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複雑化した「II」から一気にシンプル路線へ。古代から未来までフォローした歴史RTS「エンパイアアースIII 日本語版」のレビューを掲載
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印刷2008/08/08 18:26

レビュー

各種システムがぐっと易しくなり,RTS未経験者でもプレイしやすくなったシリーズ最新作

エンパイアアースIII 日本語版

Text by 川崎政一郎


画像集#001のサムネイル/複雑化した「II」から一気にシンプル路線へ。古代から未来までフォローした歴史RTS「エンパイアアースIII 日本語版」のレビューを掲載

 「エンパイア・アース」は,リアルタイムストラテジー(RTS)の一大傑作「Age of Empire」(以下,AoE)のリードデザイナーを務めたRick Goodman氏らが2001年に開発し,現在までシリーズが続いている作品だ。ジャンルは歴史RTSに属するが,本シリーズの最大のウリは,紀元前から未来まで,人類が関わる時代を長期にわたってゲーム内で再現していること。壮大な人類の歴史を,たった数十分間の1ゲームに凝縮させてしまったRTSなのである。
 また,AoEライクな局地戦の“戦闘モード”のほかに,Civilizationライクな“世界制覇モード”でもプレイできるなど,歴史モノのRTSタイトルは数多いが,本作のこういったユニークな要素が,AoEの単なる模倣に留まらないタイトルとして,現在まで高い評価を得ているのだ。

 そんなシリーズの最新作である「エンパイアアースIII 日本語版」(以下,EE3)が,8月8日にズーから発売された。ではさっそく,旧シリーズからの変更点やゲームの魅力などを,シリーズの未経験者でも分かるようにお伝えしていきたい。


内政をはじめとしたゲームシステムがぐっとシンプルに
RTS初心者でもプレイしやすい「戦闘モード」


今回はあらゆるシステムがやさしくなり,RTS初心者に向けて強くアピール。3作目でかなり思い切った方向転換を施してきた
画像集#002のサムネイル/複雑化した「II」から一気にシンプル路線へ。古代から未来までフォローした歴史RTS「エンパイアアースIII 日本語版」のレビューを掲載
 まずはゲームの基本部分であり大部分を占める,「戦闘モード」からチェックしていこう。戦闘モードとはいわゆる普通の「RTSモード」であり,資源を採取し,それを元にユニットを作成し,編成した軍隊で敵対勢力を打ち破ることが目的だ。もちろんRTSなのでゲーム内の時間はリアルタイムで進行し,それに伴って目まぐるしく移り変わる情勢に対応しつつ,多数のユニットを指揮して激しい攻防を繰り広げていくことになる。

 本シリーズでは,このRTSの王道的な要素に加えて,“時代を進化させる”ことがとくに重要になる。例えば歩兵系のユニットでも,「古代」の時代では剣や槍を手に戦うが,時代を進化させて「植民地時代」になると銃器類を手にし,さらに「未来」では電子制御のロボットが戦う。ひと口に“歩兵ユニット”といっても,時代を進化させるほど飛躍的に強力になっていくのだ。

 ■「時代」による違い
上から順に,「古代」「植民地時代」「未来」の景観。ユニットや建築物のデザインをよく見ると,それぞれの時代が反映されているのが分かるだろう。一番下の「未来」の時代では,歩兵ですら二足歩行のロボットに進化しているのに注目
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 初代エンパイア・アースは,この「時代」の数が合計14種類もあり,「文明」の違いも含めるとユニットの種類などは膨大な数にふくれ上がっていた。シリーズ経験者の中には,歴史RTSの中でもかなり複雑なタイトルだという認識の人もいるのではないだろうか。
 ところがEE3では,こういった複雑な要素が,ことごとく撤廃されており,それが最大の特徴である。例えば登場する時代の段階数は,なんと「古代」「中世」「植民地時代」「近世」「未来」の五つのみ。1文明あたりのユニットの種類は,全時代を合わせても約50種類前後になっている。さらに登場する文明の数も,「西洋」「東洋」「極東」の三つだけと,コンパクトにまとめられているのだ。

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3Dグラフィックスのクオリティは平均的といったところで,画面を最大まで拡大させたときの絵はそこそこ。普段は主に俯瞰視点でプレイすることになる
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原料を採取しているところ。本作には何種類かの資源があるが,いずれも「貯蔵庫」を建てるだけで対応できるのが楽チン

 シンプルになったのは時代や文明だけではない。リソースの数も「原料」「富」の2種類のみである。採取方法もシンプルだ。原料に関しては,マップ内に「鉱山」「森林」「採石場」「魚の群れ」といったポイントが点在しており,その近くに,「貯蔵庫」を建築するだけ。
 このゲームで注目したいのは,各原料は枯渇することがなく,一度準備を整えさえすれば後はメンテナンスフリーで採取し続けられること。作業用ユニットの管理すら必要とせず,とても手軽に行えるのだ(もちろん敵に攻撃された際は別だが)。
 前線での戦闘に集中していたら,いつの間にか森林などの資源が枯渇してしまい,作業用ユニットが手持ちぶさたに立ち尽くしていた……,というのはRTS初心者にありがちなミスだろう。こういった心配は,EE3では無用なのである。

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市場を建てると,街の中心との間に自動的に交易ルートが開かれ,荷馬車のユニットが働き始める。あとは全自動で作業が行われ,敵に襲われない限り「富」が得られる
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内政関係の各施設は,画面右下ににある人夫スロットを追加購入することで作業効率がアップする。なるべく早い段階でフルにしておきたい

 「富」のほうは,主に「市場」を建設して「街の中心」(拠点)との間に交易ルートを開くことで得られる。施設間の距離が長ければ長いほど,交易による収入額も増えるという仕組みだ。こちらも原料と同様,一度交易ルートを開けばあとは継続的に収入が得られるので楽である。ただし,一つの街の拠点に対し,対応する市場は一つしか建築できないので,その設置場所には気を使いたい。

 富の収入アップを考えると,交易ルートは極力長くしておきたい。しかし長くすると,道中を敵対勢力に狙われる危険性が出てくる。交易用ユニットは戦闘力がなきに等しいので,仮に襲われたらひとたまりもないだろう。
 これは逆にいうと,敵対勢力の交易ルートを発見できれば,これを封鎖することで収入源をシャットアウトできるということだ。そうすれば内政にダメージを与え,ユニット生産などのペースを遅らせ,自軍にとってゲームを有利に展開できるだろう。

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内政面が順調に発展していくと,次第にテクノロジーポイントが蓄積されていく。画面左上にある赤いゲージがその量を示しており,一杯になると次の時代へと進化できる
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資源の採取がここまで簡略化されたことで,一般的なRTSと比べて内政作業は大幅に楽に。あとは増えゆくユニットに応じて,住宅施設を建築する程度だ

 最後に,生産に必要な原料とは異なるが,時代を進化させるために必要な“テクノロジー・ポイント”というものがある。これは自陣で働くユニットの数に応じて,少しずつ増えていくシステムとなっている。

 このようにEE3は,前作までと比べて内政面が思いっきり簡略化されている。シリーズ物の歴史RTSというと,過去シリーズの経験者向けにシステムを奥深くさせるのが常。そのため初心者には手が出しづらくなりがちだが,EE3はそういった罠にハマっていないのが好印象である(前作EE2でその罠に陥り,EE3で軌道修正されたわけだが)。仮にRTSそのものが未経験という人でも,本作の内政システムなら,かなりプレイしやすいだろう。


“領土”を広げつつ軍隊を編成し,敵対勢力を打ち破れ


敵の「街の中心」を破壊することで,その領土を中立化させ,それ以上の発展を止めることができる。自陣についても然りであり,「街の中心」は常に攻防の中心となるだろう
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 EE3の戦闘モードでもう一つ特徴的なのは,マップ内が「領土」と呼ばれるセクションで細かく分割されていることである。そしてユニットを作成するバラックや,原料を収穫する貯蔵庫などといった大半の建築物は,基本的に自分の領土内にしか建てられない。領土を広げるには,中立扱いになっている領土に“街の中心”を建てるのだ。

 新たな領土を獲得すると,採取できるポイントが増えることで原料の増加が,また街の中心に対応した市場を建てる(=新たな交易ルートを作る)ことで富の収入アップが,それぞれ見込めるようになる。そして,これらの作業用ユニットが増えることは,次の時代への進化が早まることも意味する。自分の領土の広さが,勢力が発展するスピードに直結しているのだ。

 街の中心の有無が,その領土を支配しているかどうかのフラグとなっている。したがって,仮に街の中心が破壊されてしまった場合,領土の支配権が失われた(=中立扱い)ものとみなされるので要注意。もし,その状態で他勢力が街の中心を建ててしまうと,領土が丸ごと奪われてしまうのである。いかにして領土を広げつつ,敵対勢力の街の中心を破壊するかが,プレイの大きなポイントとなるだろう。

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画面内に黒い線で領土の境界線が引かれている。画面左下のミニマップを見ると,赤い軍勢の支配領域がかなり広いことが分かる
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敵の街の中心を破壊したので,すかさず自分の軍勢で新たに建て直し。このようにして,ぐいぐいと領土を広げていくのだ

 領土を広げ,ある程度の原料や富を獲得したら,ユニットを生産し軍隊を強化していこう。本作の戦闘ユニットとしては,序盤から中盤の時代では主に,「歩兵」「弓兵」「騎兵」「工兵」の4種類が登場する。それぞれに対応したバラックを建てることで生産可能だ。

 ユニットの生産システムや,戦闘そのもの大まかな流れについては,ほかの歴史RTSとそれほど大きな違いはない。例えば工兵を除いた各ユニットは基本的に3すくみ(ジャンケン)の関係にあり,“歩兵→弓兵→騎兵→歩兵”といった関係で大きなダメージを与えられる。工兵は,建築物への攻撃に有効なユニットである。
 一部のユニットはテクノロジーの開発が可能で,それにより新たなアクティブスキルが使えるようになる。ただしこのゲームの場合,時代を進化させるとユニットそのものが時代遅れとなってしまう。どの時代で勝負を仕掛けるかを想定したうえで,そのときの主力ユニットに絞ってテクノロジー開発を行っていきたいところだ。

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時代が進化するにつれ,史実と同様ロングレンジの攻撃方法が主体となっていく。2〜3種類程度の戦闘ユニットで軍隊を編成すれば,ほとんどの状況に対応できるだろう
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街の中心や境界線の近辺には,壁やタワーを張り巡らそう。このゲームにおけるタワーはとくに強く,対建築物用のユニット以外には非常に有効だ

 ちなみに本作に登場する西洋/極東/中東の三文明は,生産できるユニットがそれぞれ異なるだけでなく,一部の基本システムも微妙に違っている。ここで各文明の特徴を大まかに見ていこう。

●西洋
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 1ユニットあたりのコストは全般的に高いものの,他文明の同時代のユニットと比べて高い能力を持つ。また,多くのユニットがアクティブ系のスキルを使え,これらを使用するタイミングがキーポイントとなるだろう。一体一体のユニットを大切に扱うことが求められるという意味で,ほかのRTSタイトルで言えば「WarCraft」シリーズに近い雰囲気だ。

●極東
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 歩兵系のユニットの生産コストが安く,大規模の軍隊を比較的楽に編成/運用しやすい。西洋とは反対に,質より量といった方向性の文明である。AoEシリーズや「コサックス」などといった,大軍勢を扱う歴史RTSに慣れた人にお勧めしたい文明だ。


●中東
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 中東は建築のシステムがやや独特で,一度建てたものを荷車に積み込んで移動可能だ。例えばバラックをはじめとした建築物を前線に向けて移動させれば,より短い時間でユニットを戦場へ投入できる。その一方で中東はタワー系の建築が行えず,このあたりに独特のコツが必要となるだろう。ユニットに関しては,騎兵系のユニットが強力である。


 先述したように,同じ文明でも「時代」を進化させることで,より強力なユニットが生産可能となる。主だったところでは,植民地時代へ進化させると銃器類が,近世以降では航空機や戦術核が,そして未来ではレーザーやレールガンが,といった具合で,さまざまな新兵器が次から次へと目まぐるしく登場する。ユニット周りの環境が,短時間でここまで変わっていく痛快さは,本作ならではといえるだろう。

時代を進化させると,すでに所有しているユニットや施設は自動的にグレードアップされる。ユニットが使い捨てにならないのは助かるが,テクノロジー開発は基本的に後回しがいいだろう
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 “時代の進化”に似たシステムは,AoEに代表されるほかのRTSタイトルでもよく見られるが,本作の場合はより恩恵が大きい印象を受ける。もっともその一方で,時代を先に進められてしまった勢力に対しては,戦闘面で挽回することが難しい(槍兵でロボット兵に勝てるだろうか)。これは言葉を変えると,一発逆転の可能性が薄いゲームバランスということで,このあたりは人によって評価が分かれるかもしれない。
 プレイ中のコツとしては,何はともあれ極力早く時代を進化させたい。しかし,時代の進化ばかりに目を向けていると,軍事面が疎かな本拠地を,敵対勢力に攻め込まれてしまう。時代の進化を最優先に掲げつつ,自軍の編成にどれだけのリソースを割くかの判断が重要となるだろう。

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次々と新たな兵器を投入できるようになるのが痛快。1ゲームの所要時間は大体20〜30分前後だが,その間にここまでパワーインフレが起こるタイトルも珍しい
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マップ内には財宝が点在しており,これらを獲得するとより早く進化できる。ただし中立の護衛ユニットが滞在していることもあるので,事前にチェックしよう

 もし,敵対勢力が自分よりも時代を先に進化させてしまった場合,そのままの状態で戦うのはあまり得策ではない。一旦退却して,自分も時代を進化させることに専念するのがよいだろう。このゲームの場合は,時代さえ進化させてしまえば,既に存在している自軍のユニット/建築物もそれぞれ自動的にアップグレードされるのである。


地球規模で戦術を駆使する「世界制覇モード」もあるが
全体的にはRTS初心者向けの作り


「世界制覇モード」はターンベースで展開するので,戦闘モードよりも落ち着いてプレイできる。マップ内に境界線が引かれているのが本作らしい
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 EE3には戦闘モードとは別に,地球を丸ごと一つの広域マップと見立ててプレイする,“世界制覇モード”が収録されている。

 世界制覇モードでは,地球全体がアジアやヨーロッパなどといった数十の区域に分割されており,ターン制でゲームが進行していく。各区域には,自分のほかにも敵対勢力や中立の先住民族などが存在しており,これら他勢力との武力衝突が発生すると,戦闘モードへ切り替わるというわけだ。
 戦闘モードで勝利を収めると,その区域を支配下に置ける。そうやって領土を広げていき,最終的に地球全体の60%以上を支配下に置くことが,世界制覇モードの最終目標だ。

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戦闘モードのスタート時の条件を,戦闘前に自力で変えられる。こういった戦略を地球レベルで展開できるのが「世界制覇モード」の魅力だ
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ここではテクノロジーツリーを発展させたり,他国と同盟を結んだりなどしていく。奥深いが,戦闘モードと比べると全体的に難しいかも

 ここで行われる戦闘モードは,ゲームスタート時の環境が,事前のプレイによって違ってくるというのがキモである。世界制覇モードでは,専用のリソースを使って研究開発を行ったり,テクノロジーツリーをアップグレードさせたりすることで,実際の戦闘に入る前に自勢力を強化できる。
 万全を期して戦いに挑むのであれば,大量の軍事力を蓄えてから一気に投入することで,(準備に時間がかるものの)勝率は大幅にアップするだろう。あるいは戦闘の腕に自信があるのなら,最小の軍隊で最大の戦績を狙っていくというのもやりがいがある。
 簡単にいうと,Civilizationシリーズに代表される,ターンベースのシミュレーションゲームの遊び方に近い。EE3では,ターンベースとRTSの両方をいっぺんに楽しめるのである。

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戦術核で敵拠点を一掃したところだが,このゲームは時代の進化に伴う攻撃力のインフレが凄い。すぐに戦闘が終わってしまうこともある
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戦闘モードで敵を打ち破ると,その場所に滞在していた勢力を吸収し,より大きく発展できる。同時に資源などを獲得して,研究開発をさらに進められるのだ

 ただ,世界制覇モードは奥深いにもかかわらず,チュートリアルやマニュアルでは基本操作しか教えてくれない。実際に世界を舞台に戦い抜くには,もっと多くのノウハウが必要なのだが,仮にRTS初心者やCivシリーズの未経験者などがこれに取り組んだ場合,最初は予想以上に手こずるかもしれない。戦闘モードがあれほどハードルを下げた作りだっただけに,世界制覇モードのハードルの高さは若干ちぐはぐな印象を受けた。

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内政面がメンテナンスフリーなことから,前線での戦闘に専念しやすい。戦いを満喫しやすいのは大きなアピールポイントといえよう
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戦闘モードのチュートリアルがしっかりしており,ローカライズも丁寧なことから,これからRTSを始める人にオススメしたい。戦闘モードが初心者向けな一方で,世界制覇モードは上級者向けの内容。ゲーム全体としてのコンセプトが若干ぶれている印象を受ける
 では最後にゲームとしての評価を見ていきたい。このゲームはRTSの中級者以上か,そうでないかによって,評価が微妙に分かれそうである。過去のEEシリーズが気に入っている人にとっては,ゲームシステムがここまで簡略化されてしまったことに対して,やはり肩透かしな感じを受けてしまうだろう。本シリーズの,少しずつ時代を進化させて変わりゆくユニットや建築物を眺めるのは,ある意味箱庭系タイトルにも通じる面白さがあったと思うのだが,今回は短時間で“未来”まで到達してしまい,このあたりの魅力がスケールダウンしている。
 本稿で幾度となく指摘したように,あらゆるシステムがシンプルすぎて,コアなRTSファンであればあるほど本作は歯ごたえがないだろう。

 だがその一方で,RTSの初心者や未経験者に対しては,これくらいのバランスでちょうどいいという見方もできる。とくに日本国内では,もともとRTSの人気(認知度?)がそれほど高くはない。加えて,リリースされるのがシリーズ物の手ごわいタイトルばかりで,RTSというジャンルへの間口がどんどん狭まっているのが実情かもしれない。その点本作はローカライズもしっかりしているし,これからRTSを始めたいという人に向けて,オススメできるタイトルである。
 RTS初心者がプレイする場合は,世界制覇モードのハードルの高さが気になるところだが,慣れるまではいっそのことスルーしてしまったほうがいいかもしれない。戦闘モードに絞ったスカーミッシュ(フリープレイ)モードも用意されているので,とくに問題はないだろう。今すぐ遊んでみたくなった人は体験版をどうぞ。

「Empire Earth III」体験版(英語)


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