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VR市場は悲観的になる必要はなし。アメリカのリサーチ会社が明かした,カラーテレビ型の市場浸透とは
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印刷2017/04/01 14:07

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VR市場は悲観的になる必要はなし。アメリカのリサーチ会社が明かした,カラーテレビ型の市場浸透とは

SuperdataでVR産業のリサーチを統括するLlamas氏
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 カリフォルニア州サンノゼで開催中のVRゲームイベント「Silicon Valley VR Expo 2017」(以下,「SVVR 2017」に)で,アメリカのリサーチ会社SuperdataのVR/AR部門でリサーチおよび戦略副社長を務めるStephanie Llamas氏が講演を行った。Llamas氏は,これまで得られたVR市場の調査データをもとに,「2016年はVR市場にとっては悪いものではなかった」と結論付け,今後の成長に大きな期待をかけた。

 PCやモバイルの市場調査など,ゲーム産業で幅広く活動している印象の強いSuperdata。Llamas氏が率いるVR/AR部門は,プラットフォームホルダーや大手ゲームメーカーの協賛を得て,「VR Data Network」を発足させ,詳しい情報を各社と共有することで,依然として実態が掴みきれないVR産業の実像を調べている。
 その成果の1つが,2017年2月に同社から発行された業界向けのホワイトペーパー「The Virtual Consumer 2017」で,今回の講演は,その一部が紹介された。その結論を言えば,2020年までに現状の20倍の産業へ成長するだろうとしている。

 「VR元年」と言われた2016年だったが,デバイスの供給不足や,焦点の定めづらいマーケティングのためにVR市場は伸び悩んだとされる。そんな中でも,スマートフォンとの抱き合わせ販売という果敢な戦略によって,2016年中に500万台のセールスを達成したSamsungの「Gear VR」や,2017年2月末の時点で91万5000台のセールスがアナウンスされたSony Interactive Entertainmentの「PlayStation VR」など,よいニュースもあった。

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 Llamas氏によれば,2016年のVR関連産業の総収益は18億ドルに達したという。日本円で2000億円を超えるこの数字は,“失敗”とするには大き過ぎるものだ。また,このうちの,80%近い15億ドルがハードウェアによるものであり,VRをメインにしたテーマパークなどのサービスを含め,ソフトウェアは3億ドル。
 これをどう捉えるかは難しいところだが,ソフトウェアをさらに細かく分けると,その44%がゲームソフト,35%が日本や中国を中心としたVRテーマパークなどによるものだったとLlamas氏は解説した。

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 ハードウェアとソフトウェア,収益の比率がいびつであることについてLlamas氏は,「ソフトウェアでどのようにマネタイズすべきか,その方法が理解されていない」のだろうと指摘する。ゲーム開発ツールが安価になったとはいえ,人件費を始めとして,ゲーム開発には数億円もの予算が必要だ。それが,映画などと同じように「2時間楽しめて20ドル」というビジネスモデルで良いのかどうか,というわけだ。Llamas氏は,「Free-to-Playが定着するのに時間がかかったように,マネタイズに関するノウハウが今後開発されていく」と断定した。
 欧米のVRテーマパーク型のサービスについては,Starbreezeの「StarVR」を利用したIMAXシアターや,スイスのKenzan StudiosがSVVR2017でアナウンスした「Kenzan Arena」関連記事)など,2017年以降は急速に成長していくであろうと分析している。

ハードウェアの供給不足や訴求力のあるコンテンツの少なさから,2016年末から2017年始めにかけて収益が落ち込んだVR産業。これをLlamas氏は「失望のギャップ」と呼ぶ
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これは,HTCのクリス・チン(Chris Chin)氏が,別のプレゼンテーションで紹介した「2017年第1四半期のVR市場のランドスケープ」。これだけの企業が絡んでいるのだから失敗するわけがない,という声にも一理ある気がする
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 ここでLlamas氏は,VR市場の現状を歴史的な文脈に照らし合わせて,「VR市場は,まるでカラーテレビのようだ」と主張した。「VRコンテンツを最初に体験した人と同じように,カラー映像を最初に見た人も驚いたはずだ。しかし,初期のカラーテレビは高価であり,すでに白黒テレビを所有している人は関心を持たず,買い控えた人も多かった。しかし,次第にその素晴らしさが消費者やコンテンツ制作者に共有されるようになり,現在,カラーテレビはスタンダードになった」というわけだ。VRでその素晴らしさが共有できるようになるのは,2020年頃だろうと,Superdataは試算している。

 もちろん,現状のVRが深いゲーム性や没入度の高さを実現できるのかは保証の限りではなく,カラーテレビが白黒テレビを淘汰したように,VRが一般化するというのは楽観的に過ぎる気もする。しかし,VRテーマパーク型のサービスや,医療,教育,職業訓練,さらにはアダルト産業の分野はあまり開拓されてもおらず,VR市場の潜在成長性は間違いないだろう。1年後,もしくは3年後のSuperdataの分析がどうなるか,今後のVR産業を見守っていきたいところだ。

カラーテレビ型の成長速度であると指摘するStephanie Llamas氏だが,予測どおり,2020年までに急成長するかどうかは未知数だ。会場で話をした開発者の多くが,現状を“サバイバルモード”と呼んでいた
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