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「EVE Online」のプレイヤーカンファレンスが開催。クリエイティブディレクターが披露した開発上のガイドラインとは?
ネクソン 運用部 運用1チーム 左留間正之氏 |
またビデオレターでの出演となったCCP Games CEOのHilmar Petursson氏は,来場者に謝辞を述べ,ネクソンの協力を得てEVE Onlineの日本語サービスを展開することになった経緯を説明。実はCCP Gamesでは,数年前にもEVE Onlineの日本語サービスを検討していたのだが,当時は以下の3つの点において準備が必要だったといたという。
・複雑な日本語を翻訳するための,より優れた現地化プラットフォーム
・日本のゲーム市場でEVE Onlineを展開するための現地パートナー
・EVE Onlineの中で新しいコミュニティを形成する日本在住プレイヤーの協力
CCP Games CEOのHilmar Petursson氏のビデオレター |
またPetursson氏は,日本でサービス展開するにあたりパートナーとしてネクソンを選んだ理由を,オンラインゲームパブリッシャとしての実績とともに,CCP Gamesの理想を追い求める姿勢やパイオニア精神を理解している点を挙げた。
最後にPetursson氏は,あらためて日本のプレイヤーに感謝を述べるとともに,今後も新たなプレイヤーとともにコミュニティを形成し,ゲームを楽しんでほしいと来場者達に呼びかけた。
CCP Games クリエイティブディレクター Torfi Frans Olafsson氏 |
またOlafsson氏は,ゲームを内において,何千何万という全世界のプレイヤーが,さまざまな目的や思惑をもって,ほかのプレイヤーと協力したり対立したりしながらプレイしていると述べ,その世界がいかにして構築されてきたかを以下の6項目に分けて説明した。
・Maximize human interaction
Olafsson氏は,最も重要な点は“マルチプレイ”だと述べ,コンピュータが表現するアルゴリズムよりも,人間同士の関係性が生み出す遊びのほうが面白いと述べる。そのためシステムをデザインするうえで,常にプレイヤーとプレイヤーのインタラクションが発生するような仕組みを心がけているそうだ。
・Perpetual machines
さらにOlafsson氏は,永久機関のようなシステムを構築することが重要と指摘する。すなわち,より多くの資産を奪うためには,より優れた艦船が必要になる。その艦船を作るためにも,資産が必要で……といった具合に,うまくプレイヤーの目的と手段をゲーム内で演出し,循環させるというわけだ。
この考え方は,ミッションの構築にも当てはまる。つまり,一つのミッションをこなして新しい武器や艦船を手に入れることにより,さらなるミッションに挑めるような構造になっている。ただしOlafsson氏は,EVE Onlineは複雑なゲームなので,必ずしもこのとおりに事が進むわけではないとも話していた。
・Emergent systems
EVE Onlineには,プレイヤー相互の関連性や,多くのプレイヤーが参加することによって,最初はシンプルなものが複雑化していくような要素を盛り込まれている。例えば,最初は物々交換程度の取引であっても,何千人何万人が参加すると市場として進化していくというわけである。
・Elegance and simplicity
EVE Onlineでは,囲碁や将棋のように,ルールはシンプルでもプレイは奥深いというゲームを追求している。
・Awe and wonder
EVE Onlineでは,身の回りにあるような美しさや驚きをゲーム内の世界にも盛り込んでいる。
・Verisimilitude
EVE Onlineでは艦船や種族,あるいは宇宙の広大さといったリアリティを追求している。とくに“誰かが作った”からこそ“EVE Onlineの世界に存在している”という点を重視していると,Olafsson氏は述べた。
そのほかEVE Onlineと連動するPlayStation 3用FPS「DUST 514」の紹介や,EVE Onlineの日本語版クライアントを使った次回エキスパンションのデモプレイが披露された。とくに後者では,Olafsson氏が「本当は見せたらいけないんだけど,今日は特別」といいながらプレイする場面もあり,来場者達は非常に喜んでいた。残念ながら写真等の掲載は禁止だったので,正式公開を待ってほしい。
またOlafsson氏は,今後の展開について,少人数による中小カンパニーも活躍できるようなバランス調整を施していきたいと述べていた。
プレゼンの最後に,Olafsson氏は来場者達に向け,Petursson氏同様,日本語サービスの展開によってこれから新たにEVE Onlineの世界に入ってくるプレイヤーの良き指導者になって,一緒にゲームを盛り上げていってほしいと呼びかけた。
まずCCP Gamesにとって,ネクソンと提携するメリットについて問われたOlafsson氏は,日本の文化に詳しいローカルパートナーの重要性を説き,互いのノウハウから学びあうことも多いだろうと述べた。
今後のゲームコンテンツについても,いくつか質問がなされた。まず艦船の追加については,先日行われたコンテストの応募作からデザインを起こしている最中とのこと。Olafsson氏は,新しい艦船に,いかにして新しい役割を持たせるか重視していると述べた。
また今後もリアリティを追及していく方針ではあるが,例えばリアル世界でも不正行為が起きるような株式市場の再現は難しいとのことである。
PvEやミッションについては,ワームホール内やインカーションのミッションを追加する予定がある。そのあともマルチプレイをベースにした新しい体験を提供していくと,Olafsson氏は話していた。
タブレットPCへの対応予定については,当面は難しいとのことだが,Olafsson氏自身は興味を抱いており,今後の技術改革に期待したいと述べる。
ネクソンを介した課金形式は,購入したネクソンポイントを使ってPLEXを購入する形になる。為替相場の変動に伴う価格の改定は,重大な変化があった場合に検討するとのこと。
なお,ネクソンポイントを利用してEVE Onlineをプレイする場合には,NEXON IDを取得する必要があり,そのアカウントはネクソンが管理することとなる。
その一方で,これまでEVE Online 英語版を遊んでいた人のEVE IDはCCP Gamesが管理する。
またゲームで起きた技術的なトラブルのサポートは,日本語クライアント公開後から日本語でサポートを受けることができるそうだ。
会場ではこのあと,来場者全員によるラウンドテーブルディスカッションが催された。このディスカッションでは,日本語サービスの開始によって増加するであろう初心者に向けた施策などについて活発な議論が交わされた。決してプレイヤーの努力だけで解決できる課題ばかりではなかったが,このディスカッションの内容はCCP Gamesでも検討するそうなので,どのようにゲームに反映されるか期待したいところだ。
最後にOlafsson氏と左留間氏が,来場者に贈ったメッセージを掲載して,このレポートを締めくくろう。
Olafsson氏:
ロシアとドイツへサービスを提供したときには,大きな変化と進化が見られました。今回,日本の皆さんが参加することで,EVE Onlineの世界はもっと拡大すると期待しています。ディスカッションのフィードバックも,開発チームとともにいい形に仕上げたいです。
左留間氏:
ディスカッションでお聞きした貴重なご意見を日本のサービスに活かしていきます。近日中に,日本語サービスの日程を発表する予定です。本日はありがとうございました。
「EVE Online」公式サイト
- 関連タイトル:
EVE Online
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Copyright (C) CCP 1997-2017
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- Eve (Gollancz)
- 本
- 発売日:1970/01/01
- The Art of Eve
- 本
- 発売日:1970/01/01
- EVE ONLINE(R) ゲームタイムカード 50
- Software
- 発売日:2008/07/18