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“スポーティ”な戦争MMORPGへ! 「エイカ オンライン エクソダス」が「戦場のエルタ ロード オブ マーシャル」として完全リニューアル。その真意を運営リーダーに聞く
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印刷2011/11/04 19:40

インタビュー

“スポーティ”な戦争MMORPGへ! 「エイカ オンライン エクソダス」が「戦場のエルタ ロード オブ マーシャル」として完全リニューアル。その真意を運営リーダーに聞く

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 既報のとおり,2011年11月9日より,ハンビットユビキタスエンターテインメント(以下,HUE)のオンラインRPG「エイカ オンライン エクソダス」が,大規模なリニューアルを実施し,「戦場のエルタ ロード オブ マーシャル」(以下,戦場のエルタ)とタイトル名を改め,再始動を行う。

 実質的な再ローンチといっていい今回のリニューアルについて,日本運営開始から2年,今だからこそ言えること,そして,今だからこそ伝えたいという「エイカ オンライン」改め「戦場のエルタ」の魅力と,リニューアルの意図するところを,同作の運営チーム リーダーを務める“ジャスティン”こと上原弘靖氏に聞いてみた。


「戦場のエルタ ロード オブ マーシャル」公式サイト



「エイカ オンライン」の光と陰


戦場のエルタ運営チーム リーダー上原弘靖氏(こんな被りモノをしていますが,マジメな方です)
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 「今日は,リニューアルにあたってすべてをお話ししたいと思います。「エイカ オンライン」改め「戦場のエルタ ロード オブ マーシャル」運営チーム リーダーの上原です」(上原氏)

 上原氏は,今回のリニューアルは,自身がエイカ オンラインの担当となった2010年夏頃から企画・検討が進められていたものだと話す。流れを分かりやすくするため,「エイカ オンライン」の2年間を簡単に振り返ってみよう。

 4Gamerの読者であれば,「エイカ オンライン」についてなんらかの予備知識がある人も多いだろう。2009年末にサービスを開始した本作は,当時,4Gamerにおいても前評判の高い本格的なMMORPGであり,とくに「可愛いプラン」と「大規模な戦争コンテンツとシステム」に注目が集まっていた。要求されるPCスペックは当時としても低く,それでいて一定のグラフィックス水準に達しているというのは,現時点で見てもほかに例がない。韓国では2009年大韓民国ゲーム大賞で最優秀賞を受賞するなど(関連記事),数々の賞に輝いていたことからも,その実力がうかがえた。

国家戦での一幕。首都付近にある“祭壇”に集まり,守備につくプレイヤー達
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 日本でも,OBT期間中から正式サービス直後にかけては,その持ち味を活かし数百人のプレイヤーが激突する迫力ある大規模戦闘がそこかしこで繰り広げられ,堅調な運営をスタートしたかに見えた。しかし,今振り返ると多くの問題があったのではないかと,上原氏は語る。

 「はっきりいえば,タイトルの現地化調整に失敗しました。少女型のパートナーキャラ“プラン”を前面に押し出したプロモーションで注目を集めてはいましたが,それだけではゲーム本来の特徴──ミドルスペックPCでもレベルの高い3Dグラフィックスと大人数が集う戦争コンテンツを楽しめること──を十分に伝えることができていなかったのだと思います」(上原氏)

 いきなり当初の方向性を失敗と断じているのだが,確かに“可愛いキャラ”は,ほかのゲームでも実現可能なので,快適な大規模戦闘ができるシステムのほうが価値は高そうだ。

 「これはプロモーションだけの問題ではなく,“少女”や“萌え”というイメージと“本格的な戦争を手軽に楽しめる”という本質,重要性を見誤った,当時の運営チームにも大きな問題があったのでしょう。結果として,サービス開始当時のエイカ オンラインはコンセプトがハッキリしないタイトルになってしまったと思います」(上原氏)

 そして,正式サービス直後,一定の人気を得たがゆえに,BOTやRMT問題が深刻化し,運営チームはその対応に追われることとなる。

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 「サービス直後のコンテンツ管理に加えて,一刻も早いBOT,RMT対応が求められていたと思います。年末年始にかけて不正利用への一斉対応を行ったものの,プレイヤーの皆様には大変なご不便と,ご迷惑をお掛けしてしまいました。そして,弊社のプレイヤー様へのサポートについても,お電話にて失礼な対応をするなど未熟な面が多々ありました。ここで改めてお詫びを申し上げます」(上原氏)

 結果として,「エイカ オンライン」は大きく失速することとなった。本来,大規模な戦争コンテンツには活発なプレイヤー,ギルドが欠かせないものであるが,運営面でプレイヤーからの信頼を大きく損なってしまったのだ。

 「以来,サポートについてだけでなく,真剣にタイトル,サービス,そしてプレイヤーの皆さんを見詰め直そうという動きが,エイカ運営チームだけでなく全社を挙げて生まれました。当然ながら,不適切なサポート対応を行った当人,関係者への厳罰が科され,運営チームも一新されることとなりました」(上原氏)


本来の「エイカ オンライン」を見つめ直す

新規コンテンツの実装から運営施策まで


 2010年夏に「エイカ オンライン」はリーダーとして上原氏,同社事業2部を率いる片野 健氏をプロデューサーに迎え,運営体制が一新された。

 「すぐさま各コンテンツを見直し,『エイカ オンライン』ならではのウリを“戦争コンテンツ”一本にまとめるとともに,BOT,RMT対策に注力し,クリーンなゲーム環境をご用意するところから始めました」(上原氏)

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エクソダスの目玉として投入されたレオポルドだったが……
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 そして,「エイカ オンライン」の仕切り直しをより明確にしたのが“戦争”を前面に押し出した,2010年11月の「エイカ オンライン エクソダス」への進化である(関連記事1 関連記事2)。

 「エクソダスへのリニューアルは,本来の『エイカ オンライン』の魅力に基づいた展開をすることによって,イメージと実態のギャップを解消するという狙いがありました。ただ,同時に実装された新エリア“レオポルド”はPKエリアであり,日本市場には合わないという問題があったことも事実です。それでも,エクソダスによってタイトル本来の硬派なイメージとコンテンツは提供できたかと思います」(上原氏)

 上原氏の述べたとおり,それ以降の運営チームが,イメージと実態のギャップを解消すべく,プロモーションやゲーム内の調整を,戦争をメインに据えたものに切り替えていったことは,ご存じの方も多いだろう。プレイヤーがより早く戦争を楽しめるように「獲得経験値8倍」という大胆なキャンペーンを行い,レベルアップごとに特典アイテムが得られる「レベルアップサポートイベント」の常時実施,そして,戦争に参加することで経験値やアイテムを得られる「WARメダルイベント」などが実装された(関連記事)。日本の運営サイドでゲーム自体の魅力を増幅するようなコンテンツの企画とバランス調整の検討を重ね,開発社への提案,協議を重ねてきたという。

数百人のプレイヤーとモンスター軍団が激突する,新たな戦場“カレナ”
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 2011年4月,レオポルドに続いて実装された新規エリア“カレナ”は意外にも完全な非PKエリアだった。そこには,数百人規模のプレイヤーが共同でモンスターと戦うという,他に類を見ないRvEコンテンツ「アンタルヤ防衛戦」「ベルス城奪還戦」が投入された(関連記事)。

 「レオポルドでの大規模PvPから一転して,『エイカ オンライン』の優れたサーバー技術をモンスター戦へと振り向けたカレナでは,本来敵対関係にある他国のプレイヤーとも仲間となる,大規模な協力プレイが可能となりました。“アンタルヤ防衛戦”“ベルス城奪還戦”の両大規模RvEコンテンツでは,襲いくる数百体のモンスターを大勢のプレイヤーが協力して撃退するのですが,これは非常に好評です。開催時間帯には,500人以上のプレイヤーの皆様が一堂に集まってお楽しみいただいています。かくいう私もとても楽しみにしています」(上原氏)

「ベルス城奪還戦」では,全プレイヤーが共同して,城内で待ち受けるボスラッシュに挑む
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「エイカ オンライン」から「戦場のエルタ」へ

タイトルに込めた想い


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 時に苦しそうに,また,1人のプレイヤーとして楽しそうに,今までの「エイカ オンライン」を振り返る上原氏へのインタビューも,ようやく本題である今回のリニューアル部分に差し掛かる。

 「タイトルについては,“戦場”という単語を入れることで,戦争モノであることを前面に打ち出しました。“エルタ”というのは,ゲーム内でのプレイヤーの呼称です。つまり『戦場のエルタ』というタイトル名で,“戦争の主役はプレイヤーである”という本作の本質をストレートに表現しました。今も遊んでくださっているプレイヤーの皆様,以前遊んでいたプレイヤーの皆様,そしてこれから本作に興味を持たれるMMOファンの皆様へと,戦争をメインに据えたゲームだということを,名実ともにお伝えし,サービスを提供していくという運営チームからの宣誓のようなものです」(上原氏)

 オンラインゲームのタイトルというと,英字やカタカナのみを使ったイメージ重視のものが多いのだが,あえて説明的なタイトルを選んでいるようだ。

 「まず,このゲームの本質を表すタイトルを,『エイカ オンライン』という原題にとらわれずに,かなり自由に検討してみました。社長も交え,会議室の壁一面にさまざまなタイトルを並べたものです。事前の準備,タイトルへの想いはすでにまとまっていましたから,『戦場のエルタ』というタイトルはとてもスムーズに決定しました。思いのほか,開発会社の理解もすんなりと得られたのが印象に残っています」(上原氏)

 タイトル変更は,運営会社と開発会社の間で大きな問題となることもあるが,運営チームの考えは明快であり,開発会社を納得させるものだったという。

 「ただ……ゲームクライアントからも“エイカ”というキーワードを除くこと,そして,ロゴを新たに作る,といったときには,開発会社から『えっ?!』という反応がありましたね(笑)。もちろん即座に理解をしてもらいました」(上原氏)

 ゲーム内のロゴなども残さず入れ替えなくてはならないため,結構手間のかかる作業なのかもしれない。


運営開始から2年。改めて臨む「最初の現地化」

本作ならではのMMOの楽しみ方とその狙い


画像集#018のサムネイル/“スポーティ”な戦争MMORPGへ! 「エイカ オンライン エクソダス」が「戦場のエルタ ロード オブ マーシャル」として完全リニューアル。その真意を運営リーダーに聞く
 新タイトル「戦場のエルタ」に込められたプレイヤーへのメッセージに続いて,リニューアルが目指すものについて話を聞いてみよう。

 「今回のリニューアルを,私達運営チームは“最初の現地化”と位置付けています。半年以上をかけて既存コンテンツを見直し,調整の可能性を探り,各コンテンツの繋がりを重視しました。すべては戦争を楽しんでもらうためです」(上原氏)

 戦争コンテンツの量的な拡充から,さらに日本のプレイヤーに向けたリニューアルを行うことによって,真に日本のプレイヤーに受け入れられる戦争MMORPGを作ろうということのようだ。

 「リニューアルで目指すコトは,『戦場のエルタ』を,もっと気軽に,短時間に,簡単な操作で大迫力の戦争をプレイできる“スポーティ”な戦争ゲームにすることです。『戦場のエルタ』には,低スペックのPCでも快適,かつ十分に綺麗なグラフィックスで,ラグなどのないスポーツ的な大規模戦闘を楽しんでもらえるだけの,システム的な基礎がしっかりと整っています」(上原氏)

 確かに,業界屈指といってもよい堅実・堅牢な大規模戦争システムは,本作の根幹である。本作の開発元 JoyImpact(現:Hanbitsoft)は傑出したサーバー技術で定評があり,事実,数千人規模の戦争が楽しめる3DMMORPGというのは,他社ではほとんど制作されていない。
 MO的なオンラインゲームや,操作のアクション性に振ったタイトルが注目を集めがちな昨今であるが,数百人のプレイヤーが戦場に集まることも多々ある「エイカ オンライン」改め「戦場のエルタ」のプレイ感覚は,これぞMMOという迫力を十分に感じさせるものだ。その強みを最大限に生かすことがリニューアルの目的と見ていいだろう。

 「そして,今回のリニューアルでは,日本独自のタイトル調整として,5つに分散していた今までの勢力,国家を3つに統合し,『戦場のエルタ』が目指すコンセプトに反した,スポーティではない要素,つまり“国家間の同盟”を廃止しました」(上原氏)

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 補足しておこう。「戦場のエルタ」へのリニューアルに際し,各プレイヤーが所属する国家は,従来の5か国から「オーディン」「フェニックス」「ケルベロス」の3か国に再編成される。
 国家数だけ取れば規模が縮小するように見えるかもしれないのだが,総プレイヤー数が同じなら1国家あたりの人口が増えることとなり,戦闘の規模も大きくなる。それだけ戦争が盛り上がることにつながるだろう。ほかのタイトルでは体験することができない本作の魅力,文字通り“桁違いの大規模戦争”がいっそう強調されることになる。
 また,国あたりの人口増加に伴って,戦争の参加者が増えれば,それだけ1人あたりの負担も軽くなり,より気軽に戦争に参加できるようになるだろうとも,上原氏は付け加えた。


国家再編。3国体制への移行はお祭り騒ぎ?

新たな国を興すレギオンを求む


 国家の再編,3国体制への移行については,不安に思うプレイヤーも多いことだろう。率直に上原氏へと質問をぶつけてみた。つまり,今遊んでいるプレイヤー,プレイヤー間のコミュニティ,そして,国家勢力のバランスはどうするのか。

 「11月9日には,全プレイヤーが国家に所属していない状態になり,レベル10以上のプレイヤーは国家を選択するためのクエストを受けることとなります。なお,国家選択に関する一連のクエストは,以前よりも簡略化されています。現在も,プレイヤーの間ではどの国家に所属するか,あるいは誰を国王にするかといったやり取りが頻繁に行われているのですが,とくにリニューアル後のレゲンシャイン(首都)は,新タイトルのサービスがスタートしたときのような賑わいになるでしょう」(上原氏)

 ここで気になるのが,現行のプレイヤーコミュニティ,レギオンがどうなってしまうのかというところだが……。

 「既存のレギオンは,一度すべて解散されることになります。実は,リニューアルに先駆けて国家統合,そしてそれに伴うレギオンの解散については公式サイトでプレイヤーの皆さんにお伝えしておりまして,リニューアル後,以前レギオンマスターだったプレイヤーが再びレギオンを結成される際に,個別対応をさせていただくこととなっています。少し原始的ではあるのですが……,リニューアル前のレギオンのレベルに応じて,軍資金となるゴールド,レギオンスキル習得のために必要となるレギオンスキルストーン,そして,レギオンの経験値といえる功勲値を補填するレギオン功勲メダルを,お問い合わせに応じて確認し,レギオンマスターへと支給いたします。詳細は公式WEBでのお知らせに譲りますが,以前のレギオンを再結成していただくことはもちろん,以前の国家の壁を越えた,新たなレギオンの結成にも期待しています」(上原氏)

 旧レギオンの資産はレギオンマスターに一任されるようだ。元のメンバーを集めてレギオンを再生してもよし,複数のレギオンマスターと共同して新たなレギオンを作るもよしと,柔軟な対応ができる施策が用意されている(詳しくは「こちら」)。

 それでは,新国家間の人口バランスについてはどうだろうか?

 「必要があれば一時的に国家の上限数を決めたり,あるいは人口の多い国家から少ない国家への無償移動サービスを提供したりといった施策を準備しています。とはいえ,このタイトルでは必ずしも人口の多さが国家の強さに直結するわけではないのです。これまでも人口ではトップを誇るアカイアより,2位のトラキアのほうが強いという事実がありました。つまりプレイヤーの数,プレイヤーの個々人のパラメータよりも,団結力が重要ということです」(上原氏)


戦友とともに戦場で成長するキャラクター育成

よりスポーティに。団結力が求められる戦争へ


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 本作のコンセプトである,スポーティな戦争であるが,対人戦である以上,キャラクターのレベル差や,個々のプレイヤーのPvP,RvRに対する考え方に,少なからず影響を受ける。とくに,キャラクター育成には,時間と手間をかける必要があるものの,PK可能なゲームで対人戦に経験値を付けることには問題も多い。「対人戦を楽しみながらキャラクターを成長させる」ことの難しさは,広くMMORPGの課題でもあるだろう。
 「戦場のエルタ」へとリニューアルする以前の「エイカ オンライン」はどうだっただろうか。やはり,これまで戦争では直接経験値を得ることはできず,「WARメダルイベント」の期間などに限って参加していた,というプレイヤーも少なからずいることだろう。総じて,経験値を稼ぎたい自キャラクターを育成途中のプレイヤーにとっては戦争に参加しにくい状況があった。

 「“聖物戦”や“祭壇戦”といった本作のメインコンテンツで,より戦争に参加しやすく,戦争を通して本作を楽しんでもらえるように,戦争への参加での経験値の獲得を可能にする,抜本的なリニューアルを行います」(上原氏)

 具体的には,従来,戦争中に敵を倒す,聖物を安置する,といった行動に対して与えられていた名誉の勲章と英雄の勲章が,新たに“勇猛の勲章”へと統合され,これを集めると,1日で,次のレベルアップに必要な経験値の数%〜10%程度を得られるという。

聖物を守る守護兵が強化されている
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 「また,聖物を巡る攻防をよりスポーティに,団体競技のように楽しんでいただけるようにするために,聖物を安置,保管しておく“デビル”を守るNPC守護兵をかなり強化します。以前は,少数の精鋭がゲリラ的にデビルを襲い,聖物を奪取することが簡単に行えました。敵国のプレイヤーがいない時間帯ならば,本当に簡単だったことでしょう。そこで,NPC守護兵に,攻撃力が高い者,防御力が高い者,魔法防御が高い者と,一筋縄ではいかないように別々の属性を設定し,倒された際のリポップ間隔も30分から30秒に短縮しました」(上原氏)

 本来,戦争用のコンテンツとして用意されたものを,ちゃんと戦争でないと奪い取れないようにしたというわけだ。

 「また,各国家が保有できる聖物の総数,一か所のデビルに安置できる数,そして聖物自体の総数を増やします。具体的には,今回のリニューアルで,どこのデビルでも最大5個まで聖物を安置できる仕様となります。加えて,聖物も8種類増えて全33種類となりましたから,聖物の移動が激しい,よりスポーティな戦争を楽しんでいただけるでしょう」(上原氏)

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 また,少し先の話,と釘を刺しながらも,上原氏はこう続ける。

 「例えば,明確なレベル差などから戦争で敵を討ち取ることができないレベル帯のプレイヤーにも,団体競技として,気軽に戦争に参加し,メリットを得られるものにしていきたいんですよ。実現の可能性を探っている企画としては……戦争で力尽きて戦闘不能となった場合にも,経験値に還元可能なメダルを提供する“名誉戦傷章”といったアイテム,勲章などを今後実装してみたいですね。戦争コンテンツは「戦場のエルタ」の核ですから,戦争に参加することが最も楽しく,かつ美味しい,そんな仕組みを構築していきたいですね」(上原氏)


鬼門・レオポルドに現地化のメス

日本独自仕様の脱・PKエリア化へ


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 2010年に“エクソダス”へと進化した際,アップデートのメインコンテンツとして実装された“レオポルド”だが,すでに少し触れているとおり,レオポルドには問題があった。上原氏は「戦場のエルタ」へのリニューアルを目前にした今だからこそと,こう振り返る。

 「データから見ても,レオポルド地域は,レベル51以上のプレイヤーがゲームから離脱してしまうポイントとなっていました。実は,レオポルドの実装前に開発チームからマップを見せられた時点で,そうなるおそれがあると強く指摘していたのですが……」(上原氏)

 レオポルドは実装当初,最初に降り立つ安全地帯(港)を出ると,すぐに他国家のプレイヤーをPKできる仕様となっていた。クエストではレオポルドに行く必要があるのだが,進入可能になったばかりのプレイヤーが他国の高レベルプレイヤーからPKされてしまい,以降のクエスト進行が困難になってしまっていたのだ。
 加えて,大規模な協力プレイで現在人気のカレナ地域に移動するには,PKされるのを覚悟でレオポルド地域内の転送装置へ向かうか,決して安価ではないゲーム内アイテムを消費するしかないという事情があった。

 レオポルドは確かに“戦争的なコンテンツ”ではあったのだが,マップの構造やシステムなどは大規模戦闘というよりも,限りなくPKを志向しており,日本のプレイヤーの実情には合っていなかったのだ。

 「そこで,レオポルド実装から1年の時間をかけて,開発会社と綿密な打ち合わせ,企画提案を繰り返し,新コンテンツを開発してきました。それが従来の監視塔占領戦に代わる,封鎖戦です」(上原氏)

 それでは,“封鎖戦”とは,いったいどのようなコンテンツなのか? そして,現在プレイヤーの成長や,継続プレイのボトルネックとなっているレオポルドはどのようにリニューアルされるのか?

封鎖戦の模様。スカディの瞳近くの箱に聖物を安置する聖物ホルダー
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 「封鎖戦は,他国との直接的な戦争というより,“競争”といったほうがしっくりきます。簡単にお伝えすると,各国がモンスターの妨害を退けて聖物を運ぶ,“大玉ころがし”のようなコンテンツですね(笑)」(上原氏)

 補足しておこう。
 封鎖戦は,レオポルドに点在する“監視塔”から生成される聖物を,各国家のプレイヤーがそれぞれの勢力に分かれ,レオポルド地域中央の“スカディの瞳”へと運び,所定の場所に安置して点数を稼ぐというもの。モンスターの妨害を国家ごとに共同して退け,聖物を運ぶスピードを競い合う“RvRvE”コンテンツとなる。

 「レオポルドのモンスターは,凍結などでプレイヤーを足止めするスキルを多用してきますし,稀にボスクラスのモンスターが現れることもあります。モンスターだらけのフィールドで聖物を運ぶには,周囲のプレイヤーに護衛してもらう必要があります」(上原氏)

 監視塔から生成される聖物には複数の種類があり,点数が高いものほど,それを運ぶプレイヤーには大きなデメリット(移動速度低下など)が課せられるという。もちろん,スカディの瞳までには多数のモンスターが配置されているので,封鎖戦では聖物を運ぶプレイヤーだけでなく,護衛を担当するプレイヤーが必要となる。

ゴベイ,サル,カカンの各監視塔で発生する聖物をスカディの瞳まで運ぶのが封鎖戦だ。敵国プレイヤーから直接妨害されることはないのだが,先に100ポイント獲得した国が勝者となるので,同じ国民同士が協力したスピーディな進行が求められる
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 「誤解を恐れずにはっきりとお伝えしますと,新しいレオポルドは,まだまだ段階的な開発の途中にあります。日本独自の調整として封鎖戦の実装と同時に,レオポルド自体をカレナと同じく非PKエリアにします。つまり,既存の監視塔占領戦での協力プレイ・他国との競争要素を残し,PvP要素を廃したのが新たなレオポルド,そして封鎖戦というわけです。繰り返しになりますが,レオポルドと封鎖戦については,これで終わりというものではありません。プレイヤーの皆様のプレイ状況に応じて,適宜ルールの調整を加えていきます」(上原氏)

 レオポルドの非PK化は日本独自仕様のため,封鎖戦も他国のものとはまったく違った様相となるだろう。もちろん,PvP要素をなくした結果,聖物を運ぶ他国のプレイヤーを直接邪魔することもできなくなる。その分,モンスターの出現数,リポップの調整が適時行われていくそうだが,どのような状態になるのか予想が難しい。

 「確かに,レオポルド単体で見た場合には,不安は残ります。しかし,まずはプレイの進行に支障をきたす仕様の撤廃を優先いたします。そして,リニューアル後の本作では,すべての根幹となるラキアでの戦争=RvR,中上級者向けの協力コンテンツであるカレナでの対モンスター戦=RvE,そして,主に中級者が協力プレイや,他国と競うことに慣れる場となるレオポルドと封鎖戦=RvRvEが用意されます。それぞれのプレイヤーの皆様のプレイ時間やタイトルを遊んでいただく時間,つまりライフタイムに応じて,さまざまな戦場をお楽しみいただけるようにしたいのです」(上原氏)

 スポーツ的な大規模戦争と,さまざまな対戦・競争・協力プレイを提供するMMORPGにしていくという,上原氏のコンセプトは常に一貫している。現状では未知数の封鎖戦だが,レオポルドの今後の調整には期待をかけてみたい。

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王道MMORPGの復権なるか? 

「戦場のエルタ」リニューアルの目指すもの


 今回,紹介した変更のほかにも,リニューアルと同時に,クエスト受託時の進行方向表示やヘルプの充実といった,新規プレイヤー向けの細かな改善も行われる。
 また,上原氏は,現在,戦争中でも定型文を使って簡単にチャットできるシステムや,街の中央で釣りをしながらレギオンメンバーを募集できる「レギメン釣りシステム」,あるいは,PvEメインのプレイスタイルでも国家に貢献できるようなシステムなど,より幅広いプレイスタイルを許容するコンテンツの企画・検討をしている最中であると話していた。
 なお,今回のリニューアルに伴うアップデートでは,新たなエリアとして“ヘスティア”と新しいレイドダンジョンが実装され,また“プラン完全体”も登場する。これらの新要素については,別記事にて改めて紹介する予定だ。

 それでは,今回のリニューアルで大きく生まれ変わる「戦場のエルタ」に期待するプレイヤーへ向けた上原氏のメッセージを掲載して結びとしよう。

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 「1年近くの歳月をかけて,メインコンテンツとなる戦争にテコ入れを施しました。レオポルド地域の封鎖戦に関しては,まだまだ手を入れる余地があると考えていますので,ぜひプレイヤーの皆さんと一緒に,日本オリジナルコンテンツとして誇れる内容に仕上げていきたいです。
 ともあれ『戦場のエルタ』は,要求スペックの低さも含め,シームレスかつ大規模な戦争を快適に楽しめるという点において,今,日本で展開しているオンラインRPGの中では類を見ないタイトルであると自負しています。そして今後,数年間はこの状況は変わらないでしょう。
 しかし,そうした恵まれた状況も,多くの皆さんに遊んでいただけないことには十分に活かせません。このインタビューで興味を抱いたという人も,あるいは,なにかの事情で休眠しているという人も,全プレイヤーが国家を選択し直す機会──再ローンチであるといってもいいこのリニューアルのタイミングで,ぜひ一度プレイしてみてください」
(上原氏)

 “戦争”というキーワードを挙げてのアップデートはすでに行われていたわけだが,そこに日本の実情に合わせたコンテンツ仕様の調整を加え,ゲームの特徴をさらに際立たせるために,国家の解体まで行うという大ナタが振るわれている。あえて“最初の現地化”と,日本独自の展開を強調しているあたり,ようやく本来やりたかったサービスが展開できるようになったということだろう。
 今後「戦場のエルタ」として,どこまでMMO戦争ゲームの魅力をアピールできるのかに注目したい。

「戦場のエルタ ロード オブ マーシャル」公式サイト

  • 関連タイトル:

    戦場のエルタ ロード オブ マーシャル

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