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「奪われし玉座:ウィッチャーテイルズ」はファンならぜひ遊んでほしい作品。“ゲラルト”とは違う立場から描かれる物語をシリーズ経験者が紹介
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印刷2018/12/05 00:00

プレイレポート

「奪われし玉座:ウィッチャーテイルズ」はファンならぜひ遊んでほしい作品。“ゲラルト”とは違う立場から描かれる物語をシリーズ経験者が紹介

 「ウィッチャー3 ワイルドハント」PC / PS4 / Xbox One。以下,「ウィッチャー3」)で国内においても確固たる地位を築いたウィッチャーシリーズは,ポーランドのファンタジー小説「ウィッチャー」を原作とするCD PROJEKT REDの代表的RPGだ。
 本シリーズは,多数のクエストや高い自由度といったシステム面だけでなく,北方諸国とニルフガード帝国の戦争に苦しむ民衆や,人間に迫害を受けるドワーフやエルフといった少数種族の姿,人間に害を及ぼす醜悪で強力なモンスターといった,綺麗事ですまない「大人向け」の世界観が描かれるのも魅力のひとつだ。

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 そんなウィッチャーシリーズの最新作となるのが「奪われし玉座:ウィッチャーテイルズ」PC / PS4 / Xbox One。以下,「奪われし玉座」)だ。
 本作は「ウィッチャー3」で見られたような「オープンワールドの3人称視点RPG」ではなく,見下ろし視点のRPGで,戦闘に「ウィッチャー3」のミニゲームでもあった「グウェント」をベースにしたシステムが採用されているという点が,特徴的な作品となっている。

 すでに2018年10月23日にPC版がリリースされている本作だが,12月4日にはPS4版とXbox One版が発売となった。シリーズファンの中には,コンシューマ機でプレイできるのを待っていたという人も多いのではないだろうか。
 4Gamerではすでに,PC版の発売に合わせてウィッチャーシリーズ未経験者の視点からのプレイレポートを掲載しているが,今回はPS4/Xbox One版の発売に合わせて,ウィッチャーシリーズ経験者視点でのプレイレポートをお届けしてみたい。
 前作とシステム面が大きく異なる本作はシリーズファンが楽しめる作品になっているのか,そのあたりを中心に探ってみよう。

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 CD PROJEKT REDは2018年10月23日,「奪われし玉座:ウィッチャーテイルズ」のPC版を配信した。本作は人気RPG「ウィッチャー」シリーズの最新作で,戦闘に「グウェント」のルールを採用している。当然,シリーズファン向けのタイトル……なのだが,今回はあえてシリーズ未経験者の視点から紹介したい。

[2018/10/24 12:00]

 なお,本稿でのプレイにはPC版を使用している。デバイスはコンシューマ版に合わせてXbox Oneコントローラを使っているが,スクリーンショットの撮影にキーボードを使う関係上,画面写真に「コントローラー向けの操作ガイド」と「キーボードとマウス向けの操作ガイド」が混在している点はご了承願いたい。

「奪われし玉座」の対戦画面。カード数も多く一見複雑だが,基本的なルールは「最後にポイントが高い方が勝ち」というシンプルなもの
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主人公は女王メーヴ。治めるのはシリーズでお馴染みの「リヴィア」と「ライリア」


 さて,以前のプレイレポートでも軽く触れられているが,まず簡単に本作の導入部分を紹介しよう。

 時代は1267年。南の巨大なニルフガード帝国の脅威が高まる中で,北方諸国の王たちは,いざというときには互いに協力し帝国と戦うことを確認する会合を開く。ライリアとリヴィアの女王で,本作の主人公「メーヴ」も参加者のひとりであり,少ない手勢を率いて故郷に帰還する最中にあった。
 その道中,メーヴは王都の守りを任せていたカールドウェル卿と思わぬ再会を果たす。
 彼が言うには女王が国を留守にしている間に盗賊の活動が活発化し,国庫を襲うなど手の付けられない状態になっているという。城への帰還を目前に,国内の騒動を自ら解決することになったメーヴだが,その裏ではニルフガード帝国による北方諸国への攻撃が間近に迫っており,かつてない規模の動乱に巻き込まれていくことになる。

キャラ同士の会話シーン以外のストーリーは,語り部が話を進めていく。「ウィッチャー3」のセーブデータをロードしたときの,あらすじ画面を思い出してもらえばいいかもしれない
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 ウィッチャーの世界に詳しい人はピンとくるかもしれないが,本作はウィッチャー三部作の1作目となる「The Witcher」よりさらに過去の時代が舞台となっている。「ウィッチャー3」は1272年,初代のThe Witcherは1270年を舞台にしているため,言うなれば本作は(コンピュータゲームとしては)「ウィッチャー0」といった立ち位置の作品というわけだ。上述のニルフガード帝国の侵攻も,「ウィッチャー3」で描かれたものとはまた別(それ以前)の戦争であり,北方諸国との長年の因縁が見て取れるだろう。

 前述のとおり「奪われし玉座」の主人公は,シリーズお馴染みの伝説の白狼「ゲラルト」ではなく,北方諸国の王のひとりである女王のメーヴだ。したがって銀と鋼の剣で敵をなぎ倒したり,「印」で人を操ったりはできないが,配下の軍を自分の手足として自由に動かすことができる。グウェントはもともと,カードを兵士に見立てて指導者という立場で戦うテーブルゲームだったが,本作では文字どおり「自分は指導者で,手札は軍隊」になっているわけだ。

重要な場面ではキャラが良く動く会話シーンが挟まるが,多くの場面ではまるで小説のように,落ち着いたトーンで物語が進んでいく。このあたりは原作小説を意識しているのだろうか
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 ストーリーはベースが「戦争」であるためハードかつシリアス。「ウィッチャー3」でもたびたび見られた「戦争の犠牲になった村やそこに住んでいた村人」といった人々が多数登場する。
 あるときは「ニルフガードに村を焼かれた悲惨な被害者」である彼らだが,またあるときは「少数派であるエルフやドワーフを血祭りに上げる暴徒」にもなるなど,状況によって異なる側面を見せる。メーヴは,お金や兵士を使い民衆を救うか否か,罪を犯した民衆にどこまで罰を与えるのか,あるいは情報を吐かない捕虜をどうするのかなど,生死に関わる重大な決断を自ら下していかなければならない。

戦時とはいえ,かなり血なまぐさい選択を粛々とこなしていかなければならないメーヴ。ただでさえ厳しい立場にあるドワーフなどの非人間族は,真っ先に民衆のはけ口にされてしまう。人間を厳しく罰することもできるが,どうするかはプレイヤー次第だ
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 ウィッチャーシリーズでは,ゲラルトも同じようにいくつもの決断を下していったが,彼があくまで「ゲラルト個人」や「ウィッチャーのひとり」といった立場で物事を決定するのに比べ,女王であるメーヴの双肩にかかった責任はあまりにも重大だ。
 兵は「戦え」と命令されれば命をかけて戦うし,「縛り首にせよ」と指示すれば罪人は実際にその末路をたどる。「ウィッチャー3」では「頭に袋をかぶせられ,木にぶら下がる死体」をいくつも見かけたが,こうやって“量産”されていったのかと妙に納得してしまった。

イベントで何かを手に入れるためには,多くの場合その代価が必要となる。資金はフィールドで回収していくことになるが,施設とお金を使えば資金集めを効率化できる
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 また選択の影響がその場でわかるケースはまだいいが,場合によってはずいぶん後になってその結果を知ることになったり,一部の選択肢は,手元にお金や資源がないと選べないようになっていたりと,なかなか厳しい。本作は基本的に自動セーブで進み,「気に入らなかったから選び直す」こともできないので,まさに後戻りができないメーヴと同じ立場で,決断を下していかなければならないのだ。


「グウェント」のシステムは「ウィッチャー3」から大きく変化。北方諸国を旅し,戦力(デッキ)を充実させよう


 冒頭でも書いたように本作は見下ろし型のRPGで,メーヴを操作してゲームを進めていく。道中には街道や森林はもちろん多数の村や集落が存在するが,盗賊やニルフガード軍,あるいはモンスターなどに蹂躙され,多大な被害を被っていることも珍しくない。道中では,恐らく聞き慣れてしまうほどの民衆の嘆きを耳にするはずで,メーヴはこの混乱を収拾させるべく動いていく。

フィールド上の道標をアンロックすれば,ファストトラベルの行き先にできる
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 主なリソースは軍となる「デッキ」を除くと,「お金」「木材」そして「兵力」で構成されている。これらのリソースは敵を倒して入手したり,兵力なら村で徴集兵を集めたりできるが,多くは村の中や街道の外などで拾ったり,イベントでゲットしたりすることになるだろう。
 各リソースは時間と探す手間さえかければ手に入れられる機会も多いが,イベントがからむ場合は「何かを犠牲にして入手する」ことが目立つ。ここでも「何を優先させるか」という選択が絡んでくるのだ。

木材は街道から外れた場所で取得できることが多く,お金はイベントや戦闘後の残骸を漁るとゲットできる。兵力だけは入手機会が少なめで,イベントで増員されたり,村で募集したりする
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 お金と木材は主にキャンプの強化に使うことになる。「工房」や「指揮所」といった施設をアップグレードすることで,隠されたリソースを効率よく発見できる「見張り台」を建てたり,雇用できるユニットを増やしてより充実したデッキを構築できるようになるのだ。ほかにも移動速度(行軍速度)をアップさせたり,戦闘のたびに追加のお金が入手できるようにしたりと,メーヴの旅をより楽にできるものもある。
 また,「兵力」は主にユニットの雇用に使用するが,このときもお金と木材は必要で,単に「兵力があれば,強力な軍が作れる」というわけではない。懐が寂しいときは,施設を優先するかデッキの改良を優先するか悩むことになるだろう。

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 さて,肝心の戦闘システムの話に移ろう。前述のとおり,本作の戦闘は「グウェント」をベースにしたカードゲームによって行われる。
 「ウィッチャー3」などでプレイしたことがある人はご存じのとおり,グウェントはふたりのプレイヤーがさまざまな勢力の軍隊に見立てたデッキから最初に10枚のカードを引き,その手札から互いに戦場にカードを出し合って,最終的に戦力(ポイント)が高い方が勝利するというルールだ。
 根本的なルールはシンプルだが,選べる勢力や特徴的なカードが多く,「こだわり始めると,どこまでもハマれる」という戦略性の高さが魅力で,「ウィッチャー3」でもメインシナリオやクエストを無視してひたすらグウェントばかりプレイしてしまうゲーマーも多かったようだ。
 だがその反面,「面倒そう」という印象で避けていた人も少なくないのではないだろうか。実は筆者も「ウィッチャー3」ではグウェントにあまり触れてこなかったというクチだ。

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 本作のグウェントのルールは,アップデートが行われた「グウェント ウィッチャーカードゲーム」PC / PS4 / Xbox One。以下,「ウィッチャーカードゲーム」)に基づいており,シングルプレイで物語を進めていく関係で変えられている仕様も多いため,「ウィッチャー3」のものとはかなり異なる。恐らくグウェント経験者でも「ウィッチャー3(のみ)でプレイした」という人は多いはずなので,このあたりの違いについて少し整理しておきたい。

「カードの引き直し」の権利は持ち越せるようになり,2ラウンド目や3ラウンド目で一気に使うことも可能になっている
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 まず「ウィッチャー3」版との大きな違いは,戦場のラインが「味方3列+敵3列の計6列」から,「味方2列+敵2列の計4列」に変更されていることだ。
 詳しく説明すると「近接」「間接」「攻城」という配置場所が,「近接」「間接」の2種類になり,ユニットのカードも場所に縛られることなく,近接と間接のどちらの列にも出せるようになっている。例えば「弓兵のカードも普通に近接列に出すことができる」といった感じだ。ただし射程の概念はあり,配置する場所によっては,敵を攻撃できなくなるものもある。

計4列のどこでも攻撃できる状態。逆に射程が決められていて,状況によってはどこにも攻撃できない場合もある
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 また,「ウィッチャー3」では初期デッキこそ北方諸国だったが,カードを集めることにより,ニルフガード帝国やスコイア=テルといった勢力で自由にプレイできた。だが,本作の主人公は北方諸国のメーヴであるため,当然ながらワンボタンでメーヴをクビにしてほかの勢力に気軽に乗り換える……なんてことはできない。
 カードの入手も「ウィッチャー3」では対戦に勝利したり,店で購入したりしてそろえたが,本作では前述の女王のキャンプで,リソースを消費して「雇用する」という形が多くなるだろう。もちろん,イベントで戦力(カード)が追加されることもよくある。

イベントでカードの断片を入手していくと,いずれ1枚のカードになる
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 デッキの構築は最小枚数が25枚なのは「ウィッチャー3」と変わらないが,カードごとにコストが設定され,合計値が上限を超えるカードを追加することはできない。つまりお金や兵力が余っていても,「ひたすらお気に入りの強いユニットだけ増やす」なんてことは不可能なのだ。
 さらにラウンドの終了時に追加できるカードも,2回目と3回目の両方で3枚ずつ引けたり,カードの引き直しもラウンドに関係なく,最初に与えられた制限回数を任意のタイミングで消費する形になったりと,とにかく変更点は多岐にわたる。
 基本は変わらないので,「ウィッチャー3」のグウェントの知識や経験は役に立つが,「ウィッチャーカードゲーム」をプレイしたことがないというプレイヤーは,新鮮な気持ちで遊べるはずだ。

デッキのコスト制限は「構築上限」と呼ばれている。初期の上限は125だった
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「詰め将棋」的なグウェントも楽しめる本作。北方諸国の行く末を見届けるのは,メーヴとプレイヤーだ


 本作のバトルは,メーヴを操作してフィールドを歩いているときにも発生するが,基本的にほぼすべてがイベント戦闘であり,ランダムエンカウントといったものは発生しない。
 しかし,普通の行き掛かりの戦いでも凝った勝利条件のものが多く,1勝すれば勝ちとなる「ショートバトル」(通常は2勝先取の3ラウンド制)や,あらかじめ手札のユニットが決められ,その能力をうまく活用すれば必ずクリアできる詰め将棋のような「パズル」など,バラエティに富んでおり,飽きさせない工夫が施されている。

モンスターは人間とはかけ離れた能力を持っていたり,対戦中もかなりトリッキーな動きをする。シリーズ作品では「モンスターに翻弄される権力者(軍隊)と,それをあっさり解決するウィッチャー」という構図がたびたび描かれたが,こういう能力を見るとそれも納得できる
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 また,モードが「通常バトル」であっても,強力な敵との戦闘ではパズル要素が強く,どのユニットを使ってダメージを与えて,敵の強力な攻撃をどう防ぐかを考えなくてはいけない場面が多い。
 前述のようにデッキのコスト上限は決められているため,強力なカードのみを連発するといった力押しは,根本的に無理なシチュエーションが多い。一部のパズルバトルはヒントがないこともあり,条件を満たせず敗北を繰り返すこともあった。

 とにかく本作のキモは「カードの特性と能力を知る」ことが一番なので,基本ルールが頭に入り,さらに「カードの能力を理解できる」ようになるまでは,パズルを解くことすらままならない。デッキを調節するにしても何となく“勝利パターン”のようなものをイメージできなければ,どのカードを増やし,どのカードを減らせばいいのかもわからないからだ。

グウェントに関してはまごう事なき初心者である筆者は,最低難度の「新米君主」で始めて,チュートリアルもしっかり確認しながら進めたが,それでも難しい局面は結構あった。「ルール」と「コツ」はまた違うということなのだろう
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 そういった意味で,本作は丁寧なチュートリアルが用意されているものの,それだけで勝つために必要な知識がすべて頭に入るわけではない。真に学ぶのはチュートリアルが終わってから。勝つための試行錯誤を繰り返し,習うより慣れろといった感じで理解を深めていくことになるため,若干とっつきは悪いような印象もある。

 とはいえ経験を積んでグウェントが“わかって”くると,本作はグッと面白くなってくる。手札が少ないパズルバトルでも,「この手元のカードの能力と,敵の動きを考慮すると,この順番で出すとコイツが倒せそうだな」といったことが自然に頭に浮かんでくようになるし,デッキも「この勝ちパターンの確率を上げるためには,このユニットを増やそう。でもコストが厳しいので,名残り惜しいけどこの世話になったカードは二軍に」といった感じでいじれるようになってくるからだ。この「明らかにズブの素人だった自分が,ちょっとは上達してきたな」と実感できるのが楽しい。

 また本作は難度設定があり,ゲーム中いつでも変更できるし,一番低い「新米君主」なら負けても戦闘自体をパスして勝ったことにできるので,どうしても勝てないときや,単にストーリーの続きを楽しみたいという人は先に進んでしまうのもいいだろう。

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 本作はウィッチャーの世界を「少し前の時代から,違う目線で」体験する作品だ。シリーズ経験者なら今まで耳にしたことがある地名の場所を実際に訪れたり,あるいは見知った顔に再度出会うことになったりと,より一層楽しめる。
 北方諸国は侵略により酷い混乱状態に陥っており,メーヴもこれ以上ないほど厳しい場面に出くわすこともあるが,この「王と英雄がおり,勝利の栄光もあるが,綺麗事では終わらない醜く汚い戦争の裏側」を描いてこそウィッチャーシリーズなのだろう。


 もともと「奪われし玉座」は,「ウィッチャーカードゲーム」のシナリオモードという位置づけで開発されていた。当然ながらグウェントが主役で,またシステムも「ウィッチャー3」から大きく変更されているため,「存在を知っていても少し手を出しにくい」と感じている人もいるだろう。またこれまでシリーズは一貫してゲラルトが主人公となっていたため,「主役がゲラルトじゃないなんて……」と思っているシリーズファンもいるかもしれない。

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 だが,本作は間違いなくウィッチャーシリーズの一作であり,ウィッチャー三部作を楽しんだシリーズファンや,「ウィッチャー3」を楽しんだ人なら,より世界観を深められる作品だ。物語は北方諸国の王であるメーヴの視点で進むが,彼女はゲラルトに関連する人物でもあり,そのゲラルト本人の登場にも,もちろん期待していい(ロード画面やプロモーション用の動画にも出ていてバレバレなのだが)。グウェント自体は前述のように,慣れるまで時間が少し必要だが,コツがわかってくればかなり面白いし,純粋にシナリオを楽しみたいなら戦闘を飛ばせばいい。
 「カードゲーム」という点で,食わず嫌いをしてしまっている人も,シリーズファンならぜひ手に取ってみてほしい。

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「奪われし玉座:ウィッチャーテイルズ」公式サイト

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