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[CEDEC 2020]VRでの恐怖体験をどのように実現するか。「Last Labyrinth」における,想像力を活用する仕組み
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印刷2020/09/04 13:44

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[CEDEC 2020]VRでの恐怖体験をどのように実現するか。「Last Labyrinth」における,想像力を活用する仕組み

 ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2020」の2日目となる2020年9月3日,「VRでの恐怖体験を作り出すゲームデザインと演出」というセッションが行われた。VR用アドベンチャー「Last Labyrinth」PC / PS4)を開発したあまたの代表取締役社長であり,プロデューサー兼ディレクターの高橋宏典氏と,ディレクター兼ゲームデザイナーの渡邉哲也氏が,同作においてどのように恐怖体験を作っていったのか,その知見を共有した。

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 最初に,簡単にLast Labyrinthについて紹介しておこう。本作は,VR専用の脱出アドベンチャーだ。プレイヤーは,なぜか車いすに拘束されており,顔だけが動かせる状態で,謎の部屋で目を覚ます。そこで出会った少女のカティアとコミュニケーションを取り,部屋ごとに用意されたギミックを解いて,脱出を目指す。
 頭部のレーザーポインターで場所やオブジェクトを指定し,首の動きで「はい」「いいえ」を示すという,非言語のコミュニケーションを用いる形でカティアと接して協力していくため,NPCというよりパートナーのような存在感のあるキャラクター描写が楽しめる。

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 最大の特徴は,謎解きに失敗すると死のギミックが発動すること。それによって,カティアが悲惨な最後を迎える様子を目の前で見せられた後で,同じギミックにより自分も処刑されるという,衝撃的な展開が待ち受ける。処刑パターンは,部屋ごとに異なっているこだわりようで,さまざまな死をVR空間で少女と共に体験することになるのだ。

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 そんな尖ったVRゲームなのだが,高橋氏によると,ホラーゲームや怖いゲームを作るつもりはまったくなかったという。もともと,企画のコンセプトとしては,VRでの新しい体験の実現や,仮想キャラクターとのコミュニケーション,リードアニメーターの福山敦子氏のアニメーションといったことを主軸に考えていたそうだ。
 それらから考えて,人型パートナーキャラとのパズルや謎解きを行うゲームとして,企画がまとまっていった。

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 しかし,謎を解いているだけでは,ゲームの進行がだらけてしまう。それなら,謎解きに失敗したときにドッキリが発動すればいいのではないか。それどころか,ドッキリを超えて死の罠で本当に死ねばいいんじゃないか。
 物騒な思いつきにもほどがあるが,ともあれ,本作は恐怖演出のあるVR脱出アドベンチャーとして作られていくことになった。

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 では,どのようにしてVRに恐怖演出を組み込むのか。映画やゲームであれば,実際に使われている恐怖演出の手法がいろいろとある。効果音やBGM,ライディング,カメラワーク,カット割り,ジャンプスケア(映像と音を極端に変化させて驚かせる手法)などだ。

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 ところが,これらはVRゲームの場合,使えない,あるいは使いにくいことが分かったという。その理由の一つはVRの特性である“主観視点”にある。プレイヤーが実際に向いている方向と,ゲームでの視点がリンクしているため,カメラワークをコントロールできない。
 つまり,ジャンプスケアや,ワッと驚かせる演出(暗闇がゾンビが出てくるとか)を仕込んだとしても,もしプレイヤーが違うところを見ていたら,効果が激減してしまうというわけだ。VRゲームである以上,「カメラワークを使って見せたいものを見せる」という演出は使いにくくなる。

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 そこで本作では,ゲームデザイン段階からの下準備,そして既存の恐怖演出と逆のアプローチという,2軸で恐怖体験を実現したという。
 ゲームデザイン段階では,没入感の向上と視線誘導を意識して,恐怖を感じるためのお膳立てを行った。没入感の向上のために導入したのが,シンプルな操作体系だ。コントローラのボタンをレーザーポインターの起動にしか使わず,あとの操作は首を縦か横に振って意思表示をするだけ。プレイヤーは拘束されているので,手も足も動かせない。そのため,操作が分からなくなることがなく,移動などに意識を取られることもないので,謎解きに集中できるのだ。

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 さらに,動けないということで,カメラの位置が固定化されるため,視線誘導もしやすくなった。動けないともどかしさも生まれ,恐怖感が増すうえに,VRゲームでありがちな酔いも抑制される。

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 しかし,カメラの位置は固定されているとはいっても,プレイヤーの視線まで固定できるわけではない。そこで,部屋のレイアウトを工夫して,「見せたいものを見てもらう」よう誘導している。
 また,見せたいものはプレイヤーの正面140度の範囲に配置しているが,これは人間の視野角が120度なので,首を少し動かすだけですべて見渡せるようにという配慮からだ。
 とくに重要なオブジェクトや演出は,正面100度の範囲で発生させる。主要なVR機器の視野角は100度から110度であるため,これを超えると見逃す可能性が高くなってしまうそうだ。

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 続いては,既存の恐怖演出と逆のアプローチについて。先に述べたように,強制的に視点を移動させるカメラワークなどでの演出は,VRには向いていない。そこで,感情のコントロールを意識して,プレイヤーの想像に任せた恐怖演出を取り入れることにした。

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 本作の死亡表現は,謎解き失敗による死のギミックだ。これによりカティアが死亡し,その後プレイヤーも死亡する。
 例えば,あるギミックでは,カティアの上に吊り天井が落ちてくる。カティアは懸命にこれを避けるが,何度目かの吊り天井により,ついに潰されてしまう。それを目の前で見せられた後,動けないプレイヤーの上にも落ちてくる……といった流れだ。

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 このギミックに,恐怖演出としてどのような意味合いがあるかというと,「死のプロセスをしっかり見せる」ということがポイントだ。まず,カティアの動きや効果音で,プレイヤーは「ギミックに襲われるカティア」に注目することになり,ここで恐怖感と緊張感が高まる。
 そして,カティアの死亡によって,ギミックで何が起こるのかを理解すると同時に,「次はプレイヤーだぞ」という予告演出であることも察する。
 さらに,そのギミックが熱さや痛みなどプレイヤーが想起しやすいものであるほど,自分に向かってくる際の恐怖感も増幅されるのだ。
 つまり,順を追ってプロセスが進むことによる恐怖体験であり,ジャンプスケアとは逆の演出と言える。「これから何か起こりそう」という想像力を刺激し,プレイヤーに死や痛みを想像する時間を十分に与えた後で殺すのだ。

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 カティアの存在も,演出の一部として入念に作り込んでいるという。カティアは非力な少女であり,庇護すべき存在だ。そんな彼女が,プレイヤー自身の指示した結果で悲惨な死を迎えてしまうというのは,罪悪感や喪失感を刺激される。拘束されているため,目の前の少女を助けることができず,見ていることしかできないのだから,なおさらだ。

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 悲惨な死を何度も見せられる本作だが,流血や人体損壊は具体的に描かないという方針のもとで作られている。プレイヤー自身が死亡体験をするため,マイルドにする必要があるというのも理由の1つだが,そうすることで,想像力も刺激しているのだ。
 カティアについても,死亡した顔はできるだけ見せず,死亡シーンも「おそらく酷いことになっているであろう」ことが予測できても,本当に死亡したかどうか分からない表現となっている。
 すべての死の表現は,プレイヤーに想像させるだけのものだ。しかし,想像力により見えていないものが見えてしまい,具体的な表現をされる既存の演出よりも恐怖を感じるというのが,本作ならではの恐怖体験なのである。

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 筆者は,本作を実際にプレイしているが,講演内容のとおり,想像力が恐怖を呼び起こす,目を背けたくなるような悲惨な死の数々が思い出され,なるほどと納得してしまった。こればかりは,VR空間で目の当たりにしないとなかなか伝わらないかと思うので,ぜひ計算されたVRでの恐怖がどのようなものかを体験してみてほしい。

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