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今年で6度目の開催となるWGC2013。会場となったのはカンヌ国際映画祭が開かれる場所として知られる「Palais des Festivals(パレ・デ・フェスティヴァル)」だ。これは,本大会が大規模な娯楽総合イベントである「Festival international des jeux」の一部門として開催されたためで,格闘ゲーム以外にも,会場ではさまざまな催しが開催されていたのだ。
競技タイトルは計11タイトルにもおよび,さらに3on3と国別対抗5on5を合わせれば,なんと19種目(下の囲みを参照)での開催となった本大会。ヨーロッパ圏だけでなく,日本,台湾,韓国,アメリカなどから多数のプレイヤー達が参加していた。その模様は,昨今の対戦格闘ゲームイベントの例に漏れず,Twitch.tvにて配信されていたので,日本から観戦していた人も多かったのではないだろうか。
今回筆者は,「ソウルキャリバーV」(PS3 / Xbox 360)の選手として本イベントに参加することとなった。イベント開催からかなり日数が経ってしまったものの,本稿では現地の模様を,選手としての体験記を交えて紹介していこう。また,運営スタッフの一人であるThomas “Neithan” Loreille氏へのミニインタビューも併せて掲載する。フランスの格闘ゲーム事情について話を聞いてみたので,そちらもお見逃しなく。
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■競技タイトル
●シングル/3on3/国別対抗5on5が併催されたタイトル
- 「スーパーストリートファイターIV アーケードエディション Ver.2012」(以下,スパIV AE)
- 「ソウルキャリバーV」
- 「THE KING OF FIGHTERS XIII CLIMAX」(以下,KOF XIII。3on3の代わりに2on2が行われた)
- 「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」
●シングルのみのタイトル
- 「ストリートファイター X 鉄拳 Ver.2013」
- 「鉄拳タッグトーナメント2」
- 「Virtua Fighter 5 Final Showdown」(以下,VF5FS)
- 「DEAD OR ALIVE 5 」
- 「ストリートファイターIII 3rd Strike Online Edition」(以下,ストIII 3rd)
- 「ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ」(以下,P4U)
- 「GUILTY GEAR XX ΛCORE PLUS」(以下,GGXXAC+)
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チームジャパンの活躍や如何に? 「ソウルキャリバーV」国別対抗5on5
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この種目にエントリーしたチームは,我々日本のほか,フランス,オランダ,ドイツ,イタリア,そしてロシアのプレイヤーをメインとした混成チームの6チーム。アメリカからの参加がほとんどなかった(全体で見ても,スパIV AEのガイル使いとして知られるDieminion選手のみ)こともあって,そこは少々寂しいものの,自由参加で約6か国が集まれば上々とも言える。
日本チームは伊達男揃いのイタリアチーム,3名のみながらも強豪揃いだったドイツチームを破って快進撃を続け,そして迎えた決勝戦。相手は前評判どおりの強さで,危なげなく勝利を重ねてきたフランスチームである。
先鋒戦,日本チームはマキシ使いのsawazuma選手を一番手に起用した。同選手は前日の交流会でフランス勢相手の勝率が高かったこともあり,まずは手堅く1勝をあげておこうという作戦だ。対するフランスチームは,ピュラΩを使用するKusanagi選手が出て,初戦がスタート。
しかし相手の投げ技を察知する能力が高く,守りの堅いプレイヤーとして知られるKusanagi選手はsawazuma選手の得意の攻めを封じ込め,フランスチームが勝利を収めた。
先手を取られてしまい動揺する日本チームだったが,次鋒に自ら名乗りをあげたのは,プロゲーマー・板橋ザンギエフ選手。いわく,「初見の相手はあまり得意ではないが,情報が揃っているなら力を発揮できる」とのことである。どうやら前日の交流会でも,彼のアスタロスはKusanagi選手をかなり苦しめていたようで,その力強い言葉どおり,高威力の投げをガンガン決めて余裕の勝利。次いで,フランスチームの次鋒・アイヴィー使いの古豪Malek選手,中堅のセルバンテス使いKira選手を次々と撃破し,一気に日本優勢の流れを作る。
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だがフランスチームも黙ってはいない。副将・Skyll選手(ミツルギ)との試合では,しゃがみ投げの空振りが相次ぐ展開となり,連勝はここでストップしてしまう。ちなみに板橋ザンギエフ選手のしゃがみ投げは,「立ち投げが強力な対アスタロス戦では,できるだけしゃがんで戦うべき」というセオリーを逆手に取ったものなのだが,Skyll選手はそれをまた逆手にとり,あえて立ちに徹する作戦だったようだ。「ザンギさん,完全に疑心暗鬼になってました」とは,日本チームの神園選手の談である。
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さて,ここまでで日本vs.フランスの戦いは3-2。残るチームジャパンのメンバーは,筆者(ピュラΩ),神園選手(ヒルダ),デコポン選手(ティラ)の3名となった。対するフランスチームはSkyll選手(ミツルギ),そしてKeysona選手(パトロクロス)の2名だ。
しかしこのSkyll選手の操るミツルギはかなりの曲者で,筆者も神園選手も自信がない。よってここはEVO2013覇者・デコポン選手の出番である。幸いにも,デコポン選手の扱うティラはセットプレイによる攻めが非常に強力なキャラクターだ。ディフェンスに長けた相手を崩すにはもってこいというわけで,その読みどおりにSkyll選手を追い詰め,勝利を手にする。
残る相手はあと1人。フランスチームの大将は,パトロクロスを操るKeysona選手。攻め込みと接近戦に長けたプレイヤーだ。迎え撃つデコポン選手は,受け身ジャストガードなどの超高等テクニックで対抗したものの,Keysona選手の大胆な攻めの前に,あと一歩のところで敗北してしまった。
さて問題は,次に誰が出るかだ。日本チームの残るメンバーは筆者と神園選手。ここでは作戦会議の結果,筆者が出ることとなった。幸い筆者は,前日の交流会でKeysona選手と何度も対戦しており,行動パターンも頭に入っている。まだ日本チームがリードしている状態とはいえ,ここで倒してしまわなければ流れを持っていかれてしまう。
いよいよめぐってきた筆者の出番ではあるが……試合内容は正直ほとんど覚えていない。記憶として残っているのは,勝利の直後にフランスのキッズ達と喜びを分かち合った事実のみである。集中して臨んだ試合というのは,まあ往々にしてそういうものなのだが,あとで動画を見直してみると,勝因は相手の攻めを受ける前に,こちらの攻めを押しつけることができたこと,くらいだろうか。
というわけで,国別対抗5on5は見事,チームジャパンの勝利で決着となった。
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![]() 決勝に臨むsawazuma選手。セコンドには,sawazuma選手と共にチームを組んで戦ったフランスのプレイヤー,Raziel選手の姿も |
![]() シングルトーナメントでは女性プレイヤー同士の戦いも。ほかのタイトルでも,多くの女性プレイヤーの姿が見られた。なお,フランスのプレイヤーはPlayStation 2の純正パッドを変換器を通じて使用していた人が多数だった |
こうして幕を閉じたWGC2013「SCV」部門。5on5以外の種目では早くに負けてしまったため,筆者としては若干悔しさが残るものの,日本人の活躍という観点から見れば,国別対抗5on5優勝,3on3準優勝,シングル優勝&準優勝と,上々の結果と言ってもいいだろう。フランスのプレイヤー達も,この結果を素直に讃えてくれ,「次回はもっと強くなって,必ず勝ちます」と,再戦まで約束してくれた。
一点残念に思うのは,本大会にはフランスの強豪として名高いKeev選手,そしてKayane選手が参加していなかったこと。彼らが参加していれば,結果はどうなっていたか分からないし,より白熱した戦いができたと思うのだが……それはまたの機会に預けておくことにしよう。
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WGC2013運営スタッフの一人,Thomas "Neithan" Loreille氏ミニインタビュー
4Gamer:
まずWGC開催に至るまでの経緯をお聞かせください。
Thomas "Neithan" Loreille氏(以下, Loreille氏):
第1回の開催は2004年のことでしたが,その当時のヨーロッパにビデオゲームの大規模な大会というのはありませんでした。そこで,フランスの各地――パリやリヨン,リールなどでそれぞれ格闘ゲームイベントを主催していた団体が協力しあい,「Festival international des jeux」内のいちブースとして,WGCの出願をしました。それが始まりです。
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4Gamer:
今回は第6回とのことですが,2004年から毎年開催していたわけではないんですね。
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ええ。第2回は2006年で,2010年から毎年開催になりました。一応,2004年以前にもWGCそのものはあったのですが,非常に小さなトーナメントでしたね。
4Gamer:
なるほど。WGCの特色と言えば,やはり国別対抗戦だと思うのですが,これはいつ頃から開催されているのでしょうか。
Loreille氏:
第1回からです。WGCは,もともとヨーロッパ中の国から参加者がありましたし,国別対抗戦は自然な流れでした。恐らくWGCが世界で初の試みだったと思います。例えばアメリカでやろうとしても,難しいでしょうしね。
4Gamer:
確かにヨーロッパだからこそ,という気がしますね。アメリカでは,こういった大規模なゲームイベントは,ホテルなどのコンベンションホールを借り切って行うのが一般的だと思うのですが,WGCを「Festival international des jeux」内での開催にしたのは,なぜなのでしょうか。
Loreille氏:
ヨーロッパの場合,規模の大きいゲームイベントは,こういうフェスティバルの一環として行うことがほとんどです。理由としては,やはり費用の問題ですね。同じ規模のイベントを単独でやろうとすると1万ユーロ(約130万円)ほどかかってしまいますが,フェスティバルの一環であれば,主催者側が機材や環境を無料で貸してくれますから。
4Gamer:
なるほど。
Loreille氏:
おかげで観客から入場料を取らずに済みますし,街の人々にとってはホテルを紹介する契機にもなる。良いことずくめなんです。そして何より,我々のような非営利団体と社会をつなぐ場として,フェスティバルという形式はとても“フランス的”だと思いますね。
(コラム)「Festival International des Jeux」とは?
WCG2013の母体となる「Festival international des jeux」は,パレ・デ・フェスティヴァルを会場に,1987年以来,毎年開催されている娯楽イベントだという。WGC以外の会場へ足を運んでみると,そこは見渡す限りゲーム! ゲーム! ゲーム! で,ゲーム好きにとって夢のような世界が広がっていた。
ここでいうゲームは,もちろんビデオゲームに留まらない。ヨーロッパにおけるボードゲームの王様,チェスから,トラディショナルなカードゲームであるポーカー,ブリッジ,チェッカーまで。さらには数独やクロスワード,ミニチュアウォーゲーム,遊戯王OCG(!)なども遊ばれていた。膨大な数のゲームが一堂に会しており,それぞれブース出展や大会などが行われていた。
とくに印象的だったのは,トレーディングカードゲームやボードゲームといったアナログゲームの人気で,家族連れが多いこともあって,ブースには老若男女問わず大勢の人々が各々ゲームに興じており,その熱気はWGC2013に勝るとも劣らない。というか,単純にブースのスペースで比較すると,WGC2013の会場を含むビデオゲームエリアは全体の1/6程度で,それ以外はほとんどがアナログゲームだったりする。
フランスの隣国ドイツはボードゲーム大国として知られており,ヨーロッパ圏でアナログゲームが人気という話は聞いてはいたが,正直ここまでとは思わなかった。
小型のリモコンカーを使ったレースゲーム。筐体に表示される映像はリモコンカーに搭載されたカメラによるもので,たくさんの子供達で賑わっていた ボードゲームの王様,チェス。そのブースは地中海を一望できる,会場内でも最高級のロケーションに設置されていた WGC2013以外にもビデオゲームの展示やトーナメントはあり,例えば人気FPS「コール オブ デューティ ブラックオプスII」の大会も開催されていた
クロスワードのトーナメントには多数の年配の方が集っていた
会場で見つけた変なもの。写真右はあくまでカンヌで撮影したもので,決して秋葉原とか中野ではない
4Gamer:
フランスのビデオゲーム事情についてもう少しうかがいたいのですが,格闘ゲームはいつ頃から人気なのでしょうか。
Loreille氏:
WGCがスタートする少し前,2003年頃というのは,フランスではまだあまり格闘ゲームのプレイヤーは多くありませんでした。でもその中にDan the Nightmareという選手がいて,彼が各国の「ソウルキャリバーII」の大会で大活躍していたんです。その活躍を見たほかのプレイヤー達が,「おお,面白そうだから俺もやってみよう」と考えて,徐々にシーンが盛り上がってきた印象です。
4Gamer:
おお,なんだか日本でのウメハラのようですね。
Loreille氏:
同時期に「GUILTY GEAR XX」や「ストIII 3rd」などがはやり始め,それがフランスでの第一次格闘ゲームブームになりました。そのあとブームが一時沈静化してしまいましたが,「ストリートファイターIV」の登場と共に,現在の隆盛に至っています。WGC2013の参加者数を見て分かるとおり,最近はスパIV AE(シングルの参加者数は約200名)とソウルキャリバーVが主流ですね。
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4Gamer:
参加者数で見ると,KOF XIIIもかなり人気のようです。
Loreille氏:
ヨーロッパ全体で見ると,KOFシリーズはそれほどプレイ人口が大きいわけではないのですが,フランスではとくに人気ですね。もともとKOF’94の時代から,アフリカ系フランス人,モロッコ人,アルジェリア人の間で人気が高くて,彼らが中心になってシーンを盛り立ててきました。どの国が一番強いのか,はっきりさせたいというモチベーションが高いみたいです。
4Gamer:
そういった流れが,国別対抗戦につながっているわけですね。
Loreille氏:
そうですね。WGC2009では,この3か国それぞれが代表チームを出して,トーナメントを戦ったこともあるんです。まあ,国籍こそ違えど,どのプレイヤーもフランス在住なんですけど(笑)。とはいえ,そういう国ごとの対抗意識が,今のヨーロッパの格闘ゲームシーンを作っていっているところは,確実にあると思いますね。
4Gamer:
来年のWGC2014にも期待させていただきます。本日はありがとうございました。
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3日間にわたり,全11タイトル,19種目のトーナメントが行われたWGC2013。参加者数は延べ500名超とかなり大規模な大会にも関わらず,スタッフ達がそれぞれ,とにかく楽しそうだったのが印象に残っている。ほとんどのスタッフはプレイヤーを兼任しているようで,さっきまで実況や解説を担当していたハズの人が,ステージで対戦に臨んでいるということもしばしば。筆者としては「ちゃんとスケジュールどおり終わるのだろうか」と心配になったのだが,そういうところも含め,日本のゲーセンでよく行われるような,店舗大会の拡大版ような雰囲気を感じた。
聞くところによると,優勝賞金の金額もそれほど高額ではない(SCVでは550ユーロほど)ようで,そういう意味でも,ショーアップされたアメリカの大会より,日本に近いといえるかもしれない。複数の国家から参加者達が集うという,ヨーロッパならではの特色もあって,今後の発展に期待したいイベントだ。
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また,選手としての印象を付け加えさせてもらうなら,フランスのプレイヤー達の歓待は大変にありがたく,そして何より,カンヌは良いところだった。エッフェル塔こそ見られなかったが,食事はうまいし,山や海が近くて気候も風景も素晴らしい。フランスの風土と格闘ゲームに興味がある方は,来年は観光がてら遊びに行くのも悪くないのではなかろうか。帰りの飛行機の中で板橋ザンギエフ選手が語った「近年稀に見る良ゲーイベント」という言葉を借りて,筆を置かせていただきたい。
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