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記憶を失った青年は,何者になっていくのか。2Dサイケデリックホラー「DEPERSON」をPARCO GAMESブースで試遊[BitSummit]
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印刷2026/05/29 17:00

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記憶を失った青年は,何者になっていくのか。2Dサイケデリックホラー「DEPERSON」をPARCO GAMESブースで試遊[BitSummit]

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 京都・みやこめっせで開催されたインディーゲームイベント「BitSummit PUNCH」PARCO GAMESブースは,キオスクをテーマにした空間になっていた。

 同社のパブリッシングタイトルそれぞれのイメージに合わせた,個性の異なる展示スペースが並び,小さな売店をのぞき込むような感覚で各タイトルに触れられる作りだった。

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 そのひとつとして出展されていたのが,トルコのクリエイティブスタジオ・Error Thingが手がける2Dサイケデリックホラーアドベンチャー「DEPERSON」だ。BitSummit PUNCHに合わせてPARCO GAMESからパブリッシングされることが発表されたタイトルで,会場ではさっそく試遊版が出展していた。

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 物語の主人公は,記憶を失った青年・アーロン。彼は,監視と恐怖に覆われた統制国家「インドリヤ」で目を覚ます。自分が何者なのか,なぜここにいるのか,周囲の人々がなぜ自分に何かを託そうとしているのか。そうした疑問を抱えたまま,プレイヤーはアーロンを操作し,奇妙に歪んだ世界を進んでいくことになる。

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 ブースの試遊版は,本作の導入部にあたる内容だった。
 病院らしき場所で目を覚ましたアーロンは,いくつかの部屋を回り,そこにいる人々と話しながら,先へ進むために必要なものを集めていく。画面内を移動し,気になるものを調べ,会話を進め,ときにはちょっとしたパズルやアクションをこなしながら,その先へ進む条件を整えていく。

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 その中で印象的だったのが,「忘却の残響」と呼ばれる要素だ。
 それがアーロン自身に関わるものなのか,彼が話している相手の過去なのか,あるいは,この世界でかつて起きた出来事なのか。はっきりとは分からないまま,断片的な映像が挿し込まれる。
 プレイヤーは探索や会話を進めながら,そうした断片を自分の中で少しずつつなぎ合わせていくことになる。

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 淡い色彩と細い線で描かれたグラフィックスは,一見すると柔らかく,どこか絵本のような印象がある。
 だが,人物たちの表情はどれも沈んでいて,壁の色や光の入り方といった空間の描き方も,常にどこか落ち着かないものを感じさせる。

 テキストもただ表示されるだけではなく,揺れたり,上下に動いたりする。それが,アーロン本人の心境なのか,話し手の感情なのか,あるいはそれを受け止めているアーロンの不安なのか。言葉の見せ方そのものが,登場人物たちの内面に触れているようで興味深かった。

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 アーロンを含め,作中に登場する人物,あるいは人ではない何かは,それぞれに重いものを抱えているように見えた。目の前の世界は現実のようでいて,どこかが不自然で,どこかがおかしい。驚かせるタイプのホラーではなく,自分が立っている足元がいつの間にか不安定になっているような感覚がある。

 とくに印象に残ったのは,アーロンの選択がゲーム的なストーリー進行や分岐を考えて選ぶものというより,アーロンという人物そのものに関わっているように感じられるところだ。

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 Steamページでは,プレイヤーの選択によってアーロンの行動だけでなく,彼が“何者であるか”にも影響を与えていくことが説明されている。試遊の段階でも,会話の返答や行動の選び方には,ゲームとしての正解を選ぶというより,「アーロンはどんな人物で,この出来事をどう受け止めるのか」をプレイヤーに問うような感触があった。

 なおSteamでは体験版が配信されており,チャプター1をしっかりプレイできる。意外なアクション性やボスバトル(?)も。会場で触れられた範囲の先まで確認できるので,気になる人は試してみるといいだろう。

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 不穏な世界観と,現実かどうかも分からないものを見ているアーロンの不安定さには,強く引き込まれるものがある。
 会場でプレイしていたところ,腕につけていたApple Watchから通知が来た。何かと思って見てみると,プレイを始めてから10分ほどで心拍数が120BPMを超え,高い心拍数の警告が出ていたのだ。

 会場の熱気や取材中のあわただしさなど,理由はいくつか考えられる。ただ,プレイしたのは最終日である5月24日の日曜日,しかも朝一番。心身ともにまだ余裕はあったはずなのだが,本作の不穏さにかなり正直に反応していたのかもしれない。
 このように,精神的な不安に触れるテーマや表現が心理的な負荷にもなる作品なので,そうした描写が苦手な人は注意してほしい。

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 PARCO GAMESはこの1年弱のあいだに,「The Berlin Apartment」「Constance」「南極計画」をリリースし,さらに以前から注目を集めていた「Finding Polka」のリリースも控えている。いずれもアートやナラティブ,そして体験そのものの面で,それぞれ強い個性を持つ作品だ。

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 インディーゲームイベント「BitSummit PUNCH」に出展されていた「Finding Polka」は,手描きのアートで表現される世界を歩き,犬を探す物語が綴られる。犬好きの心に刺さる作品だったので,試遊デモのインプレッションをお伝えしよう。

[2026/05/25 21:30]

 その流れから見たとき,「DEPERSON」は,第一印象では少し意外な作品だった。これまでのタイトルにも,過酷な状況や心を揺さぶるテーマはある。ただ,その見た目や表現は比較的穏やかなものだった。それに比べると「DEPERSON」は,ビジュアルの不穏さや表現の強さが前面に出ていたからだ。

 しかし実際にプレイすると,印象は少し変わった。たしかに表現はショッキングだが,その奥にあるのは,人間の内面に向き合おうとする物語だったからだ。そこに触れたことで,「DEPERSON」がこれまでのタイトルと同じPARCO GAMESの棚に並ぶ作品であることが理解できた。

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 「DEPERSON」は,ビジュアルの強さで目を引く作品だが,その奥にはプレイヤーに自分という存在すら疑わせるような,不安をはらんだ物語がある。
 監視社会や自己喪失,選択によって変化していく人格といった要素が重なり,どのような体験へと広がっていくのか――冒頭に触れただけではあるが,PARCO GAMESの新たなパブリッシングタイトルとして,今後の展開に注目したい1本だ。

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