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必要なのは,世界を目指すという覚悟――LoL国内リーグ戦「LJL 2015 SEASON1」開幕戦レポート。DetonatioN代表に聞くシーンのこれから
このリーグは,2014年2月から9月の8か月にかけ開催された同名大会に続くもの。本年度は規模を拡大し,昨年度の上位チームであるDetonatioN Focus Me,CROOZ Rascal Jester,Ozone Rampageに加え,初参加となる3チームを加えた全6チームが参加。日本最強の座と高額賞金をかけて戦うこととなる。その開幕戦となる今回は,各チームの選手と多数の観客が秋葉原に集い,オフラインならではの熱い闘いが繰り広げられた。本稿でその模様をレポートしていこう。
また記事の最後には,会場にて「所属選手への毎月給料の支払い」を発表したDetonatioNの代表・LGraNこと梅崎伸幸氏のミニインタビューを掲載している。プロチームとしての取り組みや,国内LoLシーンの展望について伺っているので,興味のある読者はぜひチェックしてみてほしい。
※選手名の後のカッコ内は,担当レーン,もしくはロール。野球やサッカーで言うところのポジションのようなもの。
「LEAGUE OF LEGENDS JAPAN LEAGUE」公式サイト
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「LJL 2015 SEASON1」開幕戦 フォトレポート
6チームによる熱戦を間近に見ることのできたこの開幕戦では,なんと入場規制が行われるほどの観客が詰めかけた。これは,数々のゲームイベントを開催してきたe-sports SQUAREでも初めてのことだという。戦略の自由度が幅広いLoLを見て楽しむには,観戦者にもそれなりの知識が必要となるが,現地での応援や歓声は凄まじく,日本国内におけるLoLコミュニティの成長ぶりを肌で感じられるイベントとなった。
この辺りは,近々開始されるという日本サービスへのファンの期待感の表れとも思われる。正式にサービス開始となった暁には,果たしてどれほどの盛り上がりが生まれるのか,今からとても楽しみだ。
所感を付け加えるならば,“Custum Gameで対戦を組み,観客はSpectate Modeでの中継を観戦する”ために,選手達の一喜一憂する姿がリアルタイムで見られない(不正を排するために,Spectate Modeでの中継には3分間のDelay Timeが設けられている)ことが,昨年以上に気になってしまった。
もちろんこれはゲームシステム側の問題なので,今すぐどうこうできる話ではないのだが,Delay Timeの存在が勿体ないと思うほどに選手達は良い表情をしており,そして現地での応援も白熱していたのだ。
なお,Riot Games公式のプロリーグである「LoL Esports」の試合を見る限り,どうやらDelay Timeは設けられていない模様。日本サービスが正式にスタートすれば,この辺りの問題が解消される可能性も十分考えられる。日本のLoLファンは,LJL2015の今後の試合をチェックしつつ,日本サービスの正式スタートを楽しみにしていよう。
DetonatioN代表・LGraNこと梅崎伸幸氏に聞く,プロゲーミングチームとしての取り組みと,国内LoLシーンのこれから
4Gamer:
DetonatioN FMは,強豪・CROOZ Rascal Jesterとの初戦を見事勝利で飾りました。マネージャーとしての今の感想を聞かせてください。
正直,試合前は苦しい戦いになるだろうと考えていました。というのも,昨シーズンのキーマンだったSupport,および司令塔のRiosilva選手が昨年12月に競技シーンを引退し,その代わりとなる選手達が加入してから間もなかったことから,どこまでチームがまとまるか分からなかったんです。
4Gamer:
とはいえ,蓋を開けてみれば,快勝といって良い内容でした。
梅崎氏:
そうですね。DetonatioN FMは本番に強いチームなので,今回の試合も練習以上のポテンシャルを発揮してくれたと思っています。
4Gamer:
ここから長い戦いが始まりますが,DetonatioN FMがLJL2015で優勝する確率はどれぐらいでしょうか。
梅崎氏:
100%です。日本で負けていては世界で通用しないので,できれば全勝優勝したいですね。
4Gamer:
なるほど(笑)。ところで,イベントの最後にはDetonatioN FMの新たな取り組みについての発表がありました(関連記事)。なかでも,“所属選手全員に月給を支払う”という試みは日本のプロゲーミングチームとしては初とのこと。
梅崎氏:
はい。まず,母体であるDetonatioNは,FPSの「バトルフィールド 4」やRTSの「StarCraft II」などさまざまなタイトルで活動していて,海外で取り上げられる機会も増えてきました。そうした中,昨年のLJL2014を制したことで日本一のLoLチームとなり,さらに近々日本サービスがスタートするという期待感もあってか,スポンサードを申し出てくれる企業が見つかったんです。
4Gamer:
国内でのLoLの注目度が高まったことで,スポンサーが現れたと。確かに,ここ最近の国内LoLコミュニティの成長ぶりには,目覚ましいものがあります。
梅崎氏:
昨年の開幕戦にもたくさんの観客が訪れてくれましたが,今年はe-Sports SQUAREが超満員になるほどでした。またこの半年間,普段ゲームをやらない人が口コミによってLoLを遊び始めるのを,私自身何度も目にしています。
4Gamer:
LoLはチーム戦,かつF2Pなので,友達を誘いやすいですよね。
梅崎氏:
e-Sports絡みのタイトルは,これまでコアゲーマー以外からは敬遠されがちでしたが,LoLは爆発的な勢いでプレイヤーが増えつつある。それはつまり,日本のe-Sportsが発展する環境が整いつつある,ということなんじゃないかと。
4Gamer:
では今回の取り組みを通じ,DetonatioN,およびDetonatioN FMが目指す目標は?
梅崎氏:
最終的な目標は,やはり公式世界大会の決勝の舞台に立つことですが,そのためには中国や韓国といった超強豪に勝たなければなりません。なので,まずは国内の競技レベルを底上げすること。国内e-Sportsシーンの土台を作ることが重要だと考えています。今回の取り組みが,そうした環境作りの嚆矢となればと考えています。
4Gamer:
日本のチームが公式世界大会に出場できるようになるには,どれぐらい時間がかかると思いますか。
梅崎氏:
現状の速度でコミュニティが成長していくのであれば,2年後ぐらいではないかと思います。ただ,決勝の舞台に立つには……5年はかかるでしょうね。土台が盤石になり,新たな才能がたくさん生まれてくるようにならなければ難しいでしょう。
4Gamer:
なるほど。ただ,LoLに関しては,欧米よりも日本の方が有利な点もありますよね。なんといっても,中国や韓国が近いですから。
梅崎氏:
おっしゃるとおりです。例えばFPSの場合,競技シーンの本場はヨーロッパであるため,練習試合を申し込んでも快適に対戦できるとは言い難く,競技レベルを高めることが難しい事情がありました。しかし,LoLではお隣の韓国が世界最強なので,快適な環境で練習試合ができます。このアドバンテージを活かして,国内の競技レベルを上げていきたいです。
4Gamer:
ところで,月給が支払われることが明らかとなり,DetonatioN FMへの加入を望むLoLプレイヤーも増えてくると思うのですが,その場合はどうすればチームに入れるのでしょうか。
梅崎氏:
募集要項を満たしてくれれば,応募は誰でも可能です。書類審査のあと,2回の面接と実技があり,すべてに合格する必要はありますが。
4Gamer:
なるほど。DetonatioNとして,選手に求めるものは何でしょうか。
梅崎氏:
プレイスキルももちろんですが,まずは人間性ですね。どんなに強いプレイヤーでも,礼儀やマナー,言葉使いがなっていなければ,プロとして活動できませんから。もう一つは,世界を目指すための覚悟があるかどうか,です。
4Gamer:
覚悟ですか?
梅崎氏:
今の日本の環境でプロを目指すとなると,どうしても将来が不安になる部分があると思います。「引退後どうすればいいんだ」というね。そこについては,まず私を信じてもらうしかない。そういう意味で,腹を決めて欲しい。
4Gamer:
もっともだと思いますが……かなり重い決断になりますね。
梅崎氏:
ええ。しかしDetonatioNでは今後の取り組みとして,引退後の就職斡旋などの施策も考えているんです。チームとして,できる限り選手の面倒を見ていくつもりなので,我こそはという人はぜひ応募してみてください。
4Gamer:
分かりました。今後の活躍に期待しています。本日はありがとうございました。
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