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株式会社マーベラス(以下,マーベラス)が,日本初の本格的なインディーゲーム向けインキュベーションプログラムとして「iGi(iGi indie Game incubator)」を発足させたのは2021年2月のことだ。国内の若手・インディークリエイターに対し,無償での指導やノウハウ提供を行う事業としてスタートしたiGiだが,その設立当初からプログラム構築のアドバイザーパートナーとして提携を結んだのが,スペイン・カタルーニャ州およびバルセロナ市が支援し,2014年から欧州でも大きな実績を積み上げてきたゲームインキュベーター「GameBCN」であった。
政府はゲーム産業に何ができるのか? バルセロナのゲーム開発シーンを見たカタルーニャ州文化省のディレクターに聞く
バルセロナで開催されたBCN Game Fest 2025の会期中,同地域の文化省でイノベーション及びデジタル文化担当のゼネラルディレクターを務めるマリソル・ロペツ氏にお話を伺った。カタルーニャ州政府はどのような取り組みを行っているのだろうか?
単なる指導にとどまらず,豊富なノウハウを蓄積しているバルセロナの現地組織と連携することで,日本のクリエイターが直接欧州のパブリッシャーや投資家へとアクセスできるパイプラインが早期から構築されていたわけだ。
このiGiの活動実績や国際的なネットワークに着目したのが経済産業省だ。同省が推進するデジタルコンテンツ分野のスタートアップ支援・クリエイター育成枠「IP360(コンテンツ産業成長投資支援事業費補助金)」,そしてその一環として推進される人材創出プログラム「創風(SO-FU)」において,ゲーム分野の運営支援・事務局としてマーベラスが深く関与していくことになる。こうして民間の「iGi」が培ってきた育成ノウハウおよび国際連携のスキームが,国の支援施策である「創風/IP360」へと接続・拡張されていった。
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今回実施されたSAGA Barcelona Game Fest 2026および,事前に行われていた「GameBCN Demoday」への共同ブース出展では,まさにこの5年間にわたって温められてきたバルセロナとの強力なネットワーク連携を活用しながら,国内期待の15作品(iGi第5期生のプロジェクト)の中からGameBCNのメンターたちによって選ばれたという2作品が欧州で初めて披露されることになったというわけだ。その「ハコアタマ」と「PONKOTS」についても紹介しておこう。
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ハコアタマ
むつむつプロジェクトが開発を行う「ハコアタマ」については,東京ゲームショウ2026の際にも本誌でインタビュー取材記事を掲載しているのでそちらに詳しいが,最大4人のプレイヤーで楽しめる協力型のホラーアクションアドベンチャーだ。
荷物や道具を頭に載せて配達へ。最大4人で楽しめるホラーゲーム「ハコアタマ」の開発者に,企画の出発点を聞いた[TGS2026]
東京ゲームショウ2026の会場で,ホラーゲーム「ハコアタマ」の開発者にインタビューの機会を得た。 怪異の潜むシェルターで配達に励む姿を描く本作は,荷物も道具も頭に積んで運ぶのが特徴的だ。独特な見た目が生まれた経緯や,怖がったあとに楽しさが残るホラー作りについて尋ねた。
かなり世界観作りにこだわっている様子の「ハコアタマ」は,謎のクリーチャーの侵攻によって頭部を奪われ,濡れ衣を着せられて収容された囚人“ハコアタマ”たちが主人公。彼らは「避難所で荷物を配送すれば仮釈放する」という命令を受け,奪われた自身の頭部を取り戻して身の潔白を証明するため,ランダム生成される避難所で,指示どおりの配送業務に挑んでいくことになる。
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本作最大の特徴は,ダンボールや懐中電灯,そのほかの道具などの荷物を自身の頭の上に積み重ねて持ち運べるシステムだ。高く積むほど一度に多くの物資を運べるが,頭が重くなると機動力が落ち,避難所内の倉庫室や通路を徘徊する異形からの逃走が困難になるというリスクが伴う。
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また,荷物の中には危険な物体が潜んでいることもあるようで,スキャナーによる検査やチームワーク,バランス感覚を駆使した立ち回りが重要となる。Unreal Engineによるコミカルな見た目と緊張感あふれるステルスサバイバルが融合し,来場者たちも一度座ってプレイを始めると,なかなか止められない様子だった。
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むつむつプロジェクトは,高専在学時にデザイナーのむつむつ氏がイラストレーターのよいよい氏と立ち上げたスタジオだ。これまでにいくつかのゲームを完成させているが,この「ハコアタマ」はより世界の人に自分たちのエンターテイメントが届いてほしいという想いを込めて開発を続けているという。今回の渡航支援を受けての海外イベント展示で,その第一歩が踏み出されたようだ。
PONKOTS
「PONKOTS」は,JOKEMAREが手掛ける,最大8人までのプレイヤーで楽しめるマルチプレイ専用の2D協力アクションゲームだ。プレイヤーが操作するのは,小さくて非力なオモチャたち。彼らの目的は,襲い来る「悪いブリキの王たち」の追撃をかわし,四角いマップの四隅から飛んでくるジャマを避けながら,全員で助け合って逃げ切ることだ。
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本作の肝は,独自の「ポンコツシステム」と協力プレイ要素にある。登場するオモチャたちは頭部の傘で敵の攻撃を跳ね返したり,速く動き回ることで攻撃をかわしやすくなったりといった,それぞれに異なる性能がランダムにあてがわれるが,単独での打開は一筋縄ではいかない。プレイヤー同士が声を掛け合い,相手の攻撃やステージの条件に応じて,とっさに知恵を絞って立ち回りを合わせることで困難な状況を打破していく。
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コンセプトアーティストだったというZAKI氏の描く,レトロなビジュアルと著作権切れのジャズサウンドが親しみやすい雰囲気を生んでいるものの,「PONKOTS」では弾幕攻撃のようなアタックが続くと思いきや,突然マップが小さくなるなど,プレイヤーをあっと言わせる容赦ないジャマが次々と仕掛けられてくる。“ポンコツ”なのでオモチャたちはすぐに操作不能になってしまい,仲間に助けてもらって復活を待ちながら,全員がオダブツにならないようプレイを続けていくのだ。
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そんな「PONKOTS」について,ZAKI氏は「そのプロモーションの仕方が分からない」と悩んでいる様子。なにせ,本作は最大8人までのプレイヤーが楽しめるが,最低人数が3人というエッジの利いたゲームなのだ。そのため,会場でも3人以上が同時に興味を示してゲームコントローラーを手にしてくれないと,このゲームの面白さを伝えるスタート地点にも立てないのである。
とはいえ,ZAKI氏はゲームの面白さそのものには自信がある様子で,日本国内のイベント出展では,展示されていることを聞きつけてはゲームを最後までプレイして帰っていってくれる同業者たちが多いのだと話していた。実際,SAGA Barcelona Game Fest 2026の試遊台に着いた来場者には,ハチャメチャ感をカジュアルに楽しみつつ徐々に過酷なプレイを強いられていく本作のプレイフィールに声を出して大盛り上がりしている人たちが多く,マーケティングへのアプローチ次第では大きな可能性を秘めていることが実証されていたようだ。































