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須田剛一“出奔”につき欠席裁判!! アドリブか,ムチャぶりか。「ROMEO IS A DEAD MAN」制作の裏側に迫るベテラン&若手との4人タッグマッチ2連戦
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印刷2026/03/07 12:00

インタビュー

須田剛一“出奔”につき欠席裁判!! アドリブか,ムチャぶりか。「ROMEO IS A DEAD MAN」制作の裏側に迫るベテラン&若手との4人タッグマッチ2連戦

ROMEOは何を目指し,GhMのゲーム開発は何が変わったのか――ベテランチームインタビュー


 ということでここからは,開発を長く支えてきたベテランクリエイターたちのターンに。ディレクターの山﨑 廉氏,リードプログラマーの弘中 徹氏,リードサウンドデザイナーの重松俊一氏,アートディレクターの谷脇邦彦氏に,企画の立ち上がりから現在の制作現場の裏側までじっくり話を聞いた。

左から,リードプログラマーの弘中 徹氏,ディレクターの山﨑 廉氏,リードサウンドデザイナーの重松俊一氏,アートディレクターの谷脇邦彦氏。なお山﨑氏がスチャダラパーのロングスリーブTを着用しているが,インタビュー当時,同ユニットが3人組のサプライズゲスト(本記事の終盤の話)であることはまだシークレットだった
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4Gamer:
 皆さんお待たせしました。
 まずイントロダクションというところで,あらためて「ROMEO」はどういう流れで今の形になったのかをお聞きしたいと思います。

山﨑 廉氏(以下,山﨑氏):
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 立ち上がりの一番最初は,“ゾンビコップ”みたいな企画でした。最初はホラー映画のイメージで,ゾンビが主人公で,正義側の感じでやろう,と。
 どこからだったかな……須田がシナリオを書く形になって,“時空警察”という設定が生まれ,「半分死んでいて半分生きている」主人公像が面白いとなって,そこから“ハーフデッドマン”というコンセプトに落ち着いていきました。

4Gamer:
 ホラー映画の文脈みたいなのは今もけっこう残っていますよね。
 ロミオは時空警察として各時代を巡りますが,ステージはじっとりとした森やショッピングモール,病院とホラー的なシチュエーションですし,ザコ敵もゾンビ的な人たちです。

山﨑氏:
 ザコ敵の“ロッター”自体も,見た目だけではないところでゾンビ映画のモチーフが残っています。
 最初はゆっくり動いているのが,ステージが進むと走り出すというのはその名残ですね。

4Gamer:
 ああー。分かります。映画「28日後…」を観たときの「ゾンビが走り出した!」という驚きみたいなのが,「ROMEO」をプレイしていると段階的にやってくる感じがありました。

 前回のインタビューで,フル3Dから“3Dと2Dのミックス”に変わったとうかがいました。結果としてGhMらしさにもつながっていると思いますが,現場的にはどうでした? 相当しんどかったのでは。

谷脇邦彦氏(以下,谷脇氏):
 しんどかったかと言われると……そうですね(笑)。
 3D+2Dのハイブリッドにしたのはコスト面での理由があってのことですが,ただ「縮小した」という見え方にはしたくなかった。どう転んだら面白くなるかを考えました。

4Gamer:
 大胆ですよね。でもなんだか,GhMらしい。

谷脇氏:
 GhMだから成立するやり方だった,というのはあります。
 普通なら「逃げでは」と言われるかもしれないことも,GhMなら手法そのものが“味”にできるだろうと。そこは一歩踏み込んでやろうという意識がありました。

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4Gamer:
 表現の部分においては小さくまとまった感じはなく,むしろ「どうなっているんだ?」という表現に圧倒されました。それこそ,ゲームを始めてすぐのタイトル画面の水槽の表現から驚きです。

谷脇氏:
 あそこはあえてフォトリアル寄りに振っています。“見せつける”場所なので,最初のインパクトとして強く作りました。
 スタジオ規模に対してはかなり負荷の高い挑戦でしたが,「今回はここまでやる」という意思表示でもありましたね。

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4Gamer:
 GhMのアティチュードというか。“亜空間”と呼ばれていたパートも印象的でした。居心地がいいのに落ち着かないというか。
 遠くに現実的な風景があるのに,近づくと周りがブロックで囲まれていく。風景が作られていく,という表現はよくありますが,その逆のような感覚があって珍しいなと思いました。

谷脇氏:
 亜空間は,基本的にバトルのない,パズル的なゲートロックのパートです。
 空間自体の雰囲気も通常のアクションステージと変えたくて,最初はダークな方向で考えていました。ただ,そこから少し発想を変えて,居心地のよさのようなものを入れたいと思ったんです。

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4Gamer:
 ああ,分かります。ちょっと天国的というか,安らかな感じだけどどこか不穏というか。

谷脇氏:
 そうですね。明るい光が降り注ぐような場所だけど,単純に安心できるわけではない,不思議な感覚。その表現として,ロミオが進んでいくとその周囲が光によって何か生成されるような表現を考えました。それが最終的にあの形になっています。

4Gamer:
 イメージされたものを実装するのは大変だったのではないでしょうか。

弘中 徹氏(以下,弘中氏):
 自然の風景が見えているのに,近づくとパラパラッと遮られて壁のように見えなくなる。それがきれいなんだけどどこか不気味というバランス取りや,どう見せると不思議な感覚を得られるかは試行錯誤しました。

 大変な部分はありましたが,アート側の狙いがはっきりしていたので,それほど迷うことはなかったと思います。どうすれば実現できるかを詰めながら,アートのチームと一緒に時間をかけて調整しましたね。

4Gamer:
 重松さんは,須田さんとはかなり久しぶりの仕事なんですよね?

重松俊一氏(以下,重松氏):
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 昔ヒューマンで一緒に「トワイライトシンドローム」を作って以来になるので,かなり年数は空いています。

4Gamer:
 えっ。およそ30年……久しぶりの須田さんとの仕事,GhMでの仕事はどうでしたか?

重松氏:
 仕様が固まってから進むというより,「とりあえず作ってみよう」から始まる。そのスピード感は独特だなと思います。

 ゲームの作り方のカルチャーはいろいろありますが,正直いまだに「よく分からないな」と思うところはあります(笑)。

4Gamer:
 須田さんからの独特のオーダーみたいなのもありましたか。

重松氏:
 独特のオーダー……うーん,やはり「ブラッディーサマー」の発動の音でしょうかね。

4Gamer:
 あっ,あの“キラキラ”の。

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重松氏:
 はい(笑)。最初は明るい音を当てていたんですが,「映像と合わないよね」となって。
 それで「キーンと響くような,ガンダムのララァみたいな感じで」と言われて……最初は「えっ?」ってなって。それで,これです。

(フレクサトーンを取り出し,音を鳴らす)

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4Gamer:
 あっ,人類の新たな可能性を感じる音。

重松氏:
 という感じで,このフレクサトーンにほかの音を混ぜたり,足りない要素を足したりして,最終的な形にしていきました。

4Gamer:
 本作は絵変わりが激しいぶん,音楽をどう当てはめていったのかは気になります。
 「ノーモア★ヒーローズ」から引き続き参加している金子ノブアキさんのほか,Luby SparksBLYYなど多くのアーティストが参加していて,ジャンルもかなり広いですよね。

重松氏:
 今回関わっているアーティストは9人で,ジャンル的なところでもシューゲイザー,ピアノ曲,オーケストラ,ラップ……と,かなり広く横断しています。
 場面によって“それらしい音楽”にするだけじゃなく,あえて定石を外すようなこともやりましたね。



4Gamer:
 「この場面でこのジャンルの曲が?」みたいな意外性はありました。音楽や音の使い方でのこだわりは気になります。

重松氏:
 説明が難しいところなんですけど“空間のあちこちに音が点在している”感覚は大事にしました。
 須田さんからのオーダーに,「空間の中で音が混ざる感じにしたい」「BGMじゃなくて,音があちこちにある感じ」というのがあって。

4Gamer:
 分かる気がします。たとえば亜空間に行くテレビが,ステージ上でちょっと浮いた存在というか。近づくとジャズが流れて,周囲の空気が変わる感じが面白くて。

重松氏:
 まさにそこもですね。どこかに音の発生点があって,それぞれの音が混ざり合って一曲のように聴こえるような。

 音まわりは“映像に寄せる”というより,映像と拮抗させる方向で作りました。絵が強い分,音も強くないと負けてしまいますから。
 最後までゲームをプレイすると,いろんな表情の違いが見えてくるはずです。ぜひ最後まで音や音楽にも注目してほしいですね。

4Gamer:
 長く一緒にやっている皆さんは,今回ムチャぶり……じゃないですが,須田さんのオファーで「マジで?」みたいに驚いたことはありましたか?

弘中氏:
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 スペイザー(カタナ)の仕様ですね。
 最初は両手でこう……日本刀を構えるような型で設計していて,コンボも含めて重めの操作感に寄せていたんです。それがある程度形になっていた段階で「これ,片手持ちがいいよね」と。

4Gamer:
 4種類の近接武器のなかで,最初から使える基本のカタナですよね。それも,それなりにできている段階で,という。

弘中氏:
 そうですね。モーションや当たり判定もわりとできている段階で,「えっ,それを全部見直しですかか?」と。
 それこそ「マジで?」とはなりましたけど,ただこれは正解だったんですよね。片手になったことで機動性が上がり,銃との切り替えが自然にできるようになったんです。

山﨑氏:
 近距離武器と遠距離武器を切り替えて戦うというテーマがあったので,たしかにカタナの両手持ちから銃への持ち替えが不自由に見える部分もあって。
 片手持ちにしたことで機動性とテンポが上がって戦闘の“回り”が良くなり,また武器を持ち替えて戦うというテーマの輪郭もハッキリしたと思います。

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谷脇氏:
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 私は,「ロミオがやられたとき,顔が溶けて骨になるシーンを作りたい。実写で」と言われたときですね。「はい。……えっ? 実写?」と。
 いろいろとつながりをたどって特殊造形アーティストの百武 朋さんにお願いできたのですが,そこからモノを燃やしていい倉庫を探すことになり,さらに撮影は真夏になって,しかも倉庫のスタジオにはエアコンがない……という。
 あれ,ゲームを作っているはずなのに,なんか特撮の現場みたいになっているぞと(笑)。

 あの暑さのなかでの撮影は大変ではありましたが,ゲームにとって印象的な絵が撮れましたし,貴重な経験にもなってよかったなと思っています。

4Gamer:
 日本の真夏に,エアコンなしの倉庫でバーナーを使うのは狂気を感じます(笑)。
 でもそれだけにすごみというか,CGで作るものとはぜんぜん違うインパクトがありました。
 「ギャー!」で逆再生していくところの生身感はそうは出せないだろうと。


山﨑氏:
 こうあらためて考えると,そもそも最初にジオラマで町を作ったところが,今までにないことでしたね。
 普通は世界観や物語が固まってから舞台を作ると思うんですが,今回は逆というか,まずは町を作って「こういう町ならこういう人がいそうだ」「この路地なら事件が起きそうだ」というところから話を作っていったんです。

4Gamer:
 町から物語を立ち上げる。そうなると,みんなで見られるアナログなマップみたいなのがあると,一緒に考えたりアイデアを共有したりできますね。
 それでも「この規模のジオラマが?」というのは,初めて見て驚きましたが(笑)。

山﨑氏:
 まあそうですよね(笑)。
 企画規模の調整もあって町全体をそのまま使う形にはなりませんでしたが,ここで作ったものはいろいろな形で生きています。
 ステージとして登場するさまざまなスポットは,このジオラマからイメージしてできたものですから。

写真は2025年8月掲載のインタビュー記事「GhM完全新作「ROMEO IS A DEAD MAN」はなんなのか。須田剛一氏&山﨑 廉氏が語る,制限から生まれた原点回帰の混沌と熱狂」のもの
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4Gamer:
 ゲームでは時代や場所が異なるステージが時空の各地に点在していますが,今話を聞いていて,あの断片的に存在する世界がすんなりくる感じは,この元あったものから切り出すという作り方だからこそなのかなとも思いました。

 いいお時間となりましたので,最後に……聖地・後楽園にて新たなスタジオを構え,新体制で「ROMEO」を制作してきたと思います。それを振り返り,今までと変わったと思うところはどこにありますか。

山﨑氏:
 一番大きいのは,プロジェクトに関わるスタッフ全員が集まる時間ができたことでしょうかね。
 集まるのは50人くらいでしょうか。月に一度,セクションに関係なく,スタジオのみんなで顔を合わせる場所です。

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4Gamer:
 各セクションの代表とかではなく,若手からベテランまでと。

山﨑氏:
 そうですね。何かを決めるための会議というより,いま何を作っているのかを共有する場に近いです。
 雑談のような会話から「それ面白いね」と話が広がって,「じゃあ入れてみようか」と実際のゲームのアイデアにつながることもあります。

4Gamer:
 そういえば,前のインタビューで「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」の話題で盛り上がってたという話がありましたね。それこそ「ブラッディーサマー」のキラキラな音やエフェクトも,そういうところから生まれたと。

山﨑氏:
 GhMは以前から,担当分野に関係なくアイデアを出し合って,それを吸い上げていく作り方ではありました。
 ただ,いまはセクションをまたいで話す機会が確実に増えています。そこで出たアイデアを共有して,実際に形にしていく流れもスムーズになったのかなと思います。

4Gamer:
 2021年12月のスタッフ募集インタビューで,須田さんが「全然関係なさそうな特技や知識がけっこう重宝される」「パッシブでもアクティブでも,何かしらのスキルを発動できる人は強い」と話していたのが印象的だったんです。
 それで今回話を聞いて,スタジオの規模が大きくなっても,その開発文化がちゃんと続いているんだなと感じました。

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 「シルバー事件」や「killer7」,「ノーモア★ヒーローズ」などで知られるゲーム開発会社「グラスホッパー・マニファクチュア」が,ゲーム開発者の人材採用を開始した。強烈な個性を放つ作風でおなじみの同社は,どんな人材を求めているのか? 代表の須田剛一氏と,各セクションの担当者に話を聞いた。

[2021/12/29 12:00]

 そろそろ時間ですね。貴重な話をしていただき,本日はありがとうございま……あっ。忘れていた。最後の最後にもうひとつ。
 さきほど若手チームとの話で,「主人公ロミオのモデルが何度も変わったので驚いた」という話が出ていました。それについても聞いておきたくて。

谷脇氏:
 ああー,キャラクターモデルが変わるのは,まあ“あるある”ですね。
 開発期間にもよりますが,長くなると「もう少しこうできるのでは」となってきて,実際に変えていくというのはあります。

4Gamer:
 「ずっと見ていて飽きちゃうんじゃないか」なんて話もあって。

山﨑氏:
 本人にちゃんと聞いたわけではないですけど……たぶん飽きるんだと思いますよ(笑)。
 といってもそれは,飽きっぽいとか冷めちゃうという意味ではなくて。それだけずっと,自分のゲームを見続けているということなんじゃないですかね。

 作っているうちに,自分の中で何かが少しずつ変わっていく。その変化に気づいたときに,手を入れたくなる。そういうことなんだと思います。

4Gamer:
 向き合っているからこその変化で,その積み重ねがいまのロミオになっているのですね。
 須田さんが「ロンドンコーリング!」という感じで海外を飛び回っているあいだの,ちょっとした欠席裁判(?)になりましたが,とても良い着地になりました。本日はありがとうございました!

ページ1の続き。「来たな,プレッシャー!」だなんて面白がってしまい申し訳ありません。一触即発なんて煽りましたが,和やかにバトンタッチし,その流れでこんな楽しそうなお写真をいただきました
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 といった感じで,グラスホッパー・マニファクチュアのクリエイターをフィーチャーする形で,ちょっと違う視点で「ROMEO IS A DEAD MAN」と“GhMの今”に迫ってみた。
 なお,記事の途中でもいくつかあったように,GhMおよびゲーム公式やクリエイターたちのSNSで「ROMEO IS A DEAD MAN」の制作の裏側やゲームに関するトピックスが発信されている。ゲームをプレイした人,すでにクリアしたよという人,「なんか興味湧いてきたぞ」という人は,#RiaDM#RomeoIsADeadMan#ロミデなどのハッシュタグを追って,発信をチェックしてみよう。いろいろためになることや,おもしろな話がたくさんあるよ。

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