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情報をオープンにして業界全体の底上げを。オールジャパンで改革に取り組んだCEDECの3年間と今後の展望をCEDECフェローの松原健二氏に聞いた
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印刷2010/08/26 00:00

インタビュー

情報をオープンにして業界全体の底上げを。オールジャパンで改革に取り組んだCEDECの3年間と今後の展望をCEDECフェローの松原健二氏に聞いた

 8月31日から9月2日の3日間,CESAデベロッパーズカンファレンス2010(CEDEC 2010)が開催される。国内のゲーム開発系イベントとして12回目となるCEDECだが,過去3回で大きな改革が施され,セッションの内容はバリエーションに富み,参加者数も飛躍的に増加したことは,関係者であれば肌で感じているかもしれない。
 その立役者が,当時CESAの副会長および技術委員会委員長を務めていた,コーエーテクモホールディングス 代表取締役社長の松原健二氏である。松原氏はCEDECフェローという立場で,CEDEC 2010の基調講演「CEDECとは? ─そのもたらす価値の追求─」を行う。それに先駆け,4Gamerでは,松原氏にこの3年間のCEDECの改革と今後の展望などを聞いた。インタビューはCEDECの話に留まらず,ゲーム業界を取り巻く現状と,それが今後どうなっていくかにも言及し,示唆に富んだ内容となった。

TGSと並ぶ最重要イベントに位置づけられるCEDECは,3年間の改革でどう変わった?


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。2009年もそうでしたが,今年のCEDECもまた,相当規模の大きいものになりますね。

CEDECフェロー(コーエーテクモホールディングス 代表取締役社長)松原健二氏
松原健二氏(以下,松原氏):
 私が最初に携わった2007年は,約1300人が参加してくれました。2008年は約2000人,そして2009年は2600人と,毎年どんどん参加者が増えています。人数だけでなく参加者の幅を広げることも大切です。例えばアカデミックの人にもっと興味を持って参加していただこうと,昨年12月はSIGGRAPH ASIAで,今年3月は情報処理学会の創立50周年記念全国大会で,CEDECの紹介やセッションを行いました。
 また,より参加しやすい枠組へも取り組んでいます。今年のCEDECではポスターセッションやショートセッションを用意し,バラエティを持たせることになりました。20〜30分の短いセッション,あるいはポスター展示を通じて,CEDECで何か発表してみたいという方の意識的なハードルも下がるのではないか,と。

4Gamer:
 おっしゃる通り,ポスターセッションなどの新しい表現を通じて,雰囲気がずいぶん変わるであろうことが予想できます。
 なんというか以前は,「CEDECで何かを発表することにメリットを感じられない」という意見もありましたよね。そしてそれは,ある意味では理解できることでした。「なんでわざわざ時間を割いて資料を準備して,自社の大事な情報を公開するのか」といったような空気とでもいいましょうか。

松原氏:
 そうですね。やはり発表を行うことにネガティブな印象を持つ場合もあるでしょう。「CEDECの価値って何?」と考えたときに,「他社の情報は欲しいけれども,自分達の情報は出したくない」という思いは多少なりともあるかと思います。
 もちろん,機密に関する部分まで踏み込んで話をしてくださいというつもりはありません。そうではなく,「こういう風にやっています」というのを,ある程度の範囲で披露していただければ,ということなんです。聴講する側だけでなく,発表する側にも十分に役に立つのです。“オールジャパン”という意識を持ち,その先にある国際化を見据えて,日本のゲーム産業全体を持ち上げていこう,と。そのためには,それぞれの抱えている問題点をオープンにして論じあうことも必要です。
 そうやってCEDECの価値が上がっていけば,そこで話すことのプレゼンスも重要なものになっていきます。また,こうしてメディアで取り上げていただくことにより,他業界へのアピールもできますし,ひいてはリクルーティングにも影響を与えるでしょう。
 こうした価値を上げるためには,やはり継続しかありません。1〜2年でどうにかなるものではないですよね。

4Gamer:
 この3年間で,本当にCEDECは大きく変わったと感じます。それを一番実感しているのは,委員会の方と,もしかしたら我々メディアかもしれません。「今年こんなにセッション増えてるよ……」といまから青ざめているくらいでして。

北斗無双(コーエーテクモゲームス)
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松原氏:
 だいぶ増えたでしょう?(笑)
 開催は3日間ですが,運営する側の仕事は一年中あるんです。2009年でいえば,CEDECが終わって1か月後の10月には反省会,11月には2010年に向けた課題をまとめました。公募を早く始めよう,スケジュールを前倒しで決めよう,参加する人数を増やそう,新たなセッションを入れよう……そういうアジェンダを,11月中に決めていたんです。スケジュールを早く公開するためには,公募も3月中に締め切らなければいけない……と,本当に休む暇がないんです。

4Gamer:
 そんなに大変だったんですね。

松原氏:
 開催の裏では,そういう活動が随時行われていると思っていただければ。CESAとして大きく取り組むのはTGSとCEDECである,と和田(洋一)会長もおっしゃっています。とはいえTGSは長い歴史がありますから,今では出展する企業が広報イベントと位置付けて自らイニシアチブを取って参加していますよね。
 一方CEDECは,まだまだCESAが中心的な役割を担っていく必要があります。毎月1回,北は北海道,南は九州から各社のR&Dマネージャークラスの方が少なくとも20名は集まって,CEDECについて話し合っています。それ以外にも,各テーマのセッションごとにミーティングを開いたり,毎日のようにメールでやり取りをしたりしています。

4Gamer:
 そうやって聞くと,皆さんの熱心さに改めて驚かされます。

松原氏:
 SIGGRAPHのような学会やGDC(Game Developers Conference)のやり方を参考にしている部分もあるんです。今年は,スクウェア・エニックスのジュリアン(・マーセロン氏)が参加してくれたので,GDCでの経験をもとにしたアドバイスをもらっています。彼はGDCの運営にも深く絡んでいますから。ポスターセッションの導入などは,SIGGRAPHなどを参考にしています。
 その中でも面白い取り組みが,「CEDEC CHALLENGE」でしょうね。今回の「CHALLENGE」は三つあって,一つは「Photoshop ペイントマイスター」です。これはバンダイナムコゲームス,スクウェア・エニックス,コーエーテクモのスタッフが,出されたお題をもとに2時間で絵を描き上げるという内容で,その制作風景はニコニコ動画のCEDECチャンネルで配信していますし,また作品はCEDEC会場に展示されます。

4Gamer:
 動画,拝見しました。「プロの技はやはりすごいな」と思いながら。

松原氏:
 すごいですよね。ああいう風に使うものだとは知りませんでした(笑)。
 そしてもう一つは,「三日でゲームを作ってみる」。これは,文字通りの内容ですね。最後が「超速碁九路盤AI対決」で,プログラマーの腕を競うものです。
 いずれも参加型の取り組みとして,これまでとは違うCEDECの一面をアピールしています。

4Gamer:
 それらのイベントの対象は誰になりますか? 一般ユーザー向けだったり開発者向けだったり,ちょっとぼやけてる感もあります。

松原氏:
 もちろんCEDECに参加する人達,「ゲーム開発に関わるあらゆる人」が対象です。
 例えばPhotoshopの使い方にしても,ゲーム業界大手のスタッフが実際にどうやっているのか,これまで公の場で,動画で公開されたことはなかったんですよ。そういう意味では,今回の取り組みは画期的だと思うんです。動画を見れば,一つ一つの動作が分かりますよね。グラフィックスを手がけている方にとっては,大きなヒントになるのではないでしょうか。

4Gamer:
 確かにそうですね。今後も,こうした取り組みは続けていく感じでしょうか。

松原氏:
 はい。運営する側の組織力がついてきましたので,将来,何をやるかについては新しいアイデアが生まれ実現されていくでしょう。

4Gamer:
 「ついてきた」ということは,委員会のメンバーは変わってるということですか?

松原氏:
 この3年間で,多くの新しい方が入ってきました。またクオリティを上げるためにプログラム,ゲームデザイン,ビジュアル・アーツなど,各テーマごとにセッションプロデューサーを決めて,それぞれの活動を一任しています。それまでは,いい意味で「ボランティア風」の運営だったのですが,もっと多くの人に参加してもらうことを考えた場合に,より体系的・組織的にした方がいいだろうと判断したわけです。
 2009年からは,セッションの内容を決めるプログラム委員会,広報活動などを担当する実行委員会,それら全体を取りまとめる組織委員会の三つに分かれて活動しています。そのほか,さまざまなことを手助けしてくださるアドバイザリーボードを含めて,のべ40人前後がCEDECに携わっています。

4Gamer:
 組織的に相当変化したんですね。

松原氏:
 人材面でも,パワフルなメンバーが増えました。遠藤(雅伸)さんのような伝説といっていい方にもご参加いただいてますし,サイバーコネクトツーの松山(洋)さんは,アドバイザリボードとしての貢献だけでなく,講演者として大変評価の高いセッションを例年披露していただいています。もちろんこの二人以外にもたくさんの人達に支えられています。委員長の吉岡(直人)さんや副委員長の斎藤(直宏)さんの存在も大きいですよね。

4Gamer:
 以前のCEDECは,各社がなんとなくボランティア的に参加しているような意識がありましたよね。業務だったり本業との兼合いだったりで,どうしても人によって温度差が出てしまって,その結果,イベントとして「熱」が足りない状態になっていたこともあったように見受けられました。

松原氏:
 おっしゃるとおり,各社さんのご厚意に期待していた部分は否めません。
 それをここまで持ってこれたのは,CESAの理事を務める各社のトップレベルの方々にCEDECを理解して頂き,運営を強化していこうという雰囲気を醸成できたからだと思います。私自身,副会長を務めていた間はCESAの常任理事会および理事会で,CEDECの活動を報告していました。
 2007年に技術委員会の再活動を始めましたが,それまではCEDECを担当する委員会がなく,理事の皆さんへはCEDECの情報が十分には伝わっていなかったと思います。CEDECの活動報告を行い,各社の協力が欠かせないということをお伝えして,「よし,皆でやりましょう」「オールジャパンで取り組みましょう」という気持ちになってくれたんですね。

4Gamer:
 報告は組織運用の基本であり,最も重要な部分ですしね。それで今後,CEDECはどのような展開になる予定なんでしょうか。

松原氏:
 ここまで規模の大きなゲーム開発者のイベントは,世界中を見渡してもGDC以外にはないんですよね。CESAという業界の団体が主催していることも特徴です。
 まだまだ課題はあると思いますが,一つは国際化を考えなければならないでしょう。欧米,アジアなど海外の市場が成長している中で,CEDECの果たせる役割,可能性は大きいと思います。GDCというイベントがありますから,連携するところと,独自性をもつところの検討も大切でしょう。

4Gamer:
 GDCと共に業界の双璧となる,ということですね。

松原氏:
 国際化という点では,今年は海外トップレベルの開発者が講演者として参加してくれます。さらに英語から日本語,日本語から英語の同時通訳を一部導入します。コスト的には少々厳しいので,全てのセッションに通訳はつけられないのですが……。

4Gamer:
 話がちょっと逸れちゃうんですけど,その「コスト」の問題がまさに重要で,今後CEDECを組織化することは考えていないんでしょうか。これ以上の規模を目指すとなると,今の形式のままでは,正直なところ相当無理があると思うんですが。

松原氏:
 それは,CEDECそのものを,運営を専門とする組織で行う,というお話ですか?

4Gamer:
 そうです。みなさんの余力を結集して執り行っているイベントとして,大変な成功を収めて規模もどんどん拡大していますが,おそらくそろそろ限界点に来ているのではないかと思うんです。これを脱却してさらなる上を目指すためには,それ自体の運営を別組織でやるしかないと思うんです。

松原氏:
 それは大変大きな決断ですね。参加する皆さんの要望次第であり,CESAの判断すべきレベルですね。私はこの4月からCEDECフェローという立場になりましたので,参加する皆さんへも,運営するCESAへも少しでも役に立つアドバイスをできれば良いと思っています。
 また,これ以上規模を大きくするためには,会場の収容能力が問題になります。

4Gamer:
 いわゆる「ハコ」の問題ですね。しかしパシフィコは首都圏から遠いイメージがあるので,ちょっと不便だと思っている人は多いと思います。

松原氏:
 そうかもしれませんね。しかし首都圏やほかの地域をみても,パシフィコ横浜より大きな会場はなかなか見当たりません。そしていま以上にセッション数を増やそうとすると,開催期間を伸ばさなければならなくなります。参加する人の多くは,仕事とのやりくりをして来ていると思いますので,日数が増えることへも慎重に判断しなければいけないでしょう。

4Gamer:
 それこそGDCのように,本編を別立てにするとか。

松原氏:
 そうですね。確かにチュートリアルと本編を分けるような施策もできますから,結局のところニーズ次第ですね。実現するかどうかは分かりませんが,GDCのように展示エリアを設けるとか,ジョブフェアを開催するとか,アイデアはいろいろと出てくるでしょう。
 ……まあ今の私はCEDECフェローですので,アドバイスをする立場として,さまざまな可能性について伝えたいですね。でも組織委員会のメンバーに迷惑をかけないように発言しないと(笑)。

情報をオープンにすることで,さらに上を目指す


4Gamer:
 先ほど少し話題にしましたが,以前のCEDECでは,どのセッションでもまずほとんどの場合,自社独自のテクノロジーやテクニック,ノウハウやデータなどは公開しませんでしたよね。
 ところが,この2〜3年でその姿勢がガラッと変わった印象を受けます。この背景には,業界全体の焦りのようなものがあると思って間違いないんでしょうか。

松原氏:
 私自身,ずっと言っているのですが,CEDECのような場所で開発者同士が情報交換をしないと,ゲーム開発の進歩は止まると思っています。さまざまな技術はもちろん,ゲームデザインも含めてです。
 私がイメージするのは,アメリカ西海岸の「オープンにして,さらにその上を行けばいい」という気風であり,考えかたです。私が80年代にIT業界に入った頃は,日本ではどこも自社の技術は厚いカーテンの内側で,絶対に話をしませんでした。

4Gamer:
 リアルタイムに知っているわけではありませんが,容易に想像は付きます。

松原氏:
 ところが,北米では実際に開発した内容を伝える論文が発表されていて,開発者イベントに行くとさまざまな議論が交わされていました。ここまで話していいのかと感じるほどでしたが,彼らは「大丈夫,俺達は立ち止まっていない。この話を聞いて追いついてきたときには,もっと先に行っているから」と本気で言うのです。
 もちろん,彼らにしたって,本当にノウハウが詰まっている機密性の高い部分は一切オープンにしませんけれども,日本人からすると相当なレベルのものでした。ほかの業界に勝つために,協力して切磋琢磨していこうという部分と,各社それぞれのコンフィデンシャルな部分とのバランスが非常に取れているんです。この雰囲気に接したのは90年頃の話ですが,それが私にとって非常に大きなカルチャーショックでした。その後,日本と米国の開きがどうなったかは言うまでもないでしょう。

4Gamer:
 それが,現在の松原さんのCEDECへの取り組みに繋がっている,と。

松原氏:
 ええ。日本は日本で非常に優れた文化を形成してきましたが,一つだけ変えなければならない部分があると考えてきました。それはすなわち,抱えている問題を広く顕在化させるということです。実は各社とも,似たような問題を抱えているケースが多いんですよね。コアな部分までは明かさなくとも,お互いにウチはこうやっているということをオープンにしていく場があれば,よりよい解決策が見つかるのではないか,と。
 要は刺激ですよね。開発者が,他社の成果に刺激を受けて,よりよいものを生み出していく──ゲームだったらより面白いもの,より楽しいものを知恵を絞って作っていく,そういうサイクルを活性化させたいんです。もちろん社内でも活性化を図ることはできますが,それだけでなく外部から話を聞いたり,交流を深めたりすることも重要でしょう。1年365日あるうちの3日間は,そういうことに費やしてもいいんじゃないかというのが私の考えです。そういう形でCEDECが位置づけられるといいな,と考えています。

4Gamer:
 CEDECで知り合ってしまえば,ほかに交流する機会も生まれるでしょうし。

松原氏:
 日本がゲーム開発でダントツに世界のトップにいるのなら,それぞれ個別にやっていくのもいいんです。ところが現実には,アメリカやイギリスの売り上げトップ10を見ても,任天堂さん以外の日本のゲームタイトルはほとんど載っていません。
 おっしゃられているような焦りや危機感という話であれば,多くの開発者は当然抱いているでしょう。

4Gamer:
 なるほど。

松原氏:
 日本でいえば,家庭用ゲーム機ソフト市場はもう何年も3000億円規模で留まっています。しかしその中身を見ると,ここ数年は任天堂さんの展開するカジュアルなゲームがシェアを拡大していて,いわゆるゲーム性の高いゲームの比率は下がっているわけです。
 その一方で,欧米は大きく市場を拡大しています。特にヨーロッパは,この10年で2倍近く成長しました。欧米全体では,日本の6〜7倍の市場規模になります。
 これらの事実を踏まえると,「海外で勝てなければ,まず生き残ることはできない」という結論にたどり着くんです。

4Gamer:
 ええ,そうした考え方のもと,大手をはじめ多くのゲーム会社が海外進出に乗り出していますよね。しかし,その結果を見ると,各社とも同じ過ちを繰り返しているように見えます。例えば,日本で売れたゲームをそのまま海外に持ち出そうとして討ち死にし,それを見ていたはずの他社がまた同じような討ち死にをし。
 むろん,海外でさえ売れれば正義であると言うつもりは微塵もありませんが,まず売れなくては話にならないわけで,そこを一度真剣に努力すべきだと思うのです。海外進出の件にしても,みなさんがその気になれば,国ごとにどんなゲームがどういう理由で好まれているのか,的確に分析できそうなんですけれども。

松原氏:
 日本で長くやっている開発者は,これまでの日本をよく知っている半面,北米やヨーロッパの市場を知らないという現状があります。面白いという感性を創りだすゲーム開発においては,変わることはそう簡単にはいかない。
 ともあれ,数字上で見れば,「北米や欧州に進出しない」という選択肢はあり得ないんです。進出しないと,いつまでも狭い市場でパイを奪い合っているだけになってしまいますから。
 日本の国内でもパイを広げようと,ソーシャルゲームやブラウザゲームへ向う会社が多いですね。新聞を開けば,mixiさん,ディー・エヌ・エーさん,GREEさんの決算が好調なことが書き立てられていますよね。それと比較して「従来のゲーム会社は厳しい」と書かれています。それはそれで事実かもしれませんが,市場が100%ソーシャルゲームやブラウザゲームに変わるのかというと,そうではない。これまでずっとコンシューマゲームを作ってきた開発者が,いきなりゲーム性の全く異なる「サンシャイン牧場」を作れるかというと,どうでしょう。

4Gamer:
 非常に難しいと思います。そもそも,遊ばせる動機づけからして全く違うものであり,少なくとも現時点では,その多くは,いままでのゲーム開発者が考えるような「ゲーム」ではありません。現状の日本の「ブラウザゲーム」は,既存のゲームにだいぶ近いと思っているんですが。

松原氏:
 海外市場へ進出しないといけないと分かっていても難しい,またソーシャルのようなこれまでと異なる市場に向けたゲームを作りたいというマインドが沸いてこないという本音があるのかもしれません。

4Gamer:
 しかし,海外はダメ,携帯やスマートフォンはイヤ,ソーシャルはもっとイヤ,では売り上げが望めないわけで,どこにも行くところがなくなってしまうと思うんですが。

Red Dead Redemption
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松原氏:
 ええ。そこで原点に帰り,市場をきちんと見る必要があるわけです。北米に進出しようとするのであれば,適したゲーム性,ゲームシステムを選ばなければいけません。いきなり現地のカルチャーに深く根ざしたゲームを作ろうというのはかなり無理な話です。例えば日本で生まれ育った人にはいきなり「Red Dead Redemption」のようなゲームデザインは作れないでしょう。セリフ回し一つとっても,全然的外れのものになってしまうと思います。
 しかし例えばアクションゲームにしても,アクションに新規性があって,ストーリーもオリジナルのゲームであれば,北米で成功する可能性が出てきます。任天堂さんはいくつものタイトルで欧米で成功を収めてきました。私個人が言いたいのは,そういうことなんです。皆さんが皆さん,この考え方に賛同してくださるかというと,必ずしもそうではないかもしれませんが。

4Gamer:
 なるほど,おっしゃることは分かります。

松原氏:
 ともあれ,日本のゲーム会社で海外に目を向けていない経営陣はいないんじゃないでしょうか。あるいは,海外に向けて具体的に動いているのは大手ではなく,身軽な中小企業かもしれませんね。

4Gamer:
 実際,ソーシャルゲームやブラウザゲームでそういう動きもありますけれど。

松原氏:
 ソーシャルゲームは,莫大な数がリリースされていますが,きちんと利益を挙げているのは,恐らくほんの一握りですよね。4Gamerさんの記事にも,1本当たりのライフサイクルが短くなっているというようなことが書いてあって……でも,開発者も皆そう思ってますよ。今はブームだから成長していますけれど,どこかでそれが止まり,そのあとできちんとしたコンテンツが残っていくと予想しています。

4Gamer:
 あと個人的には,「ゲームは面白ければ売れる」という神話も,今後のために早急に崩されるべきだと思っています。「売れたゲームが面白いと評価されるケースが多い」ことはありますが,非常に残念なことに,面白いゲームがすべからく売れるわけではありません。古き良き開発者の方は,やはりそのあたりでまだまだ引っかかっている印象を受けます。

松原氏:
 なるほど。言わんとしていることは理解できます。

4Gamer:
 そしてその神話だけを信じている限り,これまでのゲーム開発者の多くは「売れる」ソーシャルゲームやブラウザゲームを作れないと思うのです。「これは,俺の作りたいゲームと違うぞ」と。
 むろん,ソーシャルゲームやブラウザゲームが面白くない,と言ってるわけではありません。しかし少なくとも現時点では,あからさまに面白さのベクトルが違うものだと思うのです。また海外展開も根っこは同じで,「面白いから売れるはず」と信じて進出するから,いつまで経っても失敗の原因が共有されないのかもしれないと考えています。

松原氏:
 いまおっしゃったような話で,2008年のCEDECの基調講演で,カプコンの稲船(敬二)さんが「ビジネス的なことを考えることは非常に重要なこと」といってくださったのは,本当にありがたかったですね。開発者は,売れることは重要だと理解しているんですけれども,やはり創り手としての思い入れがあって,そこに100%コミットすることは難しいんですよ。
 しかし私達はビジネスでやっているのですから,利益が出ないことにはどうしようもありません。稲船さんのように,ゲームクリエイターとして実績のある人が,そこを明確にいい切ってくださったのが素晴らしいですよね。

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稲船氏がエグゼクティブプロデューサーを務めた「ロストプラネット2」
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名越氏の代表作「龍が如く」シリーズ
4Gamer:
 稲船さんもそうですし,あとセガの名越(稔洋)さんなどもそうだと私は思っているんですが,行動や言動がとても目立つ方達なのでネタっぽく捉えられがちです。しかし彼らは,優れたクリエイターというだけでなく,優れたプロデューサーですよね。いわゆる「ビジネスマン的な意味」を含めた色々な意味で。このお二人に関して言えば,数字を見て,状況を見て,根拠のない自信で動かず,売れるものをキチンと目指していると聞いています。
 もちろんほかにも大勢いるとは思うんですが,そういった人達が先陣を切って音頭を取って,全体を前へ前へと推し進めてくれないと,今後の業界はちょっと厳しいかな,と思っています。

松原氏:
 ゲームの作り方自体も,時代と共に変化しますしね。

4Gamer:
 はい。かつてのように,一部のトップクリエイターが何もかもを引っ張っていくだけではダメで,数年前から,もっとビジネスとしてトータルに捉えられる人材が重視される段階に入っていますよね。そもそも作品は「チーム」で作るものだから,一人だけではもうどうにもならない時代にもなってしまっているわけですが。

松原氏:
 そういう意味では,CEDECは国際化を睨むだけでなく,日本のゲーム業界の土台をしっかり固めるような内容にしていく,というのが求められていますね。

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