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ゲーマー向けノートPC「Razer Blade」の新モデルをテスト。GTX 1060 6GBの採用でどれだけ速くなったのか
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印刷2017/01/24 00:00

レビュー

GTX 1060 6GBの採用でRazer Bladeはどれだけ速くなったのか

Razer Blade 14”(2016)-GTX1060

Text by 米田 聡


Razer Blade 14”(2016)-GTX1060
メーカー:Razer
問い合わせ先:systems-jp@razersupport.com
実勢価格:23万3064円〜31万4064円程度(※2017年1月24日現在,ストレージ容量による)
Razer
 Razerは,2016年夏に国内発売したゲーマー向けノートPC「Razer Blade 14”(2016)」を,12月にマイナーチェンジ。搭載するGPUを「GeForce GTX 970M」からノートPC向け「GeForce GTX 1060 6GB」(以下,GTX 1060 6GB)へ換装し,「Razer Blade 14”(2016)-GTX1060」(もしくは「The New Razer Blade」,以下 新型Blade)として,新たに発売した。

 Razer製ノートPCの中でも主力モデルとなるRazer Bladeは,GTX 1060 6GBの採用で何が変わったのか。Razerから製品版を入手できたので,今回はその点を中心に,新モデルを掘り下げてみたいと思う。

Razerロゴ入りのボックスカバーに入った状態で届く新型Blade。黒地に緑をあしらった製品ボックスは従来モデルと同じだ
Razer Razer


国内ではフルHDパネル搭載モデルのみのシンプルな構成になった(?)新型Blade


Razer
 まずは新型Bladeのスペックをまとめておこう。
 マイナーチェンジ前と比べた場合の最も大きな違いはもちろんGPUだが,それ以外にも変更点がある。

 GPUを除く最大の違いは,原稿執筆時点で,4Kパネル搭載モデルがラインナップから外れていることだ。北米市場だと,マイナーチェンジ前と同様に,タッチ対応でIGZO(IPS)方式の4Kパネルを選択できるのに対し,現状,国内で選択できるのはタッチ非対応でIPS方式のフルHDパネルのみである。将来的に4Kパネルも選べるようになるのかどうか,Razerは何も述べていないので何とも言えないが,少なくとも1月下旬時点の国内ラインナップだと,パネル解像度は1920×1080ドットのみなので,この点は注意が必要だろう。

 一方でストレージ容量は選択肢が増えた。マイナーチェンジ前だと,ストレージの選択肢はPCI Express(NVM Express)接続で容量256GBもしくは512GBのSSDだったのが,今回は「数量限定」(※販売ページより原文ママ)ながら容量1TBのSSDも選択可能になっている。
 結果として,2017年1月24日現在における新型Bladeのラインナップは,以下のとおりとなった。

  • ストレージ容量256GBモデル:21万5800円(税別),23万3064円(税込)
  • ストレージ容量512GBモデル:24万800円(税別),26万0064円(税込)
  • ストレージ容量1TBモデル:29万800円(税別),31万4064円(税込)

 そのほか新型Bladeの主なスペックは以下のとおり。GPU周りで,NVIDIA独自のスイッチャブルグラフィックス技術「Optimus」を採用しているのは従来どおりだ。

●Razer Blade 14”(2016)-GTX1060の主なスペック
  • CPU:Core i7-6700HQ(4C8T,定格2.6GHz,最大3.5GHz,共有L3キャッシュ容量6MB)
  • チップセット:Intel HM170
  • メインメモリ:PC4-17000 DDR4 SDRAM 8GB×2
  • グラフィックス:HD Graphics+GeForce GTX 1060(グラフィックスメモリ容量6GB)
  • ストレージ:SSD(NVMe M.2接続,容量256GB,512GBまたは1TB)
  • パネル:14インチIPS,解像度1920×1080ドット,ノングレア(非光沢)
  • 無線LAN:IEEE 802.11ac+Bluetooth 4.1(Rivet Networks Killer Wireless-AC 1535)
  • 有線LAN:なし
  • 外部インタフェース:USB 3.1 Type-C/Thunderbolt 3×1,USB 3.0 Type-A×2,HDMI 2.0×1,4極3.5mmミニピン(※ヘッドセット用)×1
  • スピーカー:内蔵2chステレオ
  • マイク:内蔵2chステレオ
  • カメラ:200万画素
  • バッテリー容量:70Whリチウムポリマー電池
  • ACアダプター:出力165W
  • 実測サイズ:約345(W)×235(D)×17.9(H)mm
  • 実測重量:1.89kg
  • OS:64bit版Windows 10
  • 価格:21万5800円(税別,ストレージ容量256GBモデル),24万800円(税別,ストレージ容量512GBモデル),29万800円(税別,ストレージ容量1TBモデル)

 今回入手したのは,容量256GBでPCI Express接続のSSDを搭載し,税込の直販価格が23万3064円となっている最廉価モデルである。
 実測サイズは345(W)×235(D)×17.9(H)mmで,マイナーチェンジ前と寸分違わず。重量は約80g軽いが,4Gamerで入手したマイナーチェンジ前モデルだとタッチセンサー付きの4Kパネルを搭載していたので,その違いが出ている可能性のほうが高い。
 ちなみにRazerの公称重量は約1.89kg。実測値と完全に一致していた。

 アルミ削り出しの重厚な本体をつや消しの黒で塗装しており,見た目に高級感がある一方で指紋汚れが目立ちやすいという筐体もマイナーチェンジ前と同じだ。

外観,そして素材感はマイナーチェンジ前と変わらず
Razer Razer

本体向かって正面側(左)と背面のヒンジ側(右)。いずれもインタフェースはない。厚みが約18mmということもあり,非常に薄く見える
Razer
Razer
 本体左右側面に各種外部インタフェースが並ぶのもマイナーチェンジ前と同じだが,1点,Razer Blade 14”(2016)でHDMI 1.4b対応だったHDMI Type AポートがHDMI 2.0b対応になったのは大きな変更点と言える。GTX 1060 6GBを搭載した以上は,HDMI 2.0b対応でないと困るが,そこは抜かりないわけだ。
 仮に,このまま4Kパネルの選択肢が出てこなかったとしても,外部出力すれば4K@60Hz出力できるのは,できないよりもずっといい。

本体向かって左側面(上)と右側面(下)。左にはACアダプター接続端子と2ポートのUSB 3.0 Type-A,ヘッドセットおよびヘッドフォン,マイクに対応する4極&3極両対応の3.5mmミニピン端子が並ぶ。右はUSB 3.1 Gen.2およびThunderbolt 3のType-CとUSB 3.0 Type-A,HDMI 2.0b Type Aが各1という並びだ。Type-C端子には外付けグラフィックスボックス「Razer Core」を接続できる
Razer
Razer

 先ほど,現時点だと液晶パネルの選択肢は1920×1080ドットのIPSパネルしかないと述べたが,その発色は良好だ。ノングレア(非光沢)加工されているので,映り込みが少ない,見やすいパネルである。IPS方式なので,もちろん,角度を付けても色の変化は少ない。
 搭載するGPUがGTX 1060 6GBということを考えると,パネルのスペックはこちらのほうが4K仕様のものより適切と言えるかもしれない。

暗所で新型Bladeの液晶パネルを見たカット。角度による色の変化が少ない。ちなみに,マイナーチェンジ前のモデルが採用する4Kパネルだと,静電容量式タッチパネルを搭載するためか,若干暗めに感じられたが(関連記事),新型BladeのフルHDパネルだとそんなこともなく,とても明るい
Razer Razer Razer

カラフルに光るキーボードバックライトなど,キーボードの基本仕様はこれまでどおり
Razer
 2017年1月下旬時点で,キーボードは日本語配列のみ。メインのキーでは19mmピッチを確保してある。[Space]キーを含む列が混み合っているのと,カーソルキーの配置が独特なのは人を選ぶところで,少なくとも慣れは必要だと思うが,14インチクラスのノートPCが搭載するキーボードとしては,非常に扱いやすいと言っていい。個人的には違和感なく使えたことも付記しておきたい。

Razer
キーストロークは実測約1.5mmほど。メインキーは19mmピッチが確保されている。グラつき感のない,非常に打ちやすいキーボードだ
Razer
タッチパッドは大型。物理的にタッチパッドから独立した2ボタンはしっかりとしたクリック感があり,こちらも使いやすい

 Razer製ノートPCが持つ大きな特徴であるAnti-Ghosting&Nキーロールオーバー対応は,言うまでもなく健在だ。キーアサインや,「Razer Chroma」ベースのLEDバックライトを「Razer Synapse」(旧称:Razer Synapse 2.0)からカスタマイズできる仕様も変わっていない。

やや青の出方が弱い印象を受けるLEDバックライトも従来同様。キーボードは100%,従来と同じものではないかと思われる
Razer

 実のところ,ACアダプターも従来製品と同じだ。外回りはHDMIインタフェースを除いてマイナーチェンジ前と共通という理解で構わないだろう。

Razer
付属のACアダプターは定格DC出力165Wのタイプ。実測サイズは約60(W)×150(D)×22(H)mmで,ケーブル込みの重量は実測約425gだ。端的に述べて,ゲーマー向けノートPC用としてはコンパクトである
Razer
液晶パネル部には200万画素仕様のWebカメラを搭載している。Webカメラの両サイドにある3つの穴は指向性マイクとして機能するアレイマイクだ


内部構造にも大きな変化はない


 「同じ」「同様」「変わっていない」の連発で,そろそろ飽きてきたのではないかと思うが,念のため内部構造もチェックしておこう。なお,Razer製ノートPCは,底板を開けるだけなら保証が切れたりはしないので,ファンのところに溜まった埃(ほこり)などの掃除であればOKだが,内部の構造に手を出すとメーカー保証外となるので,その点はご注意を。

底面のトルクスビスを外して底面カバーをぱかっと開くと,内部をチェックできるようになる
Razer Razer

冷却機構に寄ったところ
Razer
 というわけで内部構造だが,搭載するKaby Lake-HベースのCPU自体がSkylake-Hのマイナーチェンジなので,やはりというか何というか,マイナーチェンジ前と変わっていない。
 合計4本のヒートパイプを採用し,うち4本はGPU用とCPU用の冷却機構を横断するような格好になっている点や,ヒートパイプで運んだ熱を2基のブロワーファンで,ヒンジ部の排気孔から筐体外へ出す仕様はこれまでどおりだ。メインメモリや無線LANモジュール,バッテリーパックに至るまで同じで,新型Bladeのマイナーチェンジモデル感を補強している。

Razer
メインメモリはSamsung ElectronicsのDDR4「K4A」が8枚。合計16GBのデュアルチャンネル接続となる
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無線LANモジュールはRivet Networks製の「Killer Wiress-AC 1535」だ
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搭載するSSDは,Samsung ElectronicsがOEMに提供している,PCI Express接続型M.2モジュールタイプの「MZVLV256HCHP」
Razer
6160mAh 70Whのリチウムイオンバッテリーパック。仕様はマイナーチェンジ前と同じだが,今回はどういうわけか「デル(株)」と書いてあった


デスクトップPC向けGTX 1060 6GB搭載機との相対比較を実施


Razer
 では,ノートPC向けGTX 1060 6GBを搭載することで,新型Bladeの3D性能はどれだけ向上しているのだろうか。残念ながら,マイナーチェンジ前のモデルを同時に借りることはできなかったので,今回は,デスクトップPC向けGTX 1060 6GBの「Founders Edition」を中心とする,の環境を比較対象として用意し,相対性能を見てみることにしたい。


 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション19.0準拠だが,テストスケジュールの都合により,「Forza Horizon 3」だけは外すことになった。なおテスト解像度は,新型Bladeのパネル解像度でもある1920×1080ドットと,16:9アスペクトで一段下となる1600×900ドットを選択している。

 なお,上のにもあるが,今回グラフィックスドライバは,テスト開始時点の最新版である「GeForce 376.33 Driver」で揃えた。新型Bladeについて言えば,プリインストールのドライバをそのまま使っているわけではない。
 また,言うまでもないと思うが,テストにあたって電源設定は「高パフォーマンス」に切り換え済みだ。


GTX 1060 6GB搭載のデスクトップ機にはまったく及ばない新型Blade


 以下,グラフ中に限り,テスト対象のデスクトップ機を「GTX 1060 6GB」と表記することをお断りしつつ,結果を順に見ていこう。
 まずは「3DMark」(Version 2.2.3509)で,グラフ1は総合スコアをまとめたものだが,新型Bladeのスコアは,比較対象となるデスクトップ機に対して82〜85%程度で,わずかながら,描画負荷が高ければ高いほどスコア差を詰める傾向にある。


 グラフ2,3は3DMarkの総合スコアから,GPU性能を測る「Graphics test」と,ソフトウェアベースの物理シミュレーションによりCPU性能を測る「CPU test」の結果をそれぞれ抜き出したものだが,前者における新型Bladeのスコアは対デスクトップ機で82〜85%程度と,総合スコアを完全に踏襲している。
 一方,後者だと,新型BladeはデスクトップPCに対して74〜75%程度のスコアに留まった。Core i7-6700HQ(4C8T,定格2.6GHz,最大3.5GHz,共有L3キャッシュ容量6MB)とCore i7-6700K(4C8T,定格4.0GHz,最大4.2GHz,共有L3キャッシュ8MB)の違いが出ているという理解でいい。


 続いてグラフ4は,やはり3DMarkより,「Time Spy」のテスト結果をまとめたものだが,新型Razer Bladeの総合スコアはGTX 1060 6GB搭載のデスクトップ機に対して約82%と,Fire Strikeの総合スコアにおいて,最もスコア差が付いたときと同じ割合になっている。


 以上,3DMarkではまずまずのスコアが得られた新型Bladeだが,「ノートPC向けのGeForce GTX 10シリーズを搭載するノートPCは,3DMarkの成績がよくても,実ゲームでは芳しい成績を残せない」傾向が,これまでテストしてきた製品から窺える。
 では,今回はどうだろう? 実ゲームにおけるスコア,1つめは「Far Cry Primal」のものをグラフ5にまとめてみたが,果たしてそのスコアは,描画負荷の低い「ノーマル」プリセットで60〜72%程度,描画負荷の高い「最高」プリセットではでは78〜79%程度になった。ノーマルプリセットでは,CPUがスコアを左右する傾向にあり,それゆえにスコア差が開いたわけだが,GPU性能勝負になる最高プリセットでもギャップが開いたのは気になるところだ。

 また,ベンチマークレギュレーションでハイクラス以上のGPUにおける合格ラインとしている平均60fpsを,GTX 1060 6GB搭載のデスクトップPCは最高プリセットの1920×1080ドットで軽くクリアしている一方,新型Bladeだとまったく届いていない点も気になるところだ。デスクトップPC用GTX 1060 6GBのつもりでグラフィックス設定を行うと“重い”という可能性が出てくるわけで,ここは注意が必要だと思われる。


 続いてARKの結果がグラフ6だが,端的にまとめると,そのスコア傾向はFar Cry Primalとよく似ている。描画負荷の低い「Low」プリセットではデスクトップPCに対して62〜68%程度のスコアに留まる新型Bladeだが,「High」プリセットの1920×1080ドットでは約82%までその差を縮める。しかし,Highプリセットの1920×1080ドットだと,4Gamerで合格ラインとしている平均55fpsに遠く及ばず,実際にプレイするにあたってはグラフィックス設定の見直しが必須である。


 続いてはグラフィクスAPIにVulkanを使う「DOOM」だが,新型Bladeのスコアは対デスクトップPCで47〜61%程度しか出なかった。APIにVulkanを使うゲームのフレームレートのデータはまだあまり蓄積がなく,これだけだと何とも言えないので,考察はいったん保留して先に進みたい。
 いずれにしても,「High」プリセットの1920×1080ドットで,4Gamerが合格ラインとする平均60fpsを優に超えているのは救いだろう。


 グラフ8にスコアをまとめた「Fallout 4」だと,対デスクトップPCにおける新型Bladeのスコアは65〜67%程度と,テスト条件にかかわらず低めで安定した。
 さすがにデスクトップPC比でここまで離されると厳しいというのは,4Gamerで快適にプレイできる目安とする平均60fpsに,「ウルトラ」プリセットで若干届かない点からも見て取れよう。


 「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)のテスト結果がグラフ9で,デスクトップPCに対する新型Bladeのスコアは,「標準品質」で66〜67%程度,読者の多くが実際のゲームプレイで選択することになるだろう「最高品質」で73〜81%程度というスコアになった。おおむね,Far Cry Primalと似た傾向と見ていいだろう。
 デスクトップPCと比較すると残念な実スコアではあるものの,最高品質の1920×1080ドットで,ハイクラス環境における目標ラインであるスコア1万超えを実現しているので,ゲームプレイに不安はないと言い切れるのが救いか。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
Razer

 横並びで比較したわけではなく,当時とはドライバをはじめとするテスト環境も異なるため,直接の比較は行えないと明言したうえで,「ちなみに」として話を続けておくと,新型Bladeの示すスコアは,GTX 970Mを搭載する従来モデルと比べても,よくて同程度で,ことによると低い(関連記事)。
 少なくとも,GTX 970MからノートPC向けGTX 1060 6GBへのGPU刷新が,新型Bladeの3D向上引き上げに寄与している可能性が低いことは,押さえておいたほうがいいだろう。


GPU温度によってGPUクロックが抑えられる新型Blade


 ではなぜ,ノートPC向けGTX 1060 6GBを搭載する新型Bladeでは,デスクトップPC向けGTX 1060 6GB搭載機の5〜8割程度というスコアに留まってしまうのだろうか。
 GPU性能を抑制する要因として挙げられるのは,利用できる電力の上限や温度の上限だろう。新型Razer Bladeは厚さ約18mmという,モバイルノートPCもかくやという薄型モデルなので,どちらもデスクトップPCに比べれば相当に厳しいということになる。

 そこで,まずは筐体の温度がどういう傾向を示すのか,サーモグラフで調べた結果を掲載しておきたい。
 ここでは,本体向かって左側にACアダプターを置いて給電しつつ,アイドル状態で30分放置し,その後,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを,最高品質の1920×1080ドット設定でループ実行し続けることにした。そのうえで,アイドル状態の30分放置後と,ループ実行開始から15分後と30分後に,それぞれチノー製サーモグラフ「TP-U0260ET」でサーモグラム(温度分布画像)を俯瞰撮影し,比較する。テスト時の室温は約22℃だ。

アイドル状態における新型Bladeのサーモグラム(※クリックするとオリジナルの左右反転画像を表示します)
Razer
 サーモグラフの仕様上,サーモグラムは左右反転しているため,サムネイルではそれを再度反転させて,実態に則したものにしていることを断ってから続けると,まず,右のサーモグラムは,アイドル状態で30分間放置した直後のものだ。
 ここで最も温度が高いのはACアダプターで,約40℃。新型BladeのACアダプターは小型でファンも搭載しないため,温度の下がり方が緩やかなので,結果的にアルミ製筐体を採用していて放熱効率の高い新型Bladeのほうが低くなるわけである。ちなみに筐体側はキーボード面で32〜33℃程度だった。

 続いて下の2枚はそれぞれ,ベンチマークのループ実行開始後15分経過時点と30分経過時点のものだが,いずれもキーボード中央付近が最も高い41〜42℃程度となった。室温条件が22℃前後だと,筐体温度はピークでも40℃を大きくは超えないようで,単体GPUを搭載する薄型ノートPCとして,温度上昇はまずまず抑えられていると言っていい。

Razer
ベンチマーク開始から15分後における新型Bladeのサーモグラム(※クリックするとオリジナルの左右反転画像を表示します)
Razer
ベンチマーク開始から30分後における新型Bladeのサーモグラム(※クリックするとオリジナルの左右反転画像を表示します)

 筐体の温度が低いのは,冷却機構が優秀だからだが,そのファンの動作音は相当に低い。もちろん,小型で薄型のファンを採用する以上,高域の音が耳に付く欠点は抱えているのだが,それも,我慢できないほどではない。
 今回は,コルグ製のポータブルレコーダー「MR-2」を,Razer Bladeの液晶パネルから30cmの距離に置いて録音し,上でテストに用いた3条件の音をムービー形式で再編集してYouTubeにアップロードしてみたので,ぜひ聞いてみてほしい。別途,録音開始・終了時の操作音も入った生データも用意しているので,興味のある人はそちらをダウンロードして聞いてもらっても大丈夫だが,高負荷時でも,それほどキツい騒音になってはいないのが分かると思う。


 筐体温度は低めで,ファン回転数も抑えてあるとすると,性能が今ひとつ上がらない理由としては,GPUクロックを抑えている可能性が浮上する。

 まずノートPC向けのGTX 1060 6GBのスペックをおさらいしておくと,公式には,ブーストクロックが1670MHz,メモリクロックは8GHz相当だ。NVIDIAコントロールパネル,そして「GPU-Z」(Version 1.16)で確認したところ,新型Bladeが搭載するGTX 1060 6GBの動作クロックは,ベース1404MHz,ブースト最大1860MHz,メモリ8008MHz相当だったので,「ブーストクロックに入らない」わけではないようだ。

 ならばなぜフレームレートが上がらないのか,ということになるが,GPU-Zのクロックの推移を追ってみると,クロックがGPU温度と相関を持つ傾向が見られた。
 グラフ10は,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを実行したとき,最初のループにおけるGPUクロックと温度の推移を追って,1つのグラフに重ねたものだ。FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチは,シーンが切り替わるときに,GPUクロックが100MHz台まで大きく落ちる。なのでGPUクロックが100MHz台まで落ちている部分を無視してもらえればと思う。

 それを踏まえて見ていくと,たとえば約660秒経過時点から,GPUの温度が80℃付近まで上昇している間,GPUはブーストクロックである1670MHzに達しないどころか,最悪の場合は1000MHz前後にまでクロックを落としている。そして,全体を見渡すと,そういう例がいくつも見えるのが分かるだろう。
 GPU温度がやや下がると,GPUクロックが回復することも分かるので,新型BladeではGPU温度が閾(しきい)値を超えた場合,直ちにGPUコアクロックを落とし,温度上昇を抑える設定が入っている可能性はありそうだ。結果として,マイナーチェンジ前と同程度か,ことによると低い性能しか出なかったのかもしれない。


 また,比較対象にしたGTX 1060 6GBのFounders Editionは,新型Bladeに比べれば放熱システムには十分な余裕がある。GPUの温度でクロックが抑えられる新型Bladeと,熱的に余裕があるデスクトップPC向けグラフィックスカードとの間で大きなスコア差が付いた理由はそこだろうと考えれば,それなりに納得はできそうだ。

 最後に,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」で,システム全体の消費電力を計測した結果を確認しておきたい。
 テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,ディスプレイの電源がオフにならないよう設定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とすることにした。

 グラフ11がその結果だが,ピークを記録したのはARKでも約143Wだった。DC出力165WのACアダプターが付属している新型Bladeにとってはかなり余裕がある消費電力と言っていいだろう。
 デスクトップ機に比べるとかなりの省電力だが,とはいえ,その分だけ性能も低いのだから,性能は電力と引き換えという,典型的な結果でもある。



Pascal採用による性能向上は期待できない新型Blade


 以上,マイナーチェンジモデルとなる新型Bladeを見てきたが,Pascal世代のノートPC向けGTX 1060 6GBを採用することによる高性能化は期待できない製品とまとめていいと思う。薄型ノートPCというフォームファクタの限界から,新世代GPUをフルに“回す”ことができず,結果として性能は前世代と同程度に落ち着かざるを得なかったようである。

 また,テストしていて分かったのは,本稿でテストしたストレージ容量256GBモデルはゲーム用としてまったく用をなさないということだ。4Gamerのベンチマークレギュレーション19.0で採用するタイトルから,Forza Horizon 3を外しても,全タイトルはインストールできないくらいなので,ゲーム用途を前提に,ストレージ容量でイライラしたくないなら,必然的にストレージ容量512GB以上を選ぶことになる。

Razer

 マイナーチェンジ前のモデルが実現した,筐体の高い完成度や薄さといった外周りの魅力はそのまま継承しているので,「3Dゲームをかなりの部分で快適にプレイできる薄型ノートPCを探しているときに,Razer Bladeが有力な候補になる」という評価自体は,新型Bladeでも変わらない。
 欲を言えば,大きな3D性能向上があるとよかったが,それはマイナーチェンジモデルに求めるようなものではないと言うことなのだろう。

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