インディーズゲームの小部屋：Room＃625「Mutazione」

　ここ最近，スマホのバッテリーがすぐに無くなってしまうことに悩まされている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第625回は，Die Gute Fabrikが開発した「Mutazione」を紹介する。本作は，ミュータント達が暮らす小さな村にやって来た少女が，庭園造りを通じて傷ついたコミュニティを癒していくというアドベンチャーゲームだ。まだ2年ほどしか使っていないのに，もう寿命なのかな……。


　本作の舞台となるのは，ミュータント達がのんびりと暮らす，Mutazioneと呼ばれる隔絶社会。ここはかつて南国のリゾート地だったが，100年以上前に落下した隕石によって住民の大半が死に絶え，生き残った人々は奇妙なミュータントの姿になってしまった。そんなMutazioneに，15歳の人間の少女カイがやって来るところから物語が始まる。


　カイがMutazioneを訪れたのは，この地で離れて暮らす祖父のノンノが病に倒れ，その看病をするため。見た目も性格も少し風変わりなところはあるが，Mutazioneの住民達は新参者のカイを温かく迎え入れてくれる。どうやらノンノは，かつてMutazioneの調査にやって来た科学者で，この土地の植物を研究していたらしい。そんなノンノに頼まれ，カイは庭園造りを始めることになる。


　すると驚くことに，カイが到着したときにはベッドから起き上がることすらできなかったノンノが元気を取り戻し，外に出かけられるまでに回復する。ここMutazioneでは，植物と人々（？）のあいだに不思議な共生関係があり，そのバランスが崩れていたことが病の一因となっていたようだ。これ以降，カイは思いがけず見出されたガーデニングの才能を生かして，Mutazioneの各所にある庭園を蘇らせることで，傷ついたコミュニティを再生していく。


　庭園に植える種は，Mutazioneのあちこちで採取できるほか，住民達と話すことで分けてもらえる。もちろん，成長した植物から収穫することも可能だ。種にはそれぞれ，適した土質や成長するために必要なスペースがあり，特定のメロディを奏でることで成長を早められる。そして庭園が完成すると，植えた植物の種類に合わせた音楽が静かに流れ出し，「穏やか」「憂うつ」「幸福感」といったムードが形成される。


　Mutazioneの住民達はみんなカイに親切にしてくれるが，その内面に悩みや心の傷を抱えている。そんな彼らの心を癒すようなムードを持った庭園を造るのがゲームの目的で，これによって少しずつ進んでいく物語も見どころの1つ。ストーリーとは無関係に，自由に庭園造りだけを楽しめるゲームモードも用意されている。たまには，ゆっくりと土いじりをして，疲れた心を癒したいという人はぜひどうぞ。そんな本作はSteamにて，2050円で発売中だ。

■「Mutazione」公式サイト

https://www.akuparagames.com/game/mutazione/