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2025年も大豊作でした! 「StarVaders」「Monster Train 2」をはじめ,デッキ構築ローグライトの傑作を振り返る
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印刷2025/12/28 10:00

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2025年も大豊作でした! 「StarVaders」「Monster Train 2」をはじめ,デッキ構築ローグライトの傑作を振り返る

 「デッキ構築ローグライト」と呼ばれるジャンルを確立した「Slay the Spire」のアーリーアクセス開始から,早いもので8年が経過した。2025年も多くのフォロワー作品が生まれたが,そのどれもがユニークであり,一見の価値がある作品ばかりだった。
 本稿では,2025年に発売されたデッキ構築ローグライト作品の中から,筆者の琴線に触れた傑作を5本紹介させていただこう。

デッキ構築ローグライトとは
 毎ターンに配られる手札をコストが尽きるまで使用し,敵を倒して先に進んでいくローグライトゲームの総称。「Slay the Spire」のスマッシュヒット以降,多くのフォロワー作品が世に出ている。「風来のシレン」のような「ローグ」に近いグリッドベースのタイトルは,差別化のために「伝統的ローグライク」と呼ばれることがある。

「Slay the Spire」
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StarVaders

プラットフォーム:PC
発売:2025年5月1日
価格:2800円(税込)


 最初に紹介する「StarVaders」は,デッキ構築ローグライトにインベーダーゲームの要素をうまく混ぜ込んだ良作だ。
 ターンごとにカードを引き,コストを管理しながら敵を殲滅する。王道スタイルではあるが,本作が他と一線を画す理由は,グリッドベースのフィールドを移動しながら戦う――「ローグライト×シューティング」な仕掛けにある。敵は画面上部から徐々に迫り,プレイヤーは銃撃でこれを迎え撃つ。その光景は往年の名作「スペースインベーダー」を彷彿とさせる。

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 カードは「アタック」「タクティック」「ムーブ」の3種類。攻撃,補助,移動のすべてを限られたコスト内でやりくりしていく。初期デッキではフィールドの端から端まで移動するのも覚束ないほどで,毎ターンが緊張と判断の連続だ。
 しかし,単純に撃ちまくるだけでは到底間に合わず,敵を同士討ちに誘導したり,爆風に巻き込んだり,画面外へ押し出したりと,じっくり練りに練った立ち回りが求められる。

 そのわりに本作は激ムズというわけでもなく,コストが尽きてもオーバーヒートしながら1枚はカードを使用できる。さらに,敵の侵入ごとに溜まるドゥームが5個スタックすることでゲームオーバーになるなど,多少のやさしさ(?)を設けている。

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 また,コンボの概念を取り入れており,1ターン内に多くの敵を倒せば倒すほど,戦闘後に得られるコインが増える。多少のドゥームを受け入れてもコンボにかけるか,それとも安全に敵を倒すか。こうした選択が常に生まれ,理詰めのプレイとスリリングな判断が交錯する。極めてウェルメイドな1本だ。



Decktamer

プラットフォーム:PC
発売:2025年10月27日
価格:1800円(税込)


 「Decktamer」は,デッキ構築ローグライトに“クリーチャーを手懐ける”という要素を大胆に組み合わせている。
 舞台は巨大なクレーター「アビス」。プレイヤーは探検家として内部に潜り,さまざまなクリーチャーと遭遇しながら進んでいく。本作の特徴は,敵となるクリーチャーを倒すだけでなく,弱らせて,好物を与えて手懐け,自分の仲間に加えられることだ。「ポケットモンスター」的な捕まえる楽しさに,ローグライト特有の試行錯誤が一体となり,独特のゲーム体験を形にしている。

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 ゲーム開始時には3体のクリーチャーからお供となる1体,そして同行するクリーチャーグループを選び,彼らを戦わせて,徐々にデッキを増やしていく。本作のゲームデザインが優れているのは,カード獲得にジレンマを設けたところだ。敵を手懐けなければカードは増えないが,手懐けるには弱らせる必要があり,必然的に味方が反撃を受けてダメージを負う。倒すか,手懐けるか,ずっとジレンマを味わい続けることになる。

 さらに,「変異(ミューテーション)」という要素があり,クリーチャーの技やパッシブ効果を抽出して,別のクリーチャーに付与できる。本来は組み合わさるはずのない能力を配合し,予想外の戦術や強力なコンボを生み出すことが可能だ。プレイを重ねるほどにデッキ構築の幅が広がり,終盤には破壊的な強さを実現することもある。

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 デッキ構築にクリーチャーコレクターの要素を掛け合わせる。この発想をしっかりと練り上げている素晴らしい作品だ。



As We Descend 深淵へ至る道

プラットフォーム:PC
発売:2025年5月28日
価格:2390円(税込)※早期アクセス


 「As We Descend 深淵へ至る道」は重厚なSF世界観と資源管理,市街探索,デッキ構築ローグライトを巧みに融合させている。すべての要素が丁寧に噛み合い,高い密度の探索と硬派な戦闘が連続する作品になっている。
 舞台のボルトシティは,人類最後の砦だ。外界には凶悪なモンスターが徘徊し,都市内部も腐敗が進んだ陰鬱な状況だが,プレイヤーは住民と取引をしながら,この移動要塞都市を守る必要がある。サイクルごとに都市は地下へと沈み,ユニット育成や資源確保を進めながら,迫りくる脅威に対処していく。

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 本作は市街探索から始まり,それぞれのロケーションにカードを配置するとイベントが発生する。最初は内容が伏せられているので,ランを重ねて学習していく過程も楽しい。
 特定のロケーションにカードを置いたり,ダイスロールでイベントを処理したりしながら,街で起きる問題を解決することで,バトルに使用できるカードが拡充されていく。

 バトルはオーソドックスなデッキ構築ローグライトだが,本作独自の要素も多い。
 回復手段が乏しいため,主力の連投は避けたい。だが,デッキはユニット個別に紐づいており,育成不足の代役は戦力になりにくい。この板挟みこそが,本作独自の緊張感を生んでいる。
 戦場は「サポートゾーン」「ガードゾーン」に分かれており,距離の概念も加味しなければならない。

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 敵の行動は明示されるものの,こちらのカードパワーはおおむね控えめであり,綿密な計画なしに勝てるバトルはほとんどない。「崩し」や「感電」で敵をよろめかせて無力化するのが基本戦術だが,攻めに転じるタイミングの見極めが難しく,1つの判断ミスが敗北に直結する。
 デッキ構築ローグライトに慣れたプレイヤーでも安定勝利が難しいほどシビアであり,ジャンルに飽きを覚えているプレイヤーにもオススメしたい1本だ。



Monster Train 2

プラットフォーム:PC/PS5/Xbox Series X|S/Switch
発売:2025年5月21日
価格:2800円(税込)※PC版


 「Monster Train 2」は,走り続ける列車の中で天使と悪魔が手を取り合って,タイタンたちと戦うユニークなフレーバーのデッキ構築ローグライトだ。
 列車の最深部にある炉心を破壊されないように,迫りくる敵を倒し続けるタワーディフェンス的な設計になっている。

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 そのため,ユニットの前後位置が戦況に大きく影響する。
 たとえば,前列ユニットに「勇気」のバフが入ると,攻撃力やアーマーが付与される。前衛を硬くして,後衛からチクチク攻撃するといったオーソドックスな戦術はもちろんのこと,連続攻撃や位置交換などの多種多様なデッキが用意されている。

 ランとランのあいだには,天使と悪魔たちの会話劇が挿入され,イヤイヤながら協力する関係性がコミカルに描かれている。部屋の構成,クランの組み合わせ,デッキの方向性など考える要素が多く,プレイスキルの成長が実感できるようになっているので,ジャンル初心者から上級者まで幅広く楽しめるだろう。

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フロストバウンド / FrostBound

プラットフォーム:PC
発売:2025年11月27日
価格:1700円(税込)


 「フロストバウンド / FrostBound」もまた,タワーディフェンスとデッキ構築ローグライトを融合させた作品だ。プレイヤーは都市を守る領主となって,迫りくる災厄を振り払っていく。

 本作は「イベント」と「バトル」によって構成されている。ダイスや金貨を使ってデッキを強化していく,お決まりのパターンではあるが,イベントには「都市補給」と呼ばれるポイントを使う必要があり,すべてを解決できるわけではない。早々に取捨選択が求められるのだ。
 そして,通常のバトルはなんとスキップ可能。スキップをすれば都市補給を1ポイント回復できるが,必ずしもイベントで得られる報酬のほうが高くなるわけでもない。ほとんどの工程がプレイヤーの判断に委ねられているため,大いに悩むことができる。

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 バトルでは,敵が左端の防衛線を突破する前にウェーブを全滅させることが目的だ。プレイヤーは補給が尽きるまでカードを出すことしかできないが,防御カードで前線を支え,スキルカードで攻撃や補助を行い,遠距離攻撃カードでダメージを重ねるといった戦略が求められる。
 なかでも「精鋭」カードは通常カードと違い,数ターンのあいだ,場に出ていられるので強力だが,倒されると再補給に時間がかかる。扱いが難しい切り札だ。

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 バトル後の報酬を得るフェイズもオリジナリティがある。独自のシステム「ルーンデッキ」があり,ルーンの組み合わせによって金貨の獲得量が変わるのだ。イベントではダイスを操作するアイテムなどもあって,細部までミニゲーム的な工夫が施されている。

 ボスは非常に手強く,生半可なデッキでは突破できない。カードの相性を理解し,シナジーを正しく組むことが攻略のセオリーとなる。
 なお,本作はカードをアンロックしていく方式ではなく,ロックしていく方式だ。流行りに逆行するシステムを採用しており,これによって特定のシナジーが組みやすくなっている。強力な連携を編み出し,ボスを瞬時に屠る快感は格別だった。

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 冒頭でも触れたとおり,今回は2025年に登場したデッキ構築ローグライトの中から5本を厳選している。もちろん,「9 Kings」「ぼくのカードのほーがきみのよりすごいもん!」など,紹介できなかった良作もまだまだある。時間の許す限り,Steamを回遊してとっておきの1本に出会ってほしい。
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