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NVIDIA,Maxwellベースの数値演算アクセラレータ「Tesla M40」「Tesla M4」を発表
メディア処理やディープラーニング向けのTesla M40とTesla M4
現在のNVIDIA製GPUに使われているMaxwellアーキテクチャは,演算ユニット内に倍精度浮動小数点の演算機能を持たない。そのため,倍精度演算を必要とするハイパフォーマンスコンピューティング分野向けのTeslaシリーズには,限定的にしか利用されないといわれていた(関連記事)。
そうはいっても,倍精度演算が重要視されない分野であれば,Maxwellアーキテクチャが有効な用途もあるわけで,NVIDIAはこうした用途にターゲットを絞って,MaxwellベースのTeslaを投入している。GPU仮想化ソリューション向けとして2015年8月に登場した,Maxwellベースの「Tesla M60」「Tesla M6」は,そのいい例だ。
今回のTesla M40とTesla M4は,それに続く製品である。NVIDIAによると,両製品のターゲットは,「データセンターにおけるメディアやイメージ処理の高速化とディープラーニング」だそうだ。型番だけ見ると,今回の新製品はTesla M60およびTesla M6の下位モデルな雰囲気もあるが,NVIDIAとしては,単純な上位下位ではなく,用途の異なる製品だという。
そんな両製品のスペックと用途を見ていこう。
Tesla M40は,3072基のCUDAコアと384bitのメモリインタフェースを持ち,グラフィックスメモリには,容量12GBのGDDR5メモリを採用した製品だ。スペックでピンと来た人もいるだろうが,これは,「GM200」コアベースの「GeForce GTX TITAN X」(以下,GTX TITAN X)と同じである。
NVIDIAによると,Tesla M40はディープラーニングを主な用途に想定した製品とのことだ。
一方のTesla M4は,CUDAコア数が1024基で,メモリインタフェース128bitのGDDR5メモリを4GB搭載するアクセラレータである。デスクトップPC用GPUでいうなら,「GeForce GTX 960」相当というところか。NVIDIAは,データセンターにおけるメディア処理の高速化がおもなターゲットで,消費電力あたりの性能が高い製品であるとアピールしている。
2製品の発表に合わせてNVIDIAは,データセンターおよびサーバー向けのソフトウェア開発キット「Hyperscale Suite」のリリースも発表した。これにより,ソフトウェア開発者は,サーバー側でのメディア処理アプリケーションなどで,GPUアクセラレーションを利用できるようになる。
さらに,Hyperscale Suiteを使って開発されたソフトウェアは,オープンソースのクラスタマネージャ「Apache Mesos」を使うことで,スケーラブルな拡張が可能になるという。
また,さまざまなOSで使われているオープンソースのメディア変換ツール「FFmpeg」でGPUアクセラレーションを利用するためのプラグインがサポートされる点も興味深い。
FFmpegプロジェクトの一環として開発されているコーデックライブラリ「Libavcodec」や,メディアコンテナライブラリ「Libavformat」は,Windowsでもフリーのコーデックとして広く利用されていたりする。そうしたコーデックやツールでGPUアクセラレーションが利用できるようになると,一般のPCユーザーに恩恵をもたらすかもしれない。
そのほかもNVIDIAは,SC15に合わせて,ハイパフォーマンスコンピューティング分野における同社製GPUの新たな応用事例やデモを公開する予定とのこと。興味がある人は,NVIDIA公式Blogをチェックしてみよう。
NVIDIA Tesla公式Webページ(英語)
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