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「GeForce GTX 960」レビュー。第2世代Maxwell初のミドルクラスGPUは,得手不得手のはっきりした低消費電力モデルだ
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印刷2015/01/22 23:00

レビュー

第2世代Maxwell初のミドルクラスGPUは,得手不得手のはっきりした低消費電力モデルだ

GeForce GTX 960
(GIGABYTE GV-N960G1 GAMING-2GD)

Text by 宮崎真一


GV-N960G1 GAMING-2GD
メーカー:GIGA-BYTE TECHNOLOGY
問い合わせ先:CFD販売(販売代理店) 050-3786-9585(平日10:00〜12:00,13:00〜18:00)
予想実売価格:3万4500円前後(※2015年1月22日現在)
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 別途お伝えしているとおり,2015年1月22日,NVIDIAから,新型GPUGeForce GTX 960」(以下,GTX 960)が発表になった。
 3桁数字の2桁めが「6」のGPUを,「価格と性能のベストなバランスを狙った,スイートスポット製品」と位置づけ続けているNVIDIAにとって,GTX 960は,単なる「GeForce GTX 900シリーズ,そして第2世代Maxwellアーキテクチャ世代初のミドルクラスGPU」以上の意味を持つ製品ということになるが,果たしてその実力は,ゲーマーが期待するとおりのものになっているだろうか。

 4Gamerでは,GIGA-BYTE TECHNOLOGY(以下,GIGABYTE)製の搭載カード「GV-N960G1 GAMING-2GD」を発表に合わせて入手できたので,さっそく,その実力に迫ってみたいと思う。


GPUの規模は「GTX 980の2分の1」

メモリインタフェースは128bitに


GTX 960 GPU。ダイ上の刻印は「GM206-300-A1」だった。ダイサイズは227mm2で,ざっくり「GM204の半分強」といったところである
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 GTX 960がどんなGPUかは,別途,米田 聡氏が詳しく解説してくれているので,新設の4K対応ビデオデコーダが「Tegra X1」相当のものであるなどといった細かな話は,ぜひそちらをチェックしてもらえればと思う。それを踏まえ,本稿ではゲーム関連に絞ってGTX 960を語っていきたいと思うが,やや結論めいたことから最初に述べておくと,GTX 960のGPUである「GM206」コアの規模は,「GeForce GTX 980」(以下,GTX 980)や「GeForce GTX 970」(以下,GTX 970)で採用される「GM204」コアのフルスペック比で,ちょうど半分となる。

第2世代MaxwellアーキテクチャにおけるSMMのブロック図
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 Maxwellアーキテクチャでは,「CUDA Core」と呼ばれるシェーダプロセッサ32基が,スケジューラやロード/ストアユニット,SFUとセットになったパーティションとなり,さらにそれが4基まとまって,演算ユニットたる「Maxwell Streaming Multiprocessor」(以下,SMM)を構成するようになっている。
 そして,SMMは4基セットでラスタライザたる「Raster Engine」と組み合わされ,1つのミニGPUクラスタ「Graphics Processing Cluster」(以下,GPC)となる。GM204の場合,このGPCを4基搭載するため,総シェーダコア数は 32×4×4×42048基 という計算になるわけだ。

 翻ってGM206コアを採用するGTX 960だが,先ほど「GM204の半分」と紹介したとおり,GPCの数が2基に減っている。なので総シェーダコア数は1024基である。
 付け加えると,GPCで共有されるL2キャッシュ容量,16基のROPユニットでひとかたまりになるROPパーティション,64bitメモリコントローラの数も,GM204の2048KB,4基,4基からGM206(=GTX 960)では1024KB,2基,2基となっている。

GM206のブロック図。上の写真で示したダイの大きさからして,GM206は2 GPC(=8 SMM)がフルスペックという理解でいいだろう
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NVIDIAが公表したGTX 960の主なスペック。実効メモリ転送速度(Effective Memory Speed)という項目が用意されている
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 第2世代Maxwellアーキテクチャでは,メモリ圧縮などの効果により,メモリ転送の効率が33%改善したというのがNVIDIAの主張だ。また,GTX 960のメモリクロックは上位モデルであるGTX 960&970と同じ7010MHz相当を確保してあったりもするのだが,それでもメモリインタフェースが128bitというのはやはり大きな制約であり,そのメモリバス帯域幅は,NVIDIAのいう実効値でも148.8GB/sに留まる(表1)。
 これは,GTX 960の置き換え対象となる「GeForce GTX 760」(以下,GTX 760)比で約77%,競合の「Radeon R9 280」(以下,R9 280)比では約62%という値であり,GTX 960は,ここが最大のボトルネック要因となる可能性が高そうだ。

※GTX 960のメモリクロックをNVIDIAは9.3Gbpsと表記していることもありますが,ここでは計算上,より正確な9333MHz相当としています
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GTX 960はオーバークロック耐性が極めて高いとNVIDIAは謳う
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 なお,リファレンスのGPUコアクロックは,ベースクロックがGTX 980と同じ,ブーストクロックがGTX 970と同じだが,「リファレンスカードは存在しない」という立場を取るNVIDIAいわく,各社から登場する搭載カードの多くは,メーカーレベルでのクロックアップ仕様となり,自己責任を覚悟すれば,そこからさらに高い動作クロックを設定できるという。
 具体的には,GPUは1500MHz前後,メモリクロックは7500MHz相当かそれ以上が想定されているようだ。オーバークロックを試してみようと考えている人は,このあたりを1つの目安にしておくといいかもしれない。


リファレンス仕様を超えた大型カードとなるGV-N960G1 GAMING-2GD。クーラーは準ファンレス仕様


 ここで,入手したGV-N960G1 GAMING-2GDを概観しておこう。
 最初にお断りしておくと,GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,クーラーを取り外した時点で,メーカー保証は失効する。本稿の記載内容を試した結果,何があったとしても,メーカーや販売代理店,ショップ,4Gamer編集部は責任を取らないので,その点はくれぐれもご注意を。

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 というわけでGV-N960G1 GAMING-2GDだが,本製品は,実測約298mm(※突起部除く)と,製品名に「GAMING」が入った上位モデルらしく,長い基板長が特徴だ。ミドルクラスのグラフィックスカードらしくない,ともいえるだろう。リファレンスデザインだとPCI Express補助電源コネクタが6ピン×1なのに対し,こちらは6ピン×2になっており,両方に給電しないと正常に動作しないのも特徴だが,GIGABYTEは,この仕様を採用したことで,より高い動作クロックを自己責任で狙うときに,安定した電力を供給できると主張している。
 GIGABYTEによれば,「GPU Gauntlet Sorting」により,GV-N960G1 GAMING-2GDでは,とくにオーバークロック耐性の高いGPUを選別して採用できているという。

補助電源コネクタは6ピン×2。クーラーは基板よりもカード後方へせり出している。カード背面側にはたわみを防止するための金属板が用意されるのもポイントだ。ちなみに基板長自体は実測約243mm
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WINDFORCE 3Xをカード後方側から見たところ。フィン,ファンの台座とも斜めになっていた
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 搭載するクーラーは「WINDFORCE 3X」で,90mm角相当のファンを3基搭載する外観は,GTX 980搭載の上位モデル「GV-N980G1 GAMING-4GD」と比較的よく似た印象だ。ただし,GV-N960G1 GAMING-2GDのWINDFORCE 3Xは,上位モデルにはない,いわゆる準ファンレス機能を「Fan Stop Mode」として実装しており,GPU温度が62℃,もしくはGPUの消費電力が60Wを超えた場合にファンが回転し,43℃を下回るまでGPU温度が下がるか,32Wを下回るまでGPU負荷が下がったら止まるようになっている。

 GTX 960解説記事で明らかになっているとおり,GTX 960では,NVIDIAがカードメーカー各社に対して,低負荷時にはファンの回転を止めるアルゴリズムの提供を開始している。カードメーカーは,自前の技術があればそれを,そうでなければNVIDIAの技術を採用できるわけだが,GIGABYTEのFan Stop Modeでは,NVIDIAのアルゴリズムをベースに,閾値などのカスタマイズを行ってあるとのことだった。

GIGABYTEが示しているFan Stop Modeの挙動。NVIDIAのアルゴリズムをベースに,GIGABYTEがカスタマイズした結果とされる
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ラインの入ったファンブレードは,一般的なファンと比べてエアフローを23%向上させるという
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 カードの定格クロックはGPUのベースが1241MHz,ブースト1304MHzで,メモリは7010MHz相当と,GPUクロックが定格比で10%強引き上げられているが,カードの定格で動かした限りだと,ファンは,かなり積極的に止まるような実装だった。
 ちなみに,Fan Stop Modeの採用にあたって,WINDFORCE 3Xクーラーのカバー部には細工が入っており,ファンの停止中には,「WINDFORCE」ロゴを囲む「SILENT」「STOP」のマークが青く光る。

WINDFORCE 3Xの側面部と,実際に青く光っている例
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 WINDFORCE 3Xクーラーを外してみると,3ブロックに分かれたヒートスプレッダを貫くような格好で,GPUに直接触れる6mm径ヒートパイプが4本用意されるのが見てとれた。

WINDFORCE 3Xクーラーを取り外し,さらに分解してみた。GV-N980G1 GAMING-4GDに搭載される「WINDFORCE 3X 600W」にあった「Triangle Cool」が省かれているなど,全体的に簡略化が進んでいる印象だ
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搭載するメモリチップはSamsung Electronics製の「K4G41325FC-HC28」。GTX 980リファレンスカードと同じである
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 基板の電源フェーズ数は,見る限り6+2(+1)。GIGABYTEによれば,GTX 960のリファレンスデザインだと3フェーズで120Wを供給する仕様なのに対し,N960G1 GAMING-2GDでは6フェーズで最大160Wを供給できるようになっており,ロードバランスの効果で電源部の発熱を抑えられるという。

基板の表側と裏側。搭載するメモリチップはわずか4枚で,基板の表裏に1つずつ,空きパターンが用意されている。今後,グラフィックスメモリ容量の多いバリエーションモデルが登場するのかもしれない
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 なお,外部出力インタフェースはDisplayPort×3,HDMI(2.0,Type A)×1,Dual-Link DVI-D×1,Dual-Link DVI-I×1。うち,任意の4インタフェースで最大4画面出力を行える「Flex Display Technology」は,上位GPU搭載カードから引き続いて採用されている。


GTX 960はリファレンスクロックでもテスト

「乗り換え元」のGTX 660も比較対象に


 ここからはテストのセットアップに入るが,今回テストに用いるGPUは,本稿の序盤にある表1でその名を挙げたものになる。具体的には,GTX 960の上位モデルであるGTX 970と,GTX 960が置き換えることになるGTX 760,NVIDIAが「乗り換えると,最大70%の性能向上と,2倍の電力効率を得られる」としている「GeForce GTX 660」,そして,電力効率はともかく,性能面では競合になるとされるR9 280だ。

GV-N960WF2OC-2GD
メーカー:GIGA-BYTE TECHNOLOGY
問い合わせ先:CFD販売(販売代理店) 050-3786-9585(平日10:00〜12:00,13:00〜18:00)
予想実売価格:3万2400円前後(※2015年1月22日現在)
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 ただし,GTX 960カードとして今回入手したGV-N960G1 GAMING-2GDは,メーカーレベルでのクロックアップ率が高く,GIGABYTE製オーバークロックツール「OC Guru II」(Version 1.78)から設定を行っても,動作クロックをリファレンス相当にまで下げることはできなかった。このままでは「GTX 960のリファレンス相当」におけるスコアを取得できない。
 そこで今回は急遽,GIGABYTEから,GV-N960G1 GAMING-2GDの下位モデルとなる「GV-N960WF2OC-2GD」を追加入手。こちらのクロックを引き下げて,リファレンス仕様のGTX 960カードとして扱うことにしているので,この点はお断りしておきたいと思う。

 そのほかテスト環境は表2のとおり。テストに用いた「GeForce 347.25 Driver」は,NVIDIAから全世界のGTX 960レビュワーに配布されたものであり,「Catalyst Omega」はテスト開始時点の最新版ドライバである。

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 ここで簡単にGV-N960WF2OC-2GDを紹介しておくと,本製品は,GV-N960G1 GAMING-2GDと同じ「6ピン×2の補助電源と,6+2フェーズ仕様の電源部を搭載する」基板を採用しつつ,搭載クーラーを2連ファン構成で準ファンレス仕様の「WINDFORCE 2X」へ変更して総カード長を縮め,GPUコアクロックをベース1216MHz,ブースト1279MHzへ落としたモデルとなる。OC GURU IIではベースクロックを最大(最小?)でマイナス90MHz設定できるため,こちらならGTX 960のリファレンスクロックである1126MHz化を行えるというわけである。
 GIGABYTEがそう言っているわけではないので,あくまでも推測だが,GV-N960WF2OC-2GDは,GPU Gauntlet Sortingの選別落ち品ということなのかもしれない。

90mm径相当で,ファンブレードの仕様はGV-N960G1 GAMING-2GDと同じファンを搭載したWINDFORCE 2Xクーラーを採用するGV-N960WF2OC-2GD。クーラーの小型化に伴い,カード長は実測約246mm(※突起部除く)となる。なお,WINDFORCE 2Xクーラーに,ファン回転停止インジケータは用意されない
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WINDFORCE 2Xクーラーを取り外し,さらに分解したところ。フィンには複雑な凹凸が設けられていた。基板側には,電源部にヒートシンクが用意されている点にも注目してほしい
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GV-N960WF2OC-2GDの基板単体(左)と,GV-N960G1 GAMING-2GDと並べたところ(右)。見る限り,基板レベルの違いはない
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 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション16.0準拠。テスト解像度は1920×1080ドットと2560×1600ドットの2パターンとした。テストスケジュールの都合――率直に述べて,テスト期間は片手で足りるほどの日数しかなかった――により,「Battlefield 4」(以下,BF4)および「Dragon Age: Inquisition」(以下,Inquisition)のMantleモードを用いたテストは省略し,DirectX 11(Direct3D 11) APIベースでの比較のみを行う。

 なお,これは筆者のGPUレビューにおける恒例だが,組み合わせるCPU側の自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,テスト状況によって効果が異なる可能性を排除すべく,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。

NVIDIAコントロールパネルの「システム情報」から,GV-N960G1 GAMING-2GDのGPU情報をチェックしたところ
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GPUのポテンシャルはR9 280より少し上

メモリバス帯域幅の狭さがネックか


 以下,スペースの都合から,グラフ中に限ってGV-N960G1 GAMING-2GDを「GBT 960 G1」と記すことと,GV-N960WF2OC-2GDをリファレンスクロックにまで落としたものをリファレンス仕様のGTX 960として扱うこと,そして,グラフはGTX 960の2条件を一番上に,あとはGeForce→Radeonのモデルナンバー順に並べてあるが,グラフ画像をクリックすると,より低いテスト条件のスコア基準で並べ替えたものを表示するようにしてあると断りつつ,テスト結果を順に見ていこう。

 グラフ1は「3DMark」(Version 1.4.828)の総合スコアをまとめたものだ。GTX 970のスコアが完全に抜けているが,実際,GTX 960のスコアはGTX 970比で68〜69%程度に留まっており,ギャップはかなり大きい印象を受ける。
 とはいえ,置き換え対象であるGTX 760に対しては19〜22%程度と,まずまずのスコア差を付けている。R9 280に対しても2〜6%程度は高いスコアを示した。GTX 660から乗り換えると,4割以上のスコア向上を期待できるのもポイントといえるだろう。

 GV-N960G1 GAMING-2GDはGTX 960に対して3〜4%高いスコアを示した。クロックアップは,GPUポテンシャルの引き上げに効果があるわけだ。

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 BF4のスコアをまとめたものがグラフ2,3で,ここでもGTX 960とGTX 970のスコア差は大きい。パーセンテージにして,GTX 960は対GTX 970で66〜7%程度なので,おおむね,3DMarkと同じ傾向が出ていることになる。

 ただ,ここでむしろ注目したいのは,GTX 760とのスコア差だ。GTX 960は標準設定の1920×1080ドットでGTX 760に対して約16%高い平均フレームレートを示しているのだが,描画負荷の高まりに応じてその差は縮まり,高負荷設定の2560×1600ドットではわずかに約2%高いだけとなってしまう。
 これは,程度の違いこそあれ,対R9 280や対GTX 660でも同じ傾向である。GTX 960の持つメモリバス帯域幅の狭さがさっそく露呈した格好だ。

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 BF4よりもさらに描画負荷の高い「Crysis 3」のテスト結果がグラフ4,5となるが,案の定というかなんというか,GTX 960は,標準設定でGTX 760に並ばれ,高負荷設定では完全に逆転を許してしまった。対R9 280でも同じような感じである。
 そもそも,GTX 960クラスのGPUだと,レギュレーションで規定されるグラフィックス設定では厳しいわけだが,傾向としては押さえておく必要があるだろう。
 ちなみにGV-N960G1 GAMING-2GDのスコアは,対GTX 960で3〜8%と,まずまず高めだった。

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 描画負荷が低めのタイトル代表として採用している「BioShock Infinite」の結果を見てみよう(グラフ6,7)。BioShock Infiniteほど“軽い”タイトルなら,GTX 960がGTX 760を安定して上回る……と言いたいところなのだが,標準設定の代わりに用いている「High」設定だと,GTX 960,そしてGV-N960G1 GAMING-2GDもスコアはあまり芳しくない。高負荷設定相当となる「UltraDX11_DDOF」だと,GTX 760に対して9〜10%程度のスコア差を付けているあたり,メモリ周りがうんぬんというのも考えにくいので,正直,この結果は謎である。
 考えられるとすれば,GeForce 347.25 Driverのチューニング不足,くらいだろうか。

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 続いてグラフ8,9は「Dragon Age: Inquisition」の結果となる。
 ご覧のとおり,平均フレームレートは総じて低めなのだが,そのなかでもGTX 960はGTX 760に対して14〜16%程度,GTX 660に対して46〜50%程度のスコア差を付けており,同じ「Frostbite 3」エンジンベースであっても,BF4とはずいぶんとスコア傾向が異なるのが分かる。GTX 960の実効メモリバス帯域幅は148.8GB/sなのに対し,GTX 760のメモリバス帯域幅は192.3GB/sで,40GB/s超の違いはあるものの,その程度なら,大した影響はないということなのかもしれない。
 もっとも,384bitメモリインタフェースを持ち,240GB/sのメモリバス帯域幅を持つR9 280と比べると,GTX 960は不利な戦いを強いられる。GTX 960に対して4〜6%程度高いスコアを示すGV-N960G1 GAMING-2GDですら,高負荷設定の2560×1600ドットでは逆転を許しているのだから,ここでもGTX 960のメモリ周りは弱点になり得ると見るべきだろう。

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 「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(以下,新生FFXIVベンチ キャラ編)の結果がグラフ10,11だが,ここでは,「標準品質(デスクトップPC)」と「最高品質」で,まったくと言っていいほど異なる傾向が得られている。

 標準品質(デスクトップPC)におけるGTX 960は,対GTX 760で70〜79%程度にまで迫り,GTX 760に対して約14%,GTX 660に対して38〜41%程度,R9 280に対しても11〜14%程度高いスコアを示す。
 しかし,最高品質になると,GTX 760とほぼ互角になってしまい,対R9 280にいたっては2560×1600ドットで1割以上ものスコア差を逆に付けられてしまうのだ。

 最高品質の1920×1080ドットで,スクウェア・エニックスが示す最上位の指標である「非常に快適」のライン7000を超えているため,おおむね問題ないスコアだともいえるが,やはり,メモリ周りの弱点は高負荷環境で目立つ。

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 なお,新生FFXIVベンチ キャラ編では,総合スコアではなく,平均フレームレートでスコアを確認したい人のため,グラフ10’,11’も置いておく。こちらも合わせて参考にしてもらえればと思う。

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 「GRID Autosport」の結果がグラフ12,13だ。GRID Autosportの描画負荷は比較的低めで,かつ,GPUのポテンシャルを素直に出す傾向にあるのだが,ここでのGTX 960はかなり景気がいい。
 「ウルトラ設定」の2560×1600ドットだと,384bitメモリインタフェースを持つR9 280に迫られるものの,それ以外では,対GTX 760で12〜28%程度,対GTX 660で44〜69%程度,対R9 280で15〜20%程度と,安定したスコア差を付けている。
 GV-N960G1 GAMING-2GDが,そんなGTX 960に対して,ウルトラ設定の2560×1600ドットで約8%も高いスコアを示している点も押さえておきたい。

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R9 280比で55〜77W低いスコアを示すGTX 960

GV-N960G1 GAMING-2GDのクーラーは優秀


 GTX 980とGTX 970は,消費電力あたりの性能が極めて高く,実消費電力もハイクラス〜ハイエンド市場向けとしては非常に高かった。その下位モデルであるGTX 960は,120WというTDP(Thermal Design Power)に期待が持てるわけだが,その消費電力はどの程度だろうか。今回用いているGTX 960カードはいずれも,6ピン×2という特殊な電源仕様を採用しているため,若干不利になるとは思われるが,テストしておこう。

 ここでは,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を比較してみたい。
 テストにあたっては,ゲーム用途を想定して,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とする。

 その結果がグラフ14だ。アイドル時のGeForceはほぼ横並びで,R9 280だけ若干高いが,無操作時にディスプレイ出力が無効化されるよう設定して省電力機能「AMD ZeroCore Power Technology」を有効化すると75Wまで下がったので,おおむね同程度と見ていいはずだ。
 対するアプリケーション実行時だが,GTX 960は,GTX 760比で47〜71W,R9 280比では55〜77Wも低いスコアを示した。GTX 660よりは若干高いものの,GTX 660を問題なく利用できているようなPCであれば,そのままGTX 960カードへ差し替えても問題ないといえそうなスコアでもある。「GTX 660比で2倍の電力効率」というNVIDIAの主張は,伊達ではない。

画像集 No.050のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 960」レビュー。第2世代Maxwell初のミドルクラスGPUは,得手不得手のはっきりした低消費電力モデルだ

 3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,「GPU-Z」(Version 0.8.0)からGPU温度を追った結果がグラフ15となる。
 テスト時の室温は24℃。システムはケースに組み込まない,いわゆるバラックの状態に置いた状態におけるスコアであることと,各カードは搭載するクーラーが異なり,温度センサーの位置も異なるので,横並びの比較には向かないことをお断りしておくが,GV-N960G1 GAMING-2GDとGTX 960はいずれも,アイドル時の温度が35℃前後に留まっている。どちらも,搭載されるクーラーのファンは完全に停止しているが,それでこの温度なのは注目しておきたいところだ。

 一方の高負荷時も,GV-N960G1 GAMING-2GDとGTX 960のGPU温度は60℃以下で,文句なしに低い。クーラーの大きさは異なるが,いずれも冷却能力は高いと言っていいだろう。
 また,高負荷時の動作音も,筆者の主観であることを断ったうえで述べるなら,どちらもかなり静かだ。「静音性は高い」と断言できるレベルである。

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GTX 960はフルHDまでのGPU

電力効率の高さは魅力的


GV-N960G1 GAMING-2GDの製品ボックス
画像集 No.052のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 960」レビュー。第2世代Maxwell初のミドルクラスGPUは,得手不得手のはっきりした低消費電力モデルだ
 以上,スケジュールの都合からやや駆け足気味になったが,GTX 960をチェックしてきた。
 GTX 760の後継GPUは,GTX 760以上に,得手不得手がはっきりしたGPUと結論付けられそうだ。第2世代Maxwellアーキテクチャの高いメモリ転送効率をもってしても,GTX 960のメモリバス帯域幅は狭すぎ,超高解像度環境ではかなり厳しい。しかし,市場で支配的なフルHD解像度環境であれば,非常に高い性能と,GTX 980譲りのMFAAやDSRといったGPU付加機能を,低消費電力で,かつ,多くの場合,準ファンレス仕様のクーラーとセットで活用できる。
 これらのポイントをどう判断するかで,GTX 960というGPUの評価は変わってきそうである。

 難しいのは,GTX 760でも,フルHD解像度が前提であれば,性能面で不足はないということだ。その意味において,NVIDIAが「GTX 660か,それ以前の世代のGPUからの乗り換えに向く」というのは,嘘でも誇張でもないということになる。あくまでも2012年かそれ以前のGPUを持っている人向けと理解しておくと,GTX 960というGPUの価値は理解しやすいように思う。

 NVIDIAによると,北米市場におけるGTX 960カードのメーカー想定売価は税別で199ドルとのこと。229ドルに設定されていたGTX 660,そして同249ドルのGTX 760と比べると安価なのはポイントだが,残念ながら,GTX 660やGTX 760が発表されたときとはドル円相場が違いすぎるので,2015年1月22日時点の為替レートで計算し,かつ,日本の消費税も割り当てると,2万6000円前後になってしまう。登場直後の“ご祝儀価格”は,おおむね3万円前後といった感じになるようだ。
 数年に一度のペースでグラフィックスカードを買い換えるような人がぽんと3万円を払えるかというと疑問も残るが,少し時間が経って価格がこなれてくれば,ミドルクラスGPUとして,高い注目を集めるようになるのではないだろうか。

NVIDIAのGeForce GTX 960製品情報ページ

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