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地図データをもとに実在都市を自動生成。「エースコンバットアサルト・ホライゾン」のリアルな都市はこうして作られた
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印刷2011/12/09 00:00

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地図データをもとに実在都市を自動生成。「エースコンバットアサルト・ホライゾン」のリアルな都市はこうして作られた

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
 2011年12月8日,Mayaや3ds Maxをはじめとした3Dソリューションを展開するAutodeskが,都内でパートナー向けのイベント「Autodesk 3December 2011」を開催した。
 本稿ではイベント中に行われた「ACE COMBAT ASSAULT HORIZONにおける実在都市の再現手法」と題されたテクニカルセッションの概要をまとめてみたい。実在の都市が忠実に再現されたマップの上空でド派手な空中戦を展開する「ACE COMBAT ASSAULT HORIZON」PS3 / Xbox 360:以下,ASSAULT HORIZON)だが,そのマップがどう作成されたのか,裏舞台が明かされたのでさっそく紹介してみよう。


実在都市を再現するための3つの課題


バンダイナムコゲームス チーフシニアビジュアルアーティスト千家英嗣氏(右),ビジュアルアーティスト鈴木摩耶氏(左)
 セッションを担当したのはバンダイナムコゲームスの千家英嗣氏と鈴木摩耶氏だ。

 まずは,千家氏が来場者にASSAULT HORIZONの概要を紹介。世界の主要都市が忠実に再現されたマップを示しながら,これらのマップは「ユーザーに現実の都市で戦っていると実感してもらうことを最終目標として制作した」(千家氏)と語る。
 とくに,この最新作では従来作に比べて低空でのバトルが多いため,低空から見た場合でもリアルなディテールが再現される必要性があったという。

どれくらい忠実に再現されているのか,千家氏が例として示した東京マップの比較。ビルの上から撮影した写真と,ゲーム中のマップをほぼ同じ位置から見たものだが,どちらが写真か分かるだろうか? 答えは左上が写真,右下がマップ。まったく同じとはいかないものの,かなり忠実に再現されていることが分かる
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON

 実在都市をリアルに再現するには3つの問題があったと千家氏。その3つの問題をいかにしてクリアしたかが,本セッションのテーマとなる。

千家氏が挙げた3つの問題。この3つの問題をいかにして解決したかが本セッションのテーマだ
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON

 例えば,最初に挙げられている“再現する範囲が非常に広大”であるという問題は,「航空機で戦うので,マップが狭いとあっという間に通りすぎてしまう」(千家氏)ことから,避けられない問題といえる。

 例えば,東京マップは25km四方が再現されており,さらに50km四方が再現されている都市もあるという。この広大なマップを手作業で作っていたら,いくら時間があっても足らないことは想像に難くない。

 その“再現する範囲が非常に広大”なことに対する対応は割とシンプルで,衛星写真を用いているそうだ。千家氏によると衛星写真の利用はPlayStatio 2の世代から始めたそうで「当時は衛星を使うというだけで凄いことに思えたが,今はGoogleマップで携帯からも見られるようになり身近なものになった」と述懐していた。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
スライドに挙げられている4社から衛星写真を購入してマップに貼りつけたという
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
衛星写真を貼り付けだけのマップがこれ。ただ貼りつけただけでも,上空から見るだけなら相当にリアルな風景になる


マップデータを利用して省力化し,インスタンス化で軽量に


 衛星写真はリアルに見えるが,ただのっぺりした平面にすぎないので,建物を置いていくことになる。そこで2番目の“配置する建物の量が非常に多い”という問題に直面する。
 この問題の解決にも,建物のデータが入っている地図データを利用したそうだ。以前の同タイトルではすべての建物を人の手で作成して並べていたそうで,途方もない時間と手間がかかったそうだが,地図データを利用することで短時間でクォリティの高いマップを作成することができたと千家氏は語っていた。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
建物の再現には地図データを利用し,データから自動で建物のポリゴンが生成されるツールを作成して利用したそうだ
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
以前の同タイトルでは人力で建物を並べていたそうだが,1つのマップで平均2.5人月もの工数がかかり,大変な労力をかけて作っていたとのこと

 地図データから建物を自動で並べるツールを制作して省力化を図ったとのことで,このツールはMayaのプラグインとして作成されているという。その地図データには建物の位置,形状,そして種別……マンション,工場,倉庫といった建物の種類の情報が入っている。このデータを読み込み,建物のポリゴンに変換。さらに建物の向きと種別の情報をデータとして保存するところまでがツールで自動化されていると説明していた。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
これが内製されたツール。Mayaのプラグインとして作成され,地図データからポリゴンを生成し,さらに建物の向きの情報と種別の情報を保存するそうだ
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
ツールの説明は鈴木氏が担当した。地図データには建物の角の位置が緯度経度で記録されている。その情報をもとに,まず平面ポリゴンを作成する
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
平面ポリゴンを地図データに記録されている建物の高さだけ伸ばしポリゴンが完成
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
続いて建物の向きを決定する。この向きの情報は次の3番目の問題解決に使用される
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
最後に,建物の種別を保存する。このスライドは建物の種別を色分けした様子

 というようにして作成されたデータには,建物の形だけでなく,向きと種類が記録されている。この情報を使って最後の“処理の負荷,メモリの制約”を解決することになる。
 ASSAULT HORIZONはPlayStation 3/Xbox 360向けのタイトルだ。ゲーム機ではPCのような潤沢なリソースは持っていないので,忠実であっても膨大なデータ量にったマップは描画の負荷やメモリの制限から利用できない。スピード感が重要なタイトルだけに,もっさり描画されたのではプレーヤーもがっかりだろう。

 千家氏によると,ASSAULT HORIZONでは,同じモデルを複数,同時に描く”インスタンス”と呼ばれる機能が利用されているという。この機能を使って似たような建物は1つのモデルやテクスチャにまとめてしまうことで,データ量と描画負荷の削減を行ったという。簡単にいえば1つの建物を使い回すわけだ。

 ただ,容易に想像できると思うが,使い回しをしすぎれば同じ建物だらけになってしまい,忠実な都市の再現にはほど遠いものになる。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
同じ建物を使い回しすぎた例。同じような建物だらけになり,都市の忠実な再現には程遠いものになってしまう

 建物を使い回し,かつリアルな都市が再現できるのか。そのキーポイントとして千家氏が挙げたのがスライドの3点だ。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
建物を使い回しながら似せるには,この3点が重要だという

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
このようなランドマークとして誰もが知っている建物は忠実に1つ1つモデルを再現する。そのほかの建物は使い回しでも,誰もが知っている建物が再現されていれば現実の都市らしくなるという
 まず,ランドマークとなるような誰もが知ってる建物はインスタンスにはせず,1つ1つ忠実に再現する。例えば東京タワー,都庁,東京スカイツリーといったような建物はしっかりと再現する。
 一方,あまり有名でない建物はインスタンスにして同じ建物を使い回すが,街の特徴を残すために,建物の種類を再現する。先のデータに含まれていたマンション,オフィス,倉庫といった情報を使って,種類ごとに異なる建物のモデルやテクスチャを使うわけだ。そのうえで,街の輪郭をできるだけ再現することによって,データを削減しつつも,それなりに現実の都市らしいマップが作成できるという。

 インスタンス化の作業はPythonで記述されたオリジナルのツールを使って行われたそうだ。鈴木氏がツールの機能を説明してくれたので,スライドを使って流れを紹介しておこう。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
まず,膨大な量の建物を体積や幅といった大きさで分けて整列させ,さらに種類別にグループに分ける
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
今度はグループの建物を似通った形状,大きさで分ける。この例では3つに分けている
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
似通った形状・大きさの建物のなかから,代表的な大きさと形状の建物を1つ選び出す
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
選び出した建物で置き換えて,おおよそ再現できていることを確認する

 以上のような方法で,同じ種類の似通った建物を1つにまとめてしまい,同じデータを使うわけだ。このようなインスタンス化を使い,東京の3万以上の建物を200種にまで減らすことができたという。データ量が1/150に減ったことで,描画負荷やメモリ使用量を大幅に低減でき,なおかつ再現性を損なわないレベルが確保できたわけだ。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
インスタンス化によって,3万の建物の原型を200にまで減らすことができ,データの量は1/150になったという
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
これがインスタンス化で建物データを使い回しつつ再現された東京の風景。中央にある特徴的な建物はバンダイナムコゲームスだそうで「ゲームで見つけたら弾を当ててほしい(笑)」とのこと。さすがに自社ビルはインスタンス化していないようだ

 千家氏は最後に「今回は地図を使って実在する都市の建物の配置を自動化できたが,架空の都市も自動的に再現できる方法を考案していきたい」と今後の課題を挙げ,さらに地図会社のサービスを活用して省力化できた今回の例を「他業種のサービスにも目を向けて開発に取り込むきっかけにしてほしい」と会場に呼びかけてセッションを締め括った。

 3次元建物情報もあるGoogleマップが浸透しているだけに,地図データを活用するということに驚きはないだろうが,MayaのプラグインやPythonで作成したツールを駆使して省力化を行うあたりがゲーム開発らいしところ。また,膨大なリアルデータを保持しているサービスは地図以外にもありそうだ。例えば,太陽系の小惑星を含む軌道データなどというものもゲームに取り込める可能性がある。そうしたリアルで膨大なデータが活用することでも,いままでにない面白いゲームにつながってくるのだろう。今後の各社の工夫に期待したい。
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