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10年の記憶と感動を詰めた奇跡のステージ。初演から見届けた「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-10th Anniversary LIVE-」1万字レポート

 Happy Elementsが提供するアプリゲーム「あんさんぶるスターズ!」を原作とした舞台シリーズ「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』」(以下,「あんステ」)の10周年を記念するライブイベント「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-10th Anniversary LIVE-」が,2026年8月,福岡・神奈川・兵庫で開催された。

 本公演には,シリーズに出演しているユニットがすべて集結し,「あんステ」が10年間にわたって積み重ねてきた楽曲を届ける特別なステージとなった。

 本稿では,2026年8月7日のぴあアリーナMM(神奈川)1日目の公演について,この10年を見届けてきた視点を交えながらレポートしていく。なお,本稿には公演内容や演出に関する記述が含まれるため,今後の配信や映像商品などを新鮮な状態で楽しみたい人は注意してほしい。

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※掲載写真は福岡公演のものを中心に,一部神奈川公演のものを使用しています



10年の記憶が次々とよみがえる。
“キセキ”から始まった10周年ライブ


 この日は記録的な猛暑で,会場であるぴあアリーナMMの上部には熱気による薄いモヤがかかって見えるほどだった。客席は4階まで観客でびっしりと埋め尽くされ,色とりどりのペンライトが夏の星空のように輝いている。そんな熱気と期待に包まれた空間で,ライブの幕は開いた。

 アイドルたちがステージに揃い,「キセキ」が流れ始めた瞬間,突然涙があふれて止まらなくなり,自分でも驚いてしまった。筆者は幸運にも,2016年6月の初演(「あんさんぶるスターズ!オン・ステージ」)から最新作に至るまで,ずっとリアルタイムで現地観劇してきた。

 そんな自分にとって,この景色は単なるライブのオープニングではなかった。作中では,たった数年の出来事として描かれている物語。しかし2.5次元舞台としては,10年という長い時間が積み重ねられてきた“軌跡”と,これまでの「あんステ」に登場した“輝石”のように輝くアイドルが一堂に会した“奇跡”――。その景色がいま,たしかに目の前に広がっている……そんな想いが,一気に胸に押し寄せてきたのだ。

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 余談ではあるが,「キセキ」は2019年のTVアニメシリーズ第2クールのOP主題歌として発表された楽曲だ。春に革命を起こした「Trickstar」が,同じ年の年末,夢ノ咲学院の代表として他校ユニットの「Eden」とぶつかり合う物語を彩った一曲でもある。

 今では懐かしい衣裳に身を包んで歌う彼らの姿を見ていると,今この瞬間,目の前に広がっている世界が確かに“あの頃”の時空とつながっていることを実感させられた。

 そんな感慨深いオープニングに続き,ライブ本編は全ユニットが入れ替わりで登場し,当時の楽曲を披露していく構成で進行した。ステージを見つめながら,気づけば次々と記憶がよみがえってくる。10年間見届けてきた「あんステ」や原作にまつわる思い出を,あらためてひとつずつ辿っているような感覚だ。

 ここからは楽曲の披露順ではなく,各ユニットが夢ノ咲学院時代に担っていた役割や立ち位置にも触れながら,感じたことを綴っていきたい。

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◆UNDEAD

 オープニングの熱気が冷めやらぬ中,その期待をさらに大きく上回ってみせたのが「UNDEAD」だった。夢ノ咲学院で彼らは,「最も過激で背徳的と謳われるユニット」と称されているが,その名にふさわしい圧倒的な存在感で会場を支配してみせる。

 1曲目の「Melody in the Dark」は,原作で最初にリリースされたユニットソングCDシリーズ(2015年)に収録されていた楽曲だ。10周年ライブの幕開け直後にこれを持ってきた選曲に,思わず唸らされてしまう。

 スタンドマイクを駆使したパフォーマンス,ステージに立ち上がる炎,会場に響き渡る「UNDEAD」コール。そのすべてが一体となり,彼らは観客を完全に掌握していた。

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 ライブ後半に披露した「DESTRUCTION ROAD」では,空気はさらにヒートアップした。拳を突き上げながら盛り上がるロックナンバーで,観客の高揚感を一気に引き上げていく。

 昔と変わらぬ熱量で客席を煽る4人だが,こうして全員が揃ってステージでパフォーマンスするのは,驚くことに実に7年ぶりだ(「『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』〜Destruction × Road〜」以来)。

 それだけの時間が空いていたにもかかわらず,「UNDEADがそこにいる」という説得力と,動いた瞬間の熱量の高さ。初演で観たときには,4人が並んだシルエットだけで驚き,深く感動したのを思い出す。

 だがこの日のパフォーマンスは,あの時に感じた以上のインパクトがあった。4人が自由に動き回り,客席を煽る姿に「これだよ!」と,膝を打ちたくなるような痛快さがあった。日頃の鬱憤も忘れ,拳を振り上げて叫びたくなるほどの興奮だった。

 歌い終えた4人は,ステージとは一転してどこかほのぼのとした雰囲気に。メンバー主導でコーレスを楽しんだあとは,最後に「We are」「UNDEAD!」で締めくくり,大きな歓声を背にメンバーは捌けていった。



◆fine

 原作のメインストーリー第1部において,「fine」は物語の中心である「Trickstar」にとっての“乗り越えるべき最強のライバル”として描かれていた。当時の彼らの「常に勝利を収めてきた夢ノ咲学院最強ユニット」という肩書きが,それを裏付けていたとも言えるだろう。

 今回のライブで最初に披露した「終わらないシンフォニア」は,そんな「fine」の揺るぎない実力とともに,彼らならではの優雅さを象徴するステージだった。4人は終始穏やかな笑顔を浮かべ,まるで舞踏会で踊るように軽やかにステージを舞う。

 白鳥を思わせるしなやかな所作は,指先に至るまで神経が行き届いており,ファンサービスで客席に手を振る瞬間でさえ気品を失わない。「最強」とは,ただパフォーマンスが優れているだけではないということがよく分かる。

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 後半の「Neo Sanctuary」では,華やかさの奥に潜む“仄暗さ”が一気に浮かび上がる。そのとどめは,天祥院英智が歌のクライマックスで発した「fine-終わり-」という短い一言だ。それは皇帝の勅命か,はたまた終末を告げる天使のラッパか。あの瞬間,思わず息を呑んだ人も多かったのではないだろうか。

 ちなみに,現キャストの4人が「fine」として揃ったのは比較的最近のことだ(2026年1月「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Our First Fight-」)。にもかかわらず,一人ひとりのキャラクターの完成度が極めて高く,かなりのレッスン時間を費やしたことは想像に難くない。

 驚くほど息の合ったパフォーマンスも相まって,「夢ノ咲最強」の名は伊達ではないと思い知らされた。

 そんな圧巻のステージを見せた一方で,MCでは英智が日々樹 渉の決めセリフ「Amazing!」をもじって笑いを誘い,気品あふれる姿とはまた違う,どこか親しみやすい「fine」らしさを披露。会場は和やかな笑いに包まれていた。



◆Ra*bits

 「Love Ra*bits Party!!」が始まった瞬間,ステージにはユニット衣裳に身を包んだ4人の“うさぎ”たちが飛び出してきた。お腹がちらりとのぞく衣裳は,10年近く前の「あんステ」から変わらない彼らの象徴のひとつだ。

 初めて観たとき,「男性がこの衣裳を?」と衝撃を受けたことを今でもよく覚えている。

 10周年の今でもその気持ちはまったく変わっていないが,今回のステージで胸に込み上げてきたのは「可愛い」という感情だけではなかった。この夢ノ咲学院時空では,「Ra*bits」が誰もいない講堂で涙をこらえながら歌った【S2】から,そう時間は経っていない。

 明るく可愛らしい曲だからこそ,革命の起爆剤にもなったあの出来事を思い返し,再び涙がこみあげる。ペンライトの光でいっぱいの客席の前で輝くような笑顔を見せる4人の姿に,胸がいっぱいになってしまった。

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 ライブ後半で披露されたのは「メルティ♡キッチン」だ。ボウルや泡立て器を手にした4人が,会場をスイートな空気でいっぱいにしていく。「あーんして」というキラーワードが飛び出すたびに,その可愛さが限界突破。客席の温度はさらに上がり,こちらも終始頬が緩みっぱなしだった。

 なお,「Ra*bits」が現キャストの4人になって,もう8年近くになる。長い期間キャラクターを演じながらも,変わらぬフレッシュさで観客を魅了するのは「さすが」というほかはない。

 歌い終えたあと,天満 光が「会場のみんなで大きな波を作るんだぜ!」と呼びかけると,客席には色とりどりのペンライトによる光の波が広がっていく。その景色まで含めて,最後まで「可愛い」と「愛しい」がぎゅっと詰まったステージだった。

 作中で大きく成長した今の彼らも素敵だが,「この時代の『Ra*bits』も最高だ」と心から感じる時間だった。



◆Valkyrie

 「魅惑劇」のイントロが鳴った瞬間,会場は真紅の薔薇を思わせる明かりに染め上げられた。まず圧倒されるのが,ステージに立っているのはたった2人という事実である。人数の少なさなどまったく感じさせない,とてつもない存在感とカリスマ性で世界を一瞬にして支配してしまった。

 曲の中盤,彼らがゆっくりと花道を歩いてくるだけで凄まじいオーラを放っている。これこそが,自分たちが命を削って作り上げてきた芸術だと宣言するかのようだった。

 「Valkyrie」の2人が初めて「あんステ」へ出演して8年近くになるが,当時は「この唯一無二の芸術性を舞台で表現できるのか」と少しだけ不安になったことを思い出す。しかし,舞台の彼らはあの時からずっと,“キャラクターの再現”という言葉すら超えていたように思う。

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 後半の「Last Lament」では,スクリーンに吹雪が映し出され,会場は凍てつくような空気に包まれた。その静けさの中で揺らめく熱は,まるで氷の世界に灯された炎のように鮮烈だ。

 今でこそ「Valkyrie」は“2人の対等な芸術家”として歩んでいる。しかし,夢ノ咲学院当時の彼らは,宗が頭の中で描いた完璧な芸術世界を舞台の上で表現し,みかがその世界に全身で憑依して生きていたユニットだった。

 怨嗟も愛もすべて芸術へと昇華するような宗の強い視線と,宗の芸術に陶酔し,その世界に身を委ねるみかの眼差し。その対照的な眼力とパフォーマンスに翻弄され,ただただステージに見入るほかない。

 この時代ならではの気迫が強く伝わってきて,歌が終わった瞬間,しばらく言葉を失ってしまうほどの圧倒的なステージだった。

 歌い終えた宗は,どこか憮然とした表情ながらも,観客に向けて「また会う日まで」と語りかける。その言葉に嬉しそうな顔を見せ,彼の後を追うみかの姿が,いつまでも目に焼き付いた。



◆Knights

 「Knights」の1曲目は「Article of Faith」。直近の舞台(「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Requiem from Knights-」)も記憶に新しいだけに,再び全員が揃ってステージに立った瞬間,その存在感に胸が熱くなった。

 ひとりでも十分に“強すぎる”彼らが,今は全員ここにいる。夢ノ咲学院でも長い歴史を持つ「Knights」が,血や汗や涙を流し,時にはメンバー間ですら戦い,ようやくこの場所にたどり着いたのだ。そう思いを巡らすだけで,またしても涙があふれてくる。

 しかも舞台のキャストとしても,この5人が同じ「Knights」として歩み続けてきた時間は10年近くにもなる。その積み重ねを見てきたからこそ,肩を並べて笑い合う彼らの姿は,作中の「Knights」と重なって本当の家族のように目に映った。

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 後半の「Grateful allegiance」では,夢ノ咲学院当時のリーダーであるレオを筆頭に,5人がステージ中央へ集まり,観客……いや,お姫さまたちにキスを捧げる。愛を誓うように歌い上げるその姿に,あらためて「Knights」というユニットの気高さとロマンを感じた。

 ステージから溢れていたのは,彼らを見守る人々への深い愛情だ。「Knights!」コールが響く中,彼らは決して誰も置いていかない。ファンサービスに定評のあるユニットらしく,一人ひとりを目に焼き付けるように見つめ,惜しみなく笑顔を向ける。その姿はまさに,姫たちを守り,愛を捧げる騎士そのものだった。

 ……と,ここまで気高く美しい姿を見せていた彼らだが,MCになると一転。月永レオが瀬名 泉に「うっちゅ〜☆」をやらせたり,朱桜 司が全力で弾けたりと,会場は大きな笑いに包まれた。

 こんなふうに遠慮なくふざけ合い,互いの無茶に付き合って笑い合うのも,長い時間を共に過ごしてきた5人だからこそなのだろう。



◆紅月

 「百花繚乱、紅月夜」のお馴染みのイントロが流れた瞬間,一気にテンションが上がってしまったのは筆者だけではなかっただろう。扇子を手にした3人が現れただけで,空気が一気に“紅月の世界”へと塗り替わっていく。

 露出の少ない和装でありながら,そこから滲み出る色香と艶やかさが凄まじい。夢ノ咲学院では「No.2 ユニット」と称されていたことにも,深く納得させられる説得力だ。

 和とアイドルの融合を目指した「紅月」の楽曲やパフォーマンスの魅力について,筆者は「静と動のコントラスト」だと考えている。扇子を翻して優雅に舞う静かな所作から,一気に畳みかける力強いダンスへと切り替わる緩急が実に心地いいのだ。

 どこか歌舞伎や日本舞踊を思わせるような様式美があり,「ハレ」の場にふさわしい華やかさがステージいっぱいに広がっていく。さらに,曲のラストで3人が開いた扇子をすっと閉じ,そのまま去っていく姿はあまりにも絵になっていて,思わず大向うをかけたくなるほどだった。

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 ライブ後半の「斬 -決意ノ刃-」では,日本刀を用いたパフォーマンスが繰り広げられる。こちらは極めて硬派な空気をまとった楽曲で,刀を振るう所作のひとつひとつに迷いがなく,気迫に満ちたパフォーマンスはまさに“武士の舞台”と呼びたくなるほどだ。

 3人が舞台を縦横に駆け,入れ替わりながら織りなす舞は絵巻物のようだ。

 この3人のキャストが「紅月」として揃ったのはまだ今年になってからだが,互いの呼吸を深く理解し合っているような一体感があり,「血よりも濃い絆で結ばれた」という言葉が,たしかな実感を伴って響き,胸を打った。

 そんな緊張感あふれるステージのあと,MCでは「神奈川といえば?」と観客に問いかける愉快なコール&レスポンスを展開。凛とした格好良さと,肩の力を抜いた親しみやすさ。その両方を味わえるのが,「紅月」というユニットの大きな魅力だとあらためて感じた。



思い出の楽曲がつなぐ10年の軌跡。
ライブは感動のフィナーレへ


 ライブ中盤では,全キャストが白を基調とした新衣裳に着替えて登場し,「あんスタ」の始まりともいえる楽曲「ONLY YOUR STARS!」を披露した。その衣裳はそれぞれのユニットのモチーフが取り入れられ,細かいところまで見ようとすると目が足りないと感じるほどだ。

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 続けて,会場替わり楽曲として「あんステ」オリジナルの劇中曲3曲が披露された。

 神奈川公演の1曲目は,「Valkyrie」+「Ra*bits」「かけがえのない瞬間」。これは「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Blessing Moment-」(2025年)の劇中曲で,卒業を迎えるメンバーを抱えた「Valkyrie」と「Ra*bits」,2つのユニットが互いに理解を深めていく物語を象徴する楽曲だ。

 スクリーンに当時の舞台映像が映し出されたことで,あの物語の余韻が鮮やかによみがえってきた。

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 2025年10月31日から11月9日まで,「あんさんぶるスターズ!!」を原作とした舞台「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Blessing Moment-」の東京公演が上演された。11月14日からは兵庫公演も控えるなか,本稿では,東京公演初日のゲネプロと囲み会見の模様をお伝えしよう。

[2025/11/10 18:00]

 2つ目は,「『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』〜Destruction × Road〜」(2019年)で披露された,「デッドマンズ」+「鬼龍紅郎」による「Black Ball-Room」だ。この舞台は,前半は【クロスロード】,後半は【海賊フェス】という2つのテーマを冠した物語だった。

 原作公開当時から大きな話題を呼んだ「デッドマンズ」の関連楽曲だけに,会場の熱気もひときわ高まっていた。

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  2019年8月30日,「『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』〜Destruction × Road〜」の東京公演が幕を開けました。本稿では,関係者向けに行われたゲネプロ公演と囲み会見の模様をお届けします。

[2019/09/02 12:15]

 3曲目は,「『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』〜Night of Blossoming Stars〜」(2019〜2020年)で披露された,「Trickstar」と「Switch」による「プレアデス」。夏の夜空に瞬く星々を思わせる幻想的な楽曲で,熱気に包まれたライブの中に,涼やかで優しい余韻を残していた。

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 2020年1月9日,日本青年館ホールにて,「『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』〜Night of Blossoming Stars〜」東京公演の幕が開けた。本稿では,東京公演初日に先駆けて行われたゲネプロ公演の模様をお伝えする。

[2020/01/10 12:00]



◆2wink

 「ハートプリズム・シンメトリー」のイントロが流れ,2人がステージへ飛び出してきたとき,見事に一瞬で“夢ノ咲学院”へ引き戻されたような感覚があった。かつての学院で,数々のイベントの先頭を切って盛り上げてきた「2wink」が,あの頃と変わらない笑顔でステージを駆け回る。

 高い身体能力を生かした軽やかなジャンプに,双子ならではのシンクロしたダンスとハーモニー。ネオンカラーの演出も相まって,会場を一気に明るく染め上げていく。

 彼らもさまざまな苦労を乗り越えてきたユニットだ。だからこそ,こんなにもキラキラした笑顔で歌っていることが嬉しく,この10年で何回聴いたか分からないこの曲が,今また目の前で響いているという事実だけで胸がいっぱいになる。

 最後に2人が大きなハートを作り,「この後も楽しんでってね!」と笑顔を見せた。

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 後半に披露された「Play "Tag"」では,前半とは一転して穏やかな空気に。スクリーンに映し出された梅の花は,この曲が【節分祭】のイメージソングであることを思い出させる。

 兄弟であり,双子という近すぎる存在がゆえにすれ違ってしまった2人の物語。その曲を,ステージで額を寄せ合いながら笑顔で歌う姿を見ていると,それだけで胸が熱くなった。

 「双子は吉兆の証」という言葉が,この10周年のステージでは特別な意味を持って響く。双子を演じたキャストの2人は,「2wink」として「あんステ」の舞台に上がるのは実に約8年ぶりとなる。

 初演からずっとキャラクターのイメージを牽引し,今でも作品やキャラクターへの愛情を惜しみなく注ぎ続ける――これは,彼らだからこそ再現できた「2wink」の舞台なのだと感じ,もう何度目か分からない涙が流れてしまった。



◆流星隊

 「流星隊」のステージは,守沢千秋の「さあ,打ち上げよう!」という合図から「流星花火」でスタートした。ステージには花火を思わせる火花があちこちに立ち上がり,会場は一気にお祭りムードに包まれた。

 この“ヒーロー”たちは,決して誰ひとり置いていかない。正義の味方の彼ららしく,客席まで巻き込んで,とにかく楽しく盛り上げていく。その姿を見ていると,なぜだか泣けてきてしまう。

 きっと「流星隊」には,大人になってしまった自分を,ほんの少しだけ童心に帰してくれる力があるのだろう。

 「流星隊」の現キャスト5人が揃ったのは,2023年の「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Party Live-」以来だが,舞台作品としては2021年の「『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』〜Meteor Lights〜」ぶりとなる。それだけに,久しぶりに揃った5人が見せる,ちょっと凸凹な「流星隊らしさ」が嬉しく,安心感は格別だった。

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 ライブ後半の「アンリミテッド☆パワー!!!!!」は,そんな彼らのまっすぐな魅力がさらに際立つ一曲だ。誰かが泣いていたり,落ち込んでいる姿があればすぐに手を差し伸べてくれる「流星隊」だが,決してどこかにいる誰かを救うだけではない。

 彼らもまたメンバー同士で支え合い,救い合っている。その人間らしさがあるからこそ,この5人の言葉は響くのだ。

 彼らが自分たちのことを言う「みんなちがってみんないい」という言葉は,彼らを応援する私たちにも当てはまる。一見,子供向けのようでいて,そのメッセージはすべての人々にまっすぐ届くのだ。だからこそ,観客全員が「流星隊!」と叫ぶ景色に,目頭が熱くなった。

 そして,終始やる気があまりなさそうにしていた高峯 翠が,最後の挨拶で「頑張ります」と口にしたのも最高だった。そんな彼らの飾らない姿が,元気と勇気を与えてくれる。本当にありがとう,「流星隊」。



◆Switch

 「Switch」のステージは,演出がひときわ印象的だった。「エメラルドプラネット」では,スクリーンやレーザー光線などを駆使し,3人がまるで魔法のように光を操って見せる動きが美しい。

 それを見ていて,今回の10周年ライブは,これまでの楽曲を“ただステージで再現する”だけではなく,この大きな会場で,贅沢な演出を交えて“アイドルたちのライブそのものを体現する”ことに意味があったのではないかと気づかされた。

 さらに素晴らしいのは,すべてのキャストが見せたパフォーマンスだ。「Switch」に関して言うと,原作では途中から加わったユニットでありながら,たしかな実力と存在感があり,「元『五奇人』を擁するユニット」という肩書きにふさわしい説得力を放つ。

 だがそれは人々を突き放すような威厳とは異なり,“大きな流れから取りこぼされたものを拾い上げ,救う”という慈愛に満ちている……というところまで表現してみせるのだ。

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 個人的な話だが,ライブ後半の「Temptation Magic」は,一時期無限リピートしていたほど思い入れのある楽曲だった。これが聴けただけでも最高だったが,この3人のキャストで「Switch」としてステージに立つのは,なんとこの日が初めてだ。

 広いステージを縦横無尽に走るレーザーの中を縫うように踊り,身体から光が弾けるような瞬間さえあり,「彼らなら本当に魔法を使っているのかも」と感じるほど。

 また,神奈川公演1日目はつむぎの誕生日と重なり,観客みんなでお祝いする場面も。最後の最後まで,「Switch」らしい幸せな魔法に包まれた時間だった。



◆MaM

 「愉快痛快 That's alright!」で登場したのは,夢ノ咲学院で唯一のソロユニット「MaM」だ。観客の前に立った瞬間から会場を自分のものにしてしまう姿には,何度見ても驚かされる。

 この曲が初公開されたときのこともよく覚えている。これは前述のアニメシリーズのエンディング曲で,あまりにも「MaM」らしく弾けた楽曲のインパクトで大いに話題をさらったのだ。

 斑は複雑な過去や顔を持つ人物だが,ひとたびステージに立てば,そんな事情など微塵も感じさせない圧倒的な華と実力がある。グリーンの明かり一色に染まった会場を,長い手足を存分に使って縦横無尽に動き回る様子はとにかく賑やかで痛快だ。

 あらためて「この曲で満席の観客がタオルを回す様子を見たい!」という願いが叶ったことに,心から嬉しくなった。

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 後半の「Blooming World」は,朗らかで可愛らしさも感じさせるポップナンバーだ。満開の花畑が広がるような演出と,斑の柔らかな笑顔が会場を包み込んでいく。

 「愉快痛快」で会場を沸かせたかと思えば,今度は穏やかな幸福感で満たしてしまう。その振り幅もまた,「MaM」の魅力のひとつと言えるかもしれない。

 そしてもう1曲,「MaM」は「紅月」とともに「RevolTrad〜維新伝心〜」を披露してくれた。この曲は2023年の「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Party Live-」でも歌われていたのだが,その時は敬人が不在の3人歌唱だったため,今回は完全版とも言うべきパフォーマンスである。

 ひとりで舞台を成立させる「MaM」と,3人でひとつの美学を貫く「紅月」。そんな対照的な存在が,互いの信念をぶつけるように並び立ち,そこから生まれる熱がステージをさらに盛り上げていた。

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[2023/03/30 14:30]



◆Eden

 ステージが暗転し,スポットライトに照らされた乱 凪砂が静かに言葉を発した瞬間,空気が一変した。そして始まったのは「THE GENESIS」。やはり「Eden」は,今見てもどこか異質だと痛感する。

 夢ノ咲学院のアイドルたちが持つ空気とは,明らかに異なる世界観。客席への視線の向け方から立ち位置,指先に至るまで,すべてが計算されているかのようなパフォーマンス。その完成度と圧倒的な強さに息を呑んだ。

 また,この曲を聴いて脳裏に蘇ったのが,「あんさんぶるスターズ!! Music」が発表されたときの衝撃だ。

 3DCGのアイドルが繰り広げるパフォーマンスは,2.5次元とはまた異なる“正解”があり,その驚くべき変化の象徴として,とりわけ強烈な印象を残したのが「Eden」のパフォーマンスだったように思う。

 だからこそ,2.5次元の「Eden」には,極めて高い期待感があった。そして2022年に舞台上でその姿を現したときには衝撃を受けたし,この日に初参加となったキャストによる巴 日和にも,「ここまで期待を上回ってくるのか」と驚かされた。

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 ライブ後半の「Awakening Myth」は,さらに「Eden」らしい迫力が際立っていた。ステージだけを見ていると,近寄ることすら許さないような冷たいカリスマ性があるが,彼らの魅力はそれだけではない。

 パフォーマンスの合間に見せる柔らかな表情や,凪砂と日和が手を取り合う瞬間,「Eve」と「Adam」がギリギリまで触れ合う瞬間には,会場から大きな歓声が上がった。

 あの一瞬で,彼らが単なる“完璧なユニット”ではなく,互いを信頼し支え合う関係性の上に成り立っていることが伝わってくる。MCでは,完璧なステージのあとに見せる肩の力が抜けたやりとりもあり,最後まで「Eden」というユニットの魅力が詰まった時間となった。



◆Trickstar

 「HEART→BEATER!!!!」が始まった瞬間,会場の空気は一気に明るく弾けた。どこまでも「Trickstar」らしい,まっすぐで眩しい一曲。

 そして何より,ユニット衣裳で歌われたことにも大きな意味がある。今ではすっかり懐かしくなったその姿は,夢ノ咲学院でプロデューサーとともに走り始めた頃の記憶を,鮮やかによみがえらせてくれるからだ。

 こうして今,パフォーマンスを見ていると,安定感は確かにあるのに,成長を続けるユニットらしいフレッシュさも感じさせてくれる。「Trickstar」は,その存在そのものが有無を言わさぬ“光”だ。

 夢ノ咲学院のメインストーリーは,「Trickstar」が革命を起こすまでの物語だった。まだ何者でもなかった4人が仲間たちと出会い,彼らやファンの応援を背中に受け,想像もしていなかったような大きな舞台に向かっていく。

 その歩みを知っているからこそ,満員の会場で胸を張る4人に,胸が熱くならずにはいられなかった。

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 ユニット別ステージのラスト,氷鷹北斗が「聴いてほしい。俺たちの始まりの曲」と紹介したのが「Rebellion Star」だ。この曲は,「『Trickstar』という物語」の原点そのものと言える。

 さらにメタな視点で言えば,この10年の「あんステ」という舞台を牽引してきたのは,「Trickstar」だったと言ってもいいはずだ。彼らがいたからこそ物語は始まり,ここまで走り続けてこられたのだから。

 舞台を駆け回り,集まれば顔を見合わせて笑い,肩を組む4人。昔からずっとこの姿を見ていたような気さえする。

 歌い終わった北斗が,客席に向けて「これからも輝き続けるから,この先も見守ってほしい」と頭を下げた。その言葉に,自分たちも同じ気持ちだと返すように,メンバーたちが自然と寄り添う。

 現実の10年という時間は決して短くない。だからこそ今この瞬間,この4人が「Trickstar」として同じステージに立ち,同じ光を見つめていることがたまらなく尊く感じられた。

 ものごとにはいつか終わりが訪れる。それでも願わくば,この眩しい“始まりの光”を,これから先も何度でも見届けていきたい――そう強く思わされたステージだった。



 そして最後に,北斗の「響かせよう,俺たちのアンサンブルを!」の合図で,全員歌唱による「ENSEMBLE STAGE!(10th Anniversary LIVE ver.)」が届けられた。ツアーTシャツに着替えたアイドルたちが,ステージのあちらこちらで飛び回る。

 ここだけでも“目が足りない”状態だったのだが,極めつけはアンコールの「Singin' Shine ☆ !」だ。ラストのこの曲では,一部のアイドルがフロアを周回するトロッコに乗ったり,アリーナだけではなくスタンドまで(!)客席の間を練り歩いたりと,思わぬサプライズに観客から大きな歓声が上がっていた。

 総勢41名,10周年を祝うお祭りのようなひとときは,大盛況のうちに幕を閉じた。

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 最後に,もう少しだけ個人的な想いを書かせてほしい。

 今回の10周年ライブを観ていて強く感じたのは,「あんステ」はこの10年で驚くほど進化しているということだった。作品ごとに制作・演出のアプローチそのものも大きく異なる。

 本公演では,楽曲の表現やパフォーマンスの完成度を徹底的に磨き上げる方向性が強く感じられ,それが結果として「アイドルたちの物語」の説得力をさらに高めているように思う。

 久しぶりに「あんステ」へ戻ってきたキャストも多いと書いたが,彼らにとっても,今回のステージは新たな表現やパフォーマンスを磨き直す必要のある,極めて大きな挑戦だったはずだ。

 これだけのキャストが再び集結したこと自体が奇跡のような出来事であり,発表当時は「本当にここまで揃うのか」と驚かされた。キャスト陣にとっては,普段の舞台とはまた違う広大な会場で,満席の観客の期待を背負いながらステージに立つことになった。きっとその重圧は計り知れないほどのものだっただろう。

 物語を通して私たちの心を動かしてきたアイドルたちが,今度は舞台の中のライブではなく,積み重ねてきた歴史や想いそのものを背負い,本物のライブとしてステージを届けてくれる。

 その時間は,まさに10周年だからこそ実現できた特別なステージだった。だからこそ,この形で届けられたことに大きな意味があったのだと思う。

 このライブから受け取ったのは,10年分の愛と感謝だった。だからこそ,その想いに少しでも応えたい。この感動を書き残し,誰かに伝えたい――そう思って書き始めた結果,気づけばこんなにも長いレポートになってしまった。

 「あんステ」が築いた10年のキセキに,心からの感謝を込めて。

 願わくは,このきらめきがこれからもずっと続いていきますように。

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