香港時間2016年10月25日,ZOTAC International(以下,ZOTAC)は,COMPUTEX TAIPEI 2016で披露していた,「
バックパックスタイルで背負える,VR対応PC」を「
VR GO Backpack」として正式発表した。
香港中心部にあるホテル「The Mira」で開催となった発表会では,HTC製のVR(Virtual Reality,仮想現実)対応ヘッドマウントディスプレイ「Vive」と組み合わせた状態で披露されたが,「布製バッグにPCのコンポーネントを詰め込んだ」見た目だった開発途上版と異なり,プラスチック製筐体を採用する最終製品版は,かなりコンパクトなシルエットになっている。
VR GO BackpackとViveを組み合わせた状態。Vive用標準コントローラのホルスターや,ケーブルをまとめる機構などもあり,装着した印象はかなりスマートだ。開発途上版では,使っていると熱が背中に伝ってきて不快だというフィードバックを受けた結果として,大きな排気孔を本体背面側に用意し,熱はここから外へ排出するような仕様にしたという
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Jacky Huang氏(Director of Zbox Mini PC PM, ZOTAC International)
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ZOTACで小型PC部門のディレクターを務め,VR GO Backpackも担当する
Jacky Huang(ジャッキー・フアン)氏によると,VR GO Backpackは日本を含む世界市場へ投入予定。11月下旬から12月にかけて,北米市場におけるメーカー想定売価3000ドル(税別)以下で発売になる見込みという。
※19:30頃追記:初出時,価格は2000ドル(税別)前後としていましたが,ZOTACからアップデートが入ったため,記事を更新しました。
これを背負ってVR対応のヘッドマウントディスプレイを装着すれば,ケーブルの取り回しという,現行世代のPC向けVR環境が抱える最大の問題をクリアできるというわけだ
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天面部のインタフェース
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インタフェースは,本体天面側と,背負ったときの右側面側に散っている。天面側にHDMI 2.0b(Type A)が1系統とUSB 3.0(Type-A)が2系統,ヘッドマウントディスプレイへの電源供給端子があり,側面側にはDisplayPort 1.3や1000BASE-T LAN端子,サウンド入出力端子など,デスクトップPCとして使うときに便利な端子類が揃っていた。
実際,VR GO Backpackは,ショルダーストラップや背当てなどからなる“背負う部分”を本体から取り外せばデスクトップPCとして利用可能で,また,この「取り外せる」特徴を活かして,ショルダーストラップをカスタマイズしたバリエーションモデルも展開できるようにしてあるという。
本体両側面。デスクトップPCとしての主要なインタフェースは背負ったときの本体右後方側にまとまっている。反対側には電源ボタンがあった
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本体右側面のインタフェース群。背負って使うときは絶対に使わないであろう有線LAN端子が2基もあるのは目を引く。また,DisplayPort出力があるので,今後,同端子に対応したヘッドマウントディスプレイが出てきても安心できそうだ
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本体から独立している“背負う部分”。右は,その機構を活かして,ショルダーストラップを迷彩柄にしたバリエーションモデルだ
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VR GO Backpackは,GPUとして「
GeForce GTX 1070」を採用。それ以外の構成は出荷先となる国によって変わる,と繰り返し強調していた説明員によれば,基本構成だと,CPUは「Core i5-6400T」(4C4T,定格2.2GHz,最大2.8GHz,共有L3キャッシュ容量6MB),メインメモリ容量は8GB,ストレージはM.2接続で容量120GBのSSDとSerial ATA 6Gbps接続で容量1TBのHDDという構成になっているそうだ。搭載する無線LANコントローラはIEEE 802.11acという。
公開になった製品イメージ
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こちらのおねえさんいわく,ちょっと重いとのこと
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背負ったときの本体底面側には左右からアクセスできるバッテリーパックを2個搭載可能で,これら2個のバッテリーパックを搭載した状態で,総重量は約4.9kgとなる。
重量約2kgのノートPCと交換用レンズ,バックアップのカメラなどを詰め込んだバックパックを直前まで担いでいた筆者は,試しに背負ってみたとき「あ,軽い」と思ったが,コンパニオンのお姉さんは「ちょっと重い」と言っていたので,それほど軽くはない,くらいに理解しておくのがいいかもしれない。
ちなみにバッテリーパック1個あたり1時間,2個で2時間の連続ゲームプレイが可能とのこと。バッテリーは残量ゼロの状態から2時間でフル充電になるそうだ。
バッテリーパックを片方外したところ。それでも通電状態を維持できている点に注目したい
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取り外したバッテリーパックと,それを専用の充電台に載せたところ。バッテリーパックには充電状況を示すLEDインジケータがあった
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現在のところ,日本でいつ,幾らで発売になるのかは明らかになっていないが,担当ディレクターが日本市場への投入を明言している以上,まず間違いなく出てくるだろう。続報に期待したい。