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1か月先の計画は立てない。ダークな童話世界のローグライトアクション「Cinderia」を作るMyACG Studioは,アイデアを2時間で遊べる形にする[BIC2026]
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印刷2026/08/16 13:43

インタビュー

1か月先の計画は立てない。ダークな童話世界のローグライトアクション「Cinderia」を作るMyACG Studioは,アイデアを2時間で遊べる形にする[BIC2026]

 アイデアが出て,作れると判断したら,2時間で遊べる形にする。出来がどれだけ悪くても構わない。それを1日に6回まわすので,1日に6つのアイデアを試せる。1か月先の計画は立てない。これは,中国のMyACG Studioが説明した開発の進め方だ。

 インディーゲームの祭典「Busan Indie Connect Festival 2026」の会場で,そのMyACG Studioへの合同インタビューが行われた。応じたのはグローバルパブリッシング総括のジー・ゴンタオ(Ji Gongtao)氏,「Cinderia」の総括ディレクターであるジョウ・ジンシュエン(Zhou Jinxuan)氏,そして韓国パブリッシング総括のバオ・ミンハオ(Bao Minghao)氏。3人とも韓国に来たのは初めてで,こうした取材対応の場に出ること自体もほとんど経験がないという。

左からジー・ゴンタオ氏,ジョウ・ジンシュエン氏,バオ・ミンハオ氏
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 本作の舞台は,強大な魔女によって焼き払われ,灰に覆われた王国だ。プレイヤーは薄暗い避難所を拠点に,魔女の影響下に落ちた怪物たちと戦っていく。見下ろし視点のアクションで,1つの部屋にいる敵を全滅させると報酬を得て,次にどの部屋へ進むかを選ぶ。

赤ずきんをかぶった少女ルー。近接型で,剣を振って敵の集団に飛び込んでいく
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 アーリーアクセス版で使えるキャラクターは4人。赤ずきんの少女ルーは剣を振る近接型で,敵の背後を取ることが基本の戦術になる。ゴーグルを着けた少女リベットは,敵に近づかず,砲台を並べて撃つ遠距離型だ。氷を操る騎士のイズドラは凍結を絡めて戦い,獣を従えるウマは召喚した動物とともに戦う。同じマップでも,誰を選ぶかで戦い方がまったく変わる。

リベットは砲台を設置して戦う。溶岩地帯で3基を並べ,距離を取ったまま撃ち込んでいる
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氷属性のイズドラ。画面全体が凍りつき,青い光条が敵に伸びる
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ランタンの下に複数のキャラクターと動物が集まっている場面。オオカミやフクロウが並ぶ
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 本作の芯にあるのは,スキルと装備の組み合わせだ。開発と販売の両方を見る立場から補足したいと切り出したジー氏によれば,キャラクター1人あたりが選択できるパッシブスキルは100種類を超え,これは4人とも同じ規模なのだという。アクティブスキルも20種類を超える。
 そのため,1回1回のプレイ体験が完全に違うものになり,それが最大の強みだそうだ。

 アクション性の高さと操作の手触りについても,これまでプレイしてきたゲームの大部分と比べて上位に入る,と同氏は自信を見せていた。

 どこが面白いのかという質問にも,ジー氏が答えている。アクションRPGのプレイヤーとして,アクション部分がとても良い。キャラクターとモンスター,そしてボスとのあいだで駆け引きができるところが,いちばん好きなのだという。

 そのうえ,ロールプレイングのシステムがアクション部分と密接に結びついている。ここがいちばん気に入っている点だそうだ。加えて,モンスターの倒し方も局面の切り抜け方も何通りもあるので,そのつど違う挑戦を楽しめるという。

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 なおアーリーアクセス開始時点の仕様では,スキルを取るたびに「侵食度」が上がり,100に達すると「呪い」というデバフを受ける要素が入っていた。強いパッシブをただ取り続ければいい,という状況を避けるための仕組みだ。

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 拠点となる避難所には,発展させる要素もある。素材を使ってさまざまな施設を建てると,サポートスキルの開放や,戻ったときの食料の獲得といった恩恵がつく。道中で救出したNPCを迎えることで新しい施設がアンロックされるという構造だ。

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 MyACG Studioは2016年の設立で,もとは「東方Project」の二次創作サークルだった。オリジナルIPを手掛ける会社へと形を変え,Steamでは複数のタイトルを出している。BIC2026のブースには「Cinderia」と,2025年4月に正式版となった「降妖散記」の2本が並べられていた。

 ダークな世界観と,かわいらしいデフォルメキャラクター。この取り合わせがどこから来たのかという問いに答えたのも,ジー氏だった。まずスタジオのメンバーが全員ACG,つまり日本の漫画,アニメ,ゲーム文化のファンで,漫画的なキャラクターとアートスタイルが好きなのだという。スタジオ名のACGはそこから来ている。
 もう1つが,漫画のような,あるいは非常にかわいいACG系のキャラクターを使いながら,ゲームプレイそのものをここまで良く作った作品を自分たちは見たことがない,という認識だ。だから自分たちが手掛けた。

 開発で何を重視しているかという質問に対して,スタジオ側から返ってきたのが,冒頭に挙げた進め方だ。同人的な開発に近い自由さがあり,1人1人のアイデアを形にすることを重視しているという。

 1か月の計画を立てて動くのではなく,まず1日ぶんくらいの単位で手早く作ってゲームに入れ,テストした結果を見てから次の計画を決める。全体がそんな流れで回っているそうだ。

 開発速度について,秘訣があるのかと問われたジー氏は,まず誤解を解くところから始めた。スタジオとしては2年に1本くらいのリリースペースなので,そこまで速くはないという認識だという。

 そのうえで,1本のなかでの進み方が速い理由を説明した。まず,出来が悪くてもいいから作る。それを非常に速く作って,そこから直す。これをひたすら繰り返しているのだという。

 例も挙がった。ほかの開発チームなら,1つのアイデアが遊べる形になるまでに1日か2日はかかる。ところが自分たちのチームでは,アイデアが出て作れると判断したら,2時間で遊べる形にしてしまう。テストしてどれだけ出来が悪くても,とにかく速く形になるし,どう直せばいいかもすぐに分かる。その2時間を1日に6回まわすので,1日に6つのアイデアを試せる。そこが違うのだ,と。

 大企業のように体系的な工場として回っているわけではなく,早くゲームを出そうという気持ちでやっているだけなので,これを秘訣と呼ぶのは少し据わりが悪い,というのが答えだった。開発が速いという指摘を受けたのは今回が初めてで,言われてようやく速いのだと感じている,とも付け加えていた。

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 アーリーアクセスの期間はおよそ1年を予定している。計画が後ろにずれることはないのか,という確認に答えたのもジー氏だ。開発が速く,やりたいことが出てきたらすぐそれをやってしまうので,長期の計画を持つことができない。だから具体的なアップデート計画を示すことは約束できないそうだ。ただし2027年3月の正式リリースだけは約束する,というのが回答だった。

 コンソール展開についても,同氏が答えている。PlayStationやSwitchでも遊びたいという声が届いていることを認めたうえで,計画はあると明言した。ただし現在は開発者の大半が本編の開発に張り付いているため,まずはそちらを優先するそうだ。

 並行してコンソール側のパブリッシャや協力先を探しており,本編の開発が一段落する来年以降に着手したい,という段取りを示していた。

 「Cinderia」は韓国語対応が早く,しかもローンチ後も言語パッチを当て続けている。1回で終わらせないのはなぜか,という質問が出た。

 これに答えたのは,前のバージョンから韓国語とロシア語のローカライズを担当してきたバオ氏である。ローンチ後の韓国プレイヤーの反応が大きく,熱量も非常に高かったため,何が足りないかを日々見ており,社内でも重要な市場だという判断があり,ローカライズされたコンテンツをさらに作り込んでいるとのこと。

 韓国のプレイヤーが英語版でも遊んでいることも把握しており,韓国語だけでなくロシア語をはじめとする各言語のパッチも同じ体制で回しているそうだ。

 グローバルの反応については,韓国,ロシア,ヨーロッパ,日本のプレイヤーが本作を強く支持してくれていて,その支持が開発を滑らかに進める力になっていると,ジー氏が返答した。

 また,レビューの価値が非常に高く,そこから学ぶことが多いそうだ。大型アップデートのたびに良いフィードバックが返ってくるので,それが次の開発を後押ししているという。

 中国のインディーゲームは中国市場を主戦場にすることが多い。しかし本作は,海外の売上が中国国内の売上を上回った。Steamはグローバルな市場なのだから,これは素晴らしいことだ,というのが同氏の受け止め方である。

 韓国ユーザーとの接点は,主にDiscordを通じたものだという。普段から韓国語コミュニティをよく見ており,韓国のプレイヤーが「Cinderia」のファンアートやファン漫画といった二次創作を数多く作ってくれているのを見ているそうだ。

 Discordでいつも言葉を交わしている相手も1人か2人いて,そこから届く関心と応援が開発の力になっているという。BICを含め,韓国のユーザーに会える場所があればいつでも訪ねたいと語っていた。

 BIC出展の前日には,Discordの韓国チャンネルで釜山に来ていることを告知。すると翌日,非常に熱量のあるプレイヤーが1人,ブースを訪ねてきたという。
 韓国のゲーマーが自分たちのゲームとスタジオにここまで関心を持ってくれるとは思っていなかったため,あちこちから問い合わせが来る状況に正直驚いている,という話も出た。

 初めて参加したBICそのものへの評価も高い。出展している開発者たちの実力もさることながら,その情熱と姿勢が印象に残ったという。

 もともと,ロシア語圏と韓国のプレイヤーはアクションローグライトというジャンルに,そして「Cinderia」に非常に熱心で,しかもうまい,という印象を持っていたという。会場で受けた感触も同じだったそうだ。

 最後にMyACG Studioの総責任者という立場から,ジー氏が今回の釜山行きを4つの側面に分けて振り返っている。
 プレイヤー,開発者,韓国での窓口を務めるMothernest,そしてBIC事務局。この4つすべてから良い反応があった。Mothernestがいなければ韓国で何をどう進めればいいのか取っ掛かりがつかめず,頭のないハエのように動き回るだけで,今のような効果は出せなかっただろうと語っていた。

 BICについても,疑う余地なく専門的な催しだったと評価している。なぜほかのインディー企業はBICのような場があることを知らないのだろう,とすら思ったという。
 韓国で良い成果を得られるかどうかについては期待も見通しも持てず,どうすればいいのか分からないまま不安を抱えて来たが,この機会と支援を通じて,これから韓国で進むべき方向が少しずつ見え始めたそうだ。

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