オススメ機能
Twitter
お気に入り
記事履歴
ランキング
お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
Access Accepted第596回:批判を受ける2018年の超大作
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2018/12/03 12:00

業界動向

Access Accepted第596回:批判を受ける2018年の超大作

画像(001)Access Accepted第596回:批判を受ける2018年の超大作

 大作ゲームばかりで,どれからプレイしていいのか悩んでしまうようなラインナップを誇っていた2018年の欧米ゲーム業界だったが,いざフタを開けてみると,いくつかのビッグタイトルが発売直後からファンの批判に晒されている。もちろん,前評判どおりの評価を受けている作品も多いのだが,ファンの意見や要望をうまく汲み上げることのできなかった作品もあり,ゲームビジネスの難しさを痛感させるこの年末になっている。


ファンの批判に晒される「Fallout 76」


 気がつくと,2018年も12月だ。期末テストや仕事の追い込み,年末年始の計画や準備で「忙しくてゲームも遊べない!」という読者も多いだろう。アメリカでは,11月第4金曜日のブラックフライデー以降,実店舗やオンラインショップの年末商戦はたけなわ。「安いゲームを見つけたらとりあえず買って,暇になったらプレイしよう」と財布の紐を緩め,結局は遊ばないまま,無数のタイトルを積み上げているという猛者も,本連載の読者には多そうだ。

現在,Metacriticのメタスコアでは,メディア評価の平均ポイントが100点中54点,ファン評価の平均ポイントは10点中2.9点と,Bethesda Softworks作品としては,かつてないほどの低スコアになっている「Fallout 76」
画像(002)Access Accepted第596回:批判を受ける2018年の超大作
 超大作,いわゆるAAAタイトルを超えて「AAA+タイトル」などと呼ばれるようになったゲームを毎年リリースできる欧米メーカーは以前に比べて少なくなり,最近はActivision BlizzardとElectronic Arts,そしてUbisoft Entertainmentぐらいだろうか。しかし,今年はそこに数年に1度しか作品を発表しないBethesda SoftworksとRockstar Gamesが加わっており,年末商戦の壮絶なレースが繰り広げられている。その中で,いくつかの「AAA+タイトル」が,発売直後からファンの批判を浴びているのだ。

 現時点で最も話題に挙がるのは,やはりBethesda Softworksの「Fallout 76」だろう。シリーズ初のオンライン専用タイトルとして発売された作品だが,数次のβテストを経たにも関わらず,ローンチ当初からサーバークラッシュやゲームの強制終了などが発生し,さらにグラフィックスやアニメーション,バランスの未調整やシステムの不備など,いくつもの問題が浮かび上がってしまった。

 さらに,発売から1週間ほどしか経っていないブラックフライデーに,33%オフのセール価格で「Fallout 76」を販売しており,そのことも,定価で予約してβテストにまで参加した熱狂的なファンの怒りに拍車かけてしまったようだ。Bethesda Softworksは2週間近く沈黙を続けていたが,11月28日に掲載した記事でもお伝えしたように,日本時間の11月27日に公式サイトでユーザーコミュニティに説明と謝罪を行っている。
 かつては,バグの多さがネタにされるほど「ファンに愛されるメーカー」として知られていた同社だが,これまで経験したことのない反撃をゲーマーから受けることになった。

ゲームシステムの調整不足が指摘されることの多い「Fallout 76」だが,コアファンを自認する筆者としては,ストーリーテリングの面を充実してもらいたい
画像(003)Access Accepted第596回:批判を受ける2018年の超大作

 YouTubeなどでは問題点を指摘する動画が溢れており,2014年に起こった「アサシン クリード ユニティ」の騒動を思い出させる(関連記事)ものがある。予定されているパッチの配信に期待がかかっているが,Bethesda Softworksが今回のつまづきから立ち直って,再びコミュニティの信頼を得るまでには,まだ時間がかかるかもしれない。


長期的なサービスと短期的なファン評価との乖離


 このようなファンの批判を,英語では「バックファイア」(Backfire)などと呼ぶ。基本的にはエンジン関連の用語だが,ピストルの発火炎が後部に漏れて,撃った人がケガをするという場合にも使われる。つまり,普段は新作やメーカーを応援してくれるファン達から,予想外の攻撃を受けてしまうというイメージだろうか。

 Electronic Artsの人気シリーズ最新作も,そんな「バックファイア」を受けている。同社はE3 2018のタイミングに合わせて「Battlefield V」を大々的にアナウンスしたが,そのときにリリースされたトレイラーの主人公が女性だったことから,「女性兵士がほとんどいなかった第二次世界大戦に,史実を曲げてまで女性キャラクターを増やす必要はあるのか?」といった批判を浴びたのだ。

 EAは,女性やLGBTコミュニティに配慮した作品作りで評価の高いメーカーであり,さらに,第二次世界大戦に女性兵士がほとんどいなかったという話も,必ずしも事実ではないようだが,このとき,過去20年にわたってEA DICEの作品に関わってきたパトリック・ソダールンド(Patrick Söderlund)氏が,「ハンデキャップを持つ女性キャラクターが嫌いなら,プレイしなくて良い」と発言したことが,火に油を注ぐ結果になってしまった。

前作「バトルフィールド 1」は称賛されたが,「Battlefield V」はソダールンド氏の不用意な発言でもファンの評価を下げることになった。コミュニティマネジメントの重要さを痛切に物語るエピソードだ
画像(004)Access Accepted第596回:批判を受ける2018年の超大作

 ソダールンド氏の発言は,ファンの批判の内容を勘違いしたものだったらしいが,2017年には「STAR WARS バトルフロント II」ルートボックスが大きな問題として取り上げられたため,過敏になっていた可能性もある。結局ソダールンド氏は,8月にEAを退社している。
 バグも残っており,ローンチ当初はサーバーダウンも起きた「Battlefield V」は,ブラックフライデーで50%オフのセールが行われるなど,初動ダッシュが失敗した感は否めない。

 不調の原因としてはほかにも,目玉コンテンツとしてアピールされていた「コンバインド・アームズ」「ファイアストーム」のアップデートが2019年初頭に予定されていることもあるだろう。ほぼすべての追加コンテンツが無料提供される予定なので,金銭的な問題はないかもしれないが,完全な形でリリースされたとは言いづらい雰囲気だからだ。より整った形に仕上がってからプレイしようと,購入を控えているプレイヤーもいるだろう。

 Activisionの「コール オブ デューティ ブラックオプス4」も,発売当初の販売実績は好調だったが,ゲームにストーリー性を求めていたシリーズファンが依然として多かったようで,作品の評価は必ずしも高くない。
 また,今のところ発売されていないので,記事の趣旨とは異なってしまうが,Blizzard Entertainmentの「ディアブロ イモータル」も,ディアブロファンの多くが求めていなかったスマホ専用タイトルであったために批判をあびていることは,本連載の第593回「熱狂的ファンからブーイングを受けるディアブロの新作」でお伝えしたとおりだ。

 これまで何度か紹介しているが,昨今の欧米ゲーム業界のトレンドに,「GaaS」(Game as a Service)というものがある。これは,“売りきりではなく,1つのゲームを継続して遊んでもらえるようにサービスを続ける”というコンセプトだが,これがある種の免罪符をメーカーに与えているのではないだろうか。
 10年前のようにショップでのパッケージ販売が主体なら,「完成度の高さ」はゲーム評価の絶対条件だった。それが最近では,発売日に行われる「Day-1パッチ」さえ当たり前になり,サービスという美名のもと,完成品からはほど遠い状態でリリースされることも珍しくなくなってきた。そうしたメーカーの姿勢に対して,ゲーマーの不満が溜まっていることの表れなのかもしれない。

壮大なゲーム世界を作り上げた「No Man’s Sky」のHallo Gamesだが,ローンチ当初には開発者が脅迫を受けることもあったという
画像(005)Access Accepted第596回:批判を受ける2018年の超大作

 もちろん,GaaSには長所があることも忘れてはならない。例えばイギリスのインディーズスタジオHallo Gamesが2016年にリリースした「No Man’s Sky」は,自動生成される無数の惑星を冒険するというコンセプトが評判になったものの,発売前に公開されていた映像のような生物が出現する確率が低かったり,植物の生えていない無味乾燥な世界が広がるばかりだったりで,多くのゲーマーから批判を受けた。

 Hallo Gamesは3か月近くも沈黙していたが,同年11月に公開した「Foundation Update」以来,メジャーなものだけでも5つの大型無料アップデートを公開し続けて,今や欧米ゲーム業界からその動向が注目されるタイトルになっている。12月6日に開催される予定のイベント「The Game Award 2018」では,「Fortnite」「Overwatch」などの人気作と共に「ライブゲーム最優秀賞」(Best Ongoing Games)にノミネートされるほどだ。

 「Fallout 76」も,「No Man’s Sky」のように,Bethesda Softworksの継続的なアップデートと,ゲームコミュニティとの密接な対話によって,優れたタイトルに成長していける可能性は十分にあるはずだ。思わぬバックファイアを受けた形だが,近日中に公開されるアップデートが次のステップに向かう第1歩になることを,1人のコアファンとしては願って止まない。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
トピックス
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:10月15日〜10月16日
タイトル評価ランキング
81
KENGOHAZARD2 (PC)
76
鬼ノ哭ク邦 (PC)
76
Days Gone (PS4)
74
2019年04月〜2019年10月