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印刷2012/11/12 12:00

業界動向

Access Accepted第364回:Valveが開発中の“Steam Box”を予想する


 少し前には,「PCゲームは死んだ」というフレーズがよく聞かれた。市場規模は縮小しているが,デジタル配信やFree-to-Play,ブラウザゲームなど,PCゲームは急速な変化も続けている。そして,デジタル配信の立役者である「Steam」には,最近になって次々と新機能が搭載され,存在感をさらに大きくしつつある。今回は,そのSteamを擁するValveがどこへ向かっているのか,いくつかの最新ニュースから,同社の次の一手を考察してみたい。


Valveが開発するハードウェア“Steam Box”


 約5000万のユーザーアカウントと,およそ2500作ものゲームライブラリを有するデジタル配信システム「Steam」は,もはやPCやMacのゲーマーで知らない者はいないというメジャーな存在だ。そのSteamを運営するシアトルのゲームメーカー,Valveには現在,300人ほどの従業員がいるが,従業員一人当たりの利益はAppleやGoogle,Microsoftを超える超優良企業と言われる。しかし,非上場企業であるため,株主に対する情報公開の義務がなく,ゲーム開発については秘密主義を貫き,そしてスポークスマンのような人物もいないためか,どこか謎めいた印象を与える会社でもある。

これが,クーマー氏がTwitterに掲載した小型PC。Core i7に総容量8GBのメインメモリ,そしてNVIDIA製GPUを搭載しており,クーマー氏によれば「Portal 2」がスムーズに動いたとか。ちなみに,「Steam Box」はメディアやファンが付けた呼び名で,Valveが公式に発表したものではない
Access Accepted第364回:Valveが開発中の“Steam Box”を予想する
 2012年5月7日に掲載した本連載の第343回「Valveが『ウェアラブルコンピュータ』を開発中」において,筆者はValveの「フラット組織」と,現在彼らが開発を進めているというサングラス型デバイスについて紹介した。そこでも書いたように,Valveはゲームだけでなくハードウェア開発にも積極的で,調べてみると「小型ロケットエンジンの開発」という,ゲーム会社としてはあまりにも方向性の異なるプロジェクトも存在するようだ。
 そんな中,以前からゲーム業界やファンの間で噂になってきたのが,“Steam Box”という呼び名が定着しつつあるコンシューマゲーム機である。

 この噂の発端になった人物は,Valveの在籍期間も長いプロダクトデザイナーのグレッグ・クーマー(Greg Coomer)氏だ。現在10人ほどで構成されるSteam Boxチームを率いているとされており,つまり,自分のプロジェクトを自分でリークしていたことになる。彼は,約1年前の2011年の10月頃から,謎のプロジェクトに関するコメントを自身のTwitterに書き込み始めたのだ。
 一例を挙げると,シアトルのSeattle TimesがValveのボス,ゲイブ・ニューウェル(Gabe Newell)氏のコメントを掲載した記事中に「もし,Valveがハードウェアを作るとしたら,完全にオープンなプラットフォームになるだろう」と書いたことに対し,クーマー氏は「今,僕がやっているプロジェクトのことだ」とツイートをしている。また,2011年12月には,「ハードウェアをコンパクトにまとめるのは難しい」と書き込み,まるでルーターのような形の小型デバイスを写真付きで紹介したりもしているのだ。

 ロケットエンジンを製作するというほどの企業である以上,クーマー氏がまったく利益になりそうもない小型デバイスを作っているだけという可能性もないわけではない。しかし,この試作機は2012年1月にラスベガスで開催されたCES 2012で,関係者のみを対象としたデモが行われていたという話も聞く。
 さらに,「Team Fortress 2」など,20作以上がFree-to-Playで遊べるというLinux版Steamが,ついにβテストに入ったというニュースが報じられるにおよび,Steam Boxの存在が俄然,現実味をおびてきたのだ。


未来を感じさせるBig Picture


 ここで,Steamの状況を振り返ってみよう。このところSteamは,ファンメイドのMODやツールをサポートする「Steam Workshop」や,インディーズゲームにファンが評価を与える「Steam Greenlight」,そしてSource Engineを使ったムービーが作成できる「Steam Filmmaker」など,矢継ぎ早に新しい要素を登場させてきた。
 そうした数々の新機能の中では,それほど話題にならなかったものの,Steam Boxに関して見逃せないのが,9月にβ版の配布が開始された「Steam Big Picture」だ。

2012年9月にβ版が公開された「Big Picture」。PCの画面を単にテレビに表示させるだけでなく,専用のユーザーインタフェースを採用し「これがSteam?」と思わせるほどの外見になっている。現在ライブラリにあるすべてのタイトルをリビングで楽しめ,さらにSteamの仲間とのコミュニケーションもできるのだから,実はかなりすごいものなのだ
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 Big Pictureとは,PCと家庭のテレビがHDMIで接続できれば,現在2500以上のタイトルを誇るSteamのゲームライブラリをテレビでプレイできるというものだ。PCゲームをテレビで楽しむのは,以前からマニアの間で一般的に行われていることだが,Big Pictureでは,Steamのユーザーインタフェースがテレビでの操作を念頭に置いて作り直され,コンシューマ機のような使用感になっているという。
 ジャンルにもよるだろうが,最近のマルチプラットホームタイトルは,ほとんどがコントローラにも対応しているため,コントローラを使った文字入力もサポートされる。チャットやWebの検索,ネットサーフィンなどもキーボードやマウスなしで行えるようになっており,Valveはこれを「世界初の1人称ブラウザ」とジョークまじりに呼んでいる。

Big Pictureの公式サイトに掲載されている画像。Steamユーザーはタワー型のミドル〜ハイエンドPCを使う人が多いようだが,これはASRock製の筐体を用いたミニPC。クーマー氏が開発した小型デバイスになんとなく似てもいる
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 ここで興味深いのは,このBig Pictureがβテスト中にあるLinux版Steamにも対応していることだろう。本連載の第361回「Windows 8に批判的な欧米のPCゲーム開発者達」でお伝えしたように,ニューウェル氏は以前からAppleやMicrosoftの取るクローズドなシステムに対して批判を繰り返しており,Linux版Steamに力を入れつつある。

 ここまでくると,読者の皆さんの脳裏に来たるべきSteam Boxの姿が浮かんでくるのではないだろうか。つまり,Linux版SteamとBig Pictureを,クーマー氏が開発中のハードウェアに搭載したものが,現状,Steam Boxになる可能性が最も高そうだ。
 言うまでもないことだが,入れ物とユーザインタフェースだけを作っても,どれだけのサードパーティがついてくるかは未知数。しかし,Steamのアカウントは,無視するにはあまりにも膨大な数になっているのである。

 ……もちろん,以上は予想にすぎず,Valveが筆者の想像を超えたことを仕掛けてくる可能性もある。PCゲーム業界をリードするValveの今後は,一人のPCゲーマーとして個人的にも非常に興味があるところだけに,今後も注意深くフォローしていきたい。

 2013年4月には,Androidベースの99ドルゲーム機「Ouya」の発売が控えており,前評判は非常に高い。筆者の周りでは,次世代コンシューマ機の噂も聞こえており,そんな中にValveの仕掛けたこのSteam Boxがリリースされれば,ゲームハードウェア市場は戦国時代に突入するだろう。サードパーティを含めて,欧米ゲーム市場に新たな波乱が起きそうだ。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
  • 関連タイトル:

    PISTON Console

  • 関連タイトル:

    Steam

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