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「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第40回【後編】。今さら聞けないメインストーリー【メガストリーム】編と新ユニット「MELLOW DEAR US」を紹介

 Happy Elementsがサービス中のアイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ!!Basic/Music」ストーリー紹介連載。第40回【前編】でお届けしたメインストーリー「ES編」第3部「オーディション編」と新ユニット「Special for Princess!」紹介に続き,今回はその【後編】をお届けする。
 メインストーリー「『メガスフィア』編」第一部【メガストリーム】編をおさらいしつつ,新ユニット「MELLOW DEAR US(メロウ・ディアース)」を紹介していきたい。

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【再掲】あんスタのメインストーリーはこれだけあります


 前回の記事では,「!」時代のメインストーリーから直近までの流れを振り返った。もう一度整理しておくと,現在までの「あんスタ!!」には以下のようなシナリオがある。



■「!」時代のメインストーリー
・メインストーリー第一部(公開:2016年)
 →「Trickstar」が夢ノ咲学院で革命を起こす物語
・メインストーリー第二部「キセキシリーズ」(公開:2017年)
 →「Trickstar」が年末の『SS』に出場するまでの三部作
・メインストーリー第三部「Sagaシリーズ」(公開:2018年)
 →夢ノ咲学院の教師とアイドルがユニットを結成する物語(前後編)


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■「!!」以降のメインストーリー
・メインストーリー「ES編」第1部(公開:2020年)
 →ESという新天地の所属となったアイドルたちを描く物語
・メインストーリー第1.5部「夢ノ咲七不思議編」(公開:2022年〜2023年)
 →夢ノ咲学院のプロデュース科の現在や,学校行事を描く物語
・メインストーリー「ES編」第2部「『SS』編」(公開:2021年〜2022年)
 →ESのアイドルたちが全国予選を勝ち抜き『SS』に出場する物語
・メインストーリー「ES編」第3部「オーディション編」(公開:2024年)
 →『サンダーボルトエンターテイメント』主催のオーディション番組を描く物語


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・メインストーリー「『メガスフィア』編」第一部【メガストリーム】編(公開:2025年〜2026年)
 →ES上空に浮かぶメガスフィアを舞台に,配信番組に奮闘するアイドルたちの物語
・メインストーリー第二部「『ワールドツアー』編」(公開:2026年〜)
 →世界最高のアイドルの称号をかけたトーナメント戦




 改めて書き出してみてもすごいボリュームである(しかもこのほかにイベントやスカウト,アイドルストーリーもあるという)。ということで,まずは【メガストリーム編】から紹介していこう。


あらためて【メガストリーム】編を振り返る


 このストーリーの舞台はES上空に浮かぶメガスフィアで,“変身”という新たな概念が登場する。少々ファンタジー感のある世界観ということもあり,戸惑った人もいたかもしれない(正直に言えば筆者もそうだった)。
 だが,この【メガストリーム】編は,「あんスタ!!」を古くから応援している人にこそ読んでほしい。なぜなら筆者は,物語を読み進めながら何度も「!」時代のストーリーが頭に浮かんだからだ。

 そのことについては後ほど触れるとして,ここからは前回同様,章ごとに簡単なあらすじと筆者の感想をお届けする。なお,公式あらすじ以外の文章は公式見解ではなく,筆者個人の主観によるものであることを改めてお伝えしておく。



PREQUEL
メタモルフォーゼ


<公式サイトよりあらすじ>
 【4piece】が終了しアイドルたちの日常が再び訪れたある日、突如ES上空に謎に包まれた飛空艇・メガスフィアが飛来する。桃李・零・燐音・斑は『四天王』と名乗り、前代未聞のライブが今始まる……!

<筆者の感想>
 最初に登場するのは,新キャラクターの甘楽チトセである。彼は「Thunderbolt Entertainment」(以下,「サンダーボルト」)の新人アシスタントディレクターとして登場したのだが,当時から「ADにしておくには惜しいビジュでは……?」などと囁かれていたのも記憶に新しい。

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 本章はプロローグということもあり,まだ物語は大きく動いていない。だが,本編で重要となる「メガスマホ」や「スフィアリング」「スフィアライブ」といった新しい用語のほか,まだ登場していない「MELLOW DEAR US」についても言及がある(ただしメインストーリーで一番早くユニット名が出てきたのは,前回紹介したメインストーリー第3部「オーディション編」【VS AUDIENCE -Third piece-】である)。

 そのため,ここからしっかりと内容を把握しておきたい。

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 物語として印象に残るのは,やはり姫宮桃李の決断だろう。彼は登場初期からずっと「fine」における自分の立ち位置に悩み続けていたが,ここでも自らの意思で,未知の世界への一歩を踏み出すのである。課題があると自覚しているからこそ,誰かに導かれるのを待つのではなく,自ら成長の機会を掴みにいく。「!」時代から彼を見続けてきたなかで,その勇気と覚悟がひときわ力強く感じられた。

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◆用語解説
メガスマホ&スフィアリング
 「サンダーボルト」が開発した新技術の結晶。「メガスマホ」と「スフィアリング」が連動することで「変身」できる。

スフィアライブ
 「サンダーボルト」の最新鋭の技術を使った,ライブの常識を一変させる拡張現実。「変身」を通して現実を超えた演出,新しい視覚的効果が加わった「スフィアライブ」をファンに届けることができる。



 全メンバーの変身シーンはこちら(天城燐音朔間 零三毛縞 斑)。




STREAM1
Sailing Ceremony


<公式サイトよりあらすじ>
 新番組【メガストリーム】が始動し、共同生活を始めた『Trickstar』。毎週末行われる特番の出演者に選ばれるため、スバルは番組で成果を出そうとする。しかし、エスとの会話が波紋を呼んでしまい……!?

<筆者の感想>
 この章で特に印象的だったのは,やはり後輩を激詰めしたと誤解された明星スバルの炎上だ。スバルは過去にも後輩へ厳しい言葉を投げかけたことがあるが(「!」【対向!星合う夜の天球戯】),それは今も昔も,誰よりもアイドルという仕事を真剣に考えているからこその言葉だった。今回はそこに"映像の切り取り"という現代ならではの要素が重なり,その真意は簡単に歪められてしまう。

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 炎上したスバルは,「自分のせいで周囲に迷惑をかけたくない」と自ら孤立を選ぶ。その姿は夢ノ咲学院で孤独だったあのころ(「!」【追憶*春待ち桜と出会いの夜】)を思い起こさせ,「!」メインストーリー第2部「キセキシリーズ」【奇跡☆決勝戦のウインターライブ】の再来を思わせた。

 しかし,ここで描かれる彼はもうあのころのスバルではない。【ウインターライブ】で仲間に支えられた経験を胸に,炎上さえも「それだけ注目されているということだ」と受け止め,自らの意思でステージへ立つ。その姿は,幾多の試練を乗り越えてきたトップアイドルの風格そのものだった。

 輝いていたのはスバルだけではない。【メガストリーム】編の最大の魅力は,アイドルたちがそれぞれの場所で,「アイドルとして輝く」ための答えを模索していることだ。そして激動の時代を駆け抜けた彼らは,ライバルでありながら仲間でもある誰かを支える側へと成長している。そうした経験や年月の積み重ねが「あんスタ!!」の歴史と重なり,胸が熱くなった。

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 「Sailing Ceremony」は,そんな“戦い続けるアイドル”の強さを改めて感じさせてくれた。その背中に憧れ,新たな夢を抱く星たちが確かに生まれていることもまた,この物語が描く希望なのだろう。彼らが繋いできた想いは,確かに次の世代へと受け継がれているのだ。



STREAM2
Athletic Atmos


<公式サイトよりあらすじ>
 参加者全員がウサ耳を付け競技を行う、『バニー大運動会』がいよいよ開幕! 『ナイス!』が全ての配信に不満を募らせていく宗を見た凛月は、『プロデューサー』と『Valkyrie』の橋渡し役になろうとするが……。

 「Athletic Atmos」は第1章の王道アイドルストーリーから一転,「うさ耳アイドル」たちが活躍するコミカルな章だ。しかし,その賑やかな雰囲気の裏では,「!」メインストーリー第1部で描かれた“革命”を思わせる空気が静かに漂い始めたように感じられた。

 それを象徴していたのが,朔間凛月の「……このままだと、昔の夢ノ咲みたいに、決められたルールの上でしかアイドルが評価されないってことにならない?」「このままだと昔の夢ノ咲みたいに、埋没するアイドルがどんどん出てくるよ」というセリフだ。夢ノ咲をよく知り,ユニットの参謀役でもある彼だからこそ,その言葉は重く響く。

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 そして,本章で特に焦点が当てられるのは斎宮 宗だ(「!」メインストーリー第1部ではまだ登場していなかった彼だからこそ,ここで彼にスポットが当たることも興味深い)。
 宗はこのめちゃくちゃな生活に不満を抱きつつも,それ以上に怒りを募らせる影片みかを案じ,どう向き合うべきか葛藤する。

 そんな彼の背中を押したのは,かつて苦楽をともにした五奇人の仲間・深海奏汰だった。「ぼくは、『ともだち』をたすけたいんです」という一言は,「!」【追憶*流星の篝火】をよく知る人なら,強く胸を打たれたのではないだろうか。そうして宗は再び芸術家として前を向き,みかもまた,自分たちだからこそ届けられる表現を信じて歩き出す。

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 思えば,すべての始まりの春は「革命」が物語の中心にあった。しかし本章で描かれているのは,革命を経験した者たちがその先の世界をどう守り,どう未来へ繋いでいくのかという物語だ。

 かつて理不尽なルールに苦しみ,仲間とともに時代を変えた彼らだからこそ,小さな違和感を決して見過ごさない。それを誰か一人に背負わせるのではなく,それぞれが自分にできることを考え,静かに手を取り合う。その姿は,夢ノ咲のころよりもずっと大人になった彼らを感じさせるものだった。



STREAM3
Inferno Influence


<公式サイトよりあらすじ>
 “地獄”をテーマにしたチーム戦・『アイドル大歌劇祭』の開催が発表され、次こそは『六歌選』にならんと息巻く茨。だが、チームメイトのライカは台本をなかなか覚えられず、場の雰囲気は険悪になっていく。

 上空に浮かぶ施設での軟禁(?)生活や,24時間生配信。無茶とも思える企画の裏で,ナイスPが何を目指しているのかが少しずつ明かされていくのが第3章「Inferno Influence」だ。
 本章で描かれるテーマは,アイドルだけでなく「プロデューサー」の成長である。第1章でナイスPは「アイドルを最大限輝かせるためには、陰から支えるスタッフの成長も必要だ」と語っていた。

 その考えを体現するように,本章ではアイドルとプロデューサー,2つの立場を担う七種 茨へスポットが当たる。ナイスPから「どちらも中途半端になっていないか」と問いを突きつけられる場面は非常に印象深く,彼にとっても自らの在り方を見つめ直すきっかけとなる。

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 ここまで個人戦の色が濃かった【メガストリーム】編だが,本章ではチーム戦が行われる。ところが茨のチームには,セリフを覚えられないライカや負傷したユメなど,次々とトラブルが降りかかってしまう。

 順風満帆とは程遠い状況であるものの,ここまでにスポットが当たったアイドルたちと同じように,茨も数々の障害を乗り越えてきた人だ。アイドルとしても,プロデューサーとしても経験と成長を重ねてきた彼だからこそ,この難局をまとめ上げる姿には説得力がある。

 また,苦戦するチームを応援しようと集まるアイドルたちの姿も熱い。とりわけ守沢千秋をはじめとした仲間たちの存在は,「あんスタ!!」らしい温かさを感じさせてくれた。藍良の言葉を借りるなら,まさに「超ラブ〜い!」である。

 この章を読んで改めて感じたのは,「アイドルたちが本当にアイドルとして仕事をしている」姿の素晴らしさだ。ライブや番組づくり,チームワークまで含め,アイドルという仕事のリアルがこれまで以上に丁寧に描かれており,作品の新たな魅力を感じる物語だったように思う。

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 ……そして,その余韻を吹き飛ばすように物語は急展開を迎える。これまでADとして行動していたチトセの正体が,世界最高峰のアイドルユニット「MELLOW DEAR US」のメンバーだったことが明かされるのだ。この衝撃的なラストが,物語を次のステージへと一気に加速させていく。

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STREAM4
Dynamic Diamond


<公式サイトよりあらすじ>
 『メロウ・ディアース』の来訪と共に告げられた『日米ライブ対決』の開催に沸き立つESのアイドルたち。代表をどう選ぶか悩む『プロデューサー』を心配する真や、選抜方法に噛みつく晃牙だったが……。

 本章では,ついに世界最高峰のアイドルユニット「MELLOW DEAR US」が姿を現す。圧倒的な実力を誇る彼らを前に,ESのアイドルたちが一丸となって立ち向かう構図は,「Trickstar」をはじめ夢ノ咲学院のアイドルたちが「Eden」と激突した「!」メインストーリー第2部【奇跡☆決勝戦のウインターライブ】を思い起こさせた。ようやくひとつになった彼らの前に,外の世界から“本当の強敵”が現れるのだ。

 その先陣を任されるのが,我らが遊木 真である。代表ユニットへ最初に選ばれた彼は恐縮するが,かつて朔間零から「あれは才能じゃ、我ら『五奇人』に匹敵するほどの天稟じゃよ」「!」【輝石☆前哨戦のサマーライブ】)と評されたほど,本番での集中力を発揮するアイドルでもある。

 あのときの「役目は果たすよ、プロフェッショナルとして」というセリフを思い返し,今度は世界を相手にどんな景色を見せてくれるのか期待せずにはいられなかった。

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 もちろん,「あんスタ!!」らしいコミカルさも健在だ。真たち「ネオ・六歌選」を導くため,朔間 零・三毛縞 斑・月永レオによる「インフィニティ・メンターズ」が登場するのだ。笑いを誘いながらも,「ああ,アイドルたちはこうやって壁を乗り越えてきたんだよな」と感じさせる場面が随所に散りばめられていたように思う。

 また,「!」時代から積み重ねてきた関係性も見どころだ。瀬名 泉へ向けた真の「泉さんは昔からずっと僕のことを信じてくれるよね。だからちょっとは強くなったよ」という一言は,ずっと2人を見守ってきた人ほど胸を打たれるだろう。

 さらに,世界最高峰ユニットを前にした大神晃牙が「そんなふうに縮こまってるより、恥知らずにもあいつらに食ってかかるほうが絶対にカッケ〜だろ」とロック魂を見せる場面も最高だ。

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 この章で描かれていたのは,「MELLOW DEAR US」と戦った者たちの成長だけではない。「ほんもののアイドル」を目指して歩んできたESのアイドルたちが,初めて"世界"という大きな壁に挑む覚悟を決める物語だったように思うのだ。絶対的な強者の登場によって,彼らの視線は国内ではなく,その先へ向けられる。

 彼らはまだ,完成した宝石ではない。それでも以前よりずっと強く,美しく輝いている。「Dynamic Diamond」は,ESがひとつのチームとして世界へ踏み出した,その最初の一歩を描いた一章だったように思う。



STREAM LAST
Mainstream Megasphere


<公式サイトよりあらすじ>
 日米ライブ対決での勝利に向け、メンバーの選定を迫る北斗。しかし、追い詰められた『プロデューサー』はメガスフィアから姿を消してしまう。取り残されたESアイドルたちに、衝撃が走るが……

 前章で「俺がおまえを、勝利へ導いてやる」とかっこよく言い切った氷鷹北斗。その瞬間,思わず「これは『!』メインストーリー第1部の『俺たちを導いてくれ』というセリフと真逆じゃないですかー!」と大興奮したのだが,胸を熱くしたのもつかの間,プロデューサーは限界を迎えメガスフィアを去ってしまう。
 そう,頑張りすぎている人に頑張れというのはあまり良くないといいますしね……。

 本章を一言で表すなら,「ESアイドルたちが全員で力を合わせてプロデューサーを取り戻す物語」だ。総力を挙げて彼女を捜し出し,再び隣へ連れ戻したうえで,世界最高峰のアイドルユニット「MELLOW DEAR US」へ挑む。その展開は,「!」で描かれた“革命”をESという舞台で改めて描き直したようにも感じられた。

 理不尽なルールに抗うのではなく,大切な仲間を守るために,自らの意思で壁を越えていく。その姿は,10年の歩み(作中では数年の話だが)を経た彼らだからこそ描ける革命だったように思う(余談だが,失踪中のプロデューサーが「nazonofan_X」というアカウントでアイドルたちを応援していたのも,「!」メインストーリー第1部で転校生がやった“覆面アイドル”を思い出させた)。

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 正直,できることならすべてのユニット,アイドルたちについて語りたいほどだがとんでもない文字数になるので,プロデューサーについて語られたなかで,グッと来たセリフだけ紹介しておこう。

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 すべての戦いを終えたアイドルたちは,「MELLOW DEAR US」へ手を差し伸べ,「一緒に歌おう」と呼びかける。勝者と敗者ではなく,ともに未来を目指す仲間として迎え入れるその姿は,実に「あんスタ!!」らしい。

 ここまで何度も「!」とのつながりについて語ってきたが,本章は,10年間積み重ねてきた「あんスタ!!」の物語のひとつの集大成だった。アイドルたちが紡いできた歴史も,彼らを見守ってきたプロデューサーの歩みも,そのすべてを丸ごと包み込み,肯定してくれるような素晴らしいストーリーだ。そしてその先には,もう一つの未来が待っている――。

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STREAM EX
ONLY YOUR STARS!


<公式サイトよりあらすじ>
 24時間配信が終わり、『浮遊都市』としての運用が始まるメガスフィア。正式オープンを記念する式典の企画を任された『プロデューサー』は、スバルや一彩の話を聞き『学園祭』の開催を決定する。

 最後に紹介するのは,【メガストリーム編】の後日談ともいえる「ONLY YOUR STARS」だ。先ほど紹介した「Mainstream Megasphere」で散々涙を搾り取られたというのに,ここへ来てさらに泣かせてくる。さすがはハピエレ,最後まで容赦がない。

 舞台となるのは,「浮遊都市」として新たな一歩を踏み出したメガスフィアで,アイドルたちは「学園祭」をテーマにしたイベントを開催することになる。その光景は,「!」時代の学院祭を思い出させるような温かさに満ちていた。

 【ショコラフェス】シリーズを彷彿とさせるスタンプラリー,【宵の宴♪バンドアンサンブル】を思わせる対バン,【恐怖!玉依の人形屋敷】のお化け屋敷,【なりきれ!灰かぶりの大舞台】を思い起こさせる演劇など,次から次へと懐かしい景色がよみがえり,思わず胸が熱くなる。

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[2019/12/28 00:15]

 この物語を一言で表すなら,「春に始まった物語が一年を巡り,再び新しい春を迎える物語」だろう。物語のラスト,夢ノ咲学院の教師・佐賀美 陣と椚 章臣の新たな役割について語られるのも印象的だ。

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 終わりは始まりでもあるように,【メガストリーム】編という大きな物語に区切りをつけながらも,その先には確かな未来が続いている。物語の中心となるのが明星スバル天城一彩というのも象徴的だ。彼らはそれぞれ「!」と「!!」のメインストーリーを担ってきた存在であり,その2人が並び立つ姿は,「あんスタ」が歩んできた歴史そのものを映しているように感じられる。

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 アイドルとは何なのか。そして,この時代に求められるアイドルとは何なのか。

 夢ノ咲学院という“学校”から始まった物語は,「!!」でESという舞台へ移り,【メガストリーム】編で世界へと羽ばたいた。しかしどれほど世界が広がっても,彼らが誰かを笑顔にしたいと願い,歌い続ける理由は変わらない。だからこそ,ひとつの頂点へたどり着いても,彼らは進化をやめないのだ。その輝きに魅了される人がいる限り,アイドルたちは前へ進み続ける。

 10年間積み重ねてきた「あんスタ!!」の物語は,ここで終わりではない。新たな季節を迎えた彼らは,これからもきっと,私たちにまだ見ぬ景色を見せてくれるだろう。そんな未来への期待を抱かせてくれる,最高のエピローグだった。

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とろけるメロウなアディクション。
「MELLOW DEAR US」のメンバーを紹介


 かなり長丁場になってしまったが,ここからは「MELLOW DEAR US」について紹介しよう。参考にしているのは,先ほど紹介したメインストーリー「『メガスフィア』編」第一部【メガストリーム】編各アイドルストーリー【Chewing◆噛み跡残すBUBBLE GUM DANCE】,さらに現在はネット上で閲覧が可能な小説「MELLOW DEAR US Chocolat Assort」だ。

 直近のメインストーリー(『ワールドツアー』編)などは含まれていないため,そちらの情報や解釈不足はご容赦を。



「MELLOW DEAR US」のメンバーを紹介するよ


小鹿 ジュイス※「MELLOW DEAR US」リーダー
<公式プロフィール>
堂々とした性格で,どんな時も冷静。持ち前の体格を活かしながら,豊かな表情で魅了する。『Rhythm Link』の『MELLOW DEAR US』に所属しており,リーダー兼パフォーマンス担当でメインボーカル。(YouTubeで公開中:10問10答 小鹿 ジュイス編
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 正直に白状すると,初見の印象は大神晃牙と同じく「下睫毛」だった(いつも晃牙は実に絶妙なあだ名をつけると思う)。「なるほど大人セクシー系ですね,了解」と,新たな黒船のお手並み拝見くらいの気持ちで見ていた。……そう,最初は。

 まず彼は,とにかくスマートだ。一見近寄りがたい雰囲気なのに,言葉遣いは乱暴すぎず丁寧すぎず,ほどよく気さくで,ほどよくキザ。そして世界最高峰と呼ばれるだけの圧倒的なパフォーマンスを見せる。

 体格は立派なのに名字は「小鹿」,そこへ「ジュイス」という美しい響きまで加わる。これだけ条件がそろえば人気なのも納得で,正直かなり危険だ。全女子が落ちる可能性がある。

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 だが,それは“表”のジュイスにすぎない。

 彼を語るうえで欠かせないのは,「実家の財閥から課せられた『偏愛』によってアイドルとして生きることを運命づけられている」「彼にとって最高のアイドルは善秀(ナイス)だった」「だがアイドルプログラムの頂点に自分が選ばれたことで,ナイスは何より愛するアイドルを辞め,プロデューサーへ転身した」「その罪悪感を今も抱え続けている」という事実だ。

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 そんなジュイスを見ていて思い出したセリフがある。それは氷鷹北斗の父にして,現役スーパーアイドル氷鷹誠矢の言葉だ。

「僕は人間である前に労働者(ロボット)であり偶像(アイドル)ですからね」
「皆さんも僕に倣って、『アイドル刑務所の模範囚』になれるようにがんばりましょう♪」


 誠矢もジュイスも,「アイドルという役割」を背負って生きる人物だ。そして誠矢は,その役割を完全に受け入れ完成させた人と言えるだろう。一方ジュイスは,外から与えられた命令に従いながら,その内側では必死にもがき続けている。だからこそ,彼は驚くほど人間らしい。

 彼にとって,ナイスという“光”を失った世界は暗く終わりのない贖罪なのだろうか。どれだけ前へ進み,どれだけ完璧なアイドルになっても,その事実だけは変わらない。完成されているからこそ,もうその先へ進めない。だから彼は「完璧であること」にすら意味を見いだせなくなってしまう。

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 【Chewing◆噛み跡残すBUBBLE GUM DANCE】の終盤,ファンがジュイスへまっすぐな想いを伝える場面がある。普通のアイドルなら喜びや感動を覚える場面だろう。しかし彼は内心で,「馬鹿げてる」と吐き捨てる。「たった一人でもファンがいるなら,その人のために歌う」――そんな信念を感じられるようなアイドルが数多くいる「あんスタ!!」において,この反応はあまりにも異質だ。

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 けれど彼は,ファンを嫌っているわけではないのだろう。ただ,自分という存在はピカピカにラッピングされた“嘘”でしかなく,その嘘を本物だと信じ,愛してくれる人たちを見ることに耐えられないのだ。

 愛について語るジュイス自身が,誰よりも愛を信じられなくなってしまっている……その矛盾こそが,小鹿ジュイスという人物のもっとも悲しい部分なのだと思う。彼は,自分の意思でアイドルになった人ではない。溺れそうになりながら泳ぎ続け,決して岸へ上がろうとはしない。

 もしもナイスがアイドルに復帰したら,彼はようやく呼吸ができるのだろうか。それとも永遠に水の中で泳ぐのだろうか。その答えがまだ見つからないからこそ,どうしようもなく彼に惹かれてしまう人は多いだろう。

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円果 望見
<公式プロフィール>
高飛車な性格でファンに対して女王さまのような振る舞いをパフォーマンスとして行っている。『Rhythm Link』の『MELLOW DEAR US』に所属しており,ビジュアル担当でメインラッパー。(YouTubeで公開中:10問10答 円果 望見編
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 突然だが,筆者はK-POPアイドルが大好きだ。同じような人なら共感してもらえるかもしれないが,新しいグループを見ると,まず気になるのは年齢順である。誰が一番年上(ヒョン)で,一番年下(マンネ)なのか。それだけで,なんとなくグループ内での立ち位置が見えてくるからだ。そして「MELLOW DEAR US」のマンネが,この円果望見らしい。マジですか?
 あの高飛車な女王ムーブを見せる望見が末っ子だと思うと意外すぎる。とはいえ「下僕に優しい」というプロフィールどおり,ファンへの対応は意外にも誠実だ。口調は少々独特ではあるけれど。

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 そんな彼を見ていて最初に思ったのは,「あ,変な人だ」(※最大級の褒め言葉である),だった。常識では測れない人物なのに,アイドルという仕事には驚くほど真摯に向き合っている。そのアンバランスさが癖になり,このあたりが“刺さって”いる人も多いのではないだろうか。

 さて,"表"の望見についてはこのくらいにして,ここからは彼の本質について触れていきたい。

 現時点で彼をもっとも深く知ることができるのは,やはり「MELLOW DEAR US Chocolat Assort」だろう。ここでは,中学生だったころの望見が描かれる。思春期を迎えた彼は,「愛」や「自由」は善で,「憎悪」や「支配」は悪という世の中の常識を疑い始めていた。

 それは誰が決めたのか,基準は何なのか。でも彼は反抗したかったわけではなく,ただ自分自身の目で世界を理解したかったのではないかと思う。

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 「世の中に絶対的な基準はない」と考える今の彼は,自分自身にも数多くの(そして,はたから見れば無意味に思える)ルールを課している。その理由ははっきり明言されていないが,彼自身が語るように,「円果望見が円果望見であり続けるため」に必要なものだという。

 興味深いのが,彼が執着する小鹿ジュイスとの対比だ。ジュイスもまた,厳しいルールに従って生きている。つまりジュイスにとってのそれは家から与えられた運命であり,自分を縛り付ける鎖のようなものだ。それなら,自分が自分であるために自らに課した望見のルールは,自分という存在を支える骨のようなものと言えるかもしれない。

 絶対的な価値観が存在しない世界だからこそ,基準を定めなければ自分が何者なのかさえ揺らいでしまう。だから彼は,自ら選んだルールによって自分という人間を保ち続けている。

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 そして,彼がジュイスへ執着する理由も考察のしがいがある。望見にとってジュイスは「完璧な存在」であり,「未だ興味深い観察対象」でもあるようだ。完璧だからこそ形を変えたくない。それでいて,関わることで生まれる変化や,自分たちの関係性がどちらによって動かされているのか──その答えさえ「わからない」という。だからこそ望見にとってのジュイスは,飽きることのない存在なのかもしれない。

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 初見では「変な人」という印象の望見だったが,知れば知るほど,その奇妙さは単なる狂気ではないことが見えてくる。彼は誰よりも世界を疑い,誰よりも考え続けることをやめない人だ。皮肉なことにそんな彼自身もまた,知れば知るほど新しい発見がある“観察しがいのある人間”なのである。だからこそ,気づけばこちらも彼から目が離せなくなってしまうのだ。

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久遠 舞珠
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朗らかで人懐っこい性格。サーカスの出身で身のこなしの軽さと器用さを活かしている。『Rhythm Link』の『MELLOW DEAR US』に所属しており,ダンス担当でメインダンサー。(YouTubeで公開中:10問10答 久遠 舞珠編
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 もし筆者がアイドル事務所の面接官で,ある日舞珠が履歴書を持って現れたとしたら。「綺麗なピンク色の髪と魅力的なルックス,人当たりも良くダンスがお得意で……なるほどサーカス出身ですか! それなら生粋のエンターテイナーなんでしょうね」と感心し,「はい合格!」と判子を押すだろう。

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 生まれた瞬間からサーカス団の一員として育ち,人を楽しませることを生業にしてきた人。ハッシュタグを交えながら軽快におしゃべりし,誰とでも打ち解けられる明るさを持つ彼は,まさに王道アイドルそのものだ。しかも「MELLOW DEAR US」では一番の“新参者”でありながら,芸歴だけを見れば誰よりも長い。

 そのせいなのか,彼は自分を「おじさん」と呼ぶ。何かの照れ隠しなのか,それともサーカス時代に身近にいた誰かの口癖なのか。「あんスタ!!」には一風変わった一人称のアイドルも多いが,さすがに「おじさん」が登場するとは思わなかった。佐賀美 陣や椚 章臣といった教師陣くらいじゃないだろうか,自分を「おじさん」と呼ぶのは。

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 どこまでも朗らかで,暗い影など感じさせないアイドル。“闇”という言葉を使いたくはないが,個人的には,「MELLOW DEAR US」のなかでは彼が最も“闇を知っている”人なのではないかと感じている。

 彼を一番よく知ることができるのは,現時点では「MELLOW DEAR US Chocolat Assort」に収録された「無重力下のフルールボラー」だろう。ここで見えてくるのは,舞珠の人生には常に「死」が寄り添ってきたという事実である。

 幼いころからサーカスで育った舞珠にとって,危険な曲芸は日常だった。普通の子どもなら「失敗して怒られて泣く」程度のことでも,彼にとっては命に関わることだ。だから彼は,「転ばないこと」ではなく,「転んだら立ち上がること」を,身を持って覚えていった。

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 本作で舞珠は,「人生で死にかけたことが五回ある」と言う。馬に蹴られた,一輪車の上から顔面からこけてセットに突っ込んだ,綱渡りで落ちた……どれも笑って話すような内容ではない。それでも彼は,まるで絵本でも聞かせるように面白おかしく語る。

 そうしてついに4回目。大玉乗りで落ちて,そのまま大玉に轢かれて死にかけたとき,彼ははじめて泣いたという。それは痛みでも恐怖でもなく,「できなかった自分」が悔しかったからだと。
 この話は,ただ甘楽チトセに共感させるための嘘だったのかもしれない。けれどもしこれが本当だとしたら――そこには,彼の笑顔の一番奥に隠された柔らかい場所があるような気がしてならない。

 この話のラスト,舞珠は「死に急ぐことなんてない。綱渡りは渡りきるからこそ喝采を浴びるんだ」と語る。一見すると優しい励ましだが,常に死が隣にあるものとして生きてきた彼だからこそ,その言葉には不思議な説得力があるように思う。どこかメメント・モリ(「死を忘れるな」)という言葉にも通じるような。

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 舞珠は「がんばれ!」と背中を押す人ではない。隣に立ち,「転んでもまた立ち上がればいい」と微笑む人だ。その優しさは生まれつき身についたものではなく,命綱の上を歩き続けてきたからこそ生まれた強さなのかもしれない。

 初見では陽気なお兄さん(いや,「おじさん」か)に見えた舞珠。けれど知れば知るほど,その笑顔は決して軽いものではないと気づく。失敗も恐怖も死も知っているからこそ,彼の笑顔には何にも代えがたい重みがある。

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甘楽 チトセ
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明るく物腰の柔らかな性格。ファンから熱い視線を集める。優しく甘い歌声をムードに合わせて巧みに表現する。『Rhythm Link』の『MELLOW DEAR US』に所属しており,ビジュアル担当でオールラウンダー。(YouTubeで公開中:10問10答 甘楽 チトセ編
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 最後に紹介するメンバーは甘楽チトセだ。彼はご存じのとおり,最初は我々の前に「サンダーボルトのアシスタントディレクター」という立場で登場した。そのときの印象は,仕事はあまり器用ではなく,自信なさげですぐ謝り,優しいけれどやや頼りない……といったものだった。

 それでも,その魅力的なルックスや独特の雰囲気で存在感があり,「本当にただのADなのか?」と感じさせる空気があった。そしてその正体は,世界最高峰のアイドルユニット「MELLOW DEAR US」のメンバーだったのである。ただ驚きはしたものの,不思議と納得もした。それだけ彼が,ADでは終わらない何かを感じさせていたということだろう。

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 チトセもまた,ほかのメンバーと同じように小説を読むことで印象が大きく変わる人物だ。ただ個人的には,「MELLOW DEAR US」の中では一番理解しやすい人でもあったように感じている。彼を語るうえで欠かせないと感じたのが,「ぼくには大人の才能がなくて、子供の才能には満ち溢れてる」という彼自身の言葉だ。

 大人とは物事を理解し(あるいは理解する努力や工夫をし),そこに理屈や答えを見出そうとする。一方で子供というものは,理解できないものは無理してわかろうとしないし,答えが出せるとしても,自分の世界の中だけで完結する。

 彼の口癖は「わかんないけど」だ。それこそ子供のよく言う言葉だが,大人がそう口にするときは,逃げや諦め,ごまかしや保身のために使われる。でもチトセが言う「わからない」は,自分をごまかさないための言葉のような気がするのだ。

 理解したふりをせず,知ったかぶりもしない。相手を否定せず,理解はできなくても「そういうものだ」とそのまま受け止めているような。適当に答えているようでいて,実はそこに彼の誠実さがある……と思うのは,少し深読みしすぎだろうか。

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 そう考えると,望見とは非常に対照的だ。彼は常識も善悪も疑い,自分が納得できるまで観察したり考え続けたりする人だ。一方でチトセも考えない人ではないけれど,考えたうえで「わからないことは,わからなくてもいい」と受け入れているように感じる。理解する方法は違うが,どちらも「わかったふり」をしない。そこが似ているからこそ,相性が良いとは言わないが,悪いわけではないのかもしれない。

 チトセの柔軟性は,アイドルとしての在り方にも現れているように思う。自分の理想や信念を強く押し出すタイプではないし,「こうしたい」という我(が)も,ほかのメンバーほどは見えてこない。だからこそ彼は,どんな役割にも自然に馴染むことができる。求められているものを受け止め,自分の役目を果たす。それは当たり前のようでいて,決して簡単なことではない。

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 だからこそ個人的には,「MELLOW DEAR US」で一番“強い”人は,チトセなのではないかという気がしている。ジュイスも望見も舞珠も,それぞれに信念や覚悟がある。けれどその強さはどこか硬質なもので,一度ヒビが入れば砕けてしまいそうな危うさを感じる。

 だがチトセは違う。水や風,柔らかい木の枝のように形を変えながら物事を受け止め,流されながらも存在は失われない。決して折れないというわけではなく,折れても元に戻ることができるしなやかな強さだ。

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 すべてを理解することだけが,人とつながる方法ではない。わからないからこそ受け入れられることもあるし,それだけで救われる瞬間はきっとある。甘楽チトセというアイドルは,強さとはただ前に進むだけではないと教えてくれる人なのだ。

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「MELLOW DEAR US」って結局のところどうなのよ?


 いくつもの壁を乗り越え,新たな絆を築いてきたESアイドルたち。その前に現れた,まさに“黒船”とも呼ぶべき存在。それが,世界最高峰のアイドルユニット「MELLOW DEAR US」だ。

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 正直に言うと,今回の記事を書くうえで一番苦労したのも彼らの紹介だった。以前書いた「Special for Princess!」語りは,自分が教師となって,クラスの子どもたちを紹介するような感覚で書くことができた。けれど「MELLOW DEAR US」は違う。例えるなら自分は会社員で,「一緒に仕事をする人を紹介してください」と言われたような気持ちだった。

 彼らは「あんスタ!!」でも最年長世代のアイドルだ。そのため,これまでに積み重ねてきた人生も長く,本音と建前,過去と現在が幾重にも折り重なっている。少し話しただけでは,その人がどんな人なのかなんて,とても語り尽くせない。でも,だからこそ面白い。

 若いアイドルたちには,これから大きく成長し,進化していく眩しさがある。一方で「MELLOW DEAR US」には,一冊の分厚い本を少しずつ読み進めるような面白さがある。初めて目にしたときは,誰もがその圧倒的な華やかさに目を奪われる。そのうえ,物語を読み,彼らの人となりに触れ「こんな一面もあったんだ」「まだこんな物語を抱えていたんだ」と,新しいページをめくるたびに驚かされるのだ。

 プロフィールやいくつかのストーリーでは決して語り尽くすことはできない。しかも,理解できたと思うころ,きっとまた彼らは新しい表情を見せてくるだろう。

 世界最高峰という肩書きは決して飾りではない。彼らは完成されたアイドルでありながら,まだ誰にも読み切られていない物語を抱えている。だからこそ一度知ったら最後,まさに底の見えない沼のように,触れれば触れるほど深みにはまっていく。そんな底しれない魅力を持つのが,「MELLOW DEAR US」というユニットなのだと思う。

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 【メガストリーム】編で描かれたアイドルたちの歩みと新たな挑戦,そして底知れぬ魅力を持つ「MELLOW DEAR US」というユニットも,「あんスタ!!」がまだまだ広がり続けていることを教えてくれた。
 また機会があれば,続きをお届けしたい。

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