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JINS,視線移動やまばたきを検出してスマホアプリを動かせる眼鏡「JINS MEME」を発表
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印刷2014/05/13 13:58

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JINS,視線移動やまばたきを検出してスマホアプリを動かせる眼鏡「JINS MEME」を発表

JINE MEMEを着用したモデルさん。手に持っているiPhone上では,対応アプリが動いている
画像集#003のサムネイル/JINS,視線移動やまばたきを検出してスマホアプリを動かせる眼鏡「JINS MEME」を発表
 2014年5月13日,眼鏡ブランド「JINS」を展開するジェイアイエヌは,東京の日本科学未来館にて新商品発表会を開催し,視線の動きやまばたきを認識できる眼鏡「JINS MEME」(ジンズ ミーム)を2015年春に発売すると予告した。価格は未定。
 視線の動きやまばたきを「三点式眼電位センサー」(さんてんしきがんでんいセンサー)で検出し,加速度センサーや角速度センサーの情報と組み合わせることで,視線の動きでアプリケーションを操作できるようにしたり,「目の動きに現れる疲労」を数値化して着用者に警告したりできるのが大きな特徴だ。

JINS MEMEのサンプル。デザインはあくまでも一例とのこと。なお,後頭部を支えるバンド部分はオプションだそうだ
画像集#002のサムネイル/JINS,視線移動やまばたきを検出してスマホアプリを動かせる眼鏡「JINS MEME」を発表

ジェイアイエヌ代表取締役社長の田中 仁氏。着用している眼鏡はJINS MEMEだったのだが,初公開のときまでそのことを一切言わず,「実は今,私がかけているこれがJINS MEMEなんです」と宣言して,来場者を驚かせた
画像集#014のサムネイル/JINS,視線移動やまばたきを検出してスマホアプリを動かせる眼鏡「JINS MEME」を発表
 最初に述べておきたいのは,JINS MEMEはGoogleの眼鏡型デバイス「Google Glass」や,Oculus VRのVRヘッドマウントディスプレイ「Rift」のような,映像を眼前に映し出す機器ではないという点である。
 JINS MEMEはどちらかといえば,腕時計のように手首につけて心拍数や歩数といったデータを測定する「フィットネスバンド」のように,着用者自身の情報を搭載したセンサーで取得し,情報を処理できる機器に送信する「ウェアラブルデバイス」の一種といったほうがいい。
 製品のコンセプトを説明した,ジェイアイエヌ代表取締役社長の田中 仁氏は,「眼鏡の対象は常に外にあった。これは自分の内面に向けた商品」という言葉で,ディスプレイタイプのデバイスではなく,着用者自身を知るための機器であると,その違いを強調していた。

東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授
画像集#019のサムネイル/JINS,視線移動やまばたきを検出してスマホアプリを動かせる眼鏡「JINS MEME」を発表
 さて,JINS MEME実現の鍵となった三点式眼電位センサーの技術は,「脳を鍛える大人のDSトレーニング」でおなじみの東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授らと共同で開発されたものだという。田中氏が「頭がよくなる眼鏡を作れないか?」と,川島教授のもとを訪ねてきてから,今回の発表にこぎ着けるまで,実に4年もの時間がかかったということだ。

 JINS MEMEでは,眼鏡の「鼻あて」(パッド)部分の2つと,左右のレンズをつなぐ「山」(ブリッジ)部分に1つの,計3か所にセンサーが設置されている。この配置によって,視線をどの方向に向けて動かしたのかや,まばたきの有無と時間を計測するというのが,JINS MEMEの基本だ。
 さらに,加速度センサーや角速度センサーも内蔵しているので,頭の動きや傾きも検出できるという。

画像集#006のサムネイル/JINS,視線移動やまばたきを検出してスマホアプリを動かせる眼鏡「JINS MEME」を発表 画像集#007のサムネイル/JINS,視線移動やまばたきを検出してスマホアプリを動かせる眼鏡「JINS MEME」を発表
銀色に見える部品が三点式眼電位センサーだ(左)。鼻あてと額に触れる山部分の3点で筋肉の動きを測定することにより,視線の動きを認識する。耳がかかる部分にも銀色の接点があるので(右),ここが帽子や頭髪で邪魔されないようにする必要がある。右耳をかける部分には,電源スイッチと充電用のUSB Micro-B端子があった

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川島教授による三点式眼電位センサーの説明。目の周囲に設置するセンサーを3個まで減らすことにより,ごく普通の眼鏡に組み合わせられるセンサーを実現。視線の動きを捉えられるようになった

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JINS MEMEのセンサーが捉えたデータを可視化したデモ。左写真は田中氏が右(写真左手)を見たことを検出し,「←90.0°」と表示している。右写真は田中氏のまばたきを検出して,その時間を表示したものだ

 各センサーが得た情報は,Bluetooth経由でスマートフォンに無線伝送され,アプリケーション上で目的に応じて使用される。これを視線入力操作に応用すると,目を左右に動かすだけでスマートフォンのホーム画面が左右に切り替わる,といったことが可能になるわけだ。今回披露されたデモで使われていた端末はiPhoneだったが,PCやタブレットを端末にすることも可能だろう。

 また,センサー自体がシンプルで数も少ないことで,カメラを使うアイトラッキング技術よりも低消費電力で済むこともJINS MEMEの利点であると,川島教授は指摘している。実際,現状のJINS MEMEは,1時間の充電で8時間は動作し続けられるとのこと。動作を間欠的にして消費電力を減らせば,まる1日使うこともできるだろうと,会場の説明員は話していた。

画像集#008のサムネイル/JINS,視線移動やまばたきを検出してスマホアプリを動かせる眼鏡「JINS MEME」を発表 画像集#009のサムネイル/JINS,視線移動やまばたきを検出してスマホアプリを動かせる眼鏡「JINS MEME」を発表
JINS MEMEはプラットフォームとしてデザインされており,各パーツを組み合わせて1つの眼鏡となる(左)。そのため取り付けるレンズには依存しないように設計されているし,必要なセンサーとバッテリーを内蔵できる範囲なら,フレームのデザインも自由度が高い(右)

 ただし,カメラを使って視線の「位置」を捉えるアイトラッキング技術――たとえば,Tobii Technologyの「EyeX」――とは方向性の異なる技術であるため,「視線がどこを見ているか」は分からない。あくまで認識するのは「動き」であり,マウスポインター代わりに使うものではないわけだ。

JINS MEMEと専用アプリケーションでは,目や頭の動きから着用者の疲労を数値化する機能が用意される。ちなみに疲労の度合いは,「me」(ミー)という単位で表現されるそうだ
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 実際,JINS MEMEで重視されているのは,視線入力デバイスとしての用途よりも,フィットネスバンド的な用途のほうだ。視線の動きやまばたき,頭部の動きを計測することで,着用者の疲労をデータ化し、それをアプリケーションで可視化して,「疲れている」「眠気を感じている」といった形で注意を促すという使い方が,説明会でも強調されていた。

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JINS MEMEで計測したデータの例。左写真は田中氏がこれを身につけていたある1日のデータで,重要な顧客とのミーティングでは疲労が検知されていたことが,矢印部分に示されていたという。右写真は会場でJINS MEMEをつけていた人のデータで,プレゼンテーションの流れに合わせて視線や体の動きがデータ化されている

 デモもそれを踏まえて,オフィスでの事務仕事での眼精疲労防止や,自動車を運転中の居眠り運転防止に利用するといったものが中心である。ドライバーの目を認識して,居眠り運転防止に生かそうという技術の開発は,自動車メーカーや車載機器メーカーが取り組んでいるが,JINS MEMEならそれを,眼鏡とスマートフォンで実現できるわけで,これは役立ちそうだ。

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ドライバーの疲労を検出するデモの例。ドライブシミュレータを操作している男性がJINS MEMEを装着しており(左),iPhone用アプリ側で男性の目の動きやまばたき頻度を検出することで,「very sleepy」(とても眠い状態)にあると警告するというもの(右)。スマートフォンとJINS MEMEはBluetoothで接続されている

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フィットネス用途でのデモ。左写真の女性がルームランナー(トレッドミル)上で歩くと,JINS MEMEが得たセンター情報から,体の中心(体軸)がどの程度傾いているかや,歩数,消費カロリー予想といった情報を表示している

 さて,ここまで読んだ読者には,「面白いガジェットだけど,これゲームに関係ないよね?」という疑問が浮かんだことだろう。たしかにJINS MEMEは,直接ゲームに使うデバイスではない。だが,あえてこれをゲーム分野に応用するとしたら,どんな用途が考えられるだろうか?
 すぐに思いつくのは,視線入力デバイスとして利用し,ファーストパーソンやサードパーソン形式のゲームでのカメラ移動に用いる方法だ。マウスやゲームパッドの右スティックでの照準操作とは別に,カメラの動きをゲームに反映させることができるだろう。ドライブゲームなどでは,とくに臨場感を高めるのに役立ちそうだ。
 そのほかには,JINS MEMEを使ったフィットネス用途に,ゲーム的な仕組みを取り入れるというのもアリだろう。

 あるいは,JINS MEME本来の用途をゲームシーンに利用して,プレイ中に疲れている状態が検出されたら休む,といった使い方をするのもよさそうだ。

 JINSでは,JINS MEMEの情報を公開することにも積極的に取り組んでいくという。発表会でもAPIや開発者用キットの提供が公表されたほか,すでに公式Webサイトでも,開発者向け情報のWebページが用意され始めている。アイデアのあるソフトウェア開発者には,ぜひJINS MEME用アプリケーションの開発に挑戦してみてほしい。

JINS MEME 公式Webサイト


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