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「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」
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印刷2014/09/19 11:30

レビュー

極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwell,その実力は?

GeForce GTX 980
(GeForce GTX 980リファレンスカード)
GeForce GTX 970
(MSI GTX 970 GAMING 4G)


画像集#002のサムネイル/「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」
GTX 980リファレンスカード
画像集#003のサムネイル/「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」
GTX 970 GAMING 4G
メーカー:MSI
問い合わせ先:MSIサポートページ
予想実売価格:4万7500円前後(※2014年9月19日現在)
 別途お伝えしているとおり,2014年9月19日11:30,NVIDIAはハイエンド市場向けとなる新世代GPU「GeForce GTX 980(以下,GTX 980)およびその下位モデル「GeForce GTX 970(以下,GTX 970)を発表した。いずれも,第2世代Maxwellアーキテクチャに基づくGPUコア「GM204」を採用する製品だ。

 2月にGeForce GTX 750シリーズとして登場した第1世代Maxwell「GM107」は,Kepler世代のGPUから変わらずTSMCの28nmプロセス技術を採用しつつ,CUDA以降のNVIDIA製GPUにおける演算ユニットの基本単位「Streaming Multiprocessor」の構成を見直すことで,電力効率の大幅な向上を実現していた(関連記事)。
 第2世代Maxwellでは,そこからさらに,性能を向上させるための改良が入ったわけだが,その実力は,ゲーマーを満足させるものに仕上がっているのだろうか。

 今回4Gamerでは,NVIDIAからGTX 980リファレンスカードを,MSIからはGTX 970搭載のゲーマー向けモデル「GTX 970 GAMING 4G」を入手できたので,GPU自体が持つ性能を明らかにしてみたいと思う。


入手したGTX 980カードとGTX 970カードを

さっそく剥いてみる


 第2世代Maxwellアーキテクチャの見どころはどこにあり,GTX 980とGTX 970がそれぞれどのような位置づけのGPUなのかという点は,西川善司氏が別記事で語ってくれている。なので,本稿では既存のGPUとの違いを表1へまとめるに留めるが,性能をチェックするうえでのポイントとしては,

  1. GM204は,その名のとおり,GK104の置き換えであること
  2. GM204のシェーダプロセッサ規模はGK104比で最大約33%増だが,GK110のそれには遠く及ばないこと
  3. GPUコアクロック,とくにブーストクロックがGK104,GK110よりもかなり高いこと
  4. ROPユニット数が64基と,GK110比で約33%増になっていること
  5. メモリインタフェースはGK104と同じ256bitだが,メモリバスの消費量はGK104比で25%の低減を実現しており,それを根拠にNVIDIAは「実効メモリクロック」という概念を導入していること

といったあたりが挙げられるだろう。

画像集#004のサムネイル/「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」

 というわけで,入手した2枚のグラフィックスカードを,ここで概観しておきたい。
 最初にお約束を述べておくと,GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,クーラーを取り外した時点で,メーカー保証は失効する。本稿の記載内容を試した結果,何があったとしても,メーカーや販売代理店,ショップ,4Gamer編集部は責任を取らないので,その点はくれぐれも心してもらえればと思う。


●GTX 980リファレンスカード

画像集#005のサムネイル/「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」
 さて,まずはGTX 980のリファレンスカードからだ。本製品は,「GeForce GTX TITAN」以来,NVIDIAのハイエンドモデルでお馴染みのデザインを採用した2スロット仕様のクーラーを搭載しており,カード長は実測約268mm(※突起部除く)となっている。GeForce GTX 700シリーズ最上位モデル「GeForce GTX 780 Ti」(以下,GTX 780 Ti)のリファレンスカードだとカード長は同267mmなので,それと比べるとほんのわずかに長いが,ほとんど同じという理解でいい。

クーラーのデザインがお馴染みのものなので,表から見る限り,「GTX 980」という彫りがなければ,GeForce GTX 780&TITANシリーズとまず区別はつかない。ただ,カードの裏側に補強板が用意されているのは,GTX 980リファレンスカードならではの仕様といえる
画像集#006のサムネイル/「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」 画像集#007のサムネイル/「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」

 上の表1でも示してあるとおり,PCI Express補助電源コネクタは6ピン×2で,カード全体では合計225Wの電力供給が可能となっている。カード自体のTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は165Wだから,電力供給能力的にはかなりの余裕があると見てよさそうだ。
 外部出力インタフェースはDisplayPort 1.2×3,HDMI 2.0(Type A)×1,Dual-Link DVI-I×1で,このうち最大4つを使って最大3+1画面出力を行えるようになっている。

補助電源コネクタ(左)と外部出力インタフェース部(右)。ブラケット部はかなりのスペースが排気孔となっていた
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 SLI構成は最大で3-wayに対応。面白いのは,ビスを1本外すと,カード背面にある補強板の一部が(これだけはメーカー保証の範囲内で)取り外せるようになっていることだ。NVIDIAは,とくにSLI構成時のエアフローが改善するとしているので,おそらくは,ファンへ空気を送り込むための経路を確保できるようになるのだと思われる。

カード背面の補強板は取り外せるようになっている。最初は何かと思ったのだが,カードとカードが隣り合うように差した状態におけるエアフローを改善するためのもののようだ
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 さて,ここからは分解だが,カードは補強板,GPUクーラーの順で取り外せる。

補強板,GPUクーラーという順番で取り外す
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 時間の都合で,GPUクーラーの分解は行っていないが,GTX 980では,GPUと接触する銅製のベースプレートに,2本のヒートパイプが打ち込まれる構造になっているという。通常,ヒートパイプは中に封入されたガスを用いて熱移動を行うが,GTX 980リファレンスカードにおいては,ヒートパイプに純水を封じ込め,それによって熱伝導効率を高めているとのことである。“超簡易液冷”といった感じだろうか。

こちらはNVIDIAが公開しているGPUクーラー分解イメージ
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 電源部は推定で4+1フェーズ構成。そこそこの規模ではあるが,ハイエンド市場向けのグラフィックスカードとしては大したことがないともいえるだろう。電力効率の高い第2世代Maxwellアーキテクチャだけに,おおげさな電源部は不要ということなのかもしれない。

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 GPUコアには「GM204-400-A1」というシルク印刷があった。組み合わされるグラフィックスメモリチップは,Samsung Electronics製の4Gbit GDDR5「K4G41325FC-HC28」で,7000Mbps仕様となるため,メモリ周りのスペックぴったりの仕様ということになる。

GTX 980 GPU(左)とGDDR5メモリチップ
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●GTX 970 GAMING 4G

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 続いてはGTX 970搭載のGTX 970 GAMING 4Gである。
 本製品はMSI独自GPUクーラーの最新世代モデル「Twin Frozr V」(ツインフローザー5)を搭載するのが大きな特徴だ。基板長自体は実測252mm(※突起部除く)ながら,Twin Frozr Vクーラーがカード後方へ同16mmほどはみ出ているため,カード長自体はGTX 980リファレンスカードと変わらないものになっている。
 2スロット仕様ながら,エアフローを効率化すべく,厳密な2スロット仕様よりは背が若干低くなっているクーラーは,マザーボードに差したときの垂直方向へブラケット部から同33mmはみ出ている。薄いが大きい,といったところか。

Twin Frozr Vクーラーが基板をほぼ覆うような外観のGTX 970 GAMING 4G。カード背面に補強板や冷却装置的なものは用意されていない
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 外部出力インタフェースはDisplayPort 1.2×1,HDMI 2.0(Type A)×1,Dual-Link DVI-D×1,Dual-Link DVI-I×1で,最大3+1画面出力対応。PCI Express補助電源コネクタは6ピン+8ピンで,最大300Wの供給が可能だ。GTX 970のTDPは145Wなので,ちょっとやり過ぎなほどの仕様だといえる。

外部出力インタフェース(左)と補助電源コネクタ部(右)。“正位置”だとツメがヒートパイプと干渉するため,コネクタの向きは天地逆になっている
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2基のファンは,1枚おきに少し捻ったようなファンブレード構成になっている
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 Twin Frozrを特徴付ける2基のファンは100mm径。近寄ってみると,ファンブレードの形状が1つ置きに特殊なものとなっているのが分かる。MSIによるとこれは,ブレードとブレードの間の隙間を大きくして外気を大量に取り入れ,かつ,エアフローをファンの直下へ向けるための構造を採用した結果とのことだ。
 MSIはこの構造を「Torx Fan Technology」(トルクスファンテクノロジー)と呼んでいるが,従来の「Twin Frozr IV」クーラーで採用されていた「Propeller Blade」(プロペラブレード)仕様と比較すると,風量は約19%多く,100%回転時の動作音は5%低いという。また,GPU温度が60℃を下回るとファン回転数が止まる設計も「Zero Frozr Technology」として採用されており,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)のSTRIXブランドに属するグラフィックスカードのように,デスクトップ作業や負荷の低い3Dゲームタイトルでは無音で利用できるようにもなっている。

Torx Fan Technologyの概要。なおMSIによると,Twin Frozr Vクーラーを搭載するGTX 980カードでは,2基あるファンの回転数を個別に自動制御する機能も用意されるという(※GTX 970 GAMING 4Gは個別制御機能を持たない)
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 カードを分解すると,Twin Frozr Vクーラーの構造や基板をチェックできるようになる。ニッケルメッキされた銅製ベースプレートには8mm径が2本,6mm径が2本のヒートパイプが半田づけされているが,ヒートパイプの形状が「S」「U」の文字に見えることから,ここには「SuperSU」という名称が与えられているとのことだ。
 MSIによれば,「ヒートパイプをGPUに直接触れさせようとすると,GPUのダイに触れないヒートパイプが出てきてしまう。素早く熱移動させるためには,銅製のベースを用意するのが最良」とのことなので,SuperSUは,ヒートパイプがGPUに直接触れる構造を採用するASUSの「DirectCU」に対抗した命名なのかもしれない。

カードを分解すると,4本のヒートパイプがS字やU字状に,銅製ベースプレートへ固定されているのが分かる。ちなみに,左の写真では放熱フィンの側面にいくつか楕円状の凹凸があるが,これは,ファンによるエアフローを整流するためのものだという
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 メモリチップ用の放熱板兼補強板と,電源部用のヒートシンクを取り外すと,ようやく基板がお目見えする。コイルの数と並びからして,電源部は6+2フェーズ構成のようだ。

7本のビスでがっちり固定されたメモリチップ用ヒートスプレッダと,電源部用のヒートシンクを外すと,基板にアクセスできる
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 GTX 970上の型番刻印は「GM204-200-A1」。写真だと欠けていて分かりにくいが,念のためMSIにも確認したので,この型番で間違いない。
 組み合わされるグラフィックスメモリチップは,GTX 980リファレンスカードと同じく,Samsung Electronics製のK4G41325FC-HC28だった。メモリ周りの仕様はGTX 980とGTX 970とで変わらないため,この仕様も納得といったところである。

GTX 970 GPU(左)と搭載されるメモリチップ(右)
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比較対象はGK110とGK104,Hawaii

やや複雑なドライバ選定に注意


 ここからはテスト環境の構築に話を移したいと思うが,簡単にいえば,比較対象として今回用いるGPUは,表1でその名を挙げたものである。GeForce勢からは,GK110コアベースのGTX 780 Tiと,その下位モデルである「GeForce GTX 780」,GM204による置き換え対象となっている「GeForce GTX 680」と同じGK104ベースで,事実上の「高メモリクロック版GeForce GTX 680」である「GeForce GTX 770」を用意した次第だ。競合製品からは,シングルGPU仕様のフラグシップとなる「Radeon R9 290X」と,その下位モデルである「Radeon R9 290」をピックアップしている。
 R9 290Xは,カード上のVBIOS切り替えスイッチによって,静音動作を指向した「Quiet」と,より高い性能を期待できる「Uber」から動作モードを選択できるが,今回はUberモードを用いることとした。

 なお,GTX 970 GAMING 4Gはメーカーレベルのクロックアップモデルだったので,GPU性能を見る今回は,MSI製のオーバークロックユーティリティ「Afterburner」(Version 4.0.0)を用い,その動作クロックをリファレンス相当にまで下げている。

Afterburnerを用い,GTX 980と,動作クロックをリファレンス相当にまで下げたGTX 970 GAMING 4Gの動作クロックを追ったところ。今回のテスト環境だと,ブースト最大クロックは前者が1240MHz,後者が1201MHzだった
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 そのほかテスト環境は表2のとおり。GTX 980とGTX 970のテストには,NVIDIAから全世界のレビュワーに配布されたグラフィックスドライバ「GeForce 344.07 Driver」を用いた。ただし,テストスケジュールの都合上,比較対象のGeForceでは本ドライバの入手前にテストを終える必要があったことから,テスト開始時点の最新版となる「GeForce 340.52 Driver」を用いている。結果として,ドライバのバージョンが揃っていないので,この点はあらかじめお断りしておきたい。
 Radeonのテストに用いている「Catalyst 14.7 RC3」は,テスト開始時の最新版だ。

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 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション15.2準拠。ただし,R9 290XとR9 290では,「Battlefiled 4」(以下,BF4)において,DirectX 11版に加えてMantle版でもテストを行う。
 解像度は,NVIDIAが「4K解像度はSLIで」という指針を示していることから,それより下となる1920×1080ドットおよび2560×1600ドットを選択した。

 なお,テストにあたっては,CPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」を,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。これは,テスト状況によってその効果に違いが生じる可能性を排除するためだ。


GTX 780 Ti以上のスコアを示すGTX 980

GTX 970もGTX 780を超える実力を見せる


 以下,性能検証のグラフでは,主役の2製品を一番上に置き,その後GeForce,Radeonとモデルナンバー順に並べてあるが,グラフ画像をクリックすると,「3DMark」(Version 1.3.708)ではスコア順,ゲームアプリケーションベンチマークでは2560×1600ドット時のスコア順で並び変えたグラフを表示するようにしてあると紹介しつつ,テスト結果を順に見ていこう。

 グラフ1は3DMarkの総合スコアをまとめたもので,GTX 980はGTX 780 Tiに対して12〜14%程度,R9 290Xに対して10〜13%程度のスコア差をつけてトップに立った。GTX 970も,GK104コアを採用したGTX 770に対して30%以上,GTX 780に対して12〜13%程度,R9 290に対して1〜4%程度といったスコア差をつけている。
 なお,GTX 980とGTX 970間のスコア差は16〜18%程度だ。

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 続いてグラフ2,3はBF4の結果となる。R9 290XとR9 290ではGPU名の後ろに動作モードを付記して区別するが,ここでもGTX 980のスコアは頭1つ抜け出ていると述べていいだろう。対GTX 780 Tiで最大約16%,R9 290X Mantleに対して最大約14%のスコア差を付けているのは立派だ。
 ただ,「高負荷設定」の2560×1600ドットで,GTX 780 Tiとのスコア差が約7%,R9 290X Mantleとのスコア差が約4%にまで縮んでいる点も,指摘しておく必要はあるだろう。メモリ消費量の低減により,メモリ利用効率を大幅に向上させているGM204だが,一定レベルのメモリ負荷を超えると,さすがに256bitインタフェースの影響が出てくるというわけである。

 一方のGTX 970は,GTX 780 Ti比で90〜97%程度,R9 290X Mantle比で87〜97%程度と,高負荷設定の2560×1600ドットで引き離され気味であることを除けば,かなりのスコアを示せているといえる。

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 「Crysis 3」のスコアをまとめたグラフ4,5でも,GTX 980の高いスコアが目立つ。具体的には,対GTX 780 Tiで18〜21%程度,対R9 290Xでは10〜22%程度の差がついている。対R9 290Xだと,2560×1600ドットでギャップがやや詰まる傾向にあり,メモリバス帯域幅の影響も感じさせるが,気になるのはその程度だ。
 GTX 970はR9 290Xに対してあと一歩のところに位置している。対GTX 780では102〜107%程度,対R9 290では97〜105%程度のスコアである。

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 これまでとは若干異なる傾向になったのがグラフ6,7の「Bioshock Infinite」で,ここでは描画負荷が低めの「High」設定においてGTX 980とGTX 780 Tiのスコア差がほとんど出ていないのだ。ただ,「UltraDX11_DDOF」ではきちんと11〜14%程度のスコア差が出ていること,GTX 970でも同じような傾向が出ていることからすると,相対的なCPUボトルネックの影響というよりは,ドライバの最適化不足によるものではないかという気がする。

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 ハイエンドクラスのGPUにとっては“軽すぎる”タイトルである「The Elder Scrolls V: Skyrim」の結果がグラフ8,9となるが,結果は案の定といったところで,ほとんど横並びとなった。公式の高解像度テクスチャパックを持ってしても,GTX 980にメモリ負荷の影響を与えることはできていない。
 今回のテストにおいて,唯一スコア差が見えるものになったと言っていい「Ultra設定」の解像度2560×1600ドットにおける平均フレームレートだと,GTX 980は対GTX 780 Tiで約117%,対R9 290Xで約124%高いスコアになった。GTX 970は意外に振るわず,対GTX 980で約74%となり,R9 290にも若干置いていかれているが,この理由は,正直,よく分からない。

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 グラフ10,11は,「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(以下,新生FFXIVベンチ キャラ編)の結果だ。ここでもGTX 980の立場は揺るぎないとまとめてしまっていいだろう。もっとも,相対的なCPUボトルネックによる影響が出ていると考えられる「標準品質(デスクトップPC)」の1920×1080ドットはともかく,「最高品質」の2560×1600ドットでは,対GTX 780 Ti,対R9 290Xのいずれでもスコア差が縮まっているので,BF4と同様,メモリインタフェースによるペナルティの影響が出ているとはいえそうだ。
 GTX 970もスコア傾向自体はGTX 980と同じ。「最高品質」の2560×1600ドットを除けば,R9 290Xに対して優勢となっている。

画像集#048のサムネイル/「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」
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 スクウェア・エニックスによるスコアでは分かりにくいという人のため,新生FFXIVベンチ キャラ編では,平均フレームベースのグラフもグラフ10’,11’として用意してみた。必要に応じてこちらも参照してもらえればと思う。

画像集#050のサムネイル/「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」
画像集#051のサムネイル/「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」

 「GRID 2」のテスト結果はグラフ12,13で,ここでのテスト結果はGTX 980とGTX 970にとって非常に景気のいいものになった。標準設定の1920×1080ドットでは相対的なCPUボトルネックによる影響を確認できるが,グラフィックスメモリ負荷はそれほど高くないこともあって,それ以外のテスト条件において,GTX 980は対GTX 780 Tiで13〜21%程度,対R9 290Xで24〜30%程度高いスコアを示した。GTX 970もR9 290Xより1割以上高いスコアだ。

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GTX 980でGTX 770以下。第2世代Maxwellの

消費電力は文句なしに低い


 Maxwellアーキテクチャにおける大きな特徴が電力効率の向上にあることは本稿の冒頭でお伝えしたとおりだが,TDP 165WのGTX 980とTDP 145Wは,ハイエンド市場向けGPUのなかで,どれほど低い消費電力値を示すだろうか。ログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の消費電力を測定してみることにしよう。
テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とした。

 その結果はグラフ14のとおり。とにかく注目したいのはアプリケーション実行時で,GTX 980はGK104コア採用のGTX 770より消費電力が低い対GTX 780 Tiでは79〜90W,対R9 290Xでは96〜106Wも下というのは,相当に衝撃的だ。GTX 970はそんなGTX 980からさらに9〜20W低いスコアで,第2世代Maxwell恐るべしといった感じである。

 一方のアイドル時はおおむね80W前半で揃った。もっとも,R9 290XとR9 290は,アイドル状態が長時間続いたときにディスプレイ出力が無効になるよう設定しておくと,省電力機能「AMD ZeroCore Power Technology」(以下,ZeroCore)が機能し,システム全体の消費電力が75Wまで低下する。この点は押さえておいてほしい。

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画像集#054のサムネイル/「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」

 最後に,GPUの温度も念のため確認しておこう。ここでは3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども「GPU-Z」(Version 0.7.9)からGPU温度を取得することにした。
 テスト時の室温は24℃。システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラックの状態に置いてある。

 注意してほしいのは,GPUクーラーがカードごとに異なり,ファン回転数の制御方法も,果ては温度センサーの位置もカードごとに異なるということ。また,GTX 970 GAMING 4Gでは全自動でZero Frozr Technologyが有効になり,GPU温度が60℃を下回るケースだとファンの回転が止まるといったイレギュラーもあるので,横並びの比較にはあまり意味がないが,それでも,グラフ15を見ると,GTX 980のリファレンスクーラーが,高負荷時のGPU温度を現実的な水準にまとめていることと,GTX 970 GAMING 4GのTwin Frozr Vクーラーが高負荷時に高い冷却能力を持っていることは分かるだろう。

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 なお,GPUクーラーの動作音だが,筆者の主観であることを断ったうえで述べると,GTX 980リファレンスカードのそれは,GTX 780 Tiリファレンスカードと大差ないように感じられた。一方のGTX 970 GAMING 4Gだと,静音性はかなり優秀で,少なくともGTX 980よりは数段静かな印象を受けた。


看板に偽りのないGTX 980&970

GK110ユーザー以外に広く勧められるGPUだ


画像集#058のサムネイル/「GeForce GTX 980 & 970」レビュー。極めて高い電力効率が謳われる第2世代Maxwellの第1弾は「看板に偽りなし」
 まとめると,GTX 980の性能はGTX 780 Tiの1割増し程度,GTX 970の性能はGTX 780以上GTX 780 Ti以下でR9 290Xといい勝負といったところだ。GTX 980はシングルGPUとして史上最速の存在ではあるものの,モンスターGPUであるGK110世代の3D性能が高いこともあって,純然たる性能だけではそれほどのインパクトは持たない。しかし,消費電力まで考えるとその存在感は圧倒的といえる。
 最大の懸念であった256bitメモリインタフェースが,「まったく気にする必要はない」とは言わないにせよ,おおむね問題のないレベルの弱点に留まっている点も評価できるだろう。NVIDIAの掲げた看板に偽りはないというわけである。

GTX 970 GAMING 4Gには,初回限定で布製マウスパッドが付属する
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 北米市場における搭載グラフィックスカードの想定売価は,GTX 980が549ドル(約6万円),GTX 970が329ドル(約3万6000円)。ここに消費税やら何やらが乗ると,日本での“初値”は,GTX 980が7〜8万円程度,GTX 970が4万5000〜5万円程になるのではなかろうか。決して安価ではないものの,性能が上がって消費電力が下がり,HDMI 2.0などといった付加要素が追加されたことを考えると,十分にアリだと思う。

 GK110ベースのGeForce GTX 700&TITANシリーズを持っている人が買い換えるには,さすがに性能向上率が低すぎる。しかし,それ以外の人にとっては,大きな消費電力という“対価”を払うことなく高い性能を実現できるGPUとして,広く勧められる存在だ。

(カード概観の段落以外:宮崎真一,カード概観の段落:米田 聡)

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    GeForce GTX 900

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