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Access Accepted第338回:次世代コンシューマ機にまつわる話題
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印刷2012/03/19 20:00

業界動向

Access Accepted第338回:次世代コンシューマ機にまつわる話題

画像集#001のサムネイル/Access Accepted第338回:次世代コンシューマ機にまつわる話題

 E3 2012で正式に発表される,ゲームメーカーがタイトルの制作を始めているなど,このところ真偽不明のさまざまな噂が流れてくる「次世代Xbox」。発売は2013年〜2014年が有力視されているが,こうした噂の背後には,新たな据え置き型コンシューマ機の到来を待ち望む欧米ゲーム業界の願望がある。新たなコンシューマ機への対応は,ゲームメーカーの勢力地図さえ塗りかえるほどのビジネスチャンスを秘めているだけに,欧米ゲーム業界にとっては重大なトピックなのだ。今週は,そんな次世代Xboxの話をまとめてみたい。


AAAタイトルを超えた,AAAAタイトルとは


 オンライン機能の充実によってOSの頻繁なアップデートが可能になり,コンシューマ機の寿命は以前の「5年」から,現在は「10年」にまで延びたといわれている。とはいえ,Xbox 360がリリースされたのは2005年5月のことであり,グラフィックスの基本となっているのはDirectX 9.0c世代。現在のPCゲームではDirectX 11世代のグラフィックスを持ったタイトルが増えており,Xbox 360のグラフィックス面での古さはそろそろ否めなくなっている。

 こうした背景もあってか,昨年(2011年)末あたりから「次世代Xbox」についてのさまざまな話題が飛び交うようになった。例えばイギリスのゲームメディア「Edge」は,「2012年初めにラスベガスで開催されるConsumer Electronic Show(CES)で次世代機が公開される」と2011年11月に報道したが,これはMicrosoftによってすぐに否定されている。また,複数のメディアが予想していたE3 2012での正式発表についても,同社のPRマネージャーが「その予定はない」とメディアに対して発言した(関連記事)。

この異様な形状の試作機は,欧米のメディアがしばしば次世代Xboxの話題で使用するもの。2010年に「KitGuru」という情報サイトで初めて掲載されたらしいが,このような形状では置き場所に困ってしうだろう
画像集#002のサムネイル/Access Accepted第338回:次世代コンシューマ機にまつわる話題

 このように,話題のほとんどは単なる噂に過ぎなかったのだが,そんな中,Microsoftが行った人材募集が注目されている。これは,Xboxプラットフォームで開発する「AAAAタイトル」エグゼクティブプロデューサーと,DirectX 11に詳しいリードプログラマーを公式サイトで募集したもので,AAAAタイトルは,「クアドラプルエータイトル」と発音するらしいが,言うまでもなく現在の「トリプルA」を超えるビッグタイトルという意味だ。注目すべきは「Xbox 360向け」とは記載されていないことで,次世代機を対象としたものであることが強く示唆されている。
 ちなみに,エグゼクティブプロデューサーを募集したのは,同社のゲーム開発部門であるMicrosoft Studiosで,DirectX 11のリードプログラマーを募集したのは,イギリスにあるR&D部門となっている。

 また,Microsoftは2012年初めから,ゲーム開発者向けの説明会を行っており,Crytekの幹部がTweetしたところによれば,2月末にロンドンで「Durango Developers Summit」と呼ばれる会合が催されたという。このつぶやきはすでに削除されているが,ここから,次世代Xboxのコードネームが“Durango”ではないかという話が広がっている。Durangoは,Kinectのコードネーム“Natal”同様,南アメリカの土地の名前でもあり,なるほどと思わせるが,真偽のほどは分からない。

 なお,このDurangoは次世代Xboxではなく,次世代Kinect(Kinect 2)である可能性も残っている。北米の情報サイトKotakuは,Microsoftに近い筋からの情報として「次世代XboxにはBlu-rayディスクが採用されると共に,Kinect 2が用意される」と報道しているからだ。このKinect 2には,現在のKinectに用意されながら実現しなかったオンボードのプロセッサが装備されるという。

 ご存じのように,現行のダッシュボードはKinectを強く意識したものになっており,Microsoftが開発を進めている次世代インタフェース「Metro UI」へ生まれ変わりつつある。ユーザーフレンドリーな操作感を実現するうえでも,また,これまでに1800万台の販売を達成したKinectセンサーを積極的に活用する意味でも,MicrosoftがさらにKinectに力を入れてくるのは間違いない。

 入力に関連してゲーム情報サイトCVGは,次世代Xboxが任天堂のWii Uのようにコントローラをタブレット化するという報道を行っている。モバイルへの対応を視野に入れたMetro UIは,タブレットとの相性も良くなるはずだ。


次世代機に向けて期待の高まる,欧米ゲーム業界


 次世代Xboxのハードウェアについては,今のところ憶測の域を出ない。ハードウェア専門の情報サイトであるSemiAccurateは,使用される予定のCPUであるIBMの「Oban」が,すでに製造に入っているとしており,これはXbox 360同様,PowerPC系のCPUであるとのこと。また,グラフィックスチップに関して同サイトは,99%の確率でATIの「GCN」(Graphics Core Next)と呼ばれるAMD Radeon HD 7000世代のGPUになるだろうと予測している。ちなみにこのObanはCPUとGPUの統合型チップであり,IBMとAMD傘下のGlobalFoundriesが共同開発したもので,32nmプロセス技術が使われているという。

 これについては,情報サイトFudzillaもフォローしており,Obanが大量生産されるのは2013年になるとしているが,それに対して上記のSemiAccurateは,初回生産として1万ウェハがすでにオーダーされており,これが組み込まれた開発キットが早ければ2012年3月から4月にかけてメーカーに出回ると推測している。このObanチップがどの程度の性能になるのかについては,IGNが「Xbox 360の6倍」で,Wii Uより20%ほど高いパフォーマンスを発揮するとしている

もはや有名になり過ぎた感のあるEpic Gamesの「Samaritan」デモ。もともと「次世代機に向けたラブレター」として2011年に公開されたものだが,今年のGDCではNVIDIAのKepler1枚で作動しており,技術の急速な進歩を感じさせた。Epic Gamesのマーク・レイン氏によると,デモで行われている表現は「DirectX 11ではじめて実現可能」とのこと
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 実機ではなく,既存のPCパーツで構成された実機相当の開発キットは,2011年末頃から大手ゲームメーカーに手渡されており,Ubisoft EntertainmentやElectronic Artsなどは,すでにこのキットでゲーム開発に取り掛かっていると,Edgeが伝えている。次世代XboxがDirectX 11ベースになることはほぼ間違いなく,実行スピードを問題にしなければ,現行のPCゲームと同じ要領でゲーム開発が行えるはずだ。 個人的には,E3 2005で行われていたXbox 360向けタイトルのデモが,火を噴きそうなほど熱くなったPowerPCベースのPC上で行われていたことを思い出す。開発キットで作られたゲームを実際の次世代Xboxにコンバートさせるのは,難しいことではないのだろう。

次世代XboxのAAAAタイトルが「現在のトリプルAタイトルを越える超大作」を意味することは間違いなさそうだが,このところ情報が出てこない「Halo 4」がそうなのかもしれない。報道された,「Xbox 360の6倍の性能」に期待がふくらむ
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 次世代Xboxのローンチには,こうした大手メーカーのタイトルが並ぶのかも知れないが,2011年11月21日に掲載した本連載の第325回「クラウドゲーミング時代の到来」でも書いたように,Microsoftは25億ドルもの巨費を投じて,6か所のデータセンターを中心とするクラウドゲームシステム「Azure Cloud Service」を構築しており,ゲームタイトルは,従来のような小売店での販売ではなく,デジタル配信が中心になるかもしれない。さらに,配信されるクライアントは非常にコンパクトで,必要に応じてムービーシーンなどがストリーミングされるという新しい形態のゲームも予想できる。

 以上の事柄は推測の域を越えるものではないし,今後の状況によって変更されてもいくはずだ。いずれにしろ,こうした噂や推測が話題になる背景には,現行のコンシューマ機がそろそろ限界に来ていることを,欧米ゲーム業界や市場が感じていることはあるだろう。ライバルであるSony Computer Entertainmentや任天堂の動きを含めて,今年ではないにせよ,数年後には再び据え置き型コンシューマ機の激しい戦いが始まるだろう。 AAAAタイトルの正体を含め,しばらくMicrosoftの動きに注視する必要がある。

著者紹介:奥谷海人
 本誌海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,北米ゲーム業界に知り合いも多い。この「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年に連載が開始された,4Gamerで最も長く続く連載だ。バックナンバーを読むと,移り変わりの激しい欧米ゲーム業界の現状が良く理解できるはず。
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