プレイレポート
[プレイレポ]「FORSPOKEN」は移動も戦闘もスタイリッシュで,最高に格好いい魔法アクションRPG
まずは,本作のあらすじについて軽く触れておこう。主人公は,ニューヨークからアーシアと呼ばれる異世界に飛ばされた20歳の女性「フレイ・ホーランド」だ。アーシアで目覚めたフレイの右腕には,意思を持ち会話もする魔法のブレスレットが巻かれており,外すことができない。フレイはブレスレットに「カフ」という名前を付け,彼の力によって魔法が使えるようになり,右も左も分からない異世界を旅することになるのだ。
アーシアは,生命に影響を及ぼす瘴気「ブレイク」(これもフレイが命名)に侵され,危機的状況に陥っていた。フレイはこの世界で唯一ブレイクの影響を受けず,アーシアの救世主になりえる存在だと言われる。ただ,フレイはそんなことは自分に関係がないと考え,ただひたすらに元の世界に戻りたいと思っている。本作の物語は,そんな人間らしいエゴイズムを持つフレイがどのように成長し,どんな道を歩むのかという冒険譚が描かれる。
本作は中世ファンタジーをテーマとした世界で,死や苦悩が付きまとうシリアスなストーリーが繰り広げられる。ただ,魔法のブレスレットのカフとのかけあいが多く,皮肉混じりの冗談を言い合う二人の会話は,ストーリー周りの重さをいい感じに中和してくれる。
アーシアは,豊かな自然がありながら,ブレイクによって放棄された村や町があり,光と闇が混在した土地だ。本作は高品質なグラフィックスで,その美しくも残酷な世界を表現している。魔法を駆使した高速移動や派手なバトルが本作の特徴ではあるのだが,時に息を呑むような美しい景色もあり,ふいに立ち止まって景色を眺めたくなるのだ。
本作のゲームシステムの中心である魔法パルクールは[○](PS5のDualSenseコントローラの場合)を押し続けると発動し,その間は常に高速で移動する。正面に木があっても自動で回避するし,障害物があってもある程度の高さまでは自動でよじ登ってくれるので,地形によってスピードを落とすことなく,常に疾走感のある気持ちのいい移動ができるのだ。パルクール中は壁を蹴ってのジャンプなんかも可能で,さまざまなスタイリッシュな動きができる。走っているだけでめちゃくちゃ楽しい。
魔法パルクールは,バトル中で敵の攻撃を回避するのにも使う。[○]を短く押すとステップ回避ができ,[○]を押し続けると回避可能な攻撃をすべて自動で避けてくれる。どちらも動きがスタイリッシュなので,魔法パルクールを使っているだけでゲームをうまくやっているような気分になれる。ただし,魔法パルクールをしている間は,画面左下の菱形のゲージを消費し,ゲージがなくなると一定時間魔法パルクールができなくなる(=回避能力が大きく下がる)ので注意が必要だ。
パルクールシステムはほかにも,[□]を押すことで魔法で形成されたワイヤーを射出するワイヤーアクションや,サーフボードで水面を移動するようなものがあるそうだが,ゲーム序盤の先行プレイでは体験できなかった。このあたりは,ゲームの進行に応じて開放されていくようだ。
本作のバトルも魔法を駆使したもので,「攻撃魔法」「支援魔法」「チャージ魔法」の3種類を使って戦う。
攻撃魔法は[R2]で発動し,[R1]でリングコマンドを呼び出して使用する魔法を切り替えることが可能だ。攻撃魔法は言うなれば通常攻撃で,常に発動できる攻撃という位置付けである。
支援魔法は[L2]で発動し,[L1]でリングコマンドを呼び出して切り替えられる。支援魔法という名前からバフやデバフを与える魔法に思えるが,そんなことはなく,ダメージを出すものから敵を拘束するものまで多種多様だ。例えるならスキルといった感じで,効果が強力な分,それなりのクールタイムがあり,連続して使うことができない。このクールタイムは,攻撃魔法などを当てることで短縮することが可能だ。
チャージ魔法は[R2]と[L2]を同時に押すことで発動し,広範囲の敵に大きなダメージを与える。いわゆる必殺技で,バトル中に右下に表示される三角形のゲージがMAXになっているときだけ使用可能だ。これらの3種類の魔法は,それぞれ違った強みがあるので,バトルは基本的にすべての種類の魔法を織り交ぜながら行う。
回復手段としては回復薬があり,先行プレイ時は最大6個まで所持できた。フィールドのところどころに落ちているほか,宿にあるクラフト台で製作もできる。回復薬は方向キーの下を押すと使用でき,モーションがほとんどなく瞬時に回復するので,死んだかも……と思ってから使っても助かることが多かった。
本作のバトルは一見複雑に思えるが,魔法パルクールという強力な回避手段が用意されているので,プレイしてみるとシンプルだ。また,カフが一定時間ごとにダメージをカットしてくれるバリアを張ってくれるため,たまの失敗はそこまで痛手にならない。魔法を切り替えるときのリングコマンドを呼び出すと,選択中は周囲がスローモーションになるなどの配慮も加えられている。ほかにも,敵の対処法がわからないときには,カフがアドバイスをしてくれる機能があり,バトル周りはかなり遊びやすい印象だ。
こうしたカジュアルなシステムがある一方,歯ごたえのあるバトルを楽しみたいという人も多いはず。そんなゲーマー向けのシステムが「バトルスコア」で,戦闘時のスコアが高いと報酬や経験値がおいしくなるという仕組みが盛り込まれている。例えば,背後から攻撃を当てるなど戦闘を有利に進めると評価が上がり,ダメージを受けるなどで不利になると評価が下がる。ほかにもさまざまな要素でバトルスコアは上がっていくので,うまくプレイしたいという気持ちが自然と沸き上がってくる。
今回の先行プレイでは2体のストーリーボスと戦うことができたのだが,通常の戦闘との大きな違いは,魔法パルクールでは回避できない防御不能攻撃があるということだ。防御不能攻撃を回避するには,障害物に隠れるか,攻撃に当たらないようダッシュで逃げるほかない。
ただ,このあたりもプレイヤーに優しく,相手の防御不能攻撃が来そうなときは,カフが「あれを避けるのは難しい」などと教えてくれる。もしかするとゲーム序盤だけのアシストかもしれないが,慣れてくるまではカフのアドバイスをしっかり聞くのが良さそうだ。
総評して,本作のバトルはスピード感のある魔法パルクールと,スタイリッシュな動きで敵を圧倒する爽快感が魅力的だった。複雑な操作は必要ないが,バトルはかなり画面映えするので,見ていて楽しいものに仕上がっている。敵の動きもフレイのスピード感に合わせて設定されているため,素早い動きが求められることも頻繁にあるのだが,敵と戦いやすくするさまざまな要素が盛り込まれているので,アクションゲームが得意ではない人でもプレイしやすいように調整されていると感じた。
次に,本作の成長要素について触れていこう。フレイはマナを消費して新たに魔法を習得・強化できるほか,マントやネックレス,ネイルの3種を装備することで戦闘能力が向上する。
魔法習得に使うマナは,敵を倒してフレイのレベルを上げればもらえるほか,フィールドにある「マナだまり」に触れることでも回収できる。ストーリーを進行していくと習得できる魔法が増えるので,戦術はどんどん広がっていくだろう。
装備品のマントはクラフト台で強化ができ,ネイルは収集した素材を使って新たなものを入手できる。装備品については宝箱などから獲得できるようなので,ストーリーに行き詰まったらグレードの高い装備を狙って探索しつつ,マナを集めるのがよさそうだ。
今回は,シパールという街を中心に探索したが,マップを見る限りフィールドはかなり広そうだった。バトルや探索以外にも,パズル付きの宝箱があったり,フレイが現代から持ってきていたスマートフォンを使って写真を撮ったりと,遊び心にあふれたギミックもいくつか確認できた。
先行プレイを終えて,本作のスピード感と,スタイリッシュさがもたらす爽快感にすっかり虜になってしまった。ストーリーも,フレイとカフのキャラクター性のよさと,美しい世界観に引き込まれ,続きがとても気になる。もちろん,高品質なグラフィックスもゲームの魅力をより引き立ててくれる。
最高にカッコいい魔法アクションが楽しめる本作は,2023年1月24日に発売予定だ。
「FORSPOKEN」公式サイト
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