2017年12月1日,Googleは,スマートフォンをはめ込むことでVRヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)として利用できるゴーグル「
Daydream View」の第2世代モデルをGoogle Storeで発売した。価格は
1万2000円(税込)で,配送は13日からだ。
2016年11月に発売となった
第1世代モデルは国内発売されなかったので,日本市場には初お目見えとなる。本稿では,東京都内にあるGoogleのオフィスで開かれた新製品発表会の様子と,Daydream View実機の写真を中心にレポートしよう。
Daydream View
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北米市場だと税別,送料無料で99ドルだから,国内価格は妥当なレベルだ。ただ,北米では3色のカラーバリエーションがあるものの,国内で販売となるのは中央の「チャコール」のみとなる
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第2世代Daydream Viewは,北米市場でAndroidスマートフォン「Pixel 2」「Pixel 2 XL」と
同時発表になっていたものだ。Google独自のVRプラットフォーム「Daydream」に対応するゴーグルという点は初代モデルと変わらず。「Day
dre
am
-ready
phone」と呼ばれる対応スマートフォンをゴーグル前面に装着して,
付属のワイヤレスコントローラでアプリケーションを操作する仕様となっている。
発表時点における国内でのDaydream-ready phone認定端末は以下のとおり。Google純正のスマートフォンであるPixelシリーズは,日本では販売されていないため,リストには入っていない。
Andrew Nartker氏(Product lead for Daydream Platform & Hardware,Google)
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ビデオ会議で米国から発表会に参加したDaydreamのプロダクトリードを務める
Andrew Nartker氏は,Daydreamプラットフォームを「スマートフォンベースの高品質なモバイルVRプラットフォーム」と定義し,Daydreamを通じて,初めてVRを体験する人が何百万人も出てくるだろうと,その意義を強調した。
Googleは以前から,スマートフォンを使うVRゴーグルとして,ダンボール製の「Cardboard」を展開している。簡易でカジュアルを指向したCardboardとは異なり,GoogleはDaydream Viewを,モバイルVRに最適化した,より快適で高性能なVRゴーグルであるとしている。Nartker氏は,とくにDaydream Viewの第2世代モデルが採用する光学系について触れ,「モバイルVRではベストな光学系を設計した。PCやゲーム機用のHMDに匹敵する」とアピールしていた。
なお,質疑応答で筆者は,Daydream-ready phoneとして認定されたスマートフォンは,似たようなスペックを備えながら認定されていないスマートフォンと何が違うのか,認定に必要な要件はなにかと,Nartker氏にたずねてみた。
Nartker氏によると,認定スマートフォンはベストなVR体験ができるようにチューニングを施されており,CPUやGPUが高い性能を有することや,スムーズなヘッドトラッキングに必要なセンサー類を備えること,それに加えてクリアでにじみのないディスプレイを備えることが,認定に必要であるとのことだった。そうした理由により,Daydream-ready phone認定スマートフォンでは,VRアプリを快適に利用できるというわけだ。
では,国内発売となるDaydream Viewの実機を見ていこう。
Daydream Viewは,樹脂製の筐体を布系素材で覆った,シンプルでソフトなイメージの外観をしている。頭部を固定するヘッドバンドも柔らかく伸縮性のある素材を使っており,PlayStation VRやRiftのような,既存のVR HMDとはだいぶ印象が異なるところがポイントだ。
公称重量も約261gと軽い。160g前後の重量があるハイエンドスマートフォンを組み込んでも,総重量は420g程度で,大半の10インチ級タブレットよりも軽いほどである。
Daydream Viewのボディは,柔らかい布系素材で覆われている(左)。ヘッドバンドも伸縮性のある布系素材で,頭に被って左右および上側のバンドを調整するだけで,簡単にフィットする(右)
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レンズ部分を覗き込んでみたところ(左)。大きな左右のレンズは固定式で,RiftやViveのように,レンズの間隔を物理的に動かせたりはしない。なお,顔に触れる「フェイスパッド」は取り外し可能とのことなので,汚れたら外して掃除できそうだ。右写真はゴーグルの上部で,前面のフタをゴム紐で引っかけて固定する仕組みが分かる
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前面のフタを開けた状態
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スマートフォンの取り付けは簡単だ。まず,ゴーグル上部にあるゴム紐を外して,前面のフタを開ける。次に,開けたフタに,Google純正のDaydreamアプリを起動した状態のスマートフォンを載せる。アプリの画面下端中央に,センター位置を示す線が表示されるので,それを目安に左右レンズの間に来るよう,スマートフォンを設置すればいい。あとはフタを閉めて,ゴム紐で固定するだけである。
Daydreamアプリを起動してから,スマートフォンをフタの上に載せる(左)。言うまでもないが,ディスプレイ面が顔のほうを向くように置くこと。フタを閉じてゴム紐を固定すれば準備完了(右)。スマートフォンは若干はみ出した状態になるが,映像はレンズに合わせて丸く表示されるので,これでも問題ない
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実際に被った状態。重量が軽いので装着感は良好だ。ちなみに,左右および上下のバンドは,外向きに引っ張ると緩む仕組み。また,上側のバンドは簡単なフックで横方向のバンドに取り付けているだけであるなど,非常に簡易な構造である
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Daydreamコントローラ
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付属のモーションコントローラである「Daydreamコントローラ」は,Bluetooth Low Energy(LE)でスマートフォンとワイヤレスで接続するリモコン状のデバイスだ。前面上部にクリック可能な円形タッチパッドがあり,その下に[アプリ]ボタンと[ホーム]ボタンが並ぶ。側面には音量調整ボタンがあるので,合わせて4ボタンと1タッチパッドを備える。Vive付属のワンド型コントローラや,Rift用のモーションコントローラ「Touch」に比べると,かなりシンプルでボタン数も少ない。
軽く凹んだ円状の部分がタッチパッドである(左)。ちなみに,Daydreamコントローラの充電ポートはUSB Type-C形状だった。右写真は大人の手に持った状態だ。なお,激しく振り回しても飛んでいかないように,ストラップを取り付ける孔もある
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Daydream Viewで見ている映像を,スマートフォンの映像をワイヤレス伝送してテレビに表示するGoogle純正デバイス「Chromecast」を使って表示している様子。映っているのはDaydreamアプリのホーム画面である
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DaydreamはVRアプリ開発者へのサポートが充実
グリー Wright Flyer Studios事業本部 VR Studio部マネージャーの渡邊匡志氏
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今回の発表会には,Daydream対応のVRアプリとして,グリーのVRゲーム「
釣り★スタVR」のデモを体験できたほか,ゲームの開発を担当したプロデューサーの
渡邊匡志氏が登壇し,開発者側から見たDaydreamの魅力についての解説も行われた。
渡邊氏によると,今回披露された釣り★スタVRは,2017年5月に
グリーが行ったイベントで使用したバージョンをベースに開発したもので,北米やオーストラリアなど,すでにDaydreamが販売中の地域では配信中のアプリであるという。国内でも,Daydream Viewの発送開始日である12月13日からプレイできるようになる予定とのこと。
名前から想像がつくとおり,釣り★スタVRは,ガラケー時代に大ヒットした「釣り★スタ」の要素を現代的なVRゲームに落とし込んだものだ。最大6人でのマルチプレイにも対応している。
釣り★スタVRの画面。デモ用に,レアな魚もバンバン釣れるバージョンになっているとのことだった
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釣り★スタの要素をVRゲーム化したもので,100種類の魚を全部釣り上げて,図鑑をコンプリートするのが最終目標という(左)。釣り★スタ10周年記念のイベント版をベースに開発し,Daydreamコントローラを釣り竿のように振って操作するアクションや,マルチプレイヤー要素を取り込んだ(右)
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4人マルチプレイでのVR釣り大会に挑戦する筆者(写真左手前)。コツをすぐにつかめたので,大物を何匹も釣り上げてダブルスコアで勝利するという大人げないプレイを披露
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渡邊氏は,釣り★スタVRの開発を通じて感じたDaydreamのポイントをいくつか挙げる。1つは,多言語対応が標準で用意してあるので,さまざまな国や地域に展開しやすいこと,また,既存のAndroid向けアプリの決済システムやサポートをそのまま利用できるという点も魅力であるという。
また,VRアプリの品質を担保するための仕組みが用意してあることも,魅力の1つであるという。Googleは,Daydream対応アプリに対して審査を行っており,その要件となる「
Daydream App Quality Requirements」というガイドを公開することで,開発者が良質なVRアプリを制作できるようにうながしているという。渡邊氏は,このガイドが非常によくできていると賞賛し,これからモバイルVRのアプリを作ろうという人には,参考になるものだと述べていた。
渡邊氏が挙げたDaydreamの魅力。多言語対応や既存のAndroidアプリで使う決済やサポートシステムが利用できること,Chromecastでの外部出力が行えること,コンテンツ品質の水準を高める仕組みが用意されていること,そして将来登場する一体型VR HMDにも対応できることなどが挙げられた
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そのほかにも,渡邊氏らのチームが使ったゲームエンジン「Unity」のほか,「Unreal Engine 4」といったメジャーな開発環境がDaydreamに対応を済ませていることや,Googleが提供する「Google VR SDK」が充実していること,さらに,VR空間での移動やカメラの動かし方といったVRアプリにおける基本要素のサンプルコードとなる「Daydream Elements」が公開されていることなども,Daydreamの長所であるということだった。
すでに充実した開発環境やサポートが用意されていることが,開発者にとってのDaydreamの利点とのこと
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なお,渡邊氏に,既存のモバイルVR環境であるCardboardや,Samsung ElectronicsのVRゴーグル「Gear VR」向けのアプリをDaydreamに移植するのは難しいのかとたずねたところ,ゲームエンジンが対応していることと,Google VR SDKが充実しているおかげで,移植もスムーズに行えるとのことだった。
2018年初頭に,Daydreamプラットは2.0へアップデート
最後に,遠くない将来にGoogleが予定しているという,Daydreamのアップデートについても説明しておこう。
Nartker氏によると,Googleでは2018年初頭を目標に,Daydreamプラットフォームのアップデート(Daydream 2.0)を予定しているという。とくに重点を置いているのは,VR体験の使い勝手を向上させることと,VR体験の共有である。
たとえば,VRアプリ内からAndroidの通知領域や設定を使いやすくする「Daydream Dashboard」を導入するそうだ。また,VRアプリの映像をビデオ録画する仕組みも導入予定であるとのこと。とかくプレイヤー以外からは何をやっているのか分からないと言われることのあるVRアプリだが,ビデオを録画することで,その様子を共有しやすくなれば,多くのユーザーをVRの世界に引き込みやすくなるのは確かだろう。
Daydream Dashboardの例。VRアプリの上に,Androidでお馴染みの通知やパネルが表示されており,Daydreamコントローラで操作できるようになっている
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ハイエンドのスマートフォンが必要になるというハードルはあるものの,スマートフォンベースのモバイルVR機器としては将来性が有望な製品だけに,Daydream Viewは,ゲーマーにとっても見逃せないデバイスになるかもしれない。