下記の記事は,GAMEVU(→リンク)に掲載された記事を,許可を得て翻訳したものです。可能な限りオリジナルのまま翻訳することに注力していますが,一部日本の読者の理解を深めるために,注釈の追記や,本文や画面写真の追加・変更をしている箇所もあります。(→元記事)
新興のゲーム開発会社へ向けた資本市場の寒波が続くなか,民間企業と政府が2500億ウォン(約263億円)規模のファンドを組成し,突破口を開きにかかった。
初期の発掘から後続の成長まで資金を連続して供給し,韓国国内のゲーム産業の基礎体力を回復させるという構想だ。その内容が「NEXON TAG」を通じて公開された。
ネクソン,総額約263億円の官民ファンドを設立。スタートアップ企業への段階的投資に取り組む
ネクソンは本日(2026年6月23日),韓国におけるアーリーステージの独立スタジオ育成を目的とした官民ファンドの設立を発表した。Nexon Partners,Kona Venture Partners,韓国文化体育観光部で構成されるパートナーシップは,今後5年間にわたり総額2500億ウォン(約263億円)を拠出し,スタートアップ企業への段階的投資に取り組むという。
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※母胎ファンド:韓国政府が出資し,韓国ベンチャー投資が運用するファンド・オブ・ファンズ。政府が個別企業へ直接投資するのではなく,民間のVCが組成するファンドへ出資することで,呼び水として民間資金を誘導する仕組み。
コナベンチャーパートナーズとNEXON Partnersが結成した1200億ウォン(約126億円)規模の「コナ・グローバルIP投資組合」(文化体育観光部の母胎ファンドによる600億ウォン=約63億円の出資を含む)に対し,ネクソンが1300億ウォン(約137億円)を別途投入する形である。
開発サイクルと資金調達のズレを,二階建ての投資で埋める
近年,ゲームのスタートアップが直面している資金難の核心的な原因は,この産業に固有の制作構造にある。一般的なITアプリケーションであれば,初期投資のあと短期間でサービスをリリースし,ユーザー指標や売上を示して後続の投資を呼び込める。
ところがゲームは,シリーズAの段階に入ってからも,正式リリースまでに長い開発期間と膨大な追加費用がかかる。商業的な指標を確認できるまで長期の資金供給が不可欠であるため,早期の回収を望む一般のVCが投資を避ける傾向が強い。
コナベンチャーパートナーズのリュ・テヨン常務は「商業的な成果を出すまで長期にわたって後続投資を続けなければならないという特性のせいで,一般の投資会社がゲーム分野への参入をためらっている」と診断する。
資金の流れが詰まると,開発会社は安全なヒットの方程式をなぞるほかなくなり,それはそのままコンテンツの画一化と国としての競争力低下に直結する。
今回の官民合同プログラムは,こうした構造的な断絶を解消するため,投資の段階を二つに分けた。初期企業の発掘および審査は,ゲーム専門VCであるコナベンチャーパートナーズが専門に担う。
創業チームの力量と技術力,企画の独創性を客観的に評価して初期資金を執行する。そのうえでプロジェクトが軌道に乗れば,ネクソンが直接,後続の資金を投入してスケールアップを支える。
ネクソンが初期審査から一歩引いたのは,市場の独立性と公正性を担保するためだ。
大手ゲーム企業が初期段階から前面に立つことで生じる「有望な人材や開発会社を自社の下請け構造や特定のエコシステムにだけ組み入れようとしている」という懸念を払拭し,市場性と潜在力だけで評価される環境を構築するという趣旨である。政策資金が呼び水の役割を果たし,民間資本が後続の成長を牽引する形だ。
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AI転換期を迎えたゲーム市場,「設計段階からAIを組み込む」に注目
投資主体はむしろ,現在の市場の萎縮期を,次世代の成長動力を確保する好機と見ている。
とくに人工知能(AI)技術の発展が,2010年代初頭のモバイルプラットフォーム登場に匹敵する産業的な変曲点になるという分析が出ている。
ネクソンHQのキム・ハンジュン投資統括副社長(CIO)は「既存のゲームに付加的に技術を乗せる水準を超えて,企画の段階からAIを中心に据え,新しいプレイ体験を設計するアプローチが重要だ」と述べた。
AIはアートアセットの制作やプログラミング,品質管理,マーケティングなど,制作とライブサービス全般の効率を高め,小規模な人員でも大型プロジェクトを実現できるようにする。
さらには,ユーザーの行動に応じて世界観がリアルタイムに変化したり,AIキャラクターと深く相互作用したりといった,これまでになかったゲームの文法を生み出し得る。
これを踏まえ,今回のファンドは3つの中核領域に投資を集中させる方針だ。まず,短期的な流行にとどまらず,任天堂の代表作のように世代を超えて世界市場で長期的な付加価値を生み出せるオリジナルIPの発掘に注力する。
あわせて,グローバルなモバイル市場の標準として定着したUA(ユーザーアクイジション)のデータ分析を基盤に,ライブサービスと開発を並行しながら段階的に事業を広げていくモデルも主要な投資対象となる。
これに加えて,AIなど先端の新技術を積極的に取り入れ,従来のゲーム制作の工程を刷新したり,まったく新しい形のプレイ体験を提示したりする技術基盤の企業にも,幅広く門戸を開いている。
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[インタビュー]「インディーは多様性」「展示されるのは全体の25%」韓国最大のインディーイベントBICの組織委員長が語る,韓国インディーシーンと今後の課題
世界にインディーイベントは数あれど,まだあまり知られていないのが韓国の「BIC Festival」だ。8月のど真ん中に,暑い都市釜山で開催されるイベントで,厳正な審査を通ってきたタイトルだけが展示されているという。今年変わった新しい運営委員長の時間をもらえたので,ちょっと話を聞いてみよう。
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単なるパブリッシングへの従属からの脱却。自生力を備えた「独立企業」を育てる
今回のプロジェクトは,親会社の流通網確保を前提とする従来の戦略的投資(SI)とも一線を画した。
グローバルな流通プラットフォームの発達によって,小規模な開発会社でも直接海外のユーザーと出会える環境が整ったことから,最初からネクソンを通じたパブリッシングを条件として掲げない。
開発会社が独自の方向性を持って成長できるよう自律性を与えつつ,グローバル展開の過程で協力が必要になった時点でのみ事業面の支援を提供する,という方式である。
これに伴い投資審査においても,個別プロジェクトの完成度を超えて,独立した企業としての経営能力と自生力を重視する。
AIツールの普及によってコーディングなど開発への参入障壁が下がり,創業者の出自はもはや制限要因ではなくなった。代わって,市場を自ら切り拓こうとする主導性と,柔軟な事業感覚が中核の評価基準として働く。
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リュ・テヨン常務は「開発だけに埋没して市場の流れを見失ったり,ゲームさえうまく作れば後続の投資と流通契約は自然に解決されると考えたりする安易な姿勢は警戒しなければならない」としたうえで,「制作およびサービスの過程で,プランB,プランCといった多角的な代替案を用意する柔軟な経営戦略が不可欠だ」と助言した。
キム・ハンジュンCIOもまた,個々のゲーム単位ではなく,長期的にユニコーン企業へ跳躍しうる「ゲーム会社」そのものに投資するという点を明確にした。
実質的な投資収益の創出やAI時代に見合う新規IPの発掘にとどまらず,冷え込んだ韓国国内のゲーム投資市場に資本が再び循環し,革新的な創業が続くエコシステムを復元することが,今回の官民協力の最終的な到達点である。(著者:パク・サンボム)



























