば,このことを忘れないでほしい。必死で考えてほしい。分からなくていい。“考える”ということ。それ自体が,ジョンの想いとリンクする。ジョンも,ずっとリヴァーの奇行の理由が分からなかった。分からないまま,リヴァーは逝き,ジョンは残されたのだ。

灯台の近くに屋敷があることから,ジョンはリヴァーの願いを優先させ,治療を諦めたのだろう。奇行の理由も分からないままだったが,お金を費やせば治る病気だっただけに,ジョンはリヴァーの選択を理解できないでいた
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 分からなくて,分からなくて。それでも考えて,考える。そうしてプレイヤーは,エヴァ&ニール,そしてまだ元気だった頃のジョンの気持ちとも一体化していく。そしてこのゲームをクリアした後は,きっと,リヴァーの気持ちとも一体化することになる。「To the Moon」は物語に重きを置いた作品である一方,「ゲーム中」「ゲーム外」「ゲーム後」の3点において,登場するキャラクターとプレイヤーの“心情の一体感”を目指した,稀有な作品だと感じるのだ。


より多くの人に触れてほしい
ロマンティック・ミステリーの傑作


 RPGツクールで作られた画面をチープだと感じる人もいるかもしれないが,これは短所ではなく,むしろ長所だといえる。この作品は,RPGツクールで作られたからこそ胸を打つ側面がある。限られたシステムの中で,限られた色と音で,できる範囲で限界を尽くした作者の執念を感じるのだ。

 特に印象的だったのは,リヴァーの“目”だ。リヴァーは性格上,ほとんどの場面で大きくはアクションをせず,ドット絵で描かれた目の動きだけで心情が語られることが多い。顔を動かさず,目だけがチラリと横に動く。プレイヤーは,その数ドットに,リヴァーの心の機微を感じ取る。

リヴァーは,ジョンが自分のほうを向いていないときは,そっと顔を向ける。ジョンがこっちを見たら,サッと正面を見る。その後,横目でチラッと見る。ゲーム中では数秒の間に行われる,素晴らしい演出だ
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 画面の中の数ドットが左右に少し動くだけで,人間の感情を表現できる。これに気付いたとき,痛感するのだ。「To the Moon」は,ゲームでしか成し得ない演出で物語を紡いでいたのだと。

 先程,「できる範囲で限界を尽くした」と書いたが,これはゲーム中の登場人物も同様だ。ジョンもリヴァーも精一杯生き,自分のできる範囲で限界を尽くした。ニールとエヴァも,依頼者の願いを叶えるため,最善を尽くした。生命というエネルギーを燃料に変えて燃やし,燃え尽きた後に残るのが,人生という結果だ。「To the Moon」には,人間が何かを出し切る,やり尽くすことの素晴らしさ,人間讃歌を感じずにはいられないのだ。

 エンドロールを見ながら筆者の胸に宿ったのは,「素晴らしい物語に出会った」という,ささやかな感動だ。殺人事件なんて起きない。誰かが何かを企んでもいないし,陥れもしない。ただただ,「素敵」だとしか言いようがない,ちょっと切ないロマンティック・ミステリーなのだ。

 エンドロールと言えば,本作の配信後には「エンドロール中にエラーが発生してゲームが強制終了してしまう」という不具合があったが,2020年1月30日にアップデート(ver 1.4)が配信され,この問題は解決している(外部リンク)。

Nintendo Switch版では,メニュー画面が一新。やるべきことはこの画面で常に確認できる。また,現在の状況によって,表示されているキャラクターも変化する。画像は,ニールがお手伝いさんのリリーの子供であるトミーとサラと共に行動しているときのものだが,エヴァとは別行動なので,エヴァの席が空席になっている。芸が細かい
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 詳しく話せば即ネタバレになる類の作品なので,本作の素晴らしい点について,ほとんど書けないのがもどかしい。この原稿を書いているときも「これ以上は,これからプレイする人の楽しみを奪うネタバレ」というラインギリギリを攻めるチキンレースをしている気分だった。

 しかし,概要を軽く紹介する程度では,この作品に実際に触れてみるにまでは至らない人もいるだろう。なぜなら,筆者がまさにそうだったから。以前から高評価とは聞いていたし,価格が高いゲームでもない。遊べるPCもある。それでも,今までプレイしなかったのだ。

 「割いた時間と払ったお金に値するだけの感動を得られるかどうか」が事前に分かればいいが,ジークムント社の記憶アクセスマシンと同様,残念ながら,まだそんなテクノロジーは発明されていない。
 事前に分かれば,筆者も確実に手を出していたと思うが,物語が命の作品は,それが分からない。しかも,最後までプレイしないと分からない。“時間”という対価を払い切った後でないと分からないのだ。

 「感動」ほど不確かなものはない。何に感動するかは,人によって異なる類のものだ。「万人が必ず感動します」とは言い切れない。だが,それでも。この作品に心を揺さぶられた1人として,筆者はこの作品を強くオススメしたい。もし,本稿を読んで「To the Moon」をプレイしてみたくなった人がいてくれたら,嬉しい。筆者もまた,“できる範囲で限界を尽くした”つもりだから──。

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