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「正気度」を生み出したのは奥さんだった。クトゥルフ神話TRPGの開発秘話が語られたステージイベントをレポート
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印刷2019/11/25 16:15

イベント

「正気度」を生み出したのは奥さんだった。クトゥルフ神話TRPGの開発秘話が語られたステージイベントをレポート

画像(004)「正気度」を生み出したのは奥さんだった。クトゥルフ神話TRPGの開発秘話が語られたステージイベントをレポート
 2019年11月23日と24日に東京ビッグサイト・青海展示棟にて開催された,テーブルゲームの祭典「ゲームマーケット」。2日目となる11月24日には,KADOKAWAによるステージイベント「『新クトゥルフ神話TRPG』 on the Stage 2019」が行われた。クトゥルフ神話をテーマとした名作テーブルトークRPGが15年ぶりのリニューアルを果たしたことを受けて,ゲームデザイナーであるサンディ・ピーターセン氏らが作品の魅力を語った。

 アメリカの小説家であるH・P・ラヴクラフトが作り上げた「クトゥルフ神話」。これをテーマとした名作テーブルトークRPGが,「クトゥルフ神話TRPG」(旧名「クトゥルフの呼び声」)だ。1981年から展開されている同作は,“宇宙的恐怖”に怯えつつも,知恵を絞って生き延びる人々の姿を描き,今もなお根強い支持を得ている。2019年12月20日に発行される「新クトゥルフ神話TRPG ルールブック」は,日本では15年ぶりの全面リニューアルとなり,さまざまなルールが改定・追加されているという。

画像(001)「正気度」を生み出したのは奥さんだった。クトゥルフ神話TRPGの開発秘話が語られたステージイベントをレポート 画像(002)「正気度」を生み出したのは奥さんだった。クトゥルフ神話TRPGの開発秘話が語られたステージイベントをレポート
会場となった東京ビッグサイト・青海展示棟。2日目はあいにくの曇り模様だったが,多くのボードゲームファンが訪れた
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画像(005)「正気度」を生み出したのは奥さんだった。クトゥルフ神話TRPGの開発秘話が語られたステージイベントをレポート 画像(006)「正気度」を生み出したのは奥さんだった。クトゥルフ神話TRPGの開発秘話が語られたステージイベントをレポート

 そんな同作について,ゲームデザイナーのサンディ・ピーターセン氏と,オフィシャル執筆集団「アーカム・メンバーズ」の代表・坂本雅之氏がトークを展開。そして,ピーターセン氏と,公式Web番組「かなとつきの,サイは投げられた!」の本宮佳奈さんつきさんが探索者となり,帆志みなみさんをキーパー(ゲームマスター)に,日本最速公式セッションプレイが行われた。

●「『新クトゥルフ神話TRPG』 on the Stage 2019」出演者一覧
サンディ・ピーターセン氏:ゲームデザイナー
坂本雅之氏:「アーカム・メンバーズ」代表
帆志みなみさん:FM84.4MHz ラジオF「2D」ナビゲーター,クトゥルフ女子
本宮佳奈さん:声優,クトゥルフ女子
つきさん:社会人クトゥルフ女子

 ステージは,坂本氏がピーターセン氏に「クトゥルフ神話TRPG」の開発秘話を聞くトークコーナーからスタートした。

 ピーターセン氏が「Call of Cthulhu」(「クトゥルフ神話TRPG」の原題)を制作したのは,アメリカのボードゲームメーカーであるChaosiumで「ルーンクエスト」関連の手伝いをするようになってからのこと。
 同社がクトゥルフ神話の「ドリームランド」に題材を採ったサプリメントを作りたいと考えたことから,ピーターセン氏が執筆に参加することが決まったのだという。このサプリメントとは別に,近代を舞台とした「Call of Cthulhu」の開発が進められていたのを知ったピーターセン氏は,「編集でもなんでもいいから,ぜひ関わらせてほしい」と直訴。Chaosiumからは「いま作っているバージョンは納得がいかないものなので,キミの好きにやっていいよ」という返答が得られたという。

ゲームデザイナーのサンディ・ピーターセン氏(左)と,オフィシャル執筆集団「アーカム・メンバーズ」の代表・坂本雅之氏(右)
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 こうして「Call of Cthulhu」のプロジェクトを引き取ったピーターセン氏だが,「いかにして,プレイヤーに“キャラクターが怖がっている”振る舞いをさせるか」「クトゥルフ神話の旧支配者達をどのように扱うか」という2点には非常に苦労したそうだ。
 3か月間悩みに悩み,ついには何も書けないスランプ状態に陥ったピーターセン氏を救ったのは,奥さんが出した「正気度」のアイデアだった。“キャラクターは「正気度ポイント」を持ち,旧支配者に出会ったり,恐ろしい目に遭うたびに減少していく”という,同作を象徴するシステムが誕生した瞬間である。

 正気度システムを導入したことにより,プレイヤー達はキャラクターに「目を背ける」「敵から逃げる」といった恐怖の振る舞いをさせるようになったという。こうして「Call of Cthulhu」は完成し,1981年から38年間にもわたって展開を続ける人気タイトルとなった。ピーターセン氏は「妻の存在なくしてはこのゲームは作れなかった」と,あらためて感謝を捧げた。

 ちなみに,ピーターセン氏によれば,当時のアメリカでは剣と魔法でモンスターと戦い,キャラクターが強くなっていくテーブルトークRPGが主流だったという。これは筆者の想像なのだが,テストプレイヤー達はこうしたテーブルトークRPGのように,旧支配者と勇敢にバトルをしようとしてしまったのではないだろうか。

「クトゥルフの呼び声」(「クトゥルフ神話TRPG」の旧名)の発刊当時,海外のイベントにて坂本氏から本を受け取ったピーターセン氏
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 なお,ピーターセン氏が一番好きなシナリオは,プレイヤーが最初に遊ぶであろう「悪霊の家」と,初めて作ったキャンペーンである「ヨグ=ソトースの影」だという。「ヨグ=ソトースの影」に登場するNPC「カール・スタンフォード」は,氏の友人がピーターセン氏のフルネーム「カール・サンフォード・ピーターセン」をもじったものだとのこと。
 また,同じくNPCの「アン・シャトレーヌ」には実在のモデルがいるものの,約束により誰であるかを明かすことはできないのだという。

 「クトゥルフ神話TRPG」では,キャラクターが死亡や発狂で「ロスト」してしまう。坂本氏が,ロストを乗り越えるコツをピーターセン氏に聞いたところ,「『クトゥルフ神話TRPG』はホラー映画やラヴクラフトの小説がテーマになっています。“こうした作品で誰も死なないようなものをお客さんはどう思うだろうか”という観点からシナリオを作っているので,そこを考慮して遊んでみてはどうでしょうか。でも,たしかにホラー映画が始まってすぐに殺されるような犠牲者には誰もなりたくないですよね」とユーモアを交えて語った。

 また,同作がずっと親しまれている点については「アメリカのテーブルトークRPGはモンスターを倒して財宝を集め,キャラクターが強くなるようなものが主流です。こうしたゲームを遊びたいならほかにも選択肢があるでしょう。しかし,ホラー好きの人に向けたのが『クトゥルフ神話TRPG』です。キャラクターは戦うのではなく,頭を使って危機を切り抜けることを求められますから,女性のプレイヤーさんも多いですね」と作品の独自性が人気につながっているとアピールした。

ピーターセン氏が手がけたボードゲーム「Cthulhu Wars」のフィギュア
画像(010)「正気度」を生み出したのは奥さんだった。クトゥルフ神話TRPGの開発秘話が語られたステージイベントをレポート

 日本最速公式セッションプレイ「よい終末を!」では,帆志さんをキーパーに,観測されると世界が破滅するという謎の星「ネメシス」にまつわるシナリオが展開した。ネメシスを観測しようとする天文イベントを制限時間内に阻止すべく,ピーターセン氏の天文学者「Dr.トーマス・ウィレット」,本宮さんの童顔消防士「ドウモト・キュウタ」,つきさんの性別不詳な占い師「アルナ」が立ち向かう。

写真左から,帆志みなみさん,ピーターセン氏及び通訳スタッフ,本宮佳奈さん,つきさん
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 見どころとなったのはピーターセン氏の活躍だ。普段はキーパーとしての活動がメインで,プレイヤーとしてはほとんど遊んだことがないそうだが,とにかくパワフルかつウィットに満ちたプレイで2人を引っ張っていく。キュウタの消防士という身分を使い,消防点検を装って天文台に侵入,さらに自身が天文学者であることを利用して黒幕に難なく近づく。

 知恵と機転の「クトゥルフ神話TRPG」らしいプレイといえるだろう。最終的には,Dr.ウィレットが会話で黒幕の注意を惹いている間に,キュウタが「登攀」技能を持っていることを利用して,望遠鏡のレンズを身体でふさがせるという荒技で観測の阻止に成功。この時の残り時間はわずか30秒だったというからギリギリのタイミングだ。開発者のプレイを生で見られるというレアな機会に,来場者も大いに喜んでいたようだった。

真剣な面持ちでダイスを振るピーターセン氏(左)。天文学者「Dr.トーマス・ウィレット」として,天文イベントのバックヤードに潜入しようとする。(ゲーム内で)守衛から「身分証を持っているか」と聞かれたところ,自身のリアル身分証を出して「ほら,ここにあるぞ!」と熱演。ベテランゲーマーらしい機転とウィットに,守衛も思わずDr.を通してしまう(右)
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 ステージ終了後,ピーターセン氏に合同インタビューすることができたので,その様子をお伝えして本稿の締めくくりとしたい。

――よろしくお願いします。来日しての感想はいかがですか。

サンディ・ピーターセン氏(以下,ピーターセン氏):
 初めての来日ですが,すごく楽しいですね! 奈良に行ったとき,鹿に噛まれたのにはビックリしたよ(笑)。

――ゲームマーケットを回られてみてどうでしたか。

ピーターセン氏:
 たくさんの人が「クトゥルフ神話TRPG」に関する本を出しているのを見て驚いたよ。アメリカの「クトゥルフ神話TRPG」シーンでは,このように同人の方々がシナリオを出すことはほとんどないからね。もしかすると,こうした同人活動が日本での人気を支えてくれているのかも知れないね。

画像(015)「正気度」を生み出したのは奥さんだった。クトゥルフ神話TRPGの開発秘話が語られたステージイベントをレポート

――同人シナリオを見てどう思われましたか。

ピーターセン氏:
 日本語は分からないんだけど,表紙のイラストにキュートな女の子が描かれていることが多くて,日本的な感性を感じたよ。アメリカのシナリオ集だと,表紙を飾ってるのはクトゥルフ神話のモンスターだからね(笑)。

――日本のプレイヤーが動画サイトにリプレイを上げることも多いですが,これはやはり日本独自の習慣なのでしょうか。

ピーターセン氏:
 アメリカだとポッドキャストでプレイ状況を配信したりするけど,映像が付いてることはあまりないみたいだね。日本語の動画だから僕には分からないんだけど,すごく面白そうだし,カッコイイ。中身が理解できれば最高なんじゃないかな。

――先ほど,「クトゥルフ神話TRPG」には女性プレイヤーが多いと語っていましたが,これは世界的な傾向なのでしょうか。

ピーターセン氏:
 世界的に見ると,多分2〜30%は女性プレイヤーだと思う。日本ではとくに多いんじゃないかな。ほかのテーブルトークRPGだと女性プレイヤーさんは5〜6%くらいだっていうからね。

――シナリオやシステムを作るに当たって,女性プレイヤーのことは意識されますか。

ピーターセン氏:
 男性とか女性ということはとくに意識しないな。根源的な「恐怖」を描くことで,性別に関係なく人間というものにアピールする感じだよ。正面切って敵と戦うより,頭を使って何とかするというところが,女性には魅力的に映るのかも知れないね。

――では「新クトゥルフ神話TRPG」で大きく変化したところを教えてください。

ピーターセン氏:
 技能なんかに関するパーセンテージロールのシステムが変わっているし,ロールの結果を修正できる「幸運ポイント」が追加されてるね。基本的には「クトゥルフ神話TRPG」と同じゲームだから,これまでのプレイヤーさんにも問題なくプレイしてもらえると思うよ。

――なるほど。では,最後に「クトゥルフ神話TRPG」ファンに向けてメッセージをお願いします。

ピーターセン氏:
 Watch the sky(空に気を付けるんだ)……!

――ありがとうございました。

「新クトゥルフ神話TRPG ルールブック」販売ページ(KADOKAWA)

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