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  • 発売日:2017/10/26
  • 価格:39.99ドル
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[SPIEL’17]今年のSPIELの大本命か。“シンプルで奥深い”を体現した傑作「AZUL」プレイレポート
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印刷2017/10/28 20:25

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[SPIEL’17]今年のSPIELの大本命か。“シンプルで奥深い”を体現した傑作「AZUL」プレイレポート

 「ルールは簡単だが奥が深い」というのは,デジタル・アナログを問わず,実現すれば理想的なゲームと言えるだろう。だがもちろん,それを実現するのには大変な困難を伴うものだ。「ルールは一瞬で覚えられるが飽きるのも早い」「ルールさえ覚えれば面白いが,ルールを理解するのがそもそも大変」といった作品には事欠かないし,ひどくすると「ルールが難しいうえに面白くない」といったゲームに遭遇してしまうことすらある。
 そんな中,SPIEL’17において「ルールは簡単だが奥が深い」と太鼓判を押せる傑作が登場した。「AZUL」である。

Plan B Gamesの新作「AZUL」。デザイナーはMichael Kiesling氏で,会場では35ユーロで販売されていた
AZUL

「AZUL」製品ページ(英語)



タイルを拾って配置するだけ,ではあるのだが……


 AZULは15世紀頃,幸運王マヌエル1世によって支配されている時代のポルトガルを舞台としたゲームだ。アルハンブラ宮殿を訪れたマヌエル1世はその美しさに感動し,後に「マヌエル様式」と呼ばれる建築様式を作り上げる。プレイヤーはそのマヌエル1世に仕える芸術家として,王宮の壁を美しいタイルで埋め尽くすのが目的となる。とはいえこの物語自体は,AZULのゲームメカニクスとはあまり関係がない。とりあえずゲーマーとしては「壁をタイルで埋めるゲーム」と理解しておけばいいだろう。

 AZULにおいてプレイヤーがなすべきことは,いたって簡単だ。各プレイヤーが持つゲームボードには,大きく分けて2つのエリアがある。1つが「パターンライン」,もう1つが「ウォール」だ。

青いタイルが4枚置かれているのがパターンライン。その右がウォール。上の小さな枠は勝利得点トラック
AZUL

 プレイヤーが実際に行うことは,以下の3ステップに分かれる。

  1. 場からタイルを拾ってパターンラインに置く
  2. それを一定の規則に従ってウォールに動かす
  3. ウォールにタイルを置いた段階で,勝利得点が入る

 これがAZULの基本であり,ゲームは最初から最後までこの基本どおりに動き続ける。しかるに一定の条件が満たされると,そこで「4. ゲーム終了」となる。では,実際にそれぞれのステップを見ていこう。

1. 場からタイルを拾ってパターンラインに置く


 最初,5種×各20枚=100枚のタイルは,すべて袋に収納されている。このタイルを,最大9枚(プレイヤーの数で変化)の「ファクトリー」の上に,4つずつ置く。

1つのファクトリー(丸い絨毯状のタイル)に対し,4枚のタイルを置く
AZUL

 手番が来たプレイヤーは,ファクトリーを1つ選ぶ。そしてファクトリーに4つ置かれたタイルから1種類を選んで,そのファクトリーにある同じ種類のタイルをすべて獲得する(従って最大で一気に4枚獲得できる)。
 選ばれなかった種類のタイルは,テーブル中央にまとめて捨てられる(すでにほかのプレイヤーがファクトリーからタイルを取っている場合,テーブル中央には「捨てられた」タイルがあるので,それに混ぜる形になる)。

 このとき,プレイヤーはファクトリーではなく,テーブル中央の「タイルの捨て山」からタイルを選んで獲得することも可能だ。この場合も,獲得するタイルの種類を1つ指定し,その段階で「捨て山」にある同じ種類のタイルをすべて獲得する。

例えばこの状態で,一番手前のファクトリー(黒1枚,青2枚,赤1枚のタイルが乗ったファクトリー)を選んだとする。この場合,黒1枚,青2枚,赤1枚のいずれかを入手し,残りのタイルは真ん中の山に送り込む。また,ここで中央の捨て山を選んだ場合は,赤5枚・黒1枚・水色1枚・黄色1枚・青1枚から獲得するタイルを選択できる
AZUL

 このようにしてタイルを得たプレイヤーは,今度はそのタイルを「パターンライン」に配置する。パターンラインは,上から順番に1・2・3・4・5マスの,階段状のマス目で構成されている。プレイヤーは獲得したタイルを,この階段の何段目に置くかを決める(一度に複数の段に分けて置くことはできない)。

 もし既にある段にタイルが置かれているならば,同じ種類のタイルしか置くことができない。各段にあるマスの数を超えてタイルを置くことになった場合(例えば2マスの段に3枚のタイルを置くと決めた場合),余ったタイルは「フロアライン」に置かれる。ここに置かれたタイルは,勝利得点を減点する要因となる。

パターンラインをタイルで埋めていく。この写真の場合,一番下のラインには赤タイルしか置けない。しかるに,もし赤タイルを4枚置くことになったら,1枚は下に配置されてる「フロアライン」に配置することになる

 各プレイヤーはこのようにして,手番が来るたびに1種類のタイルを獲得し,それをパターンラインに置いていくことになる。場に出ているタイル(タイルの捨て山も含む)がなくなったら,このステップは終了となる。

2. パターンライン上のタイルをウォールに動かす


 パターンラインを1番上(1マスのライン)から順番に確認する。もしそのパターンラインがタイルで埋まっていたら,そのパターンラインからタイルを1枚取り,ウォールに移動させる。ウォールには5種類のタイルがそれぞれ1マスずつ描かれているので,該当するマスにパターンラインにあるタイルを配置する。

 このとき2マス以上ある段においては,必然的に「あまり」が発生することになる(例:3マスで構成されたパターンラインから1つ,ウォールにタイルを動かした場合,タイルが2つ余る)。
 この「あまり」は,箱の蓋などを使って隔離しておく。袋からタイルを取りだしてファクトリーに置くときに袋が空っぽだったなら,「あまり」としてはじかれたタイルをすべて袋に戻し,ファクトリーへの補充を続行する。

 また,パターンラインによっては「4マスのパターンラインなのに,タイルが3つしか置かれていない」といったことも起こる。この場合,ウォールへのタイル移動は行えず,またこれらのタイルが「あまり」としてこのターン中に捨てられることもない(以後のターンでこのラインが一杯になったら,ウォールにタイルを1つ動かし,「あまり」をはじくという作業を行うことになる)。

先程の状態ですべてのタイルが分配され,ウォールへの移動が始まったとする。まず1番上のライン(すべて黒で埋まっている)から,黒いタイルを右のウォールの同じ行へと移動させる(例えば赤タイルが置かれているマスの右隣)。上から2段めのラインもすべて黒で埋まっているので,黒いタイルを1枚,右のウォールの同じ行へと移動させる。そうするとパターンラインに黒タイルが1枚余るが,これは写真中央にある「場外」へと移動させる。以下,3段目,4段目,5段目のパターンラインを処理していく。5段目のパターンラインはタイルで埋まっていないので,ウォールへの移動は行われない
AZUL

3. ポイントを得る


 ウォールへのタイル配置と並行して,ポイントを得ていく。ウォールにタイルが置かれた場合,そのタイルがほかのタイルと縦横いずれも隣接していないなら,1点を得る。もし,ほかのタイルと縦か横かで隣接した場合,獲得できるポイントが増える。

 例えばあるウォールにおいて,水平に2つのタイルが連続して配置されていたとする。これに連結するように新たにタイルを置いた場合,「水平に3連続するタイルが置かれた」とカウントされ,3点を得る。
 同様に垂直方向も確認する。垂直に2つのタイルが連続して配置されていたその先にタイルが配置された場合,「垂直に3連続するタイルが置かれた」とカウントされ,3点を得る。

再び先程の状態で,ウォールにタイルが移動することによるポイントを見てみよう。まず一番上のラインで,黒タイルがウォールに移動する。この黒タイルは,先にある赤タイルに隣接して置けるため,「横2枚の連続」を構築し2点が得られる。続いて2段目の黒タイルをウォールに移動させるが,これはタイルに隣接するように置けないので1点しか得られない。続いて3段目の赤タイルがウォールへ移動する。この赤タイルは,2段めで置いた黒タイルと縦で隣接するので「縦2枚の連続」を作ったことにより2点が得られる

 そして,縱横への連結は同時に起こり得る。例えば,斜めに隣接するタイルが2個あるところに,その両方に接するようにタイルを置いたとする。するとこれは「水平方向に2連続」「垂直方向に2連続」を作ったことになるので,合計で4点が入る。

この写真の場合,上から2段めのパターンラインから黒タイルがウォールに移動する。移動した黒タイルは,赤タイルと横で隣接するだけでなく,水色タイルとも上で隣接する。これによって「横2枚の連続」と「縦2枚の連続」が同時に発生したので,2+2で4点を得る
AZUL

 このようにしてプレイヤー全員が自分のパターンラインからウォールにタイルを移し,得点計算が終わったところで,最後にフロアラインを見る。フロアラインにはペナルティが表示されているので,得点からそのペナルティを差し引く。
 ここまで計算が終わったら1.に戻り,まずはファクトリーにタイルを補充してから,再び各プレイヤーはそれぞれタイルを取っていくことになる。

4. ゲーム終了


 このようにしてタイルの争奪戦は続いていくわけだが,当然ながらこの戦いにも終わりはある。AZULでは,誰か1人が「いずれかの段のウォールの横一列をすべて埋めた」段階で,ゲームは終了するのだ。
 ゲームが終了したら,ボーナスポイントを計算する。ボーナスは以下のとおり。

  • ウォールに同じ種類のタイルが5つ置かれている=10点
  • ウォールにおいて,垂直方向に5枚のタイルが並んでいる=7点
  • ウォールにおいて,水平方向に5枚のタイルが並んでいる=2点

 見てのとおり,コンプボーナスは非常に強烈だ。また垂直ボーナスもかなり大きいので,ウォールを埋めるときは,この最終ボーナスを想定しながらプレイしたい。

この場合,赤タイルが5枚配置されてるので+10点。縦横5枚連続は成立していないので,ボーナスは10点のみとなる
AZUL


「視野」を広げるためには,相当なやりこみが必須


 これ以外にも,ファーストプレイヤーに対する小さなペナルティや,パターンラインへのタイル配置における禁止事項など,細かなルールは存在する。だが原則的に言えば,これがAZULというゲームメカニクスのすべてと言っても構わない。そしてこの構造が,素晴らしく熱い頭脳戦をもたらしてくれる。

中央の「捨て山」に混じっている,数字の1が書かれたタイルが「次のターンのファーストプレイヤーマーカー」。これは最初に捨て山に手をつけたプレイヤーが獲得する(そして必ずフロアラインに行く)。得点ペナルティと引き換えに,次のターンは最初にプレイできるというわけだ
AZUL

 最初に意識すべきは,「どうやったらより多くの点数を取れるのか」を考えることだ。原則論として言えば「縦と横でそれぞれ別々に連続するタイルを作ってから,その2つを連結させる」というやり方は,より高い点数をもたらしてくれる可能性が高い。
 このため「ただウォールでタイルをつなげる」だけでなく,「どのようにつなげ得るのか」「どうつなげたらもっと点数が得られるのか」を考えるのは,とても重要かつ,なかなかに込み入った「読み」を要求される。

この写真の場合,ウォールの右から3マスめ,上から2マスめの黄色タイルを埋めると,横に3連続,縦に3連続を同時に満たせるので,6点が入る。美味しい
AZUL

 だが「どうしたらより多くの点数が取れるのか」を考えられるようになったとしても,それは新たなスタートラインに立ったに過ぎない。
 自分のゲームボードと格闘するのに精一杯という段階を越えたら,次はほかのプレイヤーのゲームボードも見て,「どのタイルを押さえたら効率よく妨害できるのか」「取らせてはいけないタイルはどれか」「どのような取り方をすれば,ほかのプレイヤーが6枚だの7枚だのといった枚数のタイルを捨て場から取ることになって,フロアラインが埋まることによるペナルティを被ることになるのか」といった,いわゆるヘイトドラフトの技術を磨く段階が待っているのである。

筆者がわりと好き放題に(妨害なく)プレイさせてもらえた結果。だがゲームが終わろうとする頃には,「水色だけでなく黄色もコンプしようとしている」ことに気づかれ,ヘイトドラフトで黄色タイル5枚の獲得を阻止された
AZUL

 筆者がプレイした感触で言えば,最初のプレイは自分のゲームボードを見るのが精一杯で,「視野が狭くなっている」ことを自覚しながらのプレイとなった。これでヘイトドラフトまで視野に入れてプレイできるようになるには,相当のやりこみが必要なのではないかと思われる。

 一方,これは本作の弱点ともなり得る。まず,プレイヤーの熟練度が成績に対して強烈に影響を与える。このため,プレイヤーの技量が揃っていない卓でAZULをプレイすると,一方的なゲームになる可能性が高い。
 また,技量が高いレベルで揃っていた場合,驚異の長考ゲームとなる可能性も高い。ガチ勢が勝負するときは,チェスクロックの導入を推奨したいところだ。

 もっとも,では本作が「ゲーマーのためのゲーム」に終始しているかと言えば,そうでもない。
 なにせAZULは,コンポーネントが美しい。色とりどりのタイルを集めて,自分のウォールを構築していくだけでも……いや,ただ単にタイルを触っているだけでも(タイルは手触りが良く,カチカチと小気味よい音を立てる),本作は十分に楽しいのだ。

ゲームをしている風景が,とにかく美しい
AZUL

 とりあえず本稿執筆時の段階では,日本語版が出るか出ないかすら分かっていない本作。とはいえパブリッシャであるPlan B Gamesの前作「センチュリー:スパイスロード」が日本でも展開されていることから,AZULも日本語版が出る可能性は十分考えられる。
 とりあえず筆者から言えることは「見たら買え」である。大事なことなので二度繰り返すが,見たらその場で買って,遊んでみていただきたい。ライトゲーマーからコアゲーマーまで,後悔することは絶対にないはずだ。

「AZUL」製品ページ(英語)

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