業界動向
SteelSeries製品の流通が年内にも一部再開決定。なぜ流通は止まったのか?
2015年9月14日に「スティールシリーズジャパン」という会社設立のリリースが出たとき(関連記事),4Gamerでは,SteelSeriesからゲートへの製品出荷が止まったことをお知らせしている。その結果として,市場からSteelSeries製品はほぼ消えたわけだが,そんなゲートの再登板ということになるわけだ。
4Gamerでゲートに確認したところによれば,同社は12月中旬頃からSteelSeries製品の流通業務を再開するという(※)。
※最近,一部で少し流通したが,あれはゲートが(長らく保留されていた)客注分を出荷したためだ。ゲート側での正式な流通再開は,本文で述べたとおり,12月中旬以降となる。
ただし,少なくとも当面の間,ゲートが担当するのはオンラインショップ限定になるとのこと。もっとはっきりいうと,SteelSeries製品を国内で正規に扱うのはAmazon.co.jpおよびパソコンショップ アークのオンラインショップのみになるそうだ。パソコンショップ アークはリアル店舗を持つため,店頭販売も行う可能性が高いが,いずれにせよ,流通経路はかなり絞られることになる。
残る販路はどうなるのかは,残念ながらまだ分からない。というのも,2015年9月14日にプレスリリースを出してそれっきりのスティールシリーズジャパンなる企業が,動きをまったく見せていないからだ。
当時の記事で4Gamerは,スティールシリーズジャパンのゼネラルマネージャーに就任したのが,自作PC市場でCPUクーラーのメーカーやPCパーツ各種製品の販売代理店として知られるサイズの代表,渡辺剛博氏であることをお伝えしている。また,スティールシリーズジャパンの所在地がサイズと同じであることもレポート済みだが,あれから今に至るまで,スティールシリーズジャパンがSteelSeriesに対して製品の発注を行った形跡は,少なくとも4Gamerで確認した限り,ない。
また,その取材のなかで判明したことだが,スティールシリーズジャパンは,当時のリリース内容に反し,そもそも「SteelSeriesの日本法人」ではなかった可能性がある。当時,SteelSeriesの台湾支社で要職にあった人物と,現在も日本で某メーカー兼販売代理店の代表取締役を務めている人物――渡辺氏ではない――が折半して,SteelSeries製品を自分達で流通させるべく立ち上げた企業という可能性が出てきたのだ。
その後,さまざまな事情により両者は決別し,スティールシリーズジャパンという法人だけが宙ぶらりんになった。結果として商業活動が完全にストップし,市場から製品が消えてしまうこととなり,そこで困ったSteelSeries本社がゲートにコンタクトを取ったというのが,実態か,もしくは実態に近いようである。
そのためゲートも,今回の代理店業務再開にあたってスティールシリーズジャパンと協議したりはしていないことを認めている。また当のSteelSeries本社側でも,スティールシリーズジャパンを通すことなく,当面は,現在アジア太平洋地域でマーケティング部門を統括している在豪州のスタッフが,日本市場における広報・マーケティング活動を直接,もしくは広報代理店経由で行うことになる見込みだ。
スティールシリーズジャパンが“なかったこと”になるのか,別の可能性があるのかは,情報が錯綜しており,まだなんともいえない。ただ,そういう業界動向はさておき,販路が限られるとはいえ,SteelSeries製品の流通が再開すること,それ自体は大いに歓迎すべきだろう。
明らかな失策で,日本市場における立ち位置を失いかけているSteelSeriesだが,果たして今後,どのように挽回していくのだろうか。見守っていきたい。
SteelSeries公式Webサイト(英語)
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