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BenQ製ディスプレイ「XL2730Z」レビュー。144Hz&FreeSync対応の解像度2560×1440ドット液晶パネル採用モデルを掘り下げてみる
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印刷2015/05/18 00:00

レビュー

144Hz&FreeSync対応の解像度2560×1440ドット液晶パネル採用モデルを掘り下げてみる

BenQ XL2730Z

Text by 米田 聡


XL2730Z
メーカー:BenQ
問い合わせ先:テクニカルサポートセンター TEL 0570-015-533(平日9:30〜18:00)
税込実勢価格:8万6000〜9万2000円程度(※2015年5月18日現在)
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 ゲーマー向けディスプレイの分野で先頭を走ってきたBenQから,2015年春時点における事実上のフラグシップモデルとなる「XL2730Z」が発売となった。
 XL2730Zは,解像度2560×1440ドットで垂直リフレッシュレート144Hz,中間調(gray-to-gray)で1msという応答速度性能を持つ,27インチワイドのノングレア(非光沢)TN液晶パネルを搭載し,AMD独自のディスプレイ同期技術「FreeSync」に対応するのが特徴だ。

 その実勢価格は8万6000〜9万2000円程度(※2015年5月18日現在)と,なかなかのお値段になっているわけだが,果たしてその実力は出資に見合うものとなっているのか。BenQの日本法人であるベンキュージャパンから製品の貸し出しを受けられたので,その機能や性能をチェックしていくことにしよう。


XLシリーズの最新モデルらしい

多機能さを誇るXL2730Z


製品ボックスには,XL2730Zを構成する3ピースと,ケーブル類,「XL2430T」で初採用となった新型S Switch(旧称:S.Switch)である「S Switch Arc」が入っている。S Switch Arcについては後ほど
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 というわけで,まずはハードウェアを確認していきたいと思うが,XL2730Zは,本体と脚部(スタンドアーム),台座(スタンドベース)の3ピース構成からなるディスプレイだ。
 脚部と台座を付属の蝶ネジで固定のうえ,脚部のツメを本体に差し込めば,組み立ては完了。27インチ液晶ディスプレイといっても,本体部の重量はさほどないので,成年であれば男女問わず,1人でも苦労せず作業できるだろう。

台座は,付属の蝶ネジで脚部と固定する。その「台座+脚部」を机上に置いた状態で,アタッチメント部にディスプレイ本体を差し込むようにすれば固定完了だ。なお,ディスプレイ本体は100×100mm仕様のVESAマウントに対応しているため,規格に沿って製造されたディスプレイアームとも接続できる
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 本体の横幅が実測約635mm。脚部に用意され,軽い力で調節できる上にしっかりと止まってくれるスライド機構により,高さは同425〜570mmの範囲で調整が可能だ。XL2730Zはピボット(回転)にも対応しており,回転させたときの横幅は同372mm,高さが同650〜700mmとなる。

左と中央は高さ調整を行ったところで,右はピボットのうえ,一番低い高さにしたところ。なお,ケーブルは本来,スタンド脚部の穴を使ってマネジメントできるのだが,今回は撮影時のうっかりミスでそれができていないことをお詫びしたい
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こちらはチルト(前後回転)を行ってみたところ。調整範囲は−5〜+20度となっている
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 なお,格闘ゲーマー向けディスプレイ「RL2460HT」で初めて採用された,目盛りで高さを確認できる「Scale Design」(スケールデザイン)は,XL2430Tで,「高さの目印となるマーカー」と「スイーベル用の角度目盛り」も追加される形で発展しており,XL2730Zでは,XL2430Tの仕様をそのまま受け継いでいる。
 普段使っている高さと回転角度を覚えておけば,何らかの理由でディスプレイを移動するときも,すぐに元の状態へ戻すことができるというわけだ。

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XL2730Zのスタンド脚部には,目盛りと赤いマーカーが用意され,高さ調整を行いやすくなっている。単純なアイデアだが,使い勝手は非常によい
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高さ調整のスライダー部とスイーベルの根元に目盛りとマーカーが用意された。後者を実機で紹介するのは,4Gamerだと今回が初めてである

 上の写真で台座の右手前に凹みがあるのに気づいた人もいるだろうが,これは,S Switch Arcを置いておくためのものだ。従来のS Swtichは角張ったマウスのような形状で,台座の左右に取り付けられる仕様だったのが,S Switch Arcでは円柱状になっている。
 もっとも,使ってみた限り,機能的に違いはない。スクロールホイールがメニュー選択,“センタークリック”が「決定」で,矢印マーク入りボタンに「戻る」機能,[1]〜[3]ボタンが設定プリセットの一発呼び出し機能になっているのは,初代S Switchと同じだ。

台座の凹みに収まったS Switch Arc(上)。下は単体で撮影したところだ。S Switch Arcの直径は実測約60mm,高さは同27mm(※スクロールホイール除く)。重量バランスの問題もあって転がりやすいのだが,台座の凹みに入れておけば問題はない
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本体背面で下側を向いて用意されるインタフェース群。左からPCへのマイク入力用となる3.5mmミニピン,S Switch Arc接続用のUSB Mini-B,Dual-Link DVI-D,HDMI 1.4,HDMI 2.0,DisplayPort 1.2a,アナログRGB,USB 3.0ハブ用のUSB Standard-Bとなる
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こちらは本体向かって左側面のインタフェース群。USB 3.0×2と,HDMI入力時のみ利用可能なヘッドフォン出力,本体でパススルーされるマイク入力の両3.5mmミニピン端子が用意される)。ちなみに,XL2730Zはヘッドフォンアンプを内蔵しているが,アナログのライン入力は廃止されている。ヘッドフォン出力はHDMI接続時時にしか利用できなくなった。ここは潔い割り切りということになりそうだ
 話をディスプレイに戻そう。
 入力インタフェースはDisplayPort×1,Dual-Link DVI-D×1,HDMI Type A×2,アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1で,DisplayPortは1.2a対応,2系統のHDMIは片方が2.0対応,もう片方が1.4対応となっている。注意したいのはDVIおよびHDMI 1.4接続時で,調べたところ,1920×1080ドット時に垂直最大120Hz,2560×1440ドット時に同60Hzが上限となっていた。仕様上は,Dual-Link DVIならもう少し高いリフレッシュレートにも対応できるはずだが,EDID(Extended Display Identification Data)で設定可能なリフレッシュレートを抑えてしまっているようだ。

 したがって,XL2730Zの場合,仕様上の最大リフレッシュレートである144Hzを利用するには,PCとDisplayPort 1.2aかHDMI 2.0で接続する必要がある。ここは,「XL2730Zクラスのディスプレイを購入する人で,DisplayPort 1.2aにもHDMI 2.0にも対応しないグラフィックスカードを使っているようなケースはまずないから,実用上の問題もない」ということなのかもしれない。

 さて,本体左側面のインタフェース部には,赤い突起物が見てとれるが,これは何かというと,ヘッドフォン&ヘッドセット用フックだ。押すと,赤い金属製のバーがにゅっと出てきて,ここに掛けられるようになる。以前のXLシリーズだと脚部背面側に用意されており,ちょっと使いづらかったのだが,今回のアイデアはいい。縦回転時に使えなくなることよりも,標準的な利用形態での利便性が優先されたのではなかろうか。

フックを実際に使ってみた様子。こんな感じで利用できる。なお,フック自体は金属製で頑丈であるものの,フックが取り付けられているディスプレイ本体側が樹脂製なので,フックに無理な力がかかると,本体を壊したり倒したりしてしまうおそれがある。使わないときは収容しておいたほうが安全だ
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 ちなみに,XL2730Zはヘッドフォンアンプを内蔵しているが,アナログのライン入力は廃止されており,HDMI接続時時にしか利用できなくなった。ここは潔い割り切りということになりそうである。

本文で触れるタイミングがなかったのでここで紹介するが,XLシリーズ伝統の「大会などへ持っていくときにディスプレイ全体を覆うカバー」は今回も付属する。手触りがゴワゴワした感じのビニール製で,あまり高級感はないのがちょっと残念だが,こういうのは実用本位か。日本でこれのお世話になる人はごく少数だろう
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S Switch ArcとDisplay Pilotで

ディスプレイ設定は細かく,容易に調整可能


 続いては機能面をチェックしていきたい。
 27インチの高精細TN型液晶ということで,角度による色の変化が気になる人もいるだろうが,結論からいうと,その心配は杞憂だ。XL2730Zが採用するのは高級TNパネルのようで,少なくとも画面に正対して50cm以上離れていれば,色ムラは気にならない。よほど神経質な人や,TNパネルは生理的に受け付けないという人でもない限り,不満は出ないのではなかろうか。

TNパネルなので,角度を付けると色変化が露骨に生じるものの,正面から50cm以上離れて見る限り,色ムラはまず気にならない
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OSDメニューの「ゲーム設定」。AMAが入っておらず,一方でブルーライト低減機能の項目が入っていたりもするが,基本的にはここに集約されている
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 ゲーマー向けの画質や液晶パネルの応答速度に関する設定は,従来のXLシリーズやRLシリーズに搭載されてきた機能が受け継がれている。主要なものを下にまとめておくが,「XL2420TE」で初採用となった「ブレ削減」以外は,従来のXL&RLユーザーにもお馴染みのものだろう。

  • Black eQualizer:画面の明るさやガンマ値を補正し,暗部を浮き上がらせ,暗めのシーンでも敵などを見やすくする機能。設定値は0〜20の範囲で1刻み
  • インスタントモード:内部の映像処理回路の処理を一部バイパスして遅延を低減する機能。他社のディスプレイで「パススルーモード」「ゲームモード」などと呼ばれる機能と同じものだ。選択肢は「オン」「オフ」の2つ
  • AMA(Advanced Motion Accelerator):液晶パネルの応答速度を高める,いわゆるオーバードライブ機能。選択肢は「オフ」「高」「プレミアム」の3段階となる
  • 画面モード:17インチから24インチまでの,スクエアあるいはワイドタイプのディスプレイサイズとアスペクト比を実現する,いわゆるパネルエミュレーション機能
  • ブレ削減:バックライトを部分的に明滅させてフレーム間に擬似的な黒挿入を行い,動画をシャープに見せる機能。XL2730Zではリフレッシュレート100Hz以上の設定で利用できる。どちらかというと動画視聴向きの機能だと思うが,本機ではゲーム向け機能として分類されていることに注目したい。選択肢は「オン」「オフ」で,設定は黒挿入区間の長さを変更する「強度」が1〜25まで(※上げるほど暗くなる)と,バックライトを明滅させるエリアを変える「エリア」が0から100までの101段階。エリアを上げるほど広い範囲でバックライトが明滅し,効果を変えることができる

Battlefield 4で比較したBlack eQualizerの設定値と効果の違い。左から設定無効,設定値12,15,20だ。数値を上げるほど暗部が浮き上がるが,輝度やガンマ値を単純に上げるのとは異なり,白飛びを抑えながら明るくなるのが特徴だ。その効果は従来のXLシリーズと変わっていない印象を受ける
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 これらの設定は,「画像モード」という名のプリセットとして用意されている。標準の選択肢は「FPS1」「FPS2」「RTS」「ゲーマー1」「ゲーマー2」「ゲーマー3」「動画」「標準」で,「ゲーマー1」〜「ゲーマー3」をS Switch Arc上の[1]〜[3]ボタンから一発で呼び出せる。また,カスタマイズして使うのが前提となる「ゲーマー1」〜「ゲーマー3」以外の画像モードに対しても,ユーザーは自由にカスタマイズが可能だ。

 ……といった話は従来のXLシリーズと基本的に同じだが,XL2730Zのディスプレイ設定だと,まだ続きがある。PCにインストールしたソフトウェア「Display Pilot Software」(以下,Display Pilot)からも,ディスプレイ関連の設定を行えるのだ。
 Display Pilotは,比較的最近のXLおよびRLシリーズで採用されたソフトウェアで,4Gamerで取り上げるのは今回が初めて。基本的には,OSDメニューに用意された設定項目を変更できるという理解でいいのだが,そこに,「Auto Game Mode」など,いくつかの独自機能が追加されているのがポイントとなる。

Display Pilotのメインメニューは,「ゲーム」「表示」「カラー設定」「オーディオ」「ツール」「システム」という6つのタブに分かれている。基本的にはOSDメニューと同じことができるのだが,そこかしこに独自要素もある。たとえば,「ゲーム」の下にある「Auto Game Mode」がそれだ
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 簡単にいうと,Auto Game Modeは,ゲームタイトルの起動に合わせ,画像モードを自動的に切り替えられる機能だ。それに合わせて,OSDメニュー側には用意されない「BF3」「COD3」「CS GO」「DOTA2」「LOL」といった画像モードが追加されており,ユーザーはこれら特殊な画像モード,あるいは今後BenQから公開される画像モード,さらに自作の画像モードを,OSDメニュー側の「FPS1」「FPS2」「RTS」に割り当てられるようになっている。
 Auto Game Modeに関する主な機能を,以下,スクリーンショットを交えながら簡単に紹介しておこう。

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「ゲーム」にある「ゲーム設定」タブでOSDの「ゲーム設定」相当の設定ができるほか,「Game Modeの保存」欄にタイトル名を入れて「保存」ボタンを押せば自分だけの画像モードとして利用できる。たとえば好みの設定を「BF4」や「GRID」といったタイトル名を付けて保存すると,Auto Game Modeで利用できるわけだ
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「Game Mode Loader」タブでDisplay Pilot側の画像モードを「FPS1」〜「FPS3」のいずれかに上書きして利用できる。また,このタブにある[今すぐ確認]ボタンを押すと,BenQのWebサイトに用意された新しい画像モードをダウンロードすることができるとされる(※執筆時点では用意されていなかった)
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「いつでもゲームモード」タブでは自分でカスタマイズしたり,自作した画像モードをテキスト形式のiniファイルにエクスポートしたり,そのファイルをインポートしたりできる。自分だけの画像モードを大会などに持って行って使えるというのがウリ
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Auto Game Modeで「FPS1」〜「FPS3」に上書きした設定を,「カラー設定」の「画像モード」にある「名前をつけて保存」の機能を使って「ゲーム1」〜「ゲーム3」のいずれかに上書きできる。「ゲーム1」〜「ゲーム3」はS.Switch Arcのショートカットで使える
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ウインドウ下部にある「Auto Pivot」を設定すると,ディスプレイを縦位置や横位置へ変更したとき,デスクトップの表示を自動的に変更してくれる。さらに180度回転や270度回転といった設定もマニュアルで行える
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Display Pilotを使うとディスプレイ大幅にカスタマイズできるが,そのすべての設定内容は「プリセット」として保存できる。また,標準で組み込まれている「工場出荷設定」のプリセットを使って元に戻すことも可能


XL独自機能の多くはFreeSyncと共存可能

FreeSyncの見栄えは素晴らしいの一言


 XL2730Zにおいて重要なことは,いま挙げた大半の機能を,FreeSyncと共存させられることだ。FreeSync有効時に併用できないのは,「ブレ削減」だけである。
 「ブレ削減」はバックライトを明滅させて黒フレームを挿入しているので,フレームの描画時間が一定にならないFreeSyncで使えないのは納得といったところだと思う。

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 「FreeSyncとは何か」という話は,FreeSync対応ディスプレイが登場したときのテストレポートを参照してもらえばと思うが,一言でまとめるなら,液晶パネルのリフレッシュレートをGPU側のフレームレートに合わせてしまおうという技術だ。NVIDIAの「G-SYNC」と似ているものの,FreeSyncだと液晶ディスプレイ側に専用モジュールを組み込んだりする必要がないことと,ベース技術が「Adaptive-Sync」としてディスプレイ技術の標準化団体であるVESA(Video Electronics Standards Association)によって採用されていること,そして,V-SyncオンとV-Syncオフで挙動が変わることが違いとして挙げられるだろう。

 FreeSyncはVsync設定と独立した機能になっており,FreeSyncの有効時にVsyncを無効化すると,フレームレートの上限が抑えられたりしない代わりに,フレームレートがディスプレイ側のリフレッシュレート上限を超えるとテアリング(※画面がズレたような表示になる現象。詳細はFreeSyncテストレポートを参照のこと)が発生する。一方,Vsyncを有効化すれば,フレームレートの上限がディスプレイ側のリフレッシュレート上限に抑えられる代わりにテアリングは発生しないようになっている。

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R9 290X LIGHTNING
メーカー:MSI
問い合わせ先:MSIサポートページ
実勢価格:8万6000円前後(※2015年5月18日現在)
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R9 290X LIGHTNING搭載PCとDisplayPortケーブルでXL2730Zと接続すると,すぐにCatalyst Control CenterからFreeSyncの有効化を行えるようになった
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FreeSyncを有効にしてもリフレッシュレート144Hzの設定が可能だった(※画面はGRID Autosportの「VIDEO MODE CYCLE BUTTON」設定)
 さて,先のテストレポートで使ったLG Electronics製ディスプレイ「29UM67-P」の場合,ディスプレイ側にFreeSync機能の有効/無効を切り替える設定があったが,XL2730ZのOSDメニューにFreeSync関連の設定はない。対応グラフィックスカードが差さったPCとXL2730ZをDisplayPort接続するだけで,FreeSync対応ディスプレイとして認識される仕組みである。
 今回はMSIの日本法人であるエムエスアイコンピュータージャパンから「R9 290X LIGHTNING」を貸し出してもらい,本カードを使ったのだが,FreeSyncを有効化するのにディスプレイ側の特別な手続きは不要だった。

 「FreeSyncに対応したディスプレイ製品の一部には,FreeSyncを有効にすると最大リフレッシュレートが低下するという問題が発生中」という話もあるようだが,少なくともXL2730Zに限れば,そのようなトラブルはない。FreeSyncを有効にしても最大144Hzのリフレッシュレートを利用可能だ。

 今回はFreeSyncの効果がわかりやすいレースゲーム「GRID Autosport」を中心に試してみたが,144Hzの高リフレッシュレートと2560×1440ドットの高解像度におけるFreeSyncの効果は絶大の一言に尽きる。画面の先鋭さと異様なまでの滑らかさが同居した,異次元の映像だ。この環境でのゲームを一度体験すると病みつきになること間違いなし,と断言できるほど「すごい」のである。

 今回は,R9 290X LIGHTNINGを「Core i7-4770T」と組み合わせたPCで,GRID Autosportの解像度を2560×1440ドット,ゲーム中のグラフィックス品質設定をプリセット「ハイ」に設定。こうすると,画面に大きな変化のない走行シーンで180fps台,最も負荷の高いシーンでで80fps台と,フレームレートのブレが大きくなる。この状態でFreeSyncを有効にし,カシオ製のハイスピードカメラ「HIGH SPEED EXILIM EX-FH100」(以下,EX-FH100)から240fps設定で実際のゲームシーンを撮影してみた結果が下のビデオである。ビデオでは,Vsync有効時と無効時の結果を横並びにした。

 Vsync有効時では,テアリングのない,滑らかな映像になっているのが分かるだろう。一方,Vsync無効時だと,とくに変化がない走行シーンにおいてテアリングが確認できるものの,全体としては滑らかだ。
 もっとも体感上はVsync有効時のほうが一段上なので,基本的に,FreeSyncを利用するときはVsync有効がお勧めかなという感じである。



 いずれにせよ,2560×1440ドットの高解像度とFreeSync,そして27インチの大画面における144Hzの高リフレッシュレートは本当にトンデモない映像体験をもたらしてくれる。言葉で満足に説明できないのが残念でならないが,機会があればぜひ体験してみてほしいと思う。


内部遅延や液晶の反応速度に問題は見られない


 最後に,表示の遅延や液晶の反応速度をチェックしておこう。といっても,4Gamerのテスト用リファレンス機であるBenQ製ディスプレイ「XL2410T」で対応できるのは1920×1080ドット,垂直リフレッシュレート120Hzが上限になるので,その表示での比較しかできない。また,現時点ではDisplayPort 1.2aを制限なしに分岐できるスプリッタが調べた限りでは見当たらないということがあり,DisplayPortを使ったリファレンス機との比較もいまのところ不可能だ。
 なのでいつものように,接続にDVIを利用し,1920×1080ドットの解像度でリファレンス機と比較するに留まる。その点はあらかじめお断りしておきたい。

4Gamerで独自に用意したDual-Link DVIスプリッタ。仕様上は垂直リフレッシュレート85Hzまでの対応となる
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 また,垂直リフレッシュレートが120Hzの場合,4Gamerで確保しているGefen製の業務用Dual-Link DVI-Dスプリッタ「1:2 DVI DL Splitter」(型番:EXT-DVI-142DL)を用いた2分割出力は行えないので,2基あるDual-Link DVI出力で出力タイミングが完全に同じであることを確認済みの「GeForce GTX 480」リファレンスカードを使う。

 ……とお断りするつもりだったが,今回ばかりは状況が異なる。というのも,今回はGefen製スプリッタで解像度1920×1080ドット,リフレッシュレート120Hzでの2分割出力が行えてしまったからだ。これは前出のR9 290X LIGHTNINGでも,GeForce GTX 480カードの両方で確認済みである。
 「なぜ分割できたのか」は推測するしかないのだが,Gefen製スプリッタは,2ポートある出力のうちPC側から1番側に接続されたディスプレイのEDIDを認識する。そのため,ディスプレイ出力の設定も1番側に接続されたディスプレイに基いて行われる。
 筆者はテスト機を1番につなぐようにしているので,今回はXL2730Tの設定に基づいてDVIの信号が設定されたことになる。1番につなぐディスプレイによって120Hzが通ったり通らなかったりするという現象が起こるのは,1番につなぐディスプレイのEDIDに関係していると見るのが妥当だろうと推測している。

 いずれにしても,スプリッタを使って120Hzのテストができたのは良いことで,従来に増して正確なテストができていると思う。

 さて,テストしてみるとXL2730Zではリフレッシュレート120Hzと60Hzとの間に違いが見られなかったので,以下テスト結果は120Hzの設定を中心に取り上げていくことにしたい。まずは表示遅延の性能からだ。
 というわけで今回は,PCから「RefreshRateMultitool」を実行し,XL2730ZとXL2410Tを横並び比較することにした。撮影にはEX-FH100を用い,ここでも240fpsでのハイスピード撮影を行っている。XL2410Tの設定はFPSモード,インスタントモードはオンという,最小の遅延が得られる設定だ。一方,テスト対象のXL2730Zでは画像モードを「FPS1」のデフォルト設定に切り替えたうえで,インスタントモードを「オフ」「オン」と切り替えている。

 RefreshRateMultitoolは,画面に描かれたマスの中を1フレームごとに移動する白い四角の位置で2台のディスプレイの速度差を見るツールで,マスの数は任意に変えられる。そこで今回は120Hzに対応させるため10×12のマスを表示させてテストしている。
 その結果が下のビデオで,比較してみると,XL2730Zのインスタントモードを無効化した場合,対XL2410Tにおいて,非常にわずかながら,表示の遅れを確認できた。一方,XL2730Zのインスタントモードを有効化にすると,今度はほんのわずかだがXL2730Zのほうが遅延が小さい可能性があるフレームを確認できた。あくまでも小さい違いであるものの,XL2730Zの内部遅延はXL2410Tより改善されている可能性がある。


 全画面で表示させる限り,XL2730Zの内部遅延は小さいが,画面モードを切り替えたらどうだろうか。先に紹介したとおり,XL2730Zは,17インチのアスペクト比4:3から24インチのアスペクト比16:9まで9種類の画面モードをパネルエミュレーションでサポートする。そこで,XL2730Zの画像モードを「FPS1」を固定しつつ,画面モードのみを切り替えながら比較してみることにした。比較対象であるXL2410Tの設定は先ほどと同じだ。

 その結果が下のムービーで,17インチのアスペクト比4:3時や19インチの3通り,さらに23インチで,ほんのわずかに遅れたフレームが見られる。
 もっとも,遅れは1フレームよりはるかに小さい。120Hz設定で,1フレームが約8.33msになることを踏まえるに,パネルエミュレーション利用時にも,体感できるような遅延は生じていないと言っていいだろう。


 「ブレ削減」の有効化によって遅延状況がどう変わるかも調べてみることにした。ここでは,XL2730Z側のブレ削減機能を有効化し,「強弱」設定を10,「エリア」設定を10と,どちらもデフォルト状態に指定している。
 やはりテスト結果は下にビデオでまとめたが,黒挿入によって多少の遅延が起きるのではないかという予測に反し,遅延が有意に増えることはないようだ。XL2730Zのバックライトは確かに明滅しているものの,白枠の移動にはほとんど影響が出ていない。


 液晶パネルの応答速度も見ておきたい。中間調で1msとされるパネルの応答速度だが,前述のようにXL2730Z側には,応答速度を向上させるAMAがあるからだ。
 ここでは,EIZOが配布している「EIZO Motion Blur Checker(Beta)」を使い,4Gamerの壁紙を1フレーム1ドット単位でスクロールさせ,それを240fpsで近接撮影することにした。XL2730Zの設定は画像モードは「FPS1」で,入力はリフレッシュレート144Hzに設定している。

 144fpsの映像を240fpsで撮影している関係で,ロゴの移動速度が早く,少し分かりにくいが,AMAの設定を「オフ」「高」「プレミアム」と変更するにつれ,移動時におけるロゴの輪郭がシャープになっていることは,下のビデオから見て取れると思う。また,従来のXL&RLシリーズだと,AMAを「プレミアム」に設定するとゴーストのようなにじみが出るケースが多かったが,XL2730Zでは意外に目立たない点も指摘しておきたい。パネル解像度が高いために目立たないのか,副作用を何らかの工夫で押さえたからなのかは判断できないが,XL2730Zでは,「プレミアム」でも見た目の不自然さが減っている。
 プリセットの画像モード「FPS1」「FPS2」「RTS」はすべてAMAが「高」で,「プレミアム」は選択されていないが,実際に使ってみて違和感がないなら,シャープな反応を求めて「プレミアム」を選んでみるのも悪くなさそうだ。



高価だが「価格相応」といえるXL2730Z

FreeSync付きの高機能モデルを探しているならアリ


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 以上,長々とXL2730Zを紹介してきたが,なんといっても,解像度2560×1440ドット,垂直リフレッシュレート144Hz設定時のFreeSyncで得られるゲームの映像は素晴らしいの一言である。
 XLシリーズらしい機能群,そして,S Switch ArcとDisplay Pilotがもたらす高い使い勝手も大いに評価できるところだ。Display Pilotはやや上級者寄りだが,それが使いこなせなくてもS Switch Arcがあるというのは心強い。

 これほどの機能と性能を実現しているディスプレイはほかになく,その意味において,8万6000〜9万2000円程度(※2015年5月18日現在)という実勢価格は,確かに高価であるものの,実力相応と言ってもいいのではなかろうか。問題があるとすれば,FreeSyncを利用できるGPUの数が現時点では極めて限られることくらいだ。

 世間的に注目されている4K解像度は垂直リフレッシュレートが60Hz止まりのものが多く,ゲームにおいて60fpsを達成するハードルも高いことを考えると,シングルGPUシステムを使ってのゲームプレイにおいて,2560×1440ドットというのは,十分にアリな解像度といえるように思う。
 万人向けとは口が裂けても言えないが,購入して後悔することはまずないディスプレイだとまとめておきたい。

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ベンキュージャパンのXL2730Z製品情報ページ

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