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プロゲーマー監修のBenQ製ディスプレイ「XL2410T」レビュー。満を持して登場のリアル120Hz表示モデルは買いか?
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印刷2010/12/24 00:00

レビュー

満を持して登場の「プロゲーマー監修のリアル120Hz対応液晶ディスプレイ」は買いか?

BenQ XL2410T

Text by fumio


XL2410T
メーカー:BenQ
問い合わせ先:BenQテクニカルサポートセンター TEL 044-288-9110(月〜金曜日 9:00〜17:00)
実勢価格:3万9000〜4万3000円(※2010年12月24日現在)
画像集#002のサムネイル/プロゲーマー監修のBenQ製ディスプレイ「XL2410T」レビュー。満を持して登場のリアル120Hz表示モデルは買いか?
 BenQの「XL2410T」は,2010年11月26日に国内発売された,23.6インチワイド,ノングレア加工のTNパネルを採用する液晶ディスプレイだ。解像度は1920×1080ドットで,垂直周波数120Hz入力に対応するのが大きな特徴となっている。

 いわゆる倍速駆動ではない,純粋な120Hz入力対応ディスプレイは,NVIDIAの3D立体視技術「3D Vision」に対応するものがほとんどで,液晶ディスプレイメーカーも,3D立体視対応をウリにすることが多い。だがその一方で,120Hz入力を“そのまま”使うことで,従来の液晶ディスプレイとは次元の異なる,ヌルヌルした映像が得られるということは,LG Electronics製ディスプレイ「W2363D-PF」(以下,W2363D)のレビュー記事でお伝えしたとおりである。
 ディスプレイの主流がCRTから液晶に変わったとき,低リフレッシュレートのがくがくしたゲーム画面に辟易としながらもそれに慣れざるを得なくなった我々にとって,3D立体視とともに現れた120Hz入力対応液晶ディスプレイは,福音とも呼ぶべき存在なのだ。

製品ボックスに,SpawNとHeatoNの写真がプリントされている
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 120Hz入力に対応したXL2410Tも,その素晴らしい存在の一つだが,他社製品よりかなり遅れての登場となったこともあって,先行する他社製品からいくつか差別化が図られている。その最たる例が,ZOWIE GEARとの協力体制の下で開発され,Counter-Strikeの元プロゲーマー,Abdisamad“SpawN”Mohamed氏とEmil“HeatoN”Christensen氏が,開発に関わっているということだろう。
 デバイスに強いこだわりを持つプロゲーマーは,ブラウン管に比べて遅延や残像といった面で明らかに劣る液晶ディスプレイを長年にわたって避けてきたが,そんなプロゲーマーのなかでも,かつてプロゲームクラン「SK Gaming」に所属し,数々の世界大会で勝ち抜いてきた,文字どおり伝説級の2人が開発に関わったとなれば,否応なく期待は高まろうというもの。

 今回4Gamerでは,ベンキュージャパンから製品の貸し出しを受けられたので,その特性をじっくり掘り下げてみることにしたい。


入力端子は少なく,完全にPC用途向きと見るのが正解?

ピボット対応で縦型表示が可能なのはうれしい


本体はプラスチック感の塊といった印象で,高級感とは無縁。ただ,ムダな光沢がないのは歓迎したい
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 まずはハードウェアを概観してみよう。冒頭でも述べたとおり,XL2410Tは,ノングレア加工された,TN型のフルHD液晶パネルを採用する製品だ。先行して市場投入されている他社のリアル120Hz入力対応製品と同じ,ともいえるが,LEDバックライトを搭載してきたのは,消費電力という観点から歓迎できそうである。
 実際,リアル120Hzモデルとして初めてLEDバックライトを採用するXL2410Tの公称消費電力値は「最大40W,標準33W」で,W2363Dの「通常使用時49W」と比べると,確かに低い。

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各種入力端子はすべて,本体部の背面に,下を向いて配置されている
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製品は本体+スタンドと台座の2ピースで製品ボックスに収まっている
 入力インタフェースはDual-Link DVI-D,D-Sub 15ピン(アナログRGB),HDMI各1系統。HDMI入力時に限り,本体側面に用意されたミニピンのヘッドフォン出力からサウンドも出力できる。
 HDMIが1系統だけというのは,据え置きゲーム機を接続するとき不便の原因になりそうだが,3系統入力という割り切りからは,基本的にPCゲーム向け製品と理解するのがおそらく正しいだろう。

 ちなみにスタンドは標準で本体側の100×100mm型VESAマウントホールに直接取り付けられた状態で製品ボックスに収められているのだが,この時点で液晶パネルは90°回転した状態になっており,「標準で縦型表示に対応します!」という,これ以上ないアピールとなっているといえるかもしれない。
 縦型表示に対応した,もしくは縦型表示パッチの用意された縦スクロールSTGを,できる限り大きな画面でプレイしたい人にとっては,かなり大きなポイントだ。

縦型表示に対応したケイブのXbox 360用縦スクロールSTG「怒首領蜂大復活Ver1.5」。ゲーム側のオプションメニューから,縦型表示に向けた細かな設定を行え,横型表示時よりも大きなゲーム画面でプレイできるようになっている
(C)2008 CAVE CO., LTD. (C)2010 CAVE CO., LTD.
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 公称の視野角は横型表示時に上下160°,左右170°と広め。ただ,TNパネルということもあって,実際には,ディスプレイと相対する角度によっては色合いが多少変わって見えることになる。真っ正面から画面に相対する場合は何の問題もなく,より大きなゲーム画面を享受できる一方,2人プレイ時などは,座る場所によって,やや色浮きが目立ち,色合いが違って見えることがあったので,この点は押さえておく必要があるだろう。

スタンドを軸にディスプレイを左右方向へ各45°振れる首振り機能(スイーベル)に対応しているので,横型表示させた状態から,正面(左)と,左方向へ45°振った状態(右)で比較してみた。角度を付けすぎると,色浮きが目立ち始める
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 なお,スタンドは支柱が太く,がっしりと安定感がある。縦型表示,首振りのほか,上20°,下5°の傾斜(チルト),そして高さ調整にも対応と,表示周りの機能は一通り用意されている格好だ。

左は横型表示,中央は縦型表示時の高さ調整可能な範囲を示したもの。最大130mmの調整が可能ということもあり,本体部はけっこう持ち上げられる印象だ。ちなみに本体サイズは横型表示時に570(W)×181.3(D)×347.4〜477.4(H)である。右は上下チルトの様子を撮影したカット
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横型表示時に,本体向かって右下の側面(=底面)にボタンが用意されている。物理的なスイッチなので,タッチパネル式よりは手応えがある分操作しやすいが,それでもOSDメニューの深い階層まで弄ろうとすると,[MENU]と[ENTER]のボタンをつい押し間違えがちで,ストレスがあった
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「PBP」(Picture By Picture)という,2つの映像入力を横に並べて表示するモードもあるが,これをスイッチで切り替えるのはやや面倒。また,片方の映像入力信号が停止すると画面全体が消えてしまい,元に戻るまで時間がかかるのも使いづらさを覚える。あくまでおまけ的要素か


120Hz独特のヌルヌル感を低解像度でも実現

画面の実サイズをエミュレートする機能も


 応答速度が5ms(中間調は2ms)と,TNパネルらしい応答性能を確保していることも手伝って,PCゲームの120fps映像をソースとしたときの,ヌルヌルとした滑らかな動きは実に素晴らしい。FPSなどの,画面が激しく動くゲームでは違いがよく分かるし,デスクトップ上におけるマウスポインタの動き一つとっても,差は歴然だ。一度慣れたら,一般的な60Hz表示で満足できなくなることは間違いなしだ。

 「で,先行する他社製品と比べて,残像感の少なさや動きの滑らかさに違いはあるのか?」というのが,読者の最も気になるところではないかと思うが,結論から先に述べると,その2点に違いはない。同じようなスペックのTNパネルを搭載しているので,さもありなんといったところだろうか。
 下に示したのは,グラフィックスカードからXL2410TとW2363Dにクローンモードで接続し,無料のFPS「Warsow 0.5」を120fps/120Hzでプレイしたところを,カシオ製のハイスピードカメラ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC150」(以下,EX-FC150)で240fps撮影したものになる。右がXL2410T,左がW2363Dだが,残像感の少なさと動きの滑らかさ,どちらも甲乙付けがたいのが分かると思う。

XL2410TとW2363Dの残像感比較
240fpsで録画し,スロー再生させることで,動きの違いを分かりやすくさせたもの。とはいえ,XL2410T(右)とW2363D(左)で,映像の見え方に違いはほとんどない
(C)Warsow 2010

解像度をネイティブ以外のものに変えてもきちんと120Hzで動作していることが,OSD上の表示から分かる。示したのは640×480ドット時の例
(C)2004 Valve Corporation. All rights reserved. Counter-Strike, the Counter-Strike logo, Valve, the Valve logo, Steam, the Steam logo, and Half-Life are trademarks or registered trademarks of Valve Corporation.
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 これは意地悪く言えば「動きの滑らかさだけ見るなら,XL2410Tでなければならない理由はとくにない」ということでもあるのだが,であれば「XL2410Tならではのポイント」はどこにあるのかというと,パネルのネイティブ解像度である1920×1080ドットだけでなく,640×480・800×600・1024×768ドットといった解像度でも,120Hz入力が公式にサポートされている点,ということになるだろう。

 実際に各解像度を選択後,リフレッシュレートを120Hzに設定したところ,OSDで120Hz入力を確認でき,ゲームプレイ時にも違和感なくヌルヌル感を味わえた。
 W2363Dでは,フルHD以外の解像度だと公式には120Hz表示がサポートされておらず,ユーザー側で対応したり諦めたりする必要があったのに対し,メーカー側で公式に対応してくれるというのは,面倒がなくていい。PC側の性能的にフルHD表示は厳しいとか,そもそも4:3アスペクトでないとプレイしにくいという声に対する解決策としては,優れていると述べていいのではなかろうか。

Counter-Strikeのゲーム画面を,800×600ドットでアスペクト比固定拡大させたところ(上)と,実解像度でディスプレイ中央に表示させたところ(下)。いずれの設定でも問題なく120Hz入力できた
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 ……そもそも,SpawNやHeatoNをはじめとするCounter-Strike有名プレイヤー達のなかには,Counter-Strikeが登場した1999年とは比較にならないスペックのPCが数万円程度の投資で手に入ってしまう現在でさえ,640×480ドット,800×600ドットといった低解像度を好んで選択しているケースが少なくない。これは「解像度が異なるとエネミーモデルやHUDの見え方が異なり,プレイフィールに差が出る」ためで,プロゲーマーともなると,一般人から見ると想像もできないような部分にも譲れないほどのこだわりがあったりするわけだ。そういった“Play Hard, Go Pro”な層に売り込むために,低解像度での120Hz動作は必須だったのだろう。

 解像度とディスプレイサイズについて続けると,XL2410Tには,17&19インチのスクエアタイプや19&22インチワイドタイプのディスプレイ製品をエミュレートするモード(以下便宜的に「パネルエミュレーション」と表記)が用意されている。筆者個人としては,「オフラインの大会へ参加したとき,公式ディスプレイとしてXL2410Tが用意されていると,自宅の練習環境を簡単に反映させやすくて面白い」とも思うが,個人所有のディスプレイとして,「大会側でディスプレイが規定されているとき,それに向けて練習するためのモード」としての価値があるかというと,正直,微妙だ。

OSDメニューの「画像の詳細」(左)。「画面モード」を選ぶとパネルエミュレーションを選択できる。入力解像度によってはグレーアウトして選択できないものもあるので要注意(右)。なお,左の画面で「スマートスケーリング」とあるのは,いくつかのパネルエミュレーションモードで,画面サイズを拡大する機能だ。0だと純粋なパネルエミュレーションで,100に向かって,純粋なアスペクト比固定拡大に近づいていく。設定値0以外は,パネルエミュレーションにならない気もするのだが……
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パネルのパネルエミュレーションを有効にした例。OSDメニューを見てもらうのが早いかもしれないが,上段は左から17インチ,19インチ。下段は左から19インチワイド,22インチワイド液晶ディスプレイのフルスクリーン表示を想定した画面表示になっている
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表示遅延周りの性能はW2363Dと大差なしも

アスペクト比固定拡大時はXL2410Tが有利


 XL2410Tが120Hz駆動による残像感の少ない動きを実現しているのは分かったが,表示遅延周りの実力はどうだろうか。表示遅延が大きいと,マウスやゲームコントローラなどで操作した内容が画面内で反映されるまでのラグが違和感を生じさせるため,ゲーマーとしてはとくに気になる部分だ。

 そこで今回は,ディスプレイ表示遅延測定ツール「LCD Delay Checker」(Version 1.4)を用い,XL2410TとW2363Dの表示遅延を比較してみることにした。
 撮影に用いるカメラは先ほどと同じくEX-FC150。撮影するフレームレートも240fpsで同じだが,表示遅延比較を行う場合,グラフィックスカード側のクローンモード表示では,物理的な出力インタフェースの違いによる誤差が生じる恐れがある。そのため,グラフィックスカード側のDVI-Iインタフェースから,サンワサプライ製のDVIスプリッタ「VGA-DVSP2」へと1920×1080ドットで出力し,そこからテスト対象となる2台のディスプレイへ分配することにした。LCD Delay Checker,VGA-DVSP2ともに60Hz表示までの対応になっているため,ここでは垂直リフレッシュレート60Hz設定で比較することになる点はあらかじめお断りしておきたい。

 さて,テストにあたって,ディスプレイ側の設定は以下のようにしてある。

  • XL2410T:「インスタントモード」オン,「AMA」オン,画像モード「FPS」
  • W2363D:「ThruMode」オン

 XL2410Tのインスタントモードというのは,スルーモード的な機能。オフにすることもできるが,するだけで表示遅延が1フレーム程度増すうえ,「オフにしなければ解像度設定に制約がある」といった制限もないため,ゲームプレイを前提としたとき,オフにするメリットが感じられない。素直にオンのまま使うべきだろう。
 もう一つのAMAは,高速に動く動画を表示するときに残像感を低減する高速応答技術として訴求されるBenQ独自の機能で,「Advanced Motion Accelerator」の略だ。AMAのオン/オフによる表示遅延の影響はないか,あっても体感できない程度と確認できたので,今回はオンにしてある。

BenQの過去製品ではAMA有効時に残像がひどくなるというものが一部見られたが,XL2410Tにおいてそういった問題はなく,逆に,画期的に何かが改善するということもなかった。上の写真は,画像データを横方向にスクロールさせられるアプリケーションを作成し,4Gamerロゴの群れを高速で動かし,それをシャッタースピード10分の1秒で撮影したところ。左がAMAオン,右がAMAオフだが,大きな違いはない
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 最後に画像モードは,画面の見え方を調整する項目で,「FPS」「ユーザーゲーム1」「ユーザーゲーム2」の3項目は,SpawN&HeatoNによる色合い調整が行われているとのこと。今回はそのなかから,見る限り,暗いシーンの多いFPSで,画面全体を見やすくすべくガンマ値を調整していると思われるFPSモードを選択した。これも設定による表示遅延面への影響はない印象だ。

 というわけで,結果は下に示したムービーのとおり。ぜひ,順番に見てほしい。

ネイティブ解像度での比較
右がXL2410T,左がW2363D。表示遅延はどちらもほぼ同じだが,コマ送りで見てみると,経過時間の下3桁で数字の繰り上がるタイミングは,極々わずかながらXL2410Tのほうが早く見えることがある


パネルエミュレーション設定時の比較
XL2410Tでパネルエミュレーションを有効にした状態でもW2363Dと比較してみた。今回は代表して,19インチスクエア,19インチワイド,22インチワイドを上から順に並べたが,19インチスクエアと22インチワイドはネイティブ解像度表示時と比べても表示遅延に違いなし。一方,19インチワイドのみ,W2363Dよりほんのわずかに遅れた


パネルエミュレーション+スマートスケーリング設定時の比較
スマートスケーリングを利用したときの検証結果は,代表して19インチスクエアのものを示すが,設定スライダーから最大値の100を選択し,アスペクト比固定拡大と同じ見た目にしてみても,表示遅延は拡大していない


アスペクト比固定拡大時の比較
LCD Display Checkerの出力解像度を1280×1024ドットに設定のうえ,XL2410Tを17インチスクエアのスマートスケーリング100に,W2363Dは画像サイズを「オリジナル」にそれぞれ指定したときの比較。W2363Dは全画面拡大表示とアスペクト比固定拡大を利用できるが,後者ではThruModeが強制的にオフになるためか,このようなケースではXL2410Tのほうが1フレーム程度確実に早くなった

 以上,気になったのは19インチワイドのパネルエミュレーション設定時にわずかな遅れが確認されたことくらいで,表示遅延はW2363Dとほとんど変わらない印象だ。そのため,ネイティブ解像度以外で利用したり,パネルエミュレーションを併用したりといった場合には,アスペクト比固定拡大を行おうとするとThruModeが強制的にオフとなるW2363Dよりも,XL2410Tのほうが有利といえるだろう。

 ただし,表示遅延とは別のところで,一点,「AMAを有効にしたとき,横型表示時で一番下のラインに中央向かってやや右のところと,パネルの右端に,それぞれ16ピクセルずつ輝点が表示される」不具合があったことは指摘しておく必要があると感じた。blogや掲示板などを見るに,この現象は,購入したユーザーによっても相当数報告されているので,少なくとも筆者が試した個体特有の不具合ではなさそうだ。
 前述のとおり,AMAのオンとオフで,表示遅延には少なくとも大きな差が生じず,また,オンにしても明確なメリットがあるわけではないので,輝点が気になるなら無効化しておいたほうがいいかもしれない。
 本件についてはベンキュージャパンにも問い合わせているので,公式見解を入手できたら,追記するつもりだ。

AMAを有効にした場合,16ドットほどの,ライン状の輝点が2か所に現れる(上,矢印は4Gamerによる)。下は片方のクローズアップだ。位置的にそれほど邪魔ではないが,AMAを有効化するとこういうラインが出ることは覚えておきたい
画像集#032のサムネイル/プロゲーマー監修のBenQ製ディスプレイ「XL2410T」レビュー。満を持して登場のリアル120Hz表示モデルは買いか?
画像集#033のサムネイル/プロゲーマー監修のBenQ製ディスプレイ「XL2410T」レビュー。満を持して登場のリアル120Hz表示モデルは買いか?


120Hz液晶の選択肢としては有力

輝点に関しては目視での確認が必要かも


価格を考えるとスタンドのデキは立派
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 低解像度でも120Hzで動作する点や,スイーベル&ピボットに対応した機能的なスタンドを持つ点は,ほかの120Hz入力対応液晶にはなかった,XL2410T独自のメリットとまとめられるだろう。パネルエミュレーションは,個人的には使う機会がなさそうだが,スクエア型のディスプレイから移行するにあたって,環境が大きく変わることを意識しなくてもいいという観点からは相応に評価できそうだ。
 また,他社のリアル120Hz入力対応ディスプレイと比べて,価格的にそれほど違いがないのもうれしいところ。機能的には明らかに充実していながら,価格帯は同じレベルにあるというのがXL2410Tが持つ最大の魅力であり,遅れての登場ではあるが,リアル120Hz入力ディスプレイの有力な選択肢となりそうである。

 ただ,AMA有効時の輝点だけは意識しておきたい。画面端の合計32ピクセルが光るだけといえばそれだけで,しかも「煌々と」というわけではないため,実際にゲームをプレイするにあたってそれほどは気にならないし,どうしても気になるなら無効化してしまえばいいだけなので大事には至らないと思うが,それでも,知って購入するのとそうでないのとでは,受け取り方が違うはずだからだ。購入後にもやもやした気持ちを抱きたくない場合は,一度,デモ機のある店頭でチェックしてみるのがいいだろう。

XL2410T製品ページ

  • 関連タイトル:

    XL,XR,RL

  • 関連タイトル:

    ZOWIE(旧称:ZOWIE GEAR)

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