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AI時代,日本の起業家はどうあるべきか。転換点の市場でスタートアップが目指す方向とは[IVS2026]
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印刷2026/07/02 18:41

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AI時代,日本の起業家はどうあるべきか。転換点の市場でスタートアップが目指す方向とは[IVS2026]

 国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2026」で,セッション「日本のスタートアップの未来〜起業家はどう向きあうか」が行われた。

 登壇者は,ソロGP(単独で運営する投資ファンドの責任者)としてシードVCを運営する久保田雅也氏,米国で設計向けのAIエージェントを開発する瀧川永遠希氏,HRテック企業アトラエでCFOを務める鈴木秀和氏だ。モデレーターは三井住友信託銀行の池村隆司氏が務めた。
 転換点を迎えた市場で,起業家が何を考え,どう動くべきかが論じられた。

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左から,久保田雅也氏,鈴木秀和氏,瀧川永遠希氏,池村隆司氏
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 冒頭,久保田氏は「日本のスタートアップ業界」という切り方そのものに疑問を呈した。
 日本人が日本で起業して,日本で上場するという暗黙の前提は外すべきだという。

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 人口減で市場が縮む以上,大きな成功を狙うなら海外を前提に,設立初日からグローバルチームで挑む発想が必要だ。
 さらに,AIの登場後はむしろ日米の差が広がったと見る。強者がさらに強くなるスケーリング則は米国の資本主義と相性が良く,誤りを許容しにくい日本の文化はそこで不利に働くと指摘した。

日米欧の上場企業数推移。日本が増加を続ける一方,米欧はピークから大きく減少している。図では見づらいが,日本も直近では減少傾向にあるという
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 上場市場の視点は,証券IBを経てCFOを務める鈴木氏が補った。

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 鈴木氏は,IPOは企業価値を伸ばす手段であり,目的ではないとの立場をとる。市場改革やIRの厳格化によって,「なぜ上場するのか」を説明するコストが上がっていると述べた。
 未上場のうちは株主が限られ,説明のコストが低いため,大きな挑戦をしやすいとも語った。

東証グロース市場改革の影響。「大きく」「ある程度」影響すると答えた企業が6割強を占めた。三井住友信託銀行「スタートアップサーベイ2026」より
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 M&Aについては,久保田氏がさらに踏み込んだ。
 出口としての受け身のM&Aではなく,起業家が成長戦略として自ら「買いに行く」絵を描くべきだという。上場を数年先に延ばしてでも大型調達を行い,上場企業を飲み込む。それくらいのストーリーを描くべきタイミングに来ていると語った。

EXIT方針の分布。IPOとM&Aの両方を想定する企業が過半に達した。三井住友信託銀行「スタートアップサーベイ2026」より
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 米国で起業する瀧川氏は,日米の起業家マインドの違いを挙げた。
 日本の起業家は「日本というアセットをどう使うか」を問うが,米国ではまず目的があり,構造はあとからついてくる。既存の枠内で生き残るのではなく,生き残る舞台そのものを作る発想が必要だという。
 自身の起業も,スバルのアイサイトを入り口に自動運転へ進み,NVIDIAを経て独立するに至った「手段」だったと振り返った。

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 一方で久保田氏は,デカコン(評価額100億ドル以上の未上場企業)だけが起業ではないとも述べた。
 固定費を薄くし,自分が愛するプロダクトを身の回りから広げていく。京都の老舗が長く続くように,長く必要とされる価値観は,AIの熱狂が一段落したあとにこそ見直される。自己表現や生き方としての起業のほうが,日本にはむしろ合うのではないかと語った。

 ならば起業家は今,何をすべきか。久保田氏が挙げたのは,評判の高いグローバルなコミュニティに身を置くことと,発信し続けることだ。マスク氏やアルトマン氏でさえ,注目を集めるために語り続けていると例を引いた。
 瀧川氏も,自身の歩みがTwitter(現X)起点だったと同調する。AIによって少人数で戦える時代になり,組織は顧客との接点を担う人材が中心になると見通した。
 鈴木氏は,継続して価値を伸ばす会社は経営チームが機能していると指摘した。肩書きだけのCXOではなく,フェーズに応じたチーム設計こそ重要だと述べた。

 最後に,登壇者はそれぞれ起業家へのメッセージを残した。
 久保田氏は,AIが知的労働を代替する時代に,自分だけが知る価値をどう起業に組み込むかを問い,鈴木氏は結局のところ,「なぜ起業するのか」という情熱を燃やし続けられるかに尽きると述べる。そして瀧川氏は,まず現場へ飛び込め,と若い起業家の背中を押していた。

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