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Access Accepted第325回:クラウドゲーミング時代の到来
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印刷2011/11/21 18:24

業界動向

Access Accepted第325回:クラウドゲーミング時代の到来


 2009年頃から耳にする機会の増えた「クラウドゲーミング」という用語。これは,ゲームの実行やデータの記録をインターネット上にあるサーバーが行い,プレイヤーは,ネットを通じて送られてくる「画面」を見て,ゲームを操作していくというもの。遅延などの問題があるものの,まったく新しいゲームの時代が訪れることを予感させるサービスだ。今回は,その現状をレポートしよう。


クラウドゲーミングの過去と現状


記事で紹介しているクラウドゲーミングのGaikaiは,日本語の外海に由来しているとのこと。世界的な巨大チェーン,ウォルマートのゲーム販売サイト「Game Center」と提携しており,Gaikaiの機能を使ってゲームのデモ版を遊べるようになっている
Access Accepted第325回:クラウドゲーミング時代の到来
 「クラウドコンピューティング」(Cloud Computing)をごく簡単に説明すると,従来のようにユーザーがアプリケーションを自分のPCにインストールして作業を行うのではなく,ネット上のサーバーに処理を任せるものだ。ユーザーはネットにアクセスすることでサービスを受け,サーバー側は,ユーザーからの使用料で,利益を得ることになる。
 サービス形態そのものは,データセンターやアプリケーションサービスプロバイダなどの形で以前からあったが,クラウドコンピューティングは通信手段としてインターネットを使うところに特徴がある。インターネットの概念図は,しばしば「雲」の形に描かれることから,クラウドコンピューティングと呼ばれるようになった。
 この言葉を使ったのは,GoogleのCEOであるEric Schmidt(エリック・シュミット)氏で,2006年に開催されたカンファレンスで使用されたのが最初とされている。
 アプリケーションを提供するメーカー側は,不正コピーや互換性の問題に悩まされることがなく,またユーザー側も自分のPCのスペックなどを気にする必要がなくなり,ネット端末と高速回線さえあれば,好きなときにどこからでも必要な情報が得られるわけだ。

 「クラウドゲーミング」とは,このクラウドコンピューティングをゲームに広げた概念で,極端な話,画面とキーボード/コントローラーさえあれば,PC向け,コンシューマ機向けを問わずあらゆるゲームがプレイできるようになる。ゲームのグラフィックスやAIなどの処理はサーバー側で行われ,プレイヤーはインターネットを経由して送られるそれらの結果を見て操作を行う。プレイヤーの入力は,再度インターネットを経由してサーバーに送られるというわけだ。大量のデータの送受信が可能なブロードバンドの普及と,サーバーの高性能化によって初めて可能になったサービスといえるだろう。

 本連載で初めてクラウドゲーミングを紹介したのは,2009年1月の第202回「ゲーム産業に大変革の波が到来か」においてだが,その後「OnLive」「Gaikai」のサービスが相次いで始まり,クラウドゲーミング時代が幕を開けた。とはいえ,利用者数が爆発的に増え,コンシューマ機ビジネスに大きな影響を与えるというところまでには至っていないのも事実だ。

 サービスの一つGaikaiは,「Earthworm Jim」(1994年)のゲームデザイナーとして知られるデイビッド・ペリー(David Perry)氏が陣頭指揮をとっており,現在は,デモをダウンロードすることなく簡単にプレイできるという広告ビジネスに舵を切った。2011年6月には,巨大チェーンのウォルマートと提携し,ウォルマートのゲーム販売サイト「Game Center」にその機能を提供している。
 また,プッシュ広告のような側面も持っており,Gaikaiに登録することで,映画やデモの情報が自動的に表示され,手軽に利用できるようになっている。もちろん,ブラウザがJAVAのプラグインをサポートしてさえいれば,PCの性能にはまったく影響をうけない。

Gaikaiは,2011年7月にカプコンとの提携を発表していたが,公式サイトにおいて英語版「デッドライジング 2」のデモがリリースされている。スペック的には不十分なノートブックでも十分に楽しめ,30分間限定ながらクラウドゲーミングの威力を確かめられる。ただし,日本からアクセスした場合,遅延が大きすぎると判断されてプレイできない模様だ
Access Accepted第325回:クラウドゲーミング時代の到来

 Gaikaiの公式サイトを見ると,サポートをアナウンスしていたカプコンの「デッドライジング2」を始めとして,さまざまなデモがプレイできることが分かるはずだ。
 一方のOnLiveについては,当初月額課金制を採用していたが,北米の一部地域でしかサービスが行われていないこともあって利用者は伸びず,現在は,ゲームタイトルごとの使用料金が設定されている。


次世代Xboxではクラウドゲーミングが可能に?


 今のところ,予想されていたほどの人気を獲得していないのは確かなのだが,クラウドゲーミングのサービスがより多くの消費者にアプローチできるのは間違いなく,Gaikaiの広告サービスへの転身を含めて,今後の展開には続けて注目すべきだろう。もっとも,コンシューマ機側もそう簡単にクラウドゲーミングに取って代わられるつもりはなく,積極的にクラウドコンピューティングの要素を取り込んでいくようだ。

 クラウドサーバーを使ったストレージは「PlayStation Plus」にすでに実装されており,プレイヤーはセーブデータや音楽ファイルなどをクラウド上のサーバーに保管することができる。
 一方のMicrosoftは,E3 2011開催直前の2011年6月6日,ゲームのセーブデータやゲーマータグ(プレイヤープロフィール)などをクラウド上の専用サーバーに保管するサービスを発表しており,近々行われる予定の北米向けXbox LIVEのアップデート後に,ゴールドメンバー専用の「Azure Cloud Service」として提供される見込みだ。

Xbox LIVEの「Azure Cloud Service」は,Microsoftがビジネスアプリケーションのクラウド化を進める「Azure Platform」の流れに沿ったもの。次世代Xboxがどのようになるのか,現在のところ不明だが,来年早々に発表であるとか,すでに一部のゲームメーカーに開発キットが供与されたといった噂話が絶えず,近々何か大きな発表がありそうな気配だ
Access Accepted第325回:クラウドゲーミング時代の到来
 クラウドゲーミングに関して,Microsoftはすでに相当な投資を行っており,上記のAzure Cloud Serviceには,6つのデータセンター開設を含めて25億ドル(約1919億円)を投入したという。これは,2011年11月12日から14日まで中国の上海で開催された開発者向けカンファレンス「GDC China」の席上,Microsoftのブライアン・プリンス(Brian Prince)氏が語ったもので,プリンス氏はさらに「今後,Xboxプラットフォームで,さまざまなクラウド専用コンテンツをお見せしていくことになるでしょう」と,やや興奮気味に話したとのこと。
 もちろん,具体的な内容については説明されたなかったが,その投資額の大きさから考えて,来年(2012年)の早い段階で発表されることがウワサされている次世代Xboxでは,かなり根幹に関わる部分でクラウドコンピューティングのシステムを使っていくと思われる。

 本連載の322回「新世代ゲームテレビの時代が到来か」にも書いたように,デジタル家電の高性能化とインターネットのブロードバンド化で,据え置き型コンシューマ機の地位が脅かされる可能性が出てきた一方,Microsoftのように,クラウドゲーミングに先行投資をして,地歩を固めようという動きもあり,欧米ゲーム業界の変化は急だ。
 Facebookでソーシャルゲームが流行したかと思えば,「Angry Birds」の大ヒットでモバイル向けゲームが注目されるなど,市場の移り変わりは早い。将来的には,プレイヤーがさまざまな端末でゲームを楽しめるサービスを提供するクラウド管理者が現在のプラットフォームホルダーに取って代わるのではないか,そんな予想さえ浮かんでくるほどだ。
 ちなみに,2011年11月19日に掲載した記事では,日本で行われる予定のクラウドゲーミングサービス「ジークラウド」の関係者にインタビューを行っている。技術的な側面が話題の中心になっているが,興味のある人は参照してほしい。

著者紹介:奥谷海人
 本誌海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,北米ゲーム業界に知り合いも多い。この「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年に連載が開始された,4Gamerで最も長く続く連載だ。バックナンバーを読むと,移り変わりの激しい欧米ゲーム業界の現状が良く理解できるはず。
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