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会社立ち上げの参加資格は「プログラマー」で「独身」
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。
さっそくですが,会社の成り立ちから教えてください。
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前職はタイトーで,弊社の設立メンバーには一緒に「Gダライアス」を作っていたスタッフが多いんです。「Gダライアス」を作っているときから,「将来的に独立するかも」という話をしていました。
ただ,そのときに声をかけたメンバーは基本的にプログラマーで,なおかつ独身。リスクが大きいので,結婚していた人は誘っていません。後日,声をかけなかった方に「なんで誘ってくれなかったの?」と聞かれましたが,「ご家庭があるのに,そんな冒険しちゃだめでしょ?」って答えました(笑)。
4Gamer:
確かにそうですね(笑)。
丸山氏:
「Gダライアス」の開発が終わってしばらくすると,タイトーではコンシューマ機での開発にシフトして,汎用アーケード向けの開発を止めるということになりました。シューティングもしばらく控えると。その当時,「電車でGO!」に力を入れていたときでもあったので,「Gダライアス」を作っていたチームは半分くらいそちらへ移ってしまい,こちらも次作のアーケード物が中止になりコンシューマに移行しました。
4Gamer:
「電車でGO!」はものすごい人気でしたからね。
丸山氏:
私自身,コンシューマのプロジェクトに加わりつつ,もう一度アーケードに復帰できないかと夢見て2年間くらい頑張ったのですが,上司と相談した結果,最終的に「アーケードには戻れません」ということになり,そのとき,以前言った独立という言葉が発動したという感じですね。
4Gamer:
ついに,そのときが来たと。
丸山氏:
アーケードをやれなかったからという単純な理由だけでなく,ほかにも理由はありました。自分で判断して,コントロールして,責任を取るということがしたかったんです。こちらのほうが理由としては大きいですね。そうしたいろんな思いがあって,2000年に独立しました。あとは,通勤で満員電車に乗りたくないとか(笑)。電車の旅は好きだったのですが,通勤電車が非常に苦痛で……。
4Gamer:
それが町田近辺で創業した理由ですか?
丸山氏:
そうですね,当時住んでいたのがその近くだったので,電車で通わないですむことを前提に。
4Gamer:
ほかのスタッフも近くに住んでいたのでしょうか。
丸山氏:
弊社は基本的に,会社から20分圏内に社宅を借りているので,社宅希望者はそこに住んでいました。今は秋葉原に引っ越してきたので,この周辺で社宅を借りようとしたんですが,秋葉原はあんまり住むのにふさわしい場所じゃないですね(笑)。
ゲームを1本作ったら会社を畳む覚悟だった
4Gamer:
2000年当時でも,シューティングはすでにかなり下火になっていたと思うのですが。
丸山氏:
確かに景気が良かったわけではありませんが,タイミングとしてはギリギリ勝負できたという感じです。ドリームキャストもまだ現役でしたし。自分は生粋のセガマニアだったので,セガハードで開発したかったというのも,このタイミングで独立した理由の一つですね。
4Gamer:
独立後は順調でしたか。
丸山氏:
最初はなかなか仕事が見つからず苦労していたのですが,「スペースインベーダー」を作った大先輩の西角(友宏)さんにお会いしたところ,「丸山が困っているから」と助けてくださいました。その仕事というのが,元々自分達が作ったゲームのソースを再利用した別のゲームを移植するというもので,それなら設立したばかりの弊社でも力を発揮できるなと。おかげでやっていける自信になり,次以降の下請けもスムーズにこなせました。
4Gamer:
その後,いよいよ自社タイトルの開発に着手することになると。
丸山氏:
そのまま下請けをやっていたら,同じことの繰り返しですから。そこで,ちょっとしたことからチャンスをいただき,自分達で企画を考えて完成させたのが「どきどきアイドルスターシーカー」(以下,「スターシーカー」)です。
4Gamer:
「スターシーカー」はグレフとして初めての自社タイトルですが,開発から販売,入金までのリスクについて,どう考えていましたか?
丸山氏:
貯金があるのかというと無いんですが,当時は怖いもの知らずだったので(笑)。「スターシーカー」で初めて,ゲームを作ってそれをきちんと流通させるというところまで,いろいろと学ぶことができました。このとき,「このタイミングでお金を用意して,これをすれば,ちゃんとゲームは出来るんだ」というのが分かったので,次にシューティングで「ボーダーダウン」に挑戦することにしたんです。
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4Gamer:
いよいよ得意分野のシューティングに挑戦されたわけですが,世間的にはPlayStation全盛の頃ですよね?
丸山氏:
そうですね。そこでアーケードとドリームキャストですから,正直なところ「ボーダーダウン」を出して会社を畳む覚悟でした。
4Gamer:
えっ!?
丸山氏:
会社はたぶんつぶれるだろうけど,ここで実績を作っておけば,社員もほかの会社に行けるだろうなと思っていました。だから,シューティングを作ることで次につながるとは考えてなかったんです。
4Gamer:
そんな状況だったとは夢にも思いませんでした。
丸山氏:
「ボーダーダウン」のときはバーサーカーモードと言いますか,「とにかくシューティングを作る」という感じでやり切りました。完成させるために,最終的にいろんなものを端折っています。やりたかったことが「10」だとすると,実現できたのは「6」くらい。今企画書を見ると,全然違うものになっていますね。でも,それがかえって功を奏しているところもあって,経験がその後のゲーム作りに生かされています。
4Gamer:
なるほど。
丸山氏:
人やお金が足りないのを言いわけにするのではなく,“一つの運命”と位置付けて割り切って考えるようになったのが,以前から大きく変わったところです。幸い,「ボーダーダウン」が思ったよりも売れて,「おお,もう1本作れるな」と(笑)。
4Gamer:
それが,グレフにとってのターニングポイントになったわけですね。
丸山氏:
実際,「ボーダーダウン」の頃までは3DKくらいのアパートの一室でやっていて,あまり会社らしくない体制でした。その後,岡本が入社するにあたり「独立メンバー以外が来るので,ちゃんと事業としてやっていこう」ということで,そこで“会社”としてのグレフが初めて誕生しましたね。
岡本 稔氏(以下,岡本氏):
独立メンバーの一人が以前,僕の同僚だったんです。それで,前の会社を辞めて「オリジナルゲームを作りたいな」と思っていたところに声をかけられた形です。「うちならオリジナルの企画が通るかもよ」って。
4Gamer:
入社後に驚いたことなどはありましたか。
岡本氏:
本当に企画が通ったことです(笑)。
丸山氏:
このあとの話ですが,岡本が出してきたゲームの企画を膨らませて「旋光の輪舞」が生まれました。入社して間もない社員の企画でも,面白かったら通るんです。なので,そういうのが好きな人にはやりやすい会社かなと思います。
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もしもグレフがRPGを作ったなら
4Gamer:
「ボーダーダウン」以降もシューティングゲームの企画が続くわけですが,ほかのジャンルをやってみたいと思ったことはありますか。
丸山氏:
もちろん,あります。RPGを作りたいというスタッフもいますし,私もアドベンチャーゲームをやりたいと思ったことがあります。ただ,「グレフがRPGを作りました」と言ったとき,それが本当にウリになるのかというところには疑問を感じます。ブランドイメージとしてぼやけてしまって意味がないし,極端な話,もしRPGを作るなら別の会社を立ち上げたほうがいいんじゃないかと。
4Gamer:
丸山さんはプログラマー出身ですが,そうした感覚はどうやって身に付けられたんですか?
丸山氏:
がむしゃらにやってきた結果がこれなので,狙ってやっていたわけではないですね。むしろ,こだわっているのはアーケードでやるというところ。ジャンルよりも,「自分達はアーケードゲームメーカーだ」という立ち位置です。賢く計算しているわけではないし,今,アーケードは厳しいですけれど,最後まで何らかの形で関わっていきたいと思っています。
4Gamer:
少数精鋭でやることへの,こだわりみたいなものはありますか。
丸山氏:
できるならスタッフを増やしたいのですが,社員一人一人が何をやってるのかを把握したいというのはあります。岡本をディレクターとして配置していますが,それでもスケジューリングなどは私が直接やっていますし。ただ,ディレクターを立てている場合,ゲームの中身にはなるべく口出ししないようにしています。
4Gamer:
それはなぜでしょうか?
丸山氏:
口出しすると自分のゲームになってしまいますから。基本的には任せて,足りないところをアドバイスしたりはします。あとは,予算管理や進行管理を見たいなと。そこをうまくアウトソーシングできれば会社が大きくなるのかもしれませんが,これは私のわがままですね。
4Gamer:
そうしたなか,これまでに多数のタイトルを出すことができたのは,開発者からすれば一つの憧れですよね。
丸山氏:
この人数だからこそ,リスクを最小限に抑えられたのかなと思います。小さい会社だと「3回やって1回勝てばいいかな」と。人を増やさなかったもう一つの理由が,大きくなると保守的になってしまうということがありますね。今は,収まりどころが良いといいますか。
4Gamer:
創業から17年,大事にしてきたことはありますか?
丸山氏:
ユーザーさんのためというより,自分達のためにゲーム作っているところはあります。決してユーザーさんを軽視しているわけではないですが,まずは作ってる人間が楽しいと思わなければ,良いものは生まれません。社員を大事にして,良い仕事ができるようにすること。自分の理想からはまだ遠いですが,それが結果として良いゲームが出来ることにつながっていると思っています。
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皆がモノを言える,オープンな環境
4Gamer:
スタッフの意見が会社に方針の合わないこともあるかと思いますが,そのあたりはどのようにコントロールしているのでしょうか。
丸山氏:
コントロールはあまりしていません。新しいアイデアを出すときは,みんなで話し合って,「それ面白いね」となったら次に商売になるかを考えて,最終的にGOサインを出すだけです。それで意見が通らなかった場合は,ちゃんと理由を説明しています。
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企画会議では誰がアイデアを出してもよくて,非常にフラットです。社長の企画であっても面白くなければ却下されますし,一度ダメ出しされても,指摘された点を修正すればもう一度会議にかけることができます。
4Gamer:
現在では分業が進んで,企画を書くのはプランナーの仕事という考え方もありますが,グレフではそれはないと。
丸山氏:
ありません。ただ,企画が通ってリーダーになると,プログラムやデザインがおろそかになってしまうというのを恐れていますね(笑)。
岡本氏:
僕はデザイナーとして入社したんですが,もともと企画もやりたかったので,そちらにも携わっています。3Dモデルを作った翌日に今度はUIの仕様を書いて……ああ,でもこのUIは絵も自分が作るんだっけみたいな(笑)。大変な面もありますが,1つのことをやるより楽しいですね。
4Gamer:
岡本さんから見たグレフを教えてください
岡本氏:
入社前はいろいろな会社にいましたし,他社へ出向もしていましたが,ここが一番自分に向いていると感じています。すごく大きいのが,社長がちゃんとゲームを分かっているという点です。裁量権を持った人が,ちゃんとゲームを分かっていて議論を交わしてくれる環境というのは,なかなかないと思います。丸山の場合は「ここがこうだからダメ」と,自分でも薄々まずいと思っていたところをちゃんと指摘してくれます。
丸山氏:
「そこを言われたら,しょうがない」という感じ?
岡本氏:
そうですね,「そこはちょっと誤魔化してました」みたいな(笑)。
また,ほかの開発スタッフに関してですが,みんなゲームに詳しく制作経験も豊富なので,たとえば仕様に書ききれていなかった部分があっても,ある程度補ってくれたり,ほかのアイデアを出してくれたりといったことがありますし,「今の仕様だとすごく気持ち悪いので,こっちにしませんか?」みたいな提案が自然に出てきます。
4Gamer:
高いレベルで意識が共有されているという印象を受けます。
岡本氏:
みんなゲームが好きで,より面白くしようと考えているので,最初は無理そうなものでも,ちょっとやり方を変えたらできそうだから検討してみようとか,ちょっとやってみたら案外すぐできたんで入れといたよ,みたいなこともあります。他社の現場だと,このへんはプランナーが胃を痛めながら,いろんな人に話を通して頑張らないといけないところです(笑)。
丸山氏:
昔と比べるとゲームの作り方がだいぶ変わったよね。
岡本氏:
開発人数が多くなってくると,システマチックなやり方のほうが効率的ですが,少人数での開発の場合は逆にシステマチックにすることで効率が落ちてしまったり,意思の疎通がうまくいかなかったりということが起きます。少人数で一人がいろいろな部分を担当することで,一人一人が専門化しすぎずに,全体を見ながら制作を進められます。そしてなにより,「ゲームを作っている実感」をスタッフ全員が得られるというのが大きいです。
4Gamer:
長年,一緒にやってきたからこその強みですね。
丸山氏:
おかげで社員の平均年齢がエライことになっていますが(笑)。
4Gamer:
ちなみにスタッフの採用では,どういった面を重視しているのでしょうか。
丸山氏:
採用に関しては,コミュニケーション能力も見ますが,結構クセのある人間が来ますね。普通の人はあんまり来ないかな(笑)。
岡本氏:
普通は,大きいところに行きますからね(笑)。
丸山氏:
面接を受けに来た人が他社のほうに適性があると思ったら,そちらを勧めたり。実際,そうして勧めた他社の内定を勝ち取れた人がいて,最終的にそちらに行かせました。
4Gamer:
えっ,そうなんですか!?
丸山氏:
私の就職時に面接してくれた上司が,フラットな目を持った尊敬できる人でした。だから私も,その人の人生にとってこの会社が適任なのか,後悔する道を選ばせたくないんです。
一番やってはいけないのは,ほかの人の後追いをすること
4Gamer:
ゲームがスマホにシフトして,シューティグにとっても厳しい状況が続いていますが,グレフから見た市況感はいかがですか?
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今,シューティングをパッケージで出すのはハードルが高いですね。ケイブさんがスマホでシューティングをやられていますから,何かしらの形で残るのかなと思いますし,弊社でも何かやっていきたいです。ただ,一番やってはいけないのは,ほかの人の後追いです。
4Gamer:
後追いですか?
丸山氏:
スマホがはやっているからと飛びついてみたら,数年遅くてダメになるとか,それだけはやらないようにしようと。今,VRに行ったら玉砕するだろうし(笑)。
4Gamer:
今後,やっていきたいことはありますか。
丸山氏:
近日中に何かしらの発表を行いますので,もう少しお待ちください。
4Gamer:
楽しみにしています。
では最後に,業界志望者に向けてメッセージをお願いします。
丸山氏:
今の時代に合わせて考えると,「ゲーム=ソーシャルゲーム」になるかもしれませんが,それだけでなく,ゲームが大好きな人に遠慮なく飛び込んでもらえればと思います。そのゲームを作るために,自分が何ができるかを考えて,技量を磨いてほしいですね。そうすれば自ずと道が開けますし,そういう人に出会いたいです。もしゲームの魅力に取りつかれた人がいるなら,ぜひ来てください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。

























