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[GC 2008#04]CryENGINEのアップデートは2011年? 「Crysis」のCrytekが語る次世代ゲームグラフィックス
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印刷2008/08/20 14:29

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[GC 2008#04]CryENGINEのアップデートは2011年? 「Crysis」のCrytekが語る次世代ゲームグラフィックス

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 本社のあるフランクフルトからGC会場のライプツィヒまで,アウトバーンを飛ばしてわずか2時間ほどというCrytekは,GCDCで「Future of Gaming Graphics」(ゲームグラフィックスの未来)というレクチャーを行った。GCDCのスケジュールが発表された当初,演題に「新たなIPの紹介」というサブタイトルが付けられていたため,すわ,「FarCry」「Crysis」そして「Crysis Warhead」に続く最新作の発表か! と意気込んだのだが,スケジュールのアップデートが繰り返されるうちに,いつの間にかそのサブタイトルは消えてしまい残念だったという罪作りなレクチャーでもあった。まあ,考えてみれば新作発表の場としてGCDCのレクチャーというのはあまりにも異色すぎるので,当然といえば当然かもしれない。ちぇ。

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 それはともかく,これは,「CryENGINE 2」によって現時点での頂点ともいえるフォトリアリスティックなゲームグラフィックスを実現したCrytekが,次に何を考えているかという内容のレクチャーなのである。スピーカーは,CrytekのCEO兼PresidentであるCevat Yerli氏。Crytekといえばこの人なので,読者にもすっかりお馴染みといえばお馴染みだろう。

 Yerli氏はまず,2001年からスタートして2004年に開発が終了した初代「CryENGINE」(以下,CryENGINE 1)と,2004年から2007年に開発された「CryENGINE 2」で,どういう技術が実装されてきたかについて述べる。CryENGINE 1では,ハイレゾのジオメトリ処理を実現するPolybump技術や,ピクセル単位のシェーディングとHDRの実装,またCryENGINE 2では,さらに進んだフォトリアリスティックなグラフィックスを実現してきた。
 実際の風景を撮影したスチルとスクリーンショットを並べると,一瞬,どっちがどっちだろうと分からなくなるほどで,このへんはCrysisのプレイヤーならよくご存じだろう。

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 というわけで,さて,次世代ゲームグラフィックスはどうやってデザインされるべきなのだろうか? CryENGINE 2は,当時としての次世代コンシューマ機,つまりXbox 360とPLAYSTATION 3を念頭において開発されてきたという。開発には4年の期間と25人のエンジニアが必要だったわけだが,おそらく2011年まではこのまま(ないしは小規模の拡張)で通用すると予想しているとのこと。
 したがって,ゲームグラフィックスの次のルネッサンスは2011年(プラス3〜5年)にやってくるとYerli氏は予想しており,CryENGINEのメジャーアップデートもそれに合わせて行われるのである。

 次世代グラフィックスのデザインには,当然ながら技術のトレンドをよく見極める必要がある。Yerli氏らが考えるところ,GPUはすでにPCにおけるCPUとの並列処理の度合いを高めており,今後ますます多目的に使われる。また,CPUも並列化の割合を高めていくので,やがてGPUとCPUはよく似たものになっていくと考えているという。
 DirectX 11やLarrabee,CUDA,そしてOpenCLといった新しいAPIにも注目していかなければならない。また,プラットフォームについても考える必要がある。2011年には登場しているはずのXbox 720,PLAYSTATION 4(いずれもYerli氏の命名)がどのようになっているか,理論的に予想しなくてはならないわけだ。
「不気味の谷現象」
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 そのほか,「不気味の谷現象」(Uncanny Valley=あまりにリアルすぎると逆に違和感を覚えてしまう現象)の危険性や,レンダリング技術である「Point Based Rendering」「Ray Tracing」の得失,次世代技術である「Voxel-based Rendering」「Ray Casting in Sparse Octrees」「Micropolygonal Rendering」といった技術的な話なども出てきたが,総じて,「やがて登場してくるはずの次世代コンシューマ機市場で生き残るために,どうするか」という視点が強く表に出たレクチャーであり,PCゲーマーである我々にとっては,ちょっと微妙な雰囲気があったりなかったりした。

 印象的だったのは,今後はスタイルがより重要になってくるという予想で,従来の光と影,リアルな物理現象,そして優秀なAIといったゲームエンジンの特質に加え,それぞれのゲームが「スタイル」を持つ必要があるというのだ。ただリアルなだけではなく,特徴的なビジュアルスタイルを持たなければ,ほかのタイトルとの違いが出せなくなるというのである。
 ひたすらフォトリアリスティックを追求してきた感のあるCrytekの言葉としてはやや意外だが,いずれ「まるで実写のようなグラフィックス」はごく普通のことになるという認識なのだ。逆に言えば,ゲームグラフィックスもそこまで来たかという感じもしてくるが,そのへん,どう思います? そういや,Unreal EngineでおなじみのEpic Gamesも同じようなビジュアルスタイルの重要性を強調しており,考えることは同じなんだなあと思う。

 いずれにせよ,Crytekは技術トレンドの追求と,新しい方法論の導入で次世代ゲームグラフィックスに挑んでいくとYerli氏は結んだ。よりハイレベルなゲームエンジンをより素早く,より安価に提供していくことが大切だ。1台の車両を描くのに,CryENGINE 2ではCryENGINE 1の倍のコストがかかるそうであり,グラフィックスが精細になればなるほどコストアップは避けられない。そのへんの対応としては,アウトソーシングを積極的に活用するなどして,経費をかけずに開発を進めていくとのことで,このあたりは経営者らしい発想かもしれない。

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 もっぱらFPSジャンルにおけるハイレベルなグラフィックス競争も,最近ちょっと一段落した感じのあるゲーム市場だが,その背後では次のステップに向けての技術革新が着実に進んでいるということがよく分かるレクチャーだった。ダラスのid Softwareが「Doom 4」で,これまでとは次元の違うゲームグラフィックスをお見せすると胸を張ったりしているので,Yerli氏の予想どおりなら,2011年はゲーム業界にとって面白い年になりそうだ。
 開発者ならぬ我々としては,話はいいから早く見せてくれという雰囲気なのだが,まあ約3年くらい(たぶん)あっという間なので,楽しみに待っていよう。

 最後に,レクチャーの途中で流されたムービーの直撮りを掲載しよう。一見したところ「クライシス」の戦闘シーンそのままなのだが,Yerli氏によると,この画面には最新技術がいくつも盛り込まれており,「現行のPCでは(重すぎて)動かない」とのこと。それじゃ何を使って動かしたのだろう? という疑問も残るが,ま,とりあえずご覧ください。


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